星空とキミ
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「あれ…?また見失ってもーた」
今日こそは、と思い
こっそりと後を付けていたにも関わらず
見失ってしまった梓ちゃんの姿。
夜、彼女が姿を消すことに気がついたのはつい最近。
夕食の時間まではいるのに
その後の消息が全くわからない。
ご飯食べてすぐお風呂のときもあるみたいやけど
大体は、ご飯食べて、どっか行って
お風呂行って、部屋に戻る。
このパターンが多い。(ストーカーとちゃいまっせ)
皆とゲームせぇへん?って誘った時に
やんわり断わられてから
梓ちゃんがいつもどこかへ
行ってることに気がついた。
本人に直接聞こうとも思うたんやけど
聞く勇気がなくて
こうやって後をつける日々……
まぁ、こっちのほうが色々あかん気もするけど。
「毛利先輩、何か探しているんですか?」
「お!幸村、ちょうどええとこに。
梓ちゃん探してるんやけど見ぃひんかった?」
「梓さんでしたらすれ違いましたよ」
「え!ホンマに!?あっち行ってみるわ!おーきに!」
幸村がすれ違ったっていう方向へ向かうも
梓ちゃんの姿はなく手がかりも
これ以上は掴めそうにない。
“誰かと逢引してたりしてな”
先輩らに聞いてみた時に言われた冗談が頭を過る。
梓ちゃんとは同い年やから
仲は良えほうやと思うてる。
せやから、もし誰かそういう人がおるなら気になるし
ちょっとだけ、ショックやったりもする。
これだけ探しても会えへんってことは
避けられてるってことも…
と、あれこれ考えながら
なんとなく、窓から空を眺めてみた。
気晴らしに、星でも眺めてみよかな。
向かったのは、屋上。
学校生活で屋上って憧れてたんやけど
危ないから立ち入られへんようになってて
ちょっと残念やったんよなあ。
ここはフェンスも厳重だからか
誰でも入れるようになってて有り難い。
ガチャっと、ドアを開けて外に出ると
どこかで、かたん、と小さな音がした。
屋上には誰もおらへんけど
物音のした方向へと向かうと
ちょっと高い位置に貯水タンクがあり
その下に足場のようなものがあった。
あ、もしかして。
「梓ちゃん!こんなとこにおったんやね!」
『わっ!な、なんだ、寿三郎か……良かったぁ…』
足場に足を掛けてひょいっと除くと
何やら身構えた梓ちゃんがいた。
どうやら人の気配を感じ取っていたようやった。
「梓ちゃんこないなところで何してるん?」
『ん?星見てたの』
「星?」
『そう。そんなことより寿三郎、早く登ってきて。
他の人に見つかっちゃう』
はい、と差し出された手に
男やからこんなとこすぐ登れるんやけど
と思いつつ、あえて彼女のちっこい手を掴む。
ちょっとした気遣いが嬉しい。
「他の人に見つかったらアカンの?」
『人にもよるけど…
流石にここに登ってたら危ないって怒られそうじゃない?』
「せやね…足場崩れたら梓ちゃん降りられへんし」
『えへへ』
「えへへやないで。褒めてへん!」
ペシッと叩くふりをすると
やられた〜と言って彼女は倒れ込む。
同い年だからのこのやり取りに頬が緩むのを感じる。
と、そのまま梓ちゃんは仰向けになって
俺に向かってちょいちょい、と手招きした。
『寿三郎、こっちで寝転んで。一緒に星見ようよ』
いつもより近い距離に少し緊張しつつ
言われたように隣に寝転んで夜空を見上げた。
「おぉ……むっちゃ綺麗や…」
『でしょ。
ここから見たほうがなんの灯りも邪魔しなくて
一番綺麗に見えるの。すごいよね』
「梓ちゃん、星好きやったんやね」
のほほんとしている彼女の趣味としては
少し意外性があった。
『あ、でも詳しくはないの!
