Rainy Blue
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「うっは~、むっちゃ雨やんけ」
『ゲリラ豪雨だね。さっきまで青空だったのに』
練習の後片付けをしていたら、1つ年下の毛利くんが
向こうに可愛い猫がいると教えに来てくれた。
無類の猫好きである私は
彼が教えてくれた場所へと迎い
毛利くんと一緒に猫を撫でていたのだけど
突然の雷の音に猫は逃げてしまった。
それからすぐに
ポツリポツリと大粒の雨が降リ出して
あっという間に土砂降りとなった。
私達はコートから少し離れた場所にいたので
雨をしのげるところまで距離があり
倉庫の下に着いたときにはふたりともびしょ濡れだった。
「夏の天気はようわからんねえ」
『本当だね。今日天気予報見たけど曇りだったのに』
「でも練習のときやなくて良かったです」
"練習のときじゃなくて良かった"
そんなことを話す彼は、中学生の時は練習嫌いだった。
私と毛利くんは共に同じ立海出身で
私は当時から男子テニス部のマネージャーをしていたのだけど
彼はサボりの常習犯で、いつも真田くんが怒っていた。
あれから色々あって、毛利くんは変わった。
でも、改めてそんなセリフを聞くと
勝手に子どもの成長を見守る親のような気持ちになる。
「今度柳に今日の天気予報教えてって言うてみよかな」
『データマンの無駄遣いよそれ』
「じゃあ乾に聞いたほうがええでっか?」
それはそれで
柳がヤキモチを妬きそうだと思ったところで
だんだん面白くなって笑ってしまった。
「どないしました?」
『なんか、ふたりとも仲良くなったなあって』
「そうですやろか?
確かに柳とは話すようになりましたけど…
俺未だに怒られてばっかですやん」
“毛利先輩、こんなところで寝ないでください”
“ストレッチはしたんですか?”
“ちゃんとドライヤー使ってください”
あの日、あの試合から
柳の毛利くんへの態度は変わり
自分から毛利くんに接するようになった。
だけど柳も照れくさいのか
話し掛ける言葉は注意のような言葉ばかり。
でもそれを聞いて、毛利くんは嬉しそうにしているから
結果オーライなのだろう。
『前は怒るどころか話も聞いてくれなかったでしょ?
柳なりの親愛の証よ』
そう言いつつ、私は少しだけ寂しくなっていた。
柳の前は、私が毛利くんにアドバイスしたり
注意したりしていたのだから。
ただでさえ、越知くんに
その役目を取られてしまってしたのに
柳くんまで現れて、私の出番は見る影もない。
ザァーっと、降る雨を見ていたら
余計に寂しくなって切なくなった。
「せやけど、俺、香恵さんと最近話す機会減って
ちょっと寂しいです」
『え…?』
「今までは、俺だけが後輩やったのに
今は香恵さんの周りには
中学生たちがおって…
香恵さん取られてもうた気分になってたんでっせ」
毛利くんと、同じ気持ちなのだと知って
すうっと胸が軽くなった。
私だけじゃ、なかった。
『私も…寂しかった。
だから今日、誘ってくれて嬉しかったよ』
「雨降ってもうたけどね」
『でも雨のおかげで話せたのかもしれない』
「せやね………って、あ!」
突然毛利くんが声を上げたから何事かと思えば
彼は頭に手を当てて頭を垂れた。
『どうしたの?』
「もともと猫に気づいたんは、柳なんよお…。
そっから香恵さん猫好きやから
一緒に見に行こって声を掛けよって思ったんやけど…」
『あはは、じゃあ柳のことだから
きっとこの雨も予想してたのかもね』
「データっておっかないわ…」
時間にしたら10分くらいだったかもしれない。
だけどこの雨のおかげで
私は毛利くんと久しぶりにゆっくり話すことができた。
嬉しさを噛み締めながら毛利くんを見上げたら
彼も嬉しそうに微笑んでくれたのだった。
(…お二人共なぜずぶ濡れなんですか?)
(さっきの猫見てたんよ!
そしたらいきなり雨降ってもうて…)
(雨をしのげる場所がなくて)
(そうそう、倉庫まで行く途中に濡れてもうた)
(倉庫って…
まさかテニスボール等を置いている方の倉庫ですか?)
(そうだよ)
(…どちらの判断かはわかりかねますが
コート側の倉庫の方が近かったのでは?)
