小春日和
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『よし、こんなもんかな』
私は目の前のお弁当箱を見つめてうんうんと頷く。
我ながらよくできた。
2m級の男の子達とピクニックに行くのだから
お弁当にしてはかなり大きめのサイズで
作るのはけっこう大変だった。
だけど美味しいと喜んでくれる彼の顔を想像したら
苦ではなく、寧ろ楽しくて仕方がない。
「風花ちゃん!準備できたんけ?」
調理場にひょこっと現れたの寿三郎くん。
『うん!出来たけどストップ!
お弁当は着いてからのお楽しみなの!』
「えぇ〜。ちょこーっとだけ、アカン?」
『ア·カ·ン』
ちぇーっと、唇を尖らせつつ
なんだかんだ見ないようにしてくれるところが
けっこう律儀だなと思う。
包み終わるのをちゃんと待っていた彼には
後で多めにおかずをあげよう、なんて思いながら
いそいそとお弁当を持つ。
「風花ちゃん、お弁当持ちまっせ。
3人分の量入っとるけ重たいやろ?」
『ありがとう!』
ここでマネージャーとして働いていると
けっこういろんな人が荷物を持つと言ってくれたり
手伝ってくれたりするけど
寿三郎くんは誰よりも笑顔でこういうことを
サラッとしてくれるから嬉しい。
『越知先輩はあとで合流するの?』
「おん。用事終わってから来るんやて」
きっかけは、寿三郎くんが見つけたという
大きな木が一本生えた綺麗な丘を
私が見に行きたいと言ったことから始まった。
どうせだったら天気の良い日に行こう。
それだったらお弁当を持っていこう。
じゃあピクニックしよう、そんな流れになった。
合宿所から歩いて20分程の所にあると聞いていたので
けっこう歩くなあと思っていたのだけど
ふたりで合宿のことや学校のことなど
色々と話していたらあっという間に着いた。
『わー!見晴らしが良くて綺麗な場合だね!』
「えへへ、せやろ。風が気持ちええんよぉ」
寿三郎くんの少し長めの前髪が
そよそよと風に吹かれているのを見ていたら
穏やかな気持ちになる。
持ってきたレジャーシートを木の下に敷いて
お弁当の準備をしていたら
越知先輩がやって来た。
「月光さん!迷わんで良かったわ~」
「さして問題ない」
越知先輩が座り、私はドキドキしながら
今朝頑張って作ったお弁当の箱を開ける。
「おぉー!!」
「これはすごいな」
大きな歓声と小さな感心の声を聞いて
本当に真逆のふたりだな、と笑っていたら
寿三郎くんがおかず一品一品を見て
すごい、すごいとはしゃいでいる。
『見た目は良いけど、問題は味だね。
それじゃあ、食べましょうか』
いただきます、と声を揃えてから口にする。
うん。卵焼きも良くできている。
唐揚げも良い感じだ。
ホッとしていたらまた寿三郎くんが
美味しい美味しいと、満面の笑みを浮かべている。
越知先輩の口にも合ったようで
相変わらずの綺麗な所作で食べてくれていて
苦手な早起きをした甲斐があったとしみじみ思う。
「うっは~!むっちゃ、美味しかったわ~!」
「ここまで作るのは大変だったろう」
『いえいえ!作るの楽しかったので』
そうは言ったものの、心地よい風と太陽のせいか
ふわぁっ、と欠伸を噛み締める。
「早起きしてきついんとちゃう?」
『少しだけね。
でもこの絶好のお昼寝日和には
寝不足じゃなくても睡魔に負けちゃいそう』
「ほんなら、少し横になりんせーね!
俺よくここで昼寝するんよぉ」
さすがに越知先輩もいるし、と思って
先輩を見るとコクコクと頷いている。
え、どうしたらいいんだろう、と戸惑っていたら
寿三郎くんに手を引かれて座らされた。
そして私の横で気持ち良さそうに横になり
ポンポン、と寝るように促される。
けっこう距離近いけど良いのかな、と思いつつ
寿三郎くんの隣に並んで寝転ぶと
ふわっと草木の良い香りがした。
大きな木を下から見ると
木葉の間から優しい木漏れ日が射し込み
優しい、穏やかな空間を感じる。
『気持ちいい…』
「静かで、あったかくて、最高の特等席やろ?」
『うん。そうだね』
隣を見ると、寝転んだ寿三郎くんが
優しく微笑んでくれている。
なんて、贅沢な一時なんだろう。
すぅっ、と目を閉じたら
ほのかに手に温もりを感じだ。
寿三郎くんが手を握ってくれたのだろうか
そんなことを考えながら、私はしばらく
幸福な微睡みの中に身を預けたのだった。
(越知先輩…寝ちゃってすみません…)
(ほんの15分くらいだ。気にするな)
(でも…)
(毛利はまだ寝ている)
(ふふっ…そうですね)
(今日俺は一緒に来て良かったのか?
お前たちの邪魔だったのでは…)
(い、いえ!そんなことないです!
寿三郎くんとふたりきりは、その…恥ずかしいので…)
(…次はふたりで行くと良い。毛利もそのほうが喜ぶ)
(そ、そうですかね…)
(元々毛利はふたりで行く気で)
(ちょっ、月光さん!それ以上言うたらアカンです!)
