好きって言って
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「佳奈美さん、俺んこと、好き?」
マネージャーとしての仕事でもある
洗濯物を干していたときだった。
いきなりの言葉に動きが止まる。
前日が雨だったこともあり
けっこうな量のタオルとシーツに
一人で格闘していたら
通りかかった寿三郎が一緒に手伝うと言ってくれて
二人で洗濯物を干すことになった。
そんな時に、唐突に
何の前触れもなく言われた彼の一言。
『は?え?なんでいきなり…?』
彼は白いタオル達の間で
頭を下げてしょんぼり、といった表情をしている。
「佳奈美さん、あんまり言うてくれへんから…」
確かに私はあまり言葉にするタイプではないけれど
それが不安にさせたのだろうか。
だけど、そんなことで不安になるだろうかと
疑問が浮かぶ。
『誰かに、何か言われたの?』
「先輩らが、愛情表現は大事やでって…」
口調から推測するに恐らく種ヶ島あたりが
言ったのだろう。
でも、いくら言葉にしないタイプとは言えど
言われてみれば寿三郎に好きだと
言葉にしたことがあっただろうか。
彼から付き合ってほしいと告白されて
“よろしくお願いします”とは答えたけど
そういえば“好き”とは言ってない気がしてきた。
『言葉にするの、苦手だから…。
ごめんね、不安にさせて。寿三郎のこと好きだよ』
改めて言うのはすごく恥ずかしいけど
これでもかっていうくらいに
眉をハの字に下げた彼を見ていたら
言い難かった言葉もすんなり出てきた。
言ったものの、肝心の寿三郎からの返事がないので
彼を見ると大きな両手で顔を隠している。
髪から覗く耳は真っ赤だ。
「うはっ、むっちゃ嬉しいんやけど恥ずかしいやんけ…」
『ふふっ。そんなに?』
「……佳奈美さん、もーいっかい、言うてくれへん?」
私より大きいから上目遣いではないけれど
ねだるような、甘えるような視線につい顔が緩む。
『寿三郎が、好き……』
「もっかい…」
『好き……』
「佳奈美さん…!」
洗濯物をかき分けて
寿三郎はガバっと、抱きついてきた。
『ちょっと、誰かに見られたら…!』
「洗濯物のおかげで誰にも
見られへんから大丈夫でっせ」
見渡せばタオルとシーツのおかげで
周りは全く見えない。
「佳奈美さん、もっかいだけ、アカン?」
『何度も言ったでしょ。
こういうのは、たまに言うのが良いし
伝えたいときに言葉にするのが良いの』
「俺はいつでも言いたなるのに…」
またちょっぴりいじけモードになりつつある寿三郎は
私の肩にぐりぐりと頭を押し付けて
甘えたような声を出してくる。
くっ…めちゃくちゃ可愛い。
男の子なのにズルい。
仕方ないと口を開こうと思ったけど
誰も見ていないのであれば、と
少しだけ大胆なことをしてみることにした。
『寿三郎、ちょっと離れて。そして屈んで』
あからさまに離れるのが嫌だという顔をされたが
無理やり身体を離して
彼のジャージの襟元を掴んで自分の方に寄せた。
「ちょっ、引っ張るんはなしでっせ………っ!」
話途中の寿三郎にキスをする。
気づけば言葉も、行動も、私はいつも
してもらってばかりだったから
自分からキスをするのも初めてだ。
『もう言葉は良いでしょ?』
寿三郎は暫く面白いくらいに固まっていたけど
それからはしゃがみこんで
ズルいだの、可愛いだの、負けただの
色々呟いているようだった。
テニスをするときは格好いいのに
普段は可愛くて甘えたで
そんなギャップを持つ彼のほうがズルいのに。
しゃがみこんだ寿三郎の頭を撫でると
今度こそ本当に上目遣いで見つめられる。
「俺は世界一幸せもんやね」
『私も素敵な彼氏がいて、世界一の幸せ者よ』
タオルとシーツに囲まれた私達は
まるで二人だけ、切り取られた世界にいるようだった。
(二人とも、仲が良いのは良いことだけど…)
(ったく、もう少し場所を選べ)
(中学生もいますから…)
(ん?入江くん、鬼くん、徳川くんどうしたの?)
(どないしはりました?)
(丸見えなんだよ!)
(シーツに二人の影がね、それはもう、くっきりと)
((えっ!?))
(種ヶ島さんなんて、写真を撮られていましたが…)
(最悪…っていうか、3人ともごめんね…。
ほら、寿三郎も…)
(写真撮ってはったん!?後で送ってもらわんと!)
