そばにいるのは、いつも君だった
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それからも、その日毛利くんは甲斐甲斐しく
私のお世話をしてくれて
尽くされるって、こういうことなのかと実感した。
だけど、この生活がしばらく続くのに
彼は疲れてしまわないだろうか。
「明里ちゃん、お疲れ様。手の具合はどうかな?」
『あ、入江くん、お疲れ様。
いっぱい動かすと痛いけど、なんとか大丈夫だよ
』
「そっか。何かボクに手伝えることはないかな?」
うーん、と今までやっていた洗濯物の片付けを見るも
できる範囲のことはしたい。
「そうだ。なら髪の毛結んであげようか?
その手じゃ結べないでしょ?」
『入江くん結べるの?』
「妹がいるからさ。昔よく結んであげてたんだ」
入江くんの妹、と想像して微笑ましく思えた。
きっと入江くんのように
ふわふわした髪の可愛らしい妹さんなんだろうな。
『じゃあお願いしても良い?』
「任せてよ」
ヘアゴムを渡して入江くんに背を向ける。
肩甲骨より下まで伸びているこの髪が
ずっと邪魔だったから素直に嬉しい。
すっと、髪を掬われて少しくすぐったい。
「綺麗な髪だね」
『そうかな?』
いくら見た目が可愛らしくても
入江くんは異性なわけで
こんな風にストレートに褒められると照れてしまう。
「そういえば噂の優秀なサポーターがいないようだけど…」
『あはは、噂って。毛利くんなら今は自主練中。
終ったら様子見に来るって言ってたけど』
「ボク怒られないかな」
『どうして?』
「どうしてって……あ」
結び終えたと同時に入江くんが声をあげた。
つられて見ると、そこには毛利くんがいて
なにやらちょっとムッとした顔をしている。
「何してはるん?」
「何って、髪を結んでただけだよ」
「なんで入江さんなん?」
『なんでって…それは…』
答えようとしたけれど
ぽん、と肩をたたかれ入江くんにとめられた。
そして彼はそのまま毛利くんのもとへと行き
何か小声で話してから去って行った。
残された毛利くんは、顔を赤くしている。
『毛利くん…?』
「いや、あの……」
毛利くんはしばらく黙っていたけど
私のほうへと歩いて来て
先ほど入江くんが結んでくれた髪に触れた。
「…髪結ぶとか、俺なんも気づかへんかった」
『入江くんは妹さんがいるから
気がついたんだと思うよ』
「それでも…俺がしたかったんです」
『毛利くん、そんなに気にしなくて良いんだよ。
そんなに責任負う必要ない。
あまりにも私に構うと自分の時間なくなっちゃって
毛利くんきつくなるよ?』
私に構ってくれるのは嬉しいけど
負担にはなりたくない。
「俺、確かに怪我させてもうたって責任は感じてます。
せやけど、ちょっと、ずるいんやけど
チャンスやとも思うてて…」
『チャンス?』
「俺、明里さんのこと、好きやから。
傍にいられる理由ができて嬉しくて
ちょっと張り切ってもうた」
好き、という言葉に思考が止まる。
サラリと言われた彼の気持ちが
時間を置いてじわじわと胸に広がる。
“嬉しいのだろう。お前の近くにいられて”
“ボク怒られないかな”
二人の、この言葉の意味が今わかった。
わかった途端に顔が高揚するのを感じて
毛利くんから目をそらす。
『あの、私……』
「答えは、今言うんナシで頼んます。
今はちゃんと怪我のこと、治すこと第一に考えて
あとからもっかい仕切り直しさせてください」
毛利くんの真剣な眼差しに
なんて言ったら良いかわからず
私はただ、何度も頷いた。
彼はそんな私を見ていつもの笑顔を見せて
笑ってくれたのだけど
その笑顔がいつもより輝いて見えたことは
怪我が治るまで内緒にすることにした。
(あの〜、その髪なんですけど…)
(これがどうかした?)
(ほどいたら、アカンです?)
(え?なんかおかしかった?)
(いや、いや、やっぱええです!)
(やっぱり結ぶとスッキリするから
しばらくは入江くんに…)
(その…俺練習しやるから、俺が結びます!
せやから、入江さんに頼むんはやめんせーね)
(練習って…)
(今から遠野先輩に頼んで練習しやるんで!)
