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『あっくん、サンちゃん、ドリンク置いておくね』
『修ちゃん、竜ちゃんはこっちね』
『あれ?ツッキー、カズくん達知らない?』
この合宿のマネージャーである千夏は
天真爛漫な性格で、人見知りもしない
明るく元気なタイプの少女だ。
皆とはすぐに打ち解け、マネージャーであり
合宿所のアイドルのような存在である。
彼女はその陽気な性格によるものなのか
親しみを持ってなのか
メンバー達を独特なあだ名で呼称する。
ただ一人、毛利を除いて。
「なんでなんやろか・・・」
「何がだ?」
毛利はため息交じりに独り言を呟いたが
隣りにいた越知がそれに反応する。
「あ、いや~。
千夏さんて、先輩らのこと
あだ名で呼んではるやないですか」
「まあそうだな。少々独特ではあるが」
「・・・・俺だけ、いつまでたっても“毛利くん”なんです」
なぜか、わからない。
呼びにくいのだろうかと思ったが
あの平等院のことでさえ“鳳さん“と。
鬼のことは“十さん“と呼んでいる。
本当に、自分だけが名字でさん付けなのだ。
しゅん、と落ち込む毛利に
越知は気にするな、と言うしかなかった。
「と、毛利が落ち込んでいたが」
『やっぱり気づくよね……』
備品を倉庫へと運んでいる千夏を見つけて
越知は先程の毛利との会話を伝える。
越知と千夏は比較的仲が良い。
一見相反するタイプなのだが
落ち着いた越知と明るい毛利が
ダブルスペアでうまくいっているように
この二人もなんとなく、波長が合うのだった。
「少し、声を掛けてやってくれ」
『そう言うけど……簡単には出来ないんだもん』
千夏は越知に呼び止められて、何事かと思ったら
一番の悩みの種についての話だった。
「そこまで話にくいか?」
『そりゃそうだよ。ツッキーや他の皆とは違うんだもん』
「・・・俺としては、落ち込んでいる毛利も
悩んでいるお前も見たくはないのだが」
『頑張っては、みるけど、さ』
越知はすべて知っているので、この二人が心配だった。
自分の大切なパートナーと友人の
それぞれの悩みをどうしたら良いかわからず
千夏の頭を撫でようとした瞬間
ガシッと、腕を掴まれた。
「・・・そないに、頑張らんとええんちゃいます?」
『毛利、くん!』
毛利が、越知の手を掴んで、撫でるのを阻止していた。
その表情にいつもの笑顔はなく
どこか寂しそうな顔をしている。
「千夏さん、もうええですよ。
嫌な奴と無理に仲良うしやらんでも」
「毛利、違う」
「何がちゃいますの?
俺だけ退けもんにして、気分悪いですやん。
・・・もう、千夏さんには近づかへんよ。
嫌な思いさせて、すんません」
踵を返して去って行こうとする毛利の手を
千夏は引き止めた。
『違うんだって!あぁ、もうっ!
毛利くんが嫌とかじゃなくて……逆なの!』
「へ?逆?」
顔を真っ赤にした千夏と対象的に
毛利はきょとんとしていた。
千夏の意図が読めずにいると、意を決したのか
半ば自棄になった千夏が叫ぶ。
『好きだから、名前呼んだりできないのっ!!』
ぽかんとする毛利と
表情を変えない越知をそのままにして
千夏は去っていってしまった。
「えっ、えーっと・・・月光さん、知ってはったんです?」
「ああ。相談を受けていた」
「あああああ。やらかしてもうた・・・。
すんません、俺・・・」
「謝る相手は、俺ではない」
越知に言われて毛利はハッとし
慌てて千夏を追いかけた。
「千夏さん、部屋、入ってもええですやろか?」
どこを探しても千夏の姿はなく
やっと部屋へと駆け込んだとの目撃情報をもとに
彼女の部屋へとやってきた。
耳をすませば、小声でいいよ、聞こえてきたので
毛利はドアを開ける。
無邪気で、いつも元気な千夏が
しおらしく、居心地悪そうにベッドに腰掛けていた。
「さっきは、その・・・すんませんでした。
千夏さん、先輩らとは仲良さそうにしてはるのに
俺に対してだけよそよそしいっちゅーか
嫌われてるんやと思うて・・・」
千夏はブンブンと首を振る。
「・・・さっきの、続き、聞きたいんやけど」
『・・・な、何が?』
「好きって、後輩としての好き?