私は目の前のお弁当箱を見つめてうんうんと頷く。
我ながらよくできた。
2m級の男の子達とピクニックに行くのだから
お弁当にしてはかなり大きめのサイズで
作るのはけっこう大変だった。
だけど美味しいと喜んでくれる彼の顔を想像したら
苦ではなく、寧ろ楽しくて仕方がない。
「風花ちゃん!準備できたんけ?」
調理場にひょこっと現れたの寿三郎くん。
『うん!出来たけどストップ!
お弁当は着いてからのお楽しみなの!』
「えぇ〜。ちょこーっとだけ、アカン?」
『ア·カ·ン』
ちぇーっと、唇を尖らせつつ
なんだかんだ見ないようにしてくれるところが
けっこう律儀だなと思う。
包み終わるのをちゃんと待っていた彼には
後で多めにおかずをあげよう、なんて思いながら
いそいそとお弁当を持つ。
「風花ちゃん、お弁当持ちまっせ。
3人分の量入っとるけ重たいやろ?」
『ありがとう!』
ここでマネージャーとして働いていると
けっこういろんな人が荷物を持つと言ってくれたり
手伝ってくれたりするけど
寿三郎くんは誰よりも笑顔でこういうことを
サラッとしてくれるから嬉しい。
『越知先輩はあとで合流するの?』
「おん。用事終わってから来るんやて」
きっかけは、寿三郎くんが見つけたという
大きな木が一本生えた綺麗な丘を
私が見に行きたいと言ったことから始まった。
どうせだったら天気の良い日に行こう。
それだったらお弁当を持っていこう。
じゃあピクニックしよう、そんな流れになった。
合宿所から歩いて20分程の所にあると聞いていたので
けっこう歩くなあと思っていたのだけど
ふたりで合宿のことや学校のことなど
色々と話していたらあっという間に着いた。
『わー!見晴らしが良くて綺麗な場合だね!』
「えへへ、せやろ。風が気持ちええんよぉ」
寿三郎くんの少し長めの前髪が
そよそよと風に吹かれているのを見ていたら
穏やかな気持ちになる。
持ってきたレジャーシートを木の下に敷いて
お弁当の準備をしていたら
越知先輩がやって来た。
「月光さん!迷わんで良かったわ~」
「さして問題ない」
越知先輩が座り、私はドキドキしながら
今朝頑張って作ったお弁当の箱を開ける。
「おぉー!!」
「これはすごいな」
大きな歓声と小さな感心の声を聞いて
本当に真逆のふたりだな、と笑っていたら
寿三郎くんがおかず一品一品を見て
すごい、すごいとはしゃいでいる。
『見た目は良いけど、問題は味だね。
それじゃあ、食べましょうか』
いただきます、と声を揃えてから口にする。
うん。卵焼きも良くできている。
唐揚げも良い感じだ。
ホッとしていたらまた寿三郎くんが
美味しい美味しいと、満面の笑みを浮かべている。
越知先輩の口にも合ったようで
相変わらずの綺麗な所作で食べてくれていて
苦手な早起きをした甲斐があったとしみじみ思う。
「うっは~!むっちゃ、美味しかったわ~!」
「ここまで作るのは大変だったろう」
『いえいえ!作るの楽しかったので』
そうは言ったものの、心地よい風と太陽のせいか
ふわぁっ、と欠伸を噛み締める。
「早起きしてきついんとちゃう?」
『少しだけね。
でもこの絶好のお昼寝日和には
寝不足じゃなくても睡魔に負けちゃいそう』
「ほんなら、少し横になりんせーね!
俺よくここで昼寝するんよぉ」
さすがに越知先輩もいるし、と思って
先輩を見るとコクコクと頷いている。
え、どうしたらいいんだろう、と戸惑っていたら
寿三郎くんに手を引かれて座らされた。
そして私の横で気持ち良さそうに横になり
ポンポン、と寝るように促される。
けっこう距離近いけど良いのかな、と思いつつ
寿三郎くんの隣に並んで寝転ぶと
ふわっと草木の良い香りがした。
大きな木を下から見ると
木葉の間から優しい木漏れ日が射し込み
優しい、穏やかな空間を感じる。
『気持ちいい…』
「静かで、あったかくて、最高の特等席やろ?」
『うん。そうだね』
隣を見ると、寝転んだ寿三郎くんが
優しく微笑んでくれている。
なんて、贅沢な一時なんだろう。
すぅっ、と目を閉じたら
ほのかに手に温もりを感じだ。
寿三郎くんが手を握ってくれたのだろうか
そんなことを考えながら、私はしばらく
幸福な微睡みの中に身を預けたのだった。
(越知先輩…寝ちゃってすみません…)
(ほんの15分くらいだ。気にするな)
(でも…)
(毛利はまだ寝ている)
(ふふっ…そうですね)
(今日俺は一緒に来て良かったのか?
お前たちの邪魔だったのでは…)
(い、いえ!そんなことないです!
寿三郎くんとふたりきりは、その…恥ずかしいので…)
(…次はふたりで行くと良い。毛利もそのほうが喜ぶ)
(そ、そうですかね…)
(元々毛利はふたりで行く気で)
(ちょっ、月光さん!それ以上言うたらアカンです!)