同室パニック
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『えぇっ!?嘘でしょ、そんなことある!?』
U-17の遠征で
ホテルに着いたときに聞かされた事実。
マネージャーである彩香の部屋がないということに
全員が驚いた。
「なんでもホテルの手違いだそうで…」
行楽シーズンと重なり、空き部屋はなく
キャンセルもないので
部屋の用意ができない状態。
『どうしよう……』
「彩香さんだけ、別のホテルにとも思いましたが
近隣のホテルも満室だそうです」
斎藤に言われ、戸惑っている彩香とは対照的に
目を輝かせている人物が数人いた。
「せやったら、誰かが彩香ちゃんと相部屋ってことやな☆」
『いや、なんでそうなるのよ。
ここは男性陣が二人部屋になって部屋譲ってよ』
「カッカッカ!男二人、同じベッドは最っ悪だな」
『男女で同じベッドは問題でしょ!』
「でも体格的に男二人は無理があるんとちゃいまっか?」
「あ、だったら僕と彩香ちゃんなら
身長差もないから問題ないんじゃないかな?」
『だったら入江と種ヶ島の二人でも
サイズ的に問題ないんじゃないの?』
彩香は好き勝手言う男共をジロリと睨み
コーチ陣に助けを求めてみたが
斎藤はにこやかに笑っており
黒部には「メンタルトレーニングになる」と言われて
誰も助けてくれないなと諦めた。
彩香自身、本当は選手陣に迷惑を掛けたくはなかった。
せっかくの遠征で、明日は練習試合も控えている。
狭い部屋に男性二人は精神的にも
肉体的にもストレスになる。
負担になるようなことは、避けたかった。
『……じゃあ、私に考えがあるから、皆待ってて』
彩香はホテル側に
なんとか1室をソファーのある部屋に
してもらえないかと頼んでみた。
部屋自体を変えることはできなかったが
ソファーを運んでもらえることにはなった。
誰か選手一人がベッドで、
彩香がソファーで寝るのが得策だと考えたのだが
あとは誰と相部屋になるかが問題。
『ってことで、相部屋になった人には迷惑掛けちゃうけど
くじ引きしますっ!』
「まぁそれが公平だな」
「竜次、当たったら俺に譲ってな☆」
「おや、それはズルいのではないですか?」
「譲ったりするんはナシでっせ!」
『公平にするために、今から皆の名前をこれに書きます。
それで、私が引く。これで文句ないでしょ?』
不正も何もない証拠として
皆の目の前で小さな紙に名前を書いて
その辺にあったポリ袋に入れて一枚を引く。
『部屋、思ってたより狭いね…』
「せ、せやね。
シングルの部屋に無理やりソファー入れてはるから…」
部屋に入ってすぐ、彩香と毛利は立ち尽くした。
一夜を過ごすこの部屋は、予想以上に狭い。
ソファーはベッドと壁の間に無理やり入れられていて
ほぼベッドと繋がっている。
一人ならば問題ないのだが
二人だと荷物すら広げられない状態だった。
くじ引きの結果、当たったのは毛利。
毛利にとっては、願ってもない結果だ。
種ヶ島が相部屋、と言った時チャンスだと思ったが
同時に焦りもしていた。
もし、他の人が当たってしまえば
何か起きるかもしれない。
特に種ヶ島や入江は彩香のことを好いているのだ。
何かしらのアクションを起こすに決まっている。
期待と焦燥に気が気でなかったが
この結果に浮かれてしまっていた。
片思いの相手と、一夜を共に過ごせる。
しかも、理由が正当化されている。
こんなチャンスは、二度とないと。
『あ、お風呂先にいいよ?』
「えっ!あっ、いやっ!俺は後ででええよ。
彩香さん先に入ってきんさったら?」
『じゃ、じゃあそうしようかな…』
毛利が悶々としている最中
彩香の心中も穏やかではなかった。
年下とはいえ、異性だ。
この状況は意識してしまう。
とにかく毛利の邪魔にならないように
気をつけなければ、と彩香は自分に言い聞かせて
シャワーを浴びたのだった。
『ごめんね、先に使わせてもらって』
「っ!!ええんよ、大丈夫やから。お、俺も浴びてきます」
合宿所で風呂上がりの姿は見ていた。
だから大丈夫だと、毛利は思っていたが
聞こえてくるシャワーの音と
着替える時の衣擦れの音が理性を刺激してきた。
良からぬ想像を打ち消すように
少し冷たいシャワーで熱を冷ます。
「ちょっと、長うなってしもた」
少し冷静さを取り戻し、部屋に戻ると
彩香がパッと視線を反らした。
彼女も緊張しているのだと、毛利は感じた。
『そろそろ寝なきゃね。明日の試合に響くといけないし。
寿三郎はベッド使って。私はソファーで寝るから』
「え!彩香さんベッド使いんせーね!
