191.6cm
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「うぉ!やっぱ真子さんって、でけぇっスね!」
何気なく言われた、切原くんの一言は
ズバッと、私を攻撃してくる。
彼に他意はないし、悪意もない。
ただ素直な感想。
それでも、気にしているコンプレックスだからこそ
彼の言葉は鋭利な刃物のように抉ってくるのだ。
身長、172cm。
この身長の高さが、私のコンプレックス。
少し底のあるスニーカーを履いている今は
174cmくらいになる。
身長だけでなく、どちらかというと
顔つきも可愛らしいというよりかは
ハッキリとした顔をしているので
怖がられることもしばしば。
切原くん、不二くん、丸井くんよりも大きいし
スニーカー状態だと
あの跡部くんと幸村くんと1cmしか違わない。
可愛げ、ないよなあ、私。
『はぁ……縮みたい』
夕食を終えて自室へ戻る途中、ふと漏れたため息と独り言。
縮みたいけど、なんとまだ数ミリずつ伸びているし
173cmにはなるのかなー。やだなー。
「ため息なんてつきんさって、どないしたんです?」
『あ、寿三郎……』
振り替えると、頭の後ろに手を組んで
ニコニコと笑っている寿三郎がいた。
『ううん、なんでもないよ』
「なんでもないにしては、おっきなため息でしたけど」
可愛い笑顔を振りまく彼は、191cm。
大きいのに、可愛らしいのは何故だろう。
やっぱり笑顔か。愛嬌か。
「そないに見つめられたら照れますやん。
ホンマにどないしたん?」
『……実は……』
話ながら外にでて、心地よい夜風にあたる。
私のとりとめのない話を、時折相づちを打ちながら
寿三郎は聞いてくれた。
目的もなく歩いて
誰もいないテニスコートの側に座り込んだ。
「いつも真子さん見てるからか
そないに大きいイメージないんやけど」
『寿三郎が大きいからだよ。
それに、高校生メンバーといたら私なんて小さく見えるし』
180cm越えが当たり前のようなメンバーで
越知くんなんて226cm。
そんな中にいれば、私は小さい。
(奏多くんのほうが小さいけど)
『皆と一緒にいたら良いんだけど、これが学校となるとね。
目立つし、色々言われるし』
「色々?」
うちの学校で、めちゃくちゃ顔の綺麗なモテる男子がいる。
爽やかで皆から好かれるタイプ。
彼に対して好きとか、恋愛感情は全くないけど
格好いいなあくらいは思ってた。
そんな彼と彼の友達が放課後の教室で
「やっぱり女子は背小さい子が可愛いよな」
「届かないのに一生懸命手伸ばしてる姿とか良いわ~」
「隣のクラスの皆川とかマジでかいよな。
自分よりでかいやつって無理。可愛げないわ」
そう話をしていた。
好きで、大きいわけじゃない。
可愛くないのも、わかってる。
でもそうハッキリと言われると、悲しかった。
同姓の友達からも「格好いい」と言われることが多くて
可愛い小物を持っていたら「意外だね」なんて言われる。
背が高いってだけで、私には可愛らしいものは似合わない。
もう少し、小さかったらこんなことも言われないし
気兼ねなく、可愛いものも身につけられたのに。
と、なんだか論点がズレてきたなと実感するも
考え出したらマイナス思考が止まらない。
「身長なんかどうでもええやんけ。
そのモテる奴って、ホンマにモテよるん?