((あっ……))
(全く…タオルを持ってきますから)
(頼もし後輩だね、毛利くん)
(俺らは頼りない先輩やんけ)
『ゲリラ豪雨だね。さっきまで青空だったのに』
練習の後片付けをしていたら、1つ年下の毛利くんが
向こうに可愛い猫がいると教えに来てくれた。
無類の猫好きである私は
彼が教えてくれた場所へと迎い
毛利くんと一緒に猫を撫でていたのだけど
突然の雷の音に猫は逃げてしまった。
それからすぐに
ポツリポツリと大粒の雨が降リ出して
あっという間に土砂降りとなった。
私達はコートから少し離れた場所にいたので
雨をしのげるところまで距離があり
倉庫の下に着いたときにはふたりともびしょ濡れだった。
「夏の天気はようわからんねえ」
『本当だね。今日天気予報見たけど曇りだったのに』
「でも練習のときやなくて良かったです」
"練習のときじゃなくて良かった"
そんなことを話す彼は、中学生の時は練習嫌いだった。
私と毛利くんは共に同じ立海出身で
私は当時から男子テニス部のマネージャーをしていたのだけど
彼はサボりの常習犯で、いつも真田くんが怒っていた。
あれから色々あって、毛利くんは変わった。
でも、改めてそんなセリフを聞くと
勝手に子どもの成長を見守る親のような気持ちになる。
「今度柳に今日の天気予報教えてって言うてみよかな」
『データマンの無駄遣いよそれ』
「じゃあ乾に聞いたほうがええでっか?」
それはそれで
柳がヤキモチを妬きそうだと思ったところで
だんだん面白くなって笑ってしまった。
「どないしました?」
『なんか、ふたりとも仲良くなったなあって』
「そうですやろか?
確かに柳とは話すようになりましたけど…
俺未だに怒られてばっかですやん」
“毛利先輩、こんなところで寝ないでください”
“ストレッチはしたんですか?”
“ちゃんとドライヤー使ってください”
あの日、あの試合から
柳の毛利くんへの態度は変わり
自分から毛利くんに接するようになった。
だけど柳も照れくさいのか
話し掛ける言葉は注意のような言葉ばかり。
でもそれを聞いて、毛利くんは嬉しそうにしているから
結果オーライなのだろう。
『前は怒るどころか話も聞いてくれなかったでしょ?
柳なりの親愛の証よ』
そう言いつつ、私は少しだけ寂しくなっていた。
柳の前は、私が毛利くんにアドバイスしたり
注意したりしていたのだから。
ただでさえ、越知くんに
その役目を取られてしまってしたのに
柳くんまで現れて、私の出番は見る影もない。
ザァーっと、降る雨を見ていたら
余計に寂しくなって切なくなった。
「せやけど、俺、香恵さんと最近話す機会減って
ちょっと寂しいです」
『え…?』
「今までは、俺だけが後輩やったのに
今は香恵さんの周りには
中学生たちがおって…
香恵さん取られてもうた気分になってたんでっせ」
毛利くんと、同じ気持ちなのだと知って
すうっと胸が軽くなった。
私だけじゃ、なかった。
『私も…寂しかった。
だから今日、誘ってくれて嬉しかったよ』
「雨降ってもうたけどね」
『でも雨のおかげで話せたのかもしれない』
「せやね………って、あ!」
突然毛利くんが声を上げたから何事かと思えば
彼は頭に手を当てて頭を垂れた。
『どうしたの?』
「もともと猫に気づいたんは、柳なんよお…。
そっから香恵さん猫好きやから
一緒に見に行こって声を掛けよって思ったんやけど…」
『あはは、じゃあ柳のことだから
きっとこの雨も予想してたのかもね』
「データっておっかないわ…」
時間にしたら10分くらいだったかもしれない。
だけどこの雨のおかげで
私は毛利くんと久しぶりにゆっくり話すことができた。
嬉しさを噛み締めながら毛利くんを見上げたら
彼も嬉しそうに微笑んでくれたのだった。
(…お二人共なぜずぶ濡れなんですか?)
(さっきの猫見てたんよ!
そしたらいきなり雨降ってもうて…)
(雨をしのげる場所がなくて)
(そうそう、倉庫まで行く途中に濡れてもうた)
(倉庫って…
まさかテニスボール等を置いている方の倉庫ですか?)
(そうだよ)
(…どちらの判断かはわかりかねますが
コート側の倉庫の方が近かったのでは?)
((あっ……))
(全く…タオルを持ってきますから)
(頼もし後輩だね、毛利くん)
(俺らは頼りない先輩やんけ)