可愛がってほしいんです
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今日の練習は新しいフォーメーション
試してみたんやけど、バッチリうまくいった。
月光さんのマッハには遠く及ばへんけど
サーブも良かったし
最近自主練も筋トレも自分なりに頑張ってる。
月光さんからも“調子が良いようだな”って言われたし
ちょっと、顔がにやけてまう。
練習を終えてコートの隅を見れば
密かに想いを寄せてる葵さんの姿があって
“最近頑張ってるね”って認めて欲しくて
彼女の傍に駆け寄った。
「姉ちゃん!さっきのサーブどないやった?」
『良い角度で打ててたね』
「葵さん、この前のアドバイス通り
ちゃんと練習したんスよ!」
『うん。見てたよ!動き良かったね』
俺が葵さんの傍に駆け寄るより速く
遠山と切原が、彼女の傍に集まっては
今のプレーの感想を求めてる。
面倒見の良い彼女は中学生達にも人気で
皆の良いお姉さんって感じや。
おしゃべりしたかったんやけど
流石に後輩達二人に混ざって
あの場で同じことは言えへんなぁ。
そう思ってくるりと背を向けて俺はコートから離れた。
オモロない。
次第にそんな感情が湧き上がってきんさった。
葵さんは俺ら高校生のマネージャーやのに
いつもは俺を可愛がってくれはるのに。
なんであいつらばっかり構うんけ。
さっきまでのテンションは下がりに下がってもうて
純粋に葵さんに懐いとるあいつらに対して
ヤキモチ妬いとる自分が嫌になる。
『寿三郎…!』
聞きたかった声がして驚いて振り向いたら
息を切らした葵さんがいた。
「走ってきんさって、どないしたんです?」
“ちょっと待って”と片手を挙げて
息を整える仕草までもが可愛らしい。
『私に何か話があったんじゃないの?
さっき私のとこに来ようとしてたよね』
「え…それでわざわざ追いかけて来たんでっか?」
『うん』
あぁ、もう。この人のこういうとこが好き。
よく周り見て気遣ってくれはるところ。
せやけど、せっかく追いかけて来てくれはったけど
俺が言いたいことは、改めて話すようなもんでもない。
なんて言おうか悩んでたら、葵さんが口を開いた。
『さっきの練習、フォーメーションも良かったし
サーブも安定して良いの打てるようになったね』
「えっ!見てたんです?」
『うん。最近自主練もこなしてるみたいだし
レムじゃない時の動きもバランスが良くなってる。
筋トレとかも頑張ってるんじゃない?』
「…!やってます!月光さんと一緒にやなくて
自分なりに考えてやってるんでっせ!」
俺の欲しかった言葉がすらすら出て来て
思わず食い気味に答えてしもたけど
葵さんは優しく微笑む。
『努力はできてもそれをちゃんと
成果として表すことって難しいことだよ。
それが出来てる寿三郎は本当にすごいよ』
言葉が胸に染み渡る。
さっきまでの良くない自分の感情が
この人の言葉で、オモロイくらいに簡単に絆されていく。
こうなったら、全力で甘えてみてもええやろか。
「…葵さん
遠山たちのことばっか褒めてはるから
俺のことなんて、見てくれてへんかと思ってたわ」
ちらっと、様子を見ながら言うてみたら
葵さんは楽しそうに笑う。
『だからあの時、回れ右して立ち去っていったのね。
ちゃんと見てるよ。だって……』
「だって?」
『なんでもない。
それよりお腹空いちゃった。
休憩だよね?何か食べに行こ!』
だって、の続きが気になったけど
それよりふいに繋がれた右手のことで
頭がいっぱいになってしもうて
ニヤける顔を取り繕いながら、ただ彼女に身を任せた。
(あー!姉ちゃんたちどこ行くん!)
(お腹空いちゃったからカフェにでも行こうかなって)
(俺も行っていいっスか!)
(寿三郎、いいかな?)
(げっ……え、ええですよ)
(毛利せんぱーい、今のゲッてなんスか〜)
(いや、なんもあらへんよ…)
(兄ちゃんら手ぇ繋いどる!ワイも入れてや!)
(ちょっ、なんで間に入って……!)
(葵さんと手ぇ繋ぐとかズルいっスよ!)
