パンデミック
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『39℃……きっつー…』
某ウイルスが流行って4年。
最初の頃は外出自粛やらソーシャルディスタンスやら
色んな縛りがあったものの
今となってはそれらももう、なくなってきた。
感染した人を責めていた時もあったけど
「かかった?なら仕方ないね」
という風潮に変化してきたお陰で
随分と生活しやすくなったものだ。
マスクも着用しなくなったし
遊びにだって行くし
日常が戻ってきたからこそ、油断していた。
「美幸ちゃん、具合はどうやろか?」
『じゅ、寿三郎…近寄らないほうが…』
「同棲してるのに感染らんほうが無理な話でっせ」
私は感染した。
きっとこの前友人とライブに行った時だろう。
私一人なら、かかっても何も問題はなかったのだけど
去年から、私は彼氏である寿三郎と同棲を始めていた。
2LDKで広さはあるけど
1室は二人の寝室だし、トイレとお風呂は1つだし
彼の言う通り
同居での感染対策は難しい。
「ご飯食べられます?」
『ん~~、ゼリーなら』
「せやったら今から買い出し行ってきますね」
『うん、ごめんね…ありがとう』
高熱のせいなのか涙腺も弱り、涙が目尻に溜まる。
寿三郎は私の頭をぽんぽんと撫でて
寂しくないようにと
抱き枕にしているぬいぐるみを枕元に置いて出ていった。
しばらくすると
冷凍うどんやらゼリー、ヨーグルト、パン
栄養ドリンクなど
簡単に栄養を摂れそうなものを中心に買ってきてくれた。
「ゼリー食べて解熱剤飲みましょね」
『うん…それにしてもいっぱい買ってきたね』
「俺も動かれへんようになるかもしれんから」
確かにそりゃそうか。
ふたりとも感染してしまったら家から
出られないのだから買い出しにも行けない。
寿三郎の先を読んだ行動を『えらいね~』と褒めると
「えへへ」と素直に喜んでくれて癒される。
みかんゼリーを食べたあと
寿三郎に身体を起こすのを手伝ってもらって
解熱剤を飲む。
今度は食べてえらいね、と私が褒められる番で
くすぐったいけど
心がほわほわして嬉しくなった。
「眠れますやろか?」
『うん…たぶん』
「しんどいですよね?」
『うん…』
予想以上にしんどい。
熱のせいもあるけど、食欲はないし咳もでるし
何より身体が鉛のようにダルくて何もしたくない。
寿三郎にくっついたら駄目なのに
しがみつきたくて仕方がない。
だけどなんとか自分を律して、私は彼に背を向けて
無理やり目を閉じることにした。
モゾッと、隣で動く気配がして目を覚ます。
辺りは薄っすら明るくなってきているから
もうすぐ6時くらいだろうか。
『寿三郎、どうしたの?』
隣で眠る寿三郎がいつの間にかいなくなってて
キッチンに立っていた。
這うようにして近づくと
買い出しのときに買ってきていたのか
家で検査できるキットを取り出していた。
「アカン。かかってもーた」
『えっ!?熱は!?』
「38℃〜」
『大変!』
ベッドに連れ戻そうとするも
私もまだ熱がある状態だったので
ふたりしてフラフラしながらベッドに戻る。
「うはー。しんどいやんけ〜
美幸ちゃんこないにしんどい思いしてたんやね。
って、今もかあ」
『ううん。私はもうピークは過ぎたと思うから…』
「あぁ〜。かかってもーたなあ…」
項垂れた寿三郎を見て
感染してしまったことへの罪悪感が私を襲う。
『ごめんね…』
「なんで謝るん?」
『きつい思いさせて…かかりたくなかったよね』
そう告げると寿三郎は私を引き寄せて抱きしめた。
「かかりたくなかったんは、看病できへんから。
美幸ちゃんがしんどい時
俺があれこれ世話しやるんが嬉しかったんよぉ」
『寿三郎…』
「でもしんどいのも一緒やねぇ。
美幸ちゃんの気持ちがわかるから
これはこれでよかったやんけ」
『よくはないけど…!
でも、そう言ってくれてありがとう』
くっついた寿三郎の身体は熱くて
だけど私の身体も熱くて
熱もあって、身体はダルいけど
すぐ傍にあなたがいてくれるなら大丈夫。
たっぷり休んで元気になったら
一緒にスタンプラリーがしたいな。
そう言えば来週から近くの商店街であるって
チラシが貼ってあったっけ。
目を開けても、目を閉じても
そこには寿三郎がいてくれる。
思わず大好き、と呟いたら私を抱きしめる腕に
ぎゅっと、力がこもったのだった。
(今って5日間休まなアカンのですよね?)
(そうね。うわ〜仕事溜まるわ…)
(せやけどずぅっと一緒に過ごせるん嬉しいです。
しかも合法的にダラダラできるなんて)
(違うわよ、これは療養よ!