趣味っていうか、見るのが好きなだけで
今はまだ勉強中なんだ。
ここに来て、好きになったから』
「そうなんや。
ここは空気も澄んどるし、家で見るのとは
全く違うように見えるもんなあ。
同じもん見てるはずやのにね」
『そうなの。それがすごいなって』
梓ちゃんは一呼吸置いてからあのね、と話し出した。
こういう話し方をするときは
彼女にとって大事な話をする時。
『私ね、今すごく楽しいの。
マネージャーとして皆と過ごす日々は
キラキラしてて、毎日が大切で。
…だけど、いつかは終わりが来る。
先輩達はいなくなって、皆と、寿三郎とも会えなくなって
元の生活に戻ったとき、きっとすごく寂しくて悲しくて…』
そう話す彼女の横顔はいつもより大人びて見える。
『だけど、皆バラバラになっても
星を見上げたら、皆同じものを見ることができる。
違う場所にいても、空は繋がってるって
思えるなら寂しくないよねって思って
気がついたら、星を眺めるようになったの』
あ、でも海外に行っちゃったら同じ時間じゃないから
星空は難しいね〜と梓ちゃんは笑って見せたけど
寂しさが残るような顔をしている。
「…なあ、梓ちゃん。
お互い地元に帰って寂しくなってしもたら
時間合わせて一緒に星空眺めよ」
『電話とかしながら?』
「おん。また見え方違ってオモロイやろね」
『そうだね、離れてるからこそできることだね。
ふふっ…楽しそう』
「それでも、もっと寂しくなってしもたら
俺、梓ちゃんに会いに行く。
ほんで一緒に、今日みたいに傍におる」
梓ちゃんは目を大きく開いて驚いている。
付き合ってもないのに
ちょっと気持ち悪いこと言うてしもたかも、と
内心ヒヤリとしたけど
梓ちゃんは嬉しそうに何度も頷いた。
『嬉しい…。じゃあ、寿三郎が寂しくてたまらなくなったら
私が会いに行くから』
「ええね。約束でっせ!」
『うん!約束!』
星を一緒に眺めている間に気がついた自分の気持ち。
合宿が終わってしまっても
また君の笑顔が見たくて
また会いたくて
一緒に過ごしたいと本当に思った。
流れ星は見えへんけど
星空に、彼女と一緒にいられますようにって
こっそり願ったのだった。
(そういえば、どうして屋上に来たの?)
(えっと、それは…梓ちゃん探してたんよお。
いつも夜おらへんから、どこ行ったんやろって気になって)
(そうだったんだ。言ってくれれば良かったのに)
(…先輩らが、誰かと…彼氏と
逢引してるんとちゃう?って言わはるから聞きにくくて)
(彼氏?いないよ、そんなの〜)
(そ、そうなんやね!)
(あ、でも今は逢引中だね!)
(うはは、ホンマや!逢引中や!
…その、たまには俺もお邪魔してもええやろか?)
(もちろん!逢引しようね!)
(それ絶対逢引って言いたいだけやんけ)
今日こそは、と思い
こっそりと後を付けていたにも関わらず
見失ってしまった梓ちゃんの姿。
夜、彼女が姿を消すことに気がついたのはつい最近。
夕食の時間まではいるのに
その後の消息が全くわからない。
ご飯食べてすぐお風呂のときもあるみたいやけど
大体は、ご飯食べて、どっか行って
お風呂行って、部屋に戻る。
このパターンが多い。(ストーカーとちゃいまっせ)
皆とゲームせぇへん?って誘った時に
やんわり断わられてから
梓ちゃんがいつもどこかへ
行ってることに気がついた。
本人に直接聞こうとも思うたんやけど
聞く勇気がなくて
こうやって後をつける日々……
まぁ、こっちのほうが色々あかん気もするけど。
「毛利先輩、何か探しているんですか?」
「お!幸村、ちょうどええとこに。
梓ちゃん探してるんやけど見ぃひんかった?」
「梓さんでしたらすれ違いましたよ」
「え!ホンマに!?あっち行ってみるわ!おーきに!」
幸村がすれ違ったっていう方向へ向かうも
梓ちゃんの姿はなく手がかりも
これ以上は掴めそうにない。
“誰かと逢引してたりしてな”
先輩らに聞いてみた時に言われた冗談が頭を過る。
梓ちゃんとは同い年やから
仲は良えほうやと思うてる。
せやから、もし誰かそういう人がおるなら気になるし
ちょっとだけ、ショックやったりもする。
これだけ探しても会えへんってことは
避けられてるってことも…
と、あれこれ考えながら
なんとなく、窓から空を眺めてみた。
気晴らしに、星でも眺めてみよかな。
向かったのは、屋上。
学校生活で屋上って憧れてたんやけど
危ないから立ち入られへんようになってて
ちょっと残念やったんよなあ。
ここはフェンスも厳重だからか
誰でも入れるようになってて有り難い。
ガチャっと、ドアを開けて外に出ると
どこかで、かたん、と小さな音がした。
屋上には誰もおらへんけど
物音のした方向へと向かうと
ちょっと高い位置に貯水タンクがあり
その下に足場のようなものがあった。
あ、もしかして。
「梓ちゃん!こんなとこにおったんやね!」
『わっ!な、なんだ、寿三郎か……良かったぁ…』
足場に足を掛けてひょいっと除くと
何やら身構えた梓ちゃんがいた。
どうやら人の気配を感じ取っていたようやった。
「梓ちゃんこないなところで何してるん?」
『ん?星見てたの』
「星?」
『そう。そんなことより寿三郎、早く登ってきて。
他の人に見つかっちゃう』
はい、と差し出された手に
男やからこんなとこすぐ登れるんやけど
と思いつつ、あえて彼女のちっこい手を掴む。
ちょっとした気遣いが嬉しい。
「他の人に見つかったらアカンの?」
『人にもよるけど…
流石にここに登ってたら危ないって怒られそうじゃない?』
「せやね…足場崩れたら梓ちゃん降りられへんし」
『えへへ』
「えへへやないで。褒めてへん!」
ペシッと叩くふりをすると
やられた〜と言って彼女は倒れ込む。
同い年だからのこのやり取りに頬が緩むのを感じる。
と、そのまま梓ちゃんは仰向けになって
俺に向かってちょいちょい、と手招きした。
『寿三郎、こっちで寝転んで。一緒に星見ようよ』
いつもより近い距離に少し緊張しつつ
言われたように隣に寝転んで夜空を見上げた。
「おぉ……むっちゃ綺麗や…」
『でしょ。
ここから見たほうがなんの灯りも邪魔しなくて
一番綺麗に見えるの。すごいよね』
「梓ちゃん、星好きやったんやね」
のほほんとしている彼女の趣味としては
少し意外性があった。
『あ、でも詳しくはないの!
趣味っていうか、見るのが好きなだけで
今はまだ勉強中なんだ。
ここに来て、好きになったから』
「そうなんや。
ここは空気も澄んどるし、家で見るのとは
全く違うように見えるもんなあ。
同じもん見てるはずやのにね」
『そうなの。それがすごいなって』
梓ちゃんは一呼吸置いてからあのね、と話し出した。
こういう話し方をするときは
彼女にとって大事な話をする時。
『私ね、今すごく楽しいの。
マネージャーとして皆と過ごす日々は
キラキラしてて、毎日が大切で。
…だけど、いつかは終わりが来る。
先輩達はいなくなって、皆と、寿三郎とも会えなくなって
元の生活に戻ったとき、きっとすごく寂しくて悲しくて…』
そう話す彼女の横顔はいつもより大人びて見える。
『だけど、皆バラバラになっても
星を見上げたら、皆同じものを見ることができる。
違う場所にいても、空は繋がってるって
思えるなら寂しくないよねって思って
気がついたら、星を眺めるようになったの』
あ、でも海外に行っちゃったら同じ時間じゃないから
星空は難しいね〜と梓ちゃんは笑って見せたけど
寂しさが残るような顔をしている。
「…なあ、梓ちゃん。
お互い地元に帰って寂しくなってしもたら
時間合わせて一緒に星空眺めよ」
『電話とかしながら?』
「おん。また見え方違ってオモロイやろね」
『そうだね、離れてるからこそできることだね。
ふふっ…楽しそう』
「それでも、もっと寂しくなってしもたら
俺、梓ちゃんに会いに行く。
ほんで一緒に、今日みたいに傍におる」
梓ちゃんは目を大きく開いて驚いている。
付き合ってもないのに
ちょっと気持ち悪いこと言うてしもたかも、と
内心ヒヤリとしたけど
梓ちゃんは嬉しそうに何度も頷いた。
『嬉しい…。じゃあ、寿三郎が寂しくてたまらなくなったら
私が会いに行くから』
「ええね。約束でっせ!」
『うん!約束!』
星を一緒に眺めている間に気がついた自分の気持ち。
合宿が終わってしまっても
また君の笑顔が見たくて
また会いたくて
一緒に過ごしたいと本当に思った。
流れ星は見えへんけど
星空に、彼女と一緒にいられますようにって
こっそり願ったのだった。
(そういえば、どうして屋上に来たの?)
(えっと、それは…梓ちゃん探してたんよお。
いつも夜おらへんから、どこ行ったんやろって気になって)
(そうだったんだ。言ってくれれば良かったのに)
(…先輩らが、誰かと…彼氏と
逢引してるんとちゃう?って言わはるから聞きにくくて)
(彼氏?いないよ、そんなの〜)
(そ、そうなんやね!)
(あ、でも今は逢引中だね!)
(うはは、ホンマや!逢引中や!
…その、たまには俺もお邪魔してもええやろか?)
(もちろん!逢引しようね!)
(それ絶対逢引って言いたいだけやんけ)