(ええ感じやったのに……!)
試してみたんやけど、バッチリうまくいった。
月光さんのマッハには遠く及ばへんけど
サーブも良かったし
最近自主練も筋トレも自分なりに頑張ってる。
月光さんからも“調子が良いようだな”って言われたし
ちょっと、顔がにやけてまう。
練習を終えてコートの隅を見れば
密かに想いを寄せてる葵さんの姿があって
“最近頑張ってるね”って認めて欲しくて
彼女の傍に駆け寄った。
「姉ちゃん!さっきのサーブどないやった?」
『良い角度で打ててたね』
「葵さん、この前のアドバイス通り
ちゃんと練習したんスよ!」
『うん。見てたよ!動き良かったね』
俺が葵さんの傍に駆け寄るより速く
遠山と切原が、彼女の傍に集まっては
今のプレーの感想を求めてる。
面倒見の良い彼女は中学生達にも人気で
皆の良いお姉さんって感じや。
おしゃべりしたかったんやけど
流石に後輩達二人に混ざって
あの場で同じことは言えへんなぁ。
そう思ってくるりと背を向けて俺はコートから離れた。
オモロない。
次第にそんな感情が湧き上がってきんさった。
葵さんは俺ら高校生のマネージャーやのに
いつもは俺を可愛がってくれはるのに。
なんであいつらばっかり構うんけ。
さっきまでのテンションは下がりに下がってもうて
純粋に葵さんに懐いとるあいつらに対して
ヤキモチ妬いとる自分が嫌になる。
『寿三郎…!』
聞きたかった声がして驚いて振り向いたら
息を切らした葵さんがいた。
「走ってきんさって、どないしたんです?」
“ちょっと待って”と片手を挙げて
息を整える仕草までもが可愛らしい。
『私に何か話があったんじゃないの?
さっき私のとこに来ようとしてたよね』
「え…それでわざわざ追いかけて来たんでっか?」
『うん』
あぁ、もう。この人のこういうとこが好き。
よく周り見て気遣ってくれはるところ。
せやけど、せっかく追いかけて来てくれはったけど
俺が言いたいことは、改めて話すようなもんでもない。
なんて言おうか悩んでたら、葵さんが口を開いた。
『さっきの練習、フォーメーションも良かったし
サーブも安定して良いの打てるようになったね』
「えっ!見てたんです?」
『うん。最近自主練もこなしてるみたいだし
レムじゃない時の動きもバランスが良くなってる。
筋トレとかも頑張ってるんじゃない?』
「…!やってます!月光さんと一緒にやなくて
自分なりに考えてやってるんでっせ!」
俺の欲しかった言葉がすらすら出て来て
思わず食い気味に答えてしもたけど
葵さんは優しく微笑む。
『努力はできてもそれをちゃんと
成果として表すことって難しいことだよ。
それが出来てる寿三郎は本当にすごいよ』
言葉が胸に染み渡る。
さっきまでの良くない自分の感情が
この人の言葉で、オモロイくらいに簡単に絆されていく。
こうなったら、全力で甘えてみてもええやろか。
「…葵さん
遠山たちのことばっか褒めてはるから
俺のことなんて、見てくれてへんかと思ってたわ」
ちらっと、様子を見ながら言うてみたら
葵さんは楽しそうに笑う。
『だからあの時、回れ右して立ち去っていったのね。
ちゃんと見てるよ。だって……』
「だって?」
『なんでもない。
それよりお腹空いちゃった。
休憩だよね?何か食べに行こ!』
だって、の続きが気になったけど
それよりふいに繋がれた右手のことで
頭がいっぱいになってしもうて
ニヤける顔を取り繕いながら、ただ彼女に身を任せた。
(あー!姉ちゃんたちどこ行くん!)
(お腹空いちゃったからカフェにでも行こうかなって)
(俺も行っていいっスか!)
(寿三郎、いいかな?)
(げっ……え、ええですよ)
(毛利せんぱーい、今のゲッてなんスか〜)
(いや、なんもあらへんよ…)
(兄ちゃんら手ぇ繋いどる!ワイも入れてや!)
(ちょっ、なんで間に入って……!)
(葵さんと手ぇ繋ぐとかズルいっスよ!)
(ええ感じやったのに……!)