心の狭い奴やん。全然かっこよぉないわ」
私のマイナス思考をぶった切る勢いの
寿三郎の思わぬ毒舌に驚く。
いつも笑っているからか、こういう厳しい一言は珍しい。
『なんか、珍しいね。寿三郎がそんなこと言うの』
「だってムカつきますやん。
真子さんにそないな失礼なこと言うて傷つけて・・・
単なる僻みや。
真子さん、いちいちそんな奴の言うことなんて
気にするんはやめんせーね」
大らかで優しい寿三郎が
私の代わりに怒ってくれていることが嬉しかった。
怒る、より、悲しいという感情のほうが強かったから
胸のつっかえが取れたかのように
少しだけ、すっきりした。
『ありがとう。怒ってくれて。
寿三郎は本当に優しいね』
「真子さん限定です。
・・・あの、そのモテる奴の文句言うてもうたけど
真子さん、そいつのこと、好きなん・・・?」
探るような、心配そうな
そんな表情で聞いてくる彼の眉は八の字に下がっている。
『え?好きじゃないよ。全然。
確かに最初は格好いいなあ、とは思ったけど
そういう陰口言うのか、って幻滅したし
恋愛的な感情は一切ないよ』
「ホンマに?…ほなら…す、好きな人は?」
『好きな人もいないよ』
そっかぁ、と寿三郎は項垂れた。
『寿三郎はいるの?好きな人』
ガバッと顔を上げて、真っ赤な顔でこちらを見る。
さっきまで項垂れながら笑っていたのに
コロコロと変わる表情が面白い。
「……そやね。おるよ」
『えっ!どんな子?』
「俺より、背の低い子!」
『それ、わかんないじゃん!』
ついついツッコミを入れてしまい
お互い目が合って、笑い合う。
ふと、寿三郎の手が伸びて私の頭を撫でた。
「やっぱ、真子さんは可愛い。誰よりも可愛い。
背が高いのも、全部素敵です。
せやから、悩むことなんてあらへんよ」
『寿三郎……ふふっ、頭撫でられるのも
可愛いって言われるのもはじめて』
異性に可愛いだなんて、言われたことない。
しかも年下の男の子から言われるなんて。
「俺に名案があるんですけど」
『なに?』
「真子さんは、自分より背の高い人と
いつも一緒にいたらええんとちゃいまっか?
……例えば、俺とかどうですやろ」
『え、と……いつも大体私より背の高い人達といるけど…』
「俺だけ特別枠でってことです。……って
真子さんて、けっこうに鈍ちんなんやね」
寿三郎の言う意味がちょっとわからなかったけど
“特別枠“っていうのは、嬉しいかもしれない。
「まあええです。
これからは遠慮せんでええってわかったし
“特別枠“になれそうみたいやし
今日声掛けて、ホンマによかった。
……真子さんも、笑うてくれたし」
『うん、寿三郎、本当にありがとう。
もしまた何かあったら、話気いてくれる?』
「当たり前やん。
俺がいつでも真子さんの傍におる。
いつでも笑顔にさせたりますよ」
寿三郎は私の手をとって歩き出す。
先程よりも近い距離に少しドキドキする。
“いつも一緒にいたら“
“傍にいる“
“俺だけ特別枠“
の言葉が頭をよぎり
あれ、これってもしかして、と今さらになって気づく。
考えすぎかな、と思っていたら
寿三郎の耳は赤くなっていた。
あぁ、あなたの好きな背の低い女の子は
自分よりも20cm背が高い人を好きになりそう、と
他人事のように思いながら、寿三郎の手を強く握りしめた。
(あ、毛利先輩!真子さん見てないっスか?)
(ん?部屋に戻りはったと思うけど、どないしたん?)
(いやぁ、さっき真子さんとぶつかりそうになって
俺”真子さんってでいかっスよね”って言っちゃったんですけど
柳先輩達からその言い方は失礼だって怒られちまって)
(謝ろうと思うてるんやね)
(はい!真子さんってモデルみたいっスよね!
綺麗だし、スタイル良いし!)
(せやね。それ真子さんに言うたら喜ぶと思うわ)
(先輩ら羨ましいっスよ。いつもあんな綺麗な人といて。
そういえば彼氏とかいるんスかね?)