ダラダラで回復しなきゃいけないの)
(えへへ〜贅沢やねぇ。ゴホゴホッ)
(あ、だいじょう…ゴホゴホッ)
(ちゃんと治しましょね)
(そ、そうだね)
某ウイルスが流行って4年。
最初の頃は外出自粛やらソーシャルディスタンスやら
色んな縛りがあったものの
今となってはそれらももう、なくなってきた。
感染した人を責めていた時もあったけど
「かかった?なら仕方ないね」
という風潮に変化してきたお陰で
随分と生活しやすくなったものだ。
マスクも着用しなくなったし
遊びにだって行くし
日常が戻ってきたからこそ、油断していた。
「美幸ちゃん、具合はどうやろか?」
『じゅ、寿三郎…近寄らないほうが…』
「同棲してるのに感染らんほうが無理な話でっせ」
私は感染した。
きっとこの前友人とライブに行った時だろう。
私一人なら、かかっても何も問題はなかったのだけど
去年から、私は彼氏である寿三郎と同棲を始めていた。
2LDKで広さはあるけど
1室は二人の寝室だし、トイレとお風呂は1つだし
彼の言う通り
同居での感染対策は難しい。
「ご飯食べられます?」
『ん~~、ゼリーなら』
「せやったら今から買い出し行ってきますね」
『うん、ごめんね…ありがとう』
高熱のせいなのか涙腺も弱り、涙が目尻に溜まる。
寿三郎は私の頭をぽんぽんと撫でて
寂しくないようにと
抱き枕にしているぬいぐるみを枕元に置いて出ていった。
しばらくすると
冷凍うどんやらゼリー、ヨーグルト、パン
栄養ドリンクなど
簡単に栄養を摂れそうなものを中心に買ってきてくれた。
「ゼリー食べて解熱剤飲みましょね」
『うん…それにしてもいっぱい買ってきたね』
「俺も動かれへんようになるかもしれんから」
確かにそりゃそうか。
ふたりとも感染してしまったら家から
出られないのだから買い出しにも行けない。
寿三郎の先を読んだ行動を『えらいね~』と褒めると
「えへへ」と素直に喜んでくれて癒される。
みかんゼリーを食べたあと
寿三郎に身体を起こすのを手伝ってもらって
解熱剤を飲む。
今度は食べてえらいね、と私が褒められる番で
くすぐったいけど
心がほわほわして嬉しくなった。
「眠れますやろか?」
『うん…たぶん』
「しんどいですよね?」
『うん…』
予想以上にしんどい。
熱のせいもあるけど、食欲はないし咳もでるし
何より身体が鉛のようにダルくて何もしたくない。
寿三郎にくっついたら駄目なのに
しがみつきたくて仕方がない。
だけどなんとか自分を律して、私は彼に背を向けて
無理やり目を閉じることにした。
モゾッと、隣で動く気配がして目を覚ます。
辺りは薄っすら明るくなってきているから
もうすぐ6時くらいだろうか。
『寿三郎、どうしたの?』
隣で眠る寿三郎がいつの間にかいなくなってて
キッチンに立っていた。
這うようにして近づくと
買い出しのときに買ってきていたのか
家で検査できるキットを取り出していた。
「アカン。かかってもーた」
『えっ!?熱は!?』
「38℃〜」
『大変!』
ベッドに連れ戻そうとするも
私もまだ熱がある状態だったので
ふたりしてフラフラしながらベッドに戻る。
「うはー。しんどいやんけ〜
美幸ちゃんこないにしんどい思いしてたんやね。
って、今もかあ」
『ううん。私はもうピークは過ぎたと思うから…』
「あぁ〜。かかってもーたなあ…」
項垂れた寿三郎を見て
感染してしまったことへの罪悪感が私を襲う。
『ごめんね…』
「なんで謝るん?」
『きつい思いさせて…かかりたくなかったよね』
そう告げると寿三郎は私を引き寄せて抱きしめた。
「かかりたくなかったんは、看病できへんから。
美幸ちゃんがしんどい時
俺があれこれ世話しやるんが嬉しかったんよぉ」
『寿三郎…』
「でもしんどいのも一緒やねぇ。
美幸ちゃんの気持ちがわかるから
これはこれでよかったやんけ」
『よくはないけど…!
でも、そう言ってくれてありがとう』
くっついた寿三郎の身体は熱くて
だけど私の身体も熱くて
熱もあって、身体はダルいけど
すぐ傍にあなたがいてくれるなら大丈夫。
たっぷり休んで元気になったら
一緒にスタンプラリーがしたいな。
そう言えば来週から近くの商店街であるって
チラシが貼ってあったっけ。
目を開けても、目を閉じても
そこには寿三郎がいてくれる。
思わず大好き、と呟いたら私を抱きしめる腕に
ぎゅっと、力がこもったのだった。
(今って5日間休まなアカンのですよね?)
(そうね。うわ〜仕事溜まるわ…)
(せやけどずぅっと一緒に過ごせるん嬉しいです。
しかも合法的にダラダラできるなんて)
(違うわよ、これは療養よ!
ダラダラで回復しなきゃいけないの)
(えへへ〜贅沢やねぇ。ゴホゴホッ)
(あ、だいじょう…ゴホゴホッ)
(ちゃんと治しましょね)
(そ、そうだね)