(遠野くん、OKしてくれるかな…)
私のお世話をしてくれて
尽くされるって、こういうことなのかと実感した。
だけど、この生活がしばらく続くのに
彼は疲れてしまわないだろうか。
「明里ちゃん、お疲れ様。手の具合はどうかな?」
『あ、入江くん、お疲れ様。
いっぱい動かすと痛いけど、なんとか大丈夫だよ
』
「そっか。何かボクに手伝えることはないかな?」
うーん、と今までやっていた洗濯物の片付けを見るも
できる範囲のことはしたい。
「そうだ。なら髪の毛結んであげようか?
その手じゃ結べないでしょ?」
『入江くん結べるの?』
「妹がいるからさ。昔よく結んであげてたんだ」
入江くんの妹、と想像して微笑ましく思えた。
きっと入江くんのように
ふわふわした髪の可愛らしい妹さんなんだろうな。
『じゃあお願いしても良い?』
「任せてよ」
ヘアゴムを渡して入江くんに背を向ける。
肩甲骨より下まで伸びているこの髪が
ずっと邪魔だったから素直に嬉しい。
すっと、髪を掬われて少しくすぐったい。
「綺麗な髪だね」
『そうかな?』
いくら見た目が可愛らしくても
入江くんは異性なわけで
こんな風にストレートに褒められると照れてしまう。
「そういえば噂の優秀なサポーターがいないようだけど…」
『あはは、噂って。毛利くんなら今は自主練中。
終ったら様子見に来るって言ってたけど』
「ボク怒られないかな」
『どうして?』
「どうしてって……あ」
結び終えたと同時に入江くんが声をあげた。
つられて見ると、そこには毛利くんがいて
なにやらちょっとムッとした顔をしている。
「何してはるん?」
「何って、髪を結んでただけだよ」
「なんで入江さんなん?」
『なんでって…それは…』
答えようとしたけれど
ぽん、と肩をたたかれ入江くんにとめられた。
そして彼はそのまま毛利くんのもとへと行き
何か小声で話してから去って行った。
残された毛利くんは、顔を赤くしている。
『毛利くん…?』
「いや、あの……」
毛利くんはしばらく黙っていたけど
私のほうへと歩いて来て
先ほど入江くんが結んでくれた髪に触れた。
「…髪結ぶとか、俺なんも気づかへんかった」
『入江くんは妹さんがいるから
気がついたんだと思うよ』
「それでも…俺がしたかったんです」
『毛利くん、そんなに気にしなくて良いんだよ。
そんなに責任負う必要ない。
あまりにも私に構うと自分の時間なくなっちゃって
毛利くんきつくなるよ?』
私に構ってくれるのは嬉しいけど
負担にはなりたくない。
「俺、確かに怪我させてもうたって責任は感じてます。
せやけど、ちょっと、ずるいんやけど
チャンスやとも思うてて…」
『チャンス?』
「俺、明里さんのこと、好きやから。
傍にいられる理由ができて嬉しくて
ちょっと張り切ってもうた」
好き、という言葉に思考が止まる。
サラリと言われた彼の気持ちが
時間を置いてじわじわと胸に広がる。
“嬉しいのだろう。お前の近くにいられて”
“ボク怒られないかな”
二人の、この言葉の意味が今わかった。
わかった途端に顔が高揚するのを感じて
毛利くんから目をそらす。
『あの、私……』
「答えは、今言うんナシで頼んます。
今はちゃんと怪我のこと、治すこと第一に考えて
あとからもっかい仕切り直しさせてください」
毛利くんの真剣な眼差しに
なんて言ったら良いかわからず
私はただ、何度も頷いた。
彼はそんな私を見ていつもの笑顔を見せて
笑ってくれたのだけど
その笑顔がいつもより輝いて見えたことは
怪我が治るまで内緒にすることにした。
(あの〜、その髪なんですけど…)
(これがどうかした?)
(ほどいたら、アカンです?)
(え?なんかおかしかった?)
(いや、いや、やっぱええです!)
(やっぱり結ぶとスッキリするから
しばらくは入江くんに…)
(その…俺練習しやるから、俺が結びます!
せやから、入江さんに頼むんはやめんせーね)
(練習って…)
(今から遠野先輩に頼んで練習しやるんで!)
(遠野くん、OKしてくれるかな…)