(・・・彼氏になる予定の人間なら、ここにおるよ。
せやからちょっかい掛けるんは、やめんせーね)
何気なく言われた、切原くんの一言は
ズバッと、私を攻撃してくる。
彼に他意はないし、悪意もない。
ただ素直な感想。
それでも、気にしているコンプレックスだからこそ
彼の言葉は鋭利な刃物のように抉ってくるのだ。
身長、172cm。
この身長の高さが、私のコンプレックス。
少し底のあるスニーカーを履いている今は
174cmくらいになる。
身長だけでなく、どちらかというと
顔つきも可愛らしいというよりかは
ハッキリとした顔をしているので
怖がられることもしばしば。
切原くん、不二くん、丸井くんよりも大きいし
スニーカー状態だと
あの跡部くんと幸村くんと1cmしか違わない。
可愛げ、ないよなあ、私。
『はぁ……縮みたい』
夕食を終えて自室へ戻る途中、ふと漏れたため息と独り言。
縮みたいけど、なんとまだ数ミリずつ伸びているし
173cmにはなるのかなー。やだなー。
「ため息なんてつきんさって、どないしたんです?」
『あ、寿三郎……』
振り替えると、頭の後ろに手を組んで
ニコニコと笑っている寿三郎がいた。
『ううん、なんでもないよ』
「なんでもないにしては、おっきなため息でしたけど」
可愛い笑顔を振りまく彼は、191cm。
大きいのに、可愛らしいのは何故だろう。
やっぱり笑顔か。愛嬌か。
「そないに見つめられたら照れますやん。
ホンマにどないしたん?」
『……実は……』
話ながら外にでて、心地よい夜風にあたる。
私のとりとめのない話を、時折相づちを打ちながら
寿三郎は聞いてくれた。
目的もなく歩いて
誰もいないテニスコートの側に座り込んだ。
「いつも真子さん見てるからか
そないに大きいイメージないんやけど」
『寿三郎が大きいからだよ。
それに、高校生メンバーといたら私なんて小さく見えるし』
180cm越えが当たり前のようなメンバーで
越知くんなんて226cm。
そんな中にいれば、私は小さい。
(奏多くんのほうが小さいけど)
『皆と一緒にいたら良いんだけど、これが学校となるとね。
目立つし、色々言われるし』
「色々?」
うちの学校で、めちゃくちゃ顔の綺麗なモテる男子がいる。
爽やかで皆から好かれるタイプ。
彼に対して好きとか、恋愛感情は全くないけど
格好いいなあくらいは思ってた。
そんな彼と彼の友達が放課後の教室で
「やっぱり女子は背小さい子が可愛いよな」
「届かないのに一生懸命手伸ばしてる姿とか良いわ~」
「隣のクラスの皆川とかマジでかいよな。
自分よりでかいやつって無理。可愛げないわ」
そう話をしていた。
好きで、大きいわけじゃない。
可愛くないのも、わかってる。
でもそうハッキリと言われると、悲しかった。
同姓の友達からも「格好いい」と言われることが多くて
可愛い小物を持っていたら「意外だね」なんて言われる。
背が高いってだけで、私には可愛らしいものは似合わない。
もう少し、小さかったらこんなことも言われないし
気兼ねなく、可愛いものも身につけられたのに。
と、なんだか論点がズレてきたなと実感するも
考え出したらマイナス思考が止まらない。
「身長なんかどうでもええやんけ。
そのモテる奴って、ホンマにモテよるん?