(なんでそうなるの!)
マネージャーとしての仕事でもある
洗濯物を干していたときだった。
いきなりの言葉に動きが止まる。
前日が雨だったこともあり
けっこうな量のタオルとシーツに
一人で格闘していたら
通りかかった寿三郎が一緒に手伝うと言ってくれて
二人で洗濯物を干すことになった。
そんな時に、唐突に
何の前触れもなく言われた彼の一言。
『は?え?なんでいきなり…?』
彼は白いタオル達の間で
頭を下げてしょんぼり、といった表情をしている。
「佳奈美さん、あんまり言うてくれへんから…」
確かに私はあまり言葉にするタイプではないけれど
それが不安にさせたのだろうか。
だけど、そんなことで不安になるだろうかと
疑問が浮かぶ。
『誰かに、何か言われたの?』
「先輩らが、愛情表現は大事やでって…」
口調から推測するに恐らく種ヶ島あたりが
言ったのだろう。
でも、いくら言葉にしないタイプとは言えど
言われてみれば寿三郎に好きだと
言葉にしたことがあっただろうか。
彼から付き合ってほしいと告白されて
“よろしくお願いします”とは答えたけど
そういえば“好き”とは言ってない気がしてきた。
『言葉にするの、苦手だから…。
ごめんね、不安にさせて。寿三郎のこと好きだよ』
改めて言うのはすごく恥ずかしいけど
これでもかっていうくらいに
眉をハの字に下げた彼を見ていたら
言い難かった言葉もすんなり出てきた。
言ったものの、肝心の寿三郎からの返事がないので
彼を見ると大きな両手で顔を隠している。
髪から覗く耳は真っ赤だ。
「うはっ、むっちゃ嬉しいんやけど恥ずかしいやんけ…」
『ふふっ。そんなに?』
「……佳奈美さん、もーいっかい、言うてくれへん?」
私より大きいから上目遣いではないけれど
ねだるような、甘えるような視線につい顔が緩む。
『寿三郎が、好き……』
「もっかい…」
『好き……』
「佳奈美さん…!」
洗濯物をかき分けて
寿三郎はガバっと、抱きついてきた。
『ちょっと、誰かに見られたら…!』
「洗濯物のおかげで誰にも
見られへんから大丈夫でっせ」
見渡せばタオルとシーツのおかげで
周りは全く見えない。
「佳奈美さん、もっかいだけ、アカン?」
『何度も言ったでしょ。
こういうのは、たまに言うのが良いし
伝えたいときに言葉にするのが良いの』
「俺はいつでも言いたなるのに…」
またちょっぴりいじけモードになりつつある寿三郎は
私の肩にぐりぐりと頭を押し付けて
甘えたような声を出してくる。
くっ…めちゃくちゃ可愛い。
男の子なのにズルい。
仕方ないと口を開こうと思ったけど
誰も見ていないのであれば、と
少しだけ大胆なことをしてみることにした。
『寿三郎、ちょっと離れて。そして屈んで』
あからさまに離れるのが嫌だという顔をされたが
無理やり身体を離して
彼のジャージの襟元を掴んで自分の方に寄せた。
「ちょっ、引っ張るんはなしでっせ………っ!」
話途中の寿三郎にキスをする。
気づけば言葉も、行動も、私はいつも
してもらってばかりだったから
自分からキスをするのも初めてだ。
『もう言葉は良いでしょ?』
寿三郎は暫く面白いくらいに固まっていたけど
それからはしゃがみこんで
ズルいだの、可愛いだの、負けただの
色々呟いているようだった。
テニスをするときは格好いいのに
普段は可愛くて甘えたで
そんなギャップを持つ彼のほうがズルいのに。
しゃがみこんだ寿三郎の頭を撫でると
今度こそ本当に上目遣いで見つめられる。
「俺は世界一幸せもんやね」
『私も素敵な彼氏がいて、世界一の幸せ者よ』
タオルとシーツに囲まれた私達は
まるで二人だけ、切り取られた世界にいるようだった。
(二人とも、仲が良いのは良いことだけど…)
(ったく、もう少し場所を選べ)
(中学生もいますから…)
(ん?入江くん、鬼くん、徳川くんどうしたの?)
(どないしはりました?)
(丸見えなんだよ!)
(シーツに二人の影がね、それはもう、くっきりと)
((えっ!?))
(種ヶ島さんなんて、写真を撮られていましたが…)
(最悪…っていうか、3人ともごめんね…。
ほら、寿三郎も…)
(写真撮ってはったん!?後で送ってもらわんと!)
(なんでそうなるの!)