俺がそっちでええですから」
『何言ってるの、その身長でソファーは無理だって!』
「女の子なんやから、そんなとこで寝させられへんよ!」
お互い退かないまま、男としての気遣いと
マネージャーとしての気遣いがぶつかる。
『選手なんだから、ストレス掛かることしちゃだめだって!
ちゃんと寝なきゃ!』
「……ストレス掛からんようにすればええんやね」
毛利の真面目な表情に、彩香はどきりとする。
『え……う、うん』
「ほなら、彩香さん一緒にベッドで寝やりましょ」
『えぇっ!?で、でも、それだと狭い、よ……』
狭い以外にも、言いたいことはあったが
毛利の意外な提案に戸惑う。
冗談ではなく、本人は至って真剣な顔だ。
「狭くても、俺は彩香さんと一緒の方が嬉しいです。
……いや、やろか?」
おずおずと、彩香の手を取りながら
伺うように、甘えるように尋ねてくる姿に
彩香は負けた。
『いやじゃ、ない……』
毛利が先に彩香のスペースを空けて横になる。
お邪魔します、と小声で言いながら
彩香が寝転ぶと目の前には毛利の胸があり
シングルベッドに二人は、必然的に身体が触れてしまう。
彩香は緊張して、とにかく固まって動けずにいた。
毛利の体温と、香りとがダイレクトに伝わっていて
頭のなかは、少しパニックだ。
「彩香さん、ぎゅってしてもええですやろか」
『じゅ、寿三郎……その……』
「いま、抱き締めたくてたまらんようになってもうて……
そ、それ以上のことはせえへんから!……あかん?」
『さっきから、その聞き方ズルい』
彩香はそう言うと、毛利に抱きついた。
驚いたのか、毛利の身体が硬直するも
遠慮がちに腕を回され
彩香の身体がすっぽりと包まれた。
「他の人と同じ部屋になって
俺みたいに一緒に寝よて言われたらどないしてました?
やっぱり……一緒に寝やります?」
『……ちょっと想像してみたけど、断ってたかも。
なんか、ちょっと嫌、かな』
彩香はなぜ嫌だと思うのか
なぜ毛利だと良いのか、その答えは
うっすらと理解はしていたが
まだ自分の中でハッキリはしていなかった。
「そんなん言われたら、期待しやるよ」
『私だって、こんなことされた期待するでしょ』
ちらり、と毛利を見ると
頬は赤く、熱っぽい瞳のまま
じっと彩香を見つめていた。
そこにはいつもの可愛らしい笑顔はない。
「彩香さん、好き。むちゃくちゃ好き」
『じゅさ……っ!』
ゆっくりと、触れるだけのキスをされた。
『さっきこれ以上はしないって言ってたのに……』
「すんません……こないに触れ合うてたら
我慢するんは無理ですやん」
『触れてきたのも寿三郎なのに……』
「……おしゃべりはもう、やめんせーね」
『ちょ……っん!』
何度も何度も、触れるだけの優しいキスを繰り返し
愛おしそうに彼女の頭を撫でた毛利は
そのまま、彩香を抱き締めた格好で眠ってしまった。
緊張と胸の動悸のせいで
眠りにつけそうにないなと思う彩香だったが
寿三郎の温かさを感じながらゆっくりと、瞼を閉じた。
(おはようさん☆)
(ちょっ、痛いですやん、種ヶ島さん……)
(昨日はどうやったん?)
(どうってなんですの?)
(男女が同じ部屋で一夜を過ごすて
ヤることひとつに決まっとるやん)
(し、してへんよ!ちょっとは、その…
で、でも、付き合うてないんやしそないなこと…)
(へーぇ。てっきりもう
付き合うことになったんかと思うたわ)
(そ、それは……その……)
(ならまだまだ俺にもチャンスはあるってことやな☆)
(えっ!?)
(負けへんで~☆)
(俺だって、負けませんし彩香さんは渡さへんよ!)