心の狭い奴やん。全然かっこよぉないわ」
私のマイナス思考をぶった切る勢いの
寿三郎の思わぬ毒舌に驚く。
いつも笑っているからか、こういう厳しい一言は珍しい。
『なんか、珍しいね。寿三郎がそんなこと言うの』
「だってムカつきますやん。
真子さんにそないな失礼なこと言うて傷つけて・・・
単なる僻みや。
真子さん、いちいちそんな奴の言うことなんて
気にするんはやめんせーね」
大らかで優しい寿三郎が
私の代わりに怒ってくれていることが嬉しかった。
怒る、より、悲しいという感情のほうが強かったから
胸のつっかえが取れたかのように
少しだけ、すっきりした。
『ありがとう。怒ってくれて。
寿三郎は本当に優しいね』
「真子さん限定です。
・・・あの、そのモテる奴の文句言うてもうたけど
真子さん、そいつのこと、好きなん・・・?」
探るような、心配そうな
そんな表情で聞いてくる彼の眉は八の字に下がっている。
『え?好きじゃないよ。全然。
確かに最初は格好いいなあ、とは思ったけど
そういう陰口言うのか、って幻滅したし
恋愛的な感情は一切ないよ』
「ホンマに?…ほなら…す、好きな人は?」
『好きな人もいないよ』
そっかぁ、と寿三郎は項垂れた。
『寿三郎はいるの?好きな人』
ガバッと顔を上げて、真っ赤な顔でこちらを見る。
さっきまで項垂れながら笑っていたのに
コロコロと変わる表情が面白い。
「……そやね。おるよ」
『えっ!どんな子?』
「俺より、背の低い子!」
『それ、わかんないじゃん!』
ついついツッコミを入れてしまい
お互い目が合って、笑い合う。
ふと、寿三郎の手が伸びて私の頭を撫でた。
「やっぱ、真子さんは可愛い。誰よりも可愛い。
背が高いのも、全部素敵です。
せやから、悩むことなんてあらへんよ」
『寿三郎……ふふっ、頭撫でられるのも
可愛いって言われるのもはじめて』
異性に可愛いだなんて、言われたことない。
しかも年下の男の子から言われるなんて。
「俺に名案があるんですけど」
『なに?』
「真子さんは、自分より背の高い人と
いつも一緒にいたらええんとちゃいまっか?
……例えば、俺とかどうですやろ」
『え、と……いつも大体私より背の高い人達といるけど…』
「俺だけ特別枠でってことです。……って
真子さんて、けっこうに鈍ちんなんやね」
寿三郎の言う意味がちょっとわからなかったけど
“特別枠“っていうのは、嬉しいかもしれない。
「まあええです。
これからは遠慮せんでええってわかったし
“特別枠“になれそうみたいやし
今日声掛けて、ホンマによかった。
……真子さんも、笑うてくれたし」
『うん、寿三郎、本当にありがとう。
もしまた何かあったら、話気いてくれる?』
「当たり前やん。
俺がいつでも真子さんの傍におる。
いつでも笑顔にさせたりますよ」
寿三郎は私の手をとって歩き出す。
先程よりも近い距離に少しドキドキする。
“いつも一緒にいたら“
“傍にいる“
“俺だけ特別枠“
の言葉が頭をよぎり
あれ、これってもしかして、と今さらになって気づく。
考えすぎかな、と思っていたら
寿三郎の耳は赤くなっていた。
あぁ、あなたの好きな背の低い女の子は
自分よりも20cm背が高い人を好きになりそう、と
他人事のように思いながら、寿三郎の手を強く握りしめた。
(あ、毛利先輩!真子さん見てないっスか?)
(ん?部屋に戻りはったと思うけど、どないしたん?)
(いやぁ、さっき真子さんとぶつかりそうになって
俺”真子さんってでいかっスよね”って言っちゃったんですけど
柳先輩達からその言い方は失礼だって怒られちまって)
(謝ろうと思うてるんやね)
(はい!真子さんってモデルみたいっスよね!
綺麗だし、スタイル良いし!)
(せやね。それ真子さんに言うたら喜ぶと思うわ)
(先輩ら羨ましいっスよ。いつもあんな綺麗な人といて。
そういえば彼氏とかいるんスかね?)
(・・・彼氏になる予定の人間なら、ここにおるよ。
せやからちょっかい掛けるんは、やめんせーね)