それとも男として、見てくれてはるって意味?」
毛利がじっと見つめる。
なんて答えたら良いか、千夏は迷っていた。
「……なんも言わへんのやったら
俺、都合のええように解釈してまうけど……」
『……うん。
私も都合のいいように、解釈して、いいの?
“毛利くん“って呼ばれるのが嫌って……』
「解釈せえへんでも、ちゃんと言いまっせ。
俺、千夏さんが好き。
“毛利くん“やのうて、名前で呼んでほしい」
『じゅ……寿三郎……』
「おん!どないしよ、めっちゃ嬉しいやんけ!
好きやから、名前で呼ばれへんって理由も
めちゃくちゃかわええね」
翌日、照れた顔で“寿三郎“と呼ぶ千夏の姿と
満足げな毛利の笑顔を見て
越知は安堵し、次は冷やかしから
二人を守らねば、とまた頭を悩ませたのだった。
(え~。なんやあの二人くっついてもうたんか)
(三田が毛利を好いてるのは、わかってたし)
(微笑ましいですなぁ)
(くっついた?どういう意味だあ?)
(遠野くん、あなたはもういいですから)
(種ヶ島さんは
千夏さんのことが、好きだったのですか?)
(ん?ちゃうよ☆)
(でも修さん、少し残念そうだけど)
(友達の恋愛相談に乗るうちに好きになってまうツッキー。
せやけど、可愛い後輩も彼女に思いを寄せてて…
ドキドキ☆三角関係ルート!にならへんかなと…
って、ツッキー待ってや、怒ってる?なあ?
ちょお、竜次助けて~)
(でか勘弁しろし)
『修ちゃん、竜ちゃんはこっちね』
『あれ?ツッキー、カズくん達知らない?』
この合宿のマネージャーである千夏は
天真爛漫な性格で、人見知りもしない
明るく元気なタイプの少女だ。
皆とはすぐに打ち解け、マネージャーであり
合宿所のアイドルのような存在である。
彼女はその陽気な性格によるものなのか
親しみを持ってなのか
メンバー達を独特なあだ名で呼称する。
ただ一人、毛利を除いて。
「なんでなんやろか・・・」
「何がだ?」
毛利はため息交じりに独り言を呟いたが
隣りにいた越知がそれに反応する。
「あ、いや~。
千夏さんて、先輩らのこと
あだ名で呼んではるやないですか」
「まあそうだな。少々独特ではあるが」
「・・・・俺だけ、いつまでたっても“毛利くん”なんです」
なぜか、わからない。
呼びにくいのだろうかと思ったが
あの平等院のことでさえ“鳳さん“と。
鬼のことは“十さん“と呼んでいる。
本当に、自分だけが名字でさん付けなのだ。
しゅん、と落ち込む毛利に
越知は気にするな、と言うしかなかった。
「と、毛利が落ち込んでいたが」
『やっぱり気づくよね……』
備品を倉庫へと運んでいる千夏を見つけて
越知は先程の毛利との会話を伝える。
越知と千夏は比較的仲が良い。
一見相反するタイプなのだが
落ち着いた越知と明るい毛利が
ダブルスペアでうまくいっているように
この二人もなんとなく、波長が合うのだった。
「少し、声を掛けてやってくれ」
『そう言うけど……簡単には出来ないんだもん』
千夏は越知に呼び止められて、何事かと思ったら
一番の悩みの種についての話だった。
「そこまで話にくいか?」
『そりゃそうだよ。ツッキーや他の皆とは違うんだもん』
「・・・俺としては、落ち込んでいる毛利も
悩んでいるお前も見たくはないのだが」
『頑張っては、みるけど、さ』
越知はすべて知っているので、この二人が心配だった。
自分の大切なパートナーと友人の
それぞれの悩みをどうしたら良いかわからず
千夏の頭を撫でようとした瞬間
ガシッと、腕を掴まれた。
「・・・そないに、頑張らんとええんちゃいます?」
『毛利、くん!』
毛利が、越知の手を掴んで、撫でるのを阻止していた。
その表情にいつもの笑顔はなく
どこか寂しそうな顔をしている。
「千夏さん、もうええですよ。
嫌な奴と無理に仲良うしやらんでも」
「毛利、違う」
「何がちゃいますの?
俺だけ退けもんにして、気分悪いですやん。
・・・もう、千夏さんには近づかへんよ。
嫌な思いさせて、すんません」
踵を返して去って行こうとする毛利の手を
千夏は引き止めた。
『違うんだって!あぁ、もうっ!
毛利くