桜色
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『買うものは、こんなものかな?』
「せやね。あ、春乃さん場所の下見しといたほうが
ええんとちゃいまっか?」
『そうだね、そうしようか』
この前まで大寒波だの
観測史上初の大雪だの、真冬一色だったのに
急に暖かくなって小春日和が続く毎日となった。
こうも暖かい日が続けば、一気に春の訪れがやってきて
菜の花の見頃は一瞬にして過ぎ去り
今度は桜の時期になる。
そんな時に
「花見でもしようや☆」と
Genius10で一番のノリの良い男種ヶ島くんの提案で
お花見をすることになったのだけど
当の本人は企画はすれど
実際買い出しに行くのは
マネージャーである私と最年少の毛利くん。
あり得ないことではあるが
平等院くんと買い出しに行くより
楽しめるから良いんだけど。
「にしても
あの平等院さんがよくOKしてくれはりましたね」
『うん。同じこと思ってた。
まあ皆で海に行こうとか言うよりかは好きなんだろうね』
「確かにビーチバレーとかしはる姿は想像つかへんですね…」
『というより硬派なイメージだから
想像したくはないかもしれない』
ふたりで少し想像して、同時に吹き出す。
毛利くんといるときは
こうやって何気ない会話が楽しめるから
すごく居心地が良い。
マネージャーのくせに、未だに
ちょっと圧のある平等院くんや鬼くん
無口でクールな越知くんや徳川くん
ノリの良すぎる種ヶ島くんや
処刑の話が多い遠野くんと話すのは
けっこう緊張してしまって素で話すことができない。
キラキラした話題の多い君島くんも
演技なのか素なのかわからない入江くんも
掴みどころのない越前くんもそうか。
あれ?そう考えたら
身近で話せるのは毛利くんだけかもしれない。
それはそれで、マネージャーとしていかがなものか。
「おぉ〜。ホンマ明日には満開になりそうやね」
毛利くんの声に我に返り、顔を上げると
8割くらいの桜が咲いていた。
『わぁ、本当!綺麗だね!』
お花見なんて、人生初だけど
ここは合宿所の敷地内だから
人混みに邪魔されることもなく桜を楽しめる。
タイミングも良いし明日が楽しみだ。
「お、春乃さん、あっち行ってみません?」
『ん?あっち?』
毛利くんに連れられて
もう少し奥の方に歩いていくと
少しだけ色の濃いめの桜がそこには一本あって
その木だけは満開になっていた。
「この木だけ、種類ちゃうんですね」
『確か、色が濃ゆい桜は寒緋桜って言って
他の桜より早めに開花するものなんだけど…』
「ん?満開でっせ?」
『もっともっと、早く咲くの。
4月には散ってることが多いくらい』
「日当たりのせいですやろか」
毛利くんの言う通り
その一本だけは岩陰に立っているせいか咲遅れて
今頃満開になっているようだった。
ポツンと木陰に一本。
仲間外れで、馴染めていないような
なんだか寂しくなる光景に勝手に自分を重ねてしまった。
「どないしはりました?
さっきから、少し元気ないですやん」
『え……』
「春乃さんのことなら、わかりまっせ」
『…私さ、未だに皆と話すの緊張してうまく話せないんだ。
それで自分から勝手に仲間外れだって
疎外感感じることもあって…。
あの桜が私みたいだって思って、自分を重ねちゃったの』
こんなことを聞かされて
きっと、困ってるだろうなと思っていると
毛利くんは優しく微笑んだ。
「俺もあの桜、春乃さんみたいやなって思ってました」
『そ、そう…』
「あ、俺が言いたいんは
仲間外れとかそういうんとちゃいまっせ。
俺にはあの桜が
陰ながら支えてくれとるように見えたんです。
春乃さん、話すのが苦手でも
皆のこといつも見守ってくれとるやないですか」
卑屈になっていた私の心が
すっと、優しい言葉に解きほぐされていく。
心やさしい毛利くんらしい見方で
彼の物事の捉え方や見解は
人を前向きに、優しい気持ちにさせる。
「それに、見て下さい。
花びらが舞ったら、混ざり合って綺麗でっせ。
少しくらい離れてても、みーんな一緒ですやん」
毛利くんに言われて周りを見ると
彼の言葉通り
薄いピンクの花びらと
寒緋桜の花びらが一緒に舞って、私の頬を撫でていった。
『毛利くん、ありがとう』
「えへへ。ちょっとクサイ台詞言ってもうた」
そう言って笑う毛利くんの髪には
桜の花びらがついていて
取ってしまうのはもったいない気がした。
舞い散る花びらと
春の暖かな日差しと
毛利くんの笑顔を
私はずっと、眺めていたいと思ったのだった。
(お帰りさーん…って、抜け駆けはアカンやろ〜)
(え?抜け駆けって?)
(ふたりとも、頭に桜の花びらがついてるよ)
(証拠残ってるし)
(あ、いや、これは、そのっ…!)
(俺が春乃さんとふたりで見たかったら
誘ったわけで…って、あ。しもた…!)
(えっ?)
(いや!!そのっ!ちゃうんです…!
いや、ホンマのことやけど…そのっ!)
(おやおや、微笑ましいですなぁ)
「せやね。あ、春乃さん場所の下見しといたほうが
ええんとちゃいまっか?」
『そうだね、そうしようか』
この前まで大寒波だの
観測史上初の大雪だの、真冬一色だったのに
急に暖かくなって小春日和が続く毎日となった。
こうも暖かい日が続けば、一気に春の訪れがやってきて
菜の花の見頃は一瞬にして過ぎ去り
今度は桜の時期になる。
そんな時に
「花見でもしようや☆」と
Genius10で一番のノリの良い男種ヶ島くんの提案で
お花見をすることになったのだけど
当の本人は企画はすれど
実際買い出しに行くのは
マネージャーである私と最年少の毛利くん。
あり得ないことではあるが
平等院くんと買い出しに行くより
楽しめるから良いんだけど。
「にしても
あの平等院さんがよくOKしてくれはりましたね」
『うん。同じこと思ってた。
まあ皆で海に行こうとか言うよりかは好きなんだろうね』
「確かにビーチバレーとかしはる姿は想像つかへんですね…」
『というより硬派なイメージだから
想像したくはないかもしれない』
ふたりで少し想像して、同時に吹き出す。
毛利くんといるときは
こうやって何気ない会話が楽しめるから
すごく居心地が良い。
マネージャーのくせに、未だに
ちょっと圧のある平等院くんや鬼くん
無口でクールな越知くんや徳川くん
ノリの良すぎる種ヶ島くんや
処刑の話が多い遠野くんと話すのは
けっこう緊張してしまって素で話すことができない。
キラキラした話題の多い君島くんも
演技なのか素なのかわからない入江くんも
掴みどころのない越前くんもそうか。
あれ?そう考えたら
身近で話せるのは毛利くんだけかもしれない。
それはそれで、マネージャーとしていかがなものか。
「おぉ〜。ホンマ明日には満開になりそうやね」
毛利くんの声に我に返り、顔を上げると
8割くらいの桜が咲いていた。
『わぁ、本当!綺麗だね!』
お花見なんて、人生初だけど
ここは合宿所の敷地内だから
人混みに邪魔されることもなく桜を楽しめる。
タイミングも良いし明日が楽しみだ。
「お、春乃さん、あっち行ってみません?」
『ん?あっち?』
毛利くんに連れられて
もう少し奥の方に歩いていくと
少しだけ色の濃いめの桜がそこには一本あって
その木だけは満開になっていた。
「この木だけ、種類ちゃうんですね」
『確か、色が濃ゆい桜は寒緋桜って言って
他の桜より早めに開花するものなんだけど…』
「ん?満開でっせ?」
『もっともっと、早く咲くの。
4月には散ってることが多いくらい』
「日当たりのせいですやろか」
毛利くんの言う通り
その一本だけは岩陰に立っているせいか咲遅れて
今頃満開になっているようだった。
ポツンと木陰に一本。
仲間外れで、馴染めていないような
なんだか寂しくなる光景に勝手に自分を重ねてしまった。
「どないしはりました?
さっきから、少し元気ないですやん」
『え……』
「春乃さんのことなら、わかりまっせ」
『…私さ、未だに皆と話すの緊張してうまく話せないんだ。
それで自分から勝手に仲間外れだって
疎外感感じることもあって…。
あの桜が私みたいだって思って、自分を重ねちゃったの』
こんなことを聞かされて
きっと、困ってるだろうなと思っていると
毛利くんは優しく微笑んだ。
「俺もあの桜、春乃さんみたいやなって思ってました」
『そ、そう…』
「あ、俺が言いたいんは
仲間外れとかそういうんとちゃいまっせ。
俺にはあの桜が
陰ながら支えてくれとるように見えたんです。
春乃さん、話すのが苦手でも
皆のこといつも見守ってくれとるやないですか」
卑屈になっていた私の心が
すっと、優しい言葉に解きほぐされていく。
心やさしい毛利くんらしい見方で
彼の物事の捉え方や見解は
人を前向きに、優しい気持ちにさせる。
「それに、見て下さい。
花びらが舞ったら、混ざり合って綺麗でっせ。
少しくらい離れてても、みーんな一緒ですやん」
毛利くんに言われて周りを見ると
彼の言葉通り
薄いピンクの花びらと
寒緋桜の花びらが一緒に舞って、私の頬を撫でていった。
『毛利くん、ありがとう』
「えへへ。ちょっとクサイ台詞言ってもうた」
そう言って笑う毛利くんの髪には
桜の花びらがついていて
取ってしまうのはもったいない気がした。
舞い散る花びらと
春の暖かな日差しと
毛利くんの笑顔を
私はずっと、眺めていたいと思ったのだった。
(お帰りさーん…って、抜け駆けはアカンやろ〜)
(え?抜け駆けって?)
(ふたりとも、頭に桜の花びらがついてるよ)
(証拠残ってるし)
(あ、いや、これは、そのっ…!)
(俺が春乃さんとふたりで見たかったら
誘ったわけで…って、あ。しもた…!)
(えっ?)
(いや!!そのっ!ちゃうんです…!
いや、ホンマのことやけど…そのっ!)
(おやおや、微笑ましいですなぁ)