U-17の遠征で
ホテルに着いたときに聞かされた事実。
マネージャーである彩香の部屋がないということに
全員が驚いた。
「なんでもホテルの手違いだそうで…」
行楽シーズンと重なり、空き部屋はなく
キャンセルもないので
部屋の用意ができない状態。
『どうしよう……』
「彩香さんだけ、別のホテルにとも思いましたが
近隣のホテルも満室だそうです」
斎藤に言われ、戸惑っている彩香とは対照的に
目を輝かせている人物が数人いた。
「せやったら、誰かが彩香ちゃんと相部屋ってことやな☆」
『いや、なんでそうなるのよ。
ここは男性陣が二人部屋になって部屋譲ってよ』
「カッカッカ!男二人、同じベッドは最っ悪だな」
『男女で同じベッドは問題でしょ!』
「でも体格的に男二人は無理があるんとちゃいまっか?」
「あ、だったら僕と彩香ちゃんなら
身長差もないから問題ないんじゃないかな?」
『だったら入江と種ヶ島の二人でも
サイズ的に問題ないんじゃないの?』
彩香は好き勝手言う男共をジロリと睨み
コーチ陣に助けを求めてみたが
斎藤はにこやかに笑っており
黒部には「メンタルトレーニングになる」と言われて
誰も助けてくれないなと諦めた。
彩香自身、本当は選手陣に迷惑を掛けたくはなかった。
せっかくの遠征で、明日は練習試合も控えている。
狭い部屋に男性二人は精神的にも
肉体的にもストレスになる。
負担になるようなことは、避けたかった。
『……じゃあ、私に考えがあるから、皆待ってて』
彩香はホテル側に
なんとか1室をソファーのある部屋に
してもらえないかと頼んでみた。
部屋自体を変えることはできなかったが
ソファーを運んでもらえることにはなった。
誰か選手一人がベッドで、
彩香がソファーで寝るのが得策だと考えたのだが
あとは誰と相部屋になるかが問題。
『ってことで、相部屋になった人には迷惑掛けちゃうけど
くじ引きしますっ!』
「まぁそれが公平だな」
「竜次、当たったら俺に譲ってな☆」
「おや、それはズルいのではないですか?」
「譲ったりするんはナシでっせ!」
『公平にするために、今から皆の名前をこれに書きます。
それで、私が引く。これで文句ないでしょ?』
不正も何もない証拠として
皆の目の前で小さな紙に名前を書いて
その辺にあったポリ袋に入れて一枚を引く。
『部屋、思ってたより狭いね…』
「せ、せやね。
シングルの部屋に無理やりソファー入れてはるから…」
部屋に入ってすぐ、彩香と毛利は立ち尽くした。
一夜を過ごすこの部屋は、予想以上に狭い。
ソファーはベッドと壁の間に無理やり入れられていて
ほぼベッドと繋がっている。
一人ならば問題ないのだが
二人だと荷物すら広げられない状態だった。
くじ引きの結果、当たったのは毛利。
毛利にとっては、願ってもない結果だ。
種ヶ島が相部屋、と言った時チャンスだと思ったが
同時に焦りもしていた。
もし、他の人が当たってしまえば
何か起きるかもしれない。
特に種ヶ島や入江は彩香のことを好いているのだ。
何かしらのアクションを起こすに決まっている。
期待と焦燥に気が気でなかったが
この結果に浮かれてしまっていた。
片思いの相手と、一夜を共に過ごせる。
しかも、理由が正当化されている。
こんなチャンスは、二度とないと。
『あ、お風呂先にいいよ?』
「えっ!あっ、いやっ!俺は後ででええよ。
彩香さん先に入ってきんさったら?」
『じゃ、じゃあそうしようかな…』
毛利が悶々としている最中
彩香の心中も穏やかではなかった。
年下とはいえ、異性だ。
この状況は意識してしまう。
とにかく毛利の邪魔にならないように
気をつけなければ、と彩香は自分に言い聞かせて
シャワーを浴びたのだった。
『ごめんね、先に使わせてもらって』
「っ!!ええんよ、大丈夫やから。お、俺も浴びてきます」
合宿所で風呂上がりの姿は見ていた。
だから大丈夫だと、毛利は思っていたが
聞こえてくるシャワーの音と
着替える時の衣擦れの音が理性を刺激してきた。
良からぬ想像を打ち消すように
少し冷たいシャワーで熱を冷ます。
「ちょっと、長うなってしもた」
少し冷静さを取り戻し、部屋に戻ると
彩香がパッと視線を反らした。
彼女も緊張しているのだと、毛利は感じた。
『そろそろ寝なきゃね。明日の試合に響くといけないし。
寿三郎はベッド使って。私はソファーで寝るから』
「え!彩香さんベッド使いんせーね!
俺がそっちでええですから」
『何言ってるの、その身長でソファーは無理だって!』
「女の子なんやから、そんなとこで寝させられへんよ!」
お互い退かないまま、男としての気遣いと
マネージャーとしての気遣いがぶつかる。
『選手なんだから、ストレス掛かることしちゃだめだって!
ちゃんと寝なきゃ!』
「……ストレス掛からんようにすればええんやね」
毛利の真面目な表情に、彩香はどきりとする。
『え……う、うん』
「ほなら、彩香さん一緒にベッドで寝やりましょ」
『えぇっ!?で、でも、それだと狭い、よ……』
狭い以外にも、言いたいことはあったが
毛利の意外な提案に戸惑う。
冗談ではなく、本人は至って真剣な顔だ。
「狭くても、俺は彩香さんと一緒の方が嬉しいです。
……いや、やろか?」
おずおずと、彩香の手を取りながら
伺うように、甘えるように尋ねてくる姿に
彩香は負けた。
『いやじゃ、ない……』
毛利が先に彩香のスペースを空けて横になる。
お邪魔します、と小声で言いながら
彩香が寝転ぶと目の前には毛利の胸があり
シングルベッドに二人は、必然的に身体が触れてしまう。
彩香は緊張して、とにかく固まって動けずにいた。
毛利の体温と、香りとがダイレクトに伝わっていて
頭のなかは、少しパニックだ。
「彩香さん、ぎゅってしてもええですやろか」
『じゅ、寿三郎……その……』
「いま、抱き締めたくてたまらんようになってもうて……
そ、それ以上のことはせえへんから!……あかん?」
『さっきから、その聞き方ズルい』
彩香はそう言うと、毛利に抱きついた。
驚いたのか、毛利の身体が硬直するも
遠慮がちに腕を回され
彩香の身体がすっぽりと包まれた。
「他の人と同じ部屋になって
俺みたいに一緒に寝よて言われたらどないしてました?
やっぱり……一緒に寝やります?」
『……ちょっと想像してみたけど、断ってたかも。
なんか、ちょっと嫌、かな』
彩香はなぜ嫌だと思うのか
なぜ毛利だと良いのか、その答えは
うっすらと理解はしていたが
まだ自分の中でハッキリはしていなかった。
「そんなん言われたら、期待しやるよ」
『私だって、こんなことされた期待するでしょ』
ちらり、と毛利を見ると
頬は赤く、熱っぽい瞳のまま
じっと彩香を見つめていた。
そこにはいつもの可愛らしい笑顔はない。
「彩香さん、好き。むちゃくちゃ好き」
『じゅさ……っ!』
ゆっくりと、触れるだけのキスをされた。
『さっきこれ以上はしないって言ってたのに……』
「すんません……こないに触れ合うてたら
我慢するんは無理ですやん」
『触れてきたのも寿三郎なのに……』
「……おしゃべりはもう、やめんせーね」
『ちょ……っん!』
何度も何度も、触れるだけの優しいキスを繰り返し
愛おしそうに彼女の頭を撫でた毛利は
そのまま、彩香を抱き締めた格好で眠ってしまった。
緊張と胸の動悸のせいで
眠りにつけそうにないなと思う彩香だったが
寿三郎の温かさを感じながらゆっくりと、瞼を閉じた。
(おはようさん☆)
(ちょっ、痛いですやん、種ヶ島さん……)
(昨日はどうやったん?)
(どうってなんですの?)
(男女が同じ部屋で一夜を過ごすて
ヤることひとつに決まっとるやん)
(し、してへんよ!ちょっとは、その…
で、でも、付き合うてないんやしそないなこと…)
(へーぇ。てっきりもう
付き合うことになったんかと思うたわ)
(そ、それは……その……)
(ならまだまだ俺にもチャンスはあるってことやな☆)
(えっ!?)
(負けへんで~☆)
(俺だって、負けませんし彩香さんは渡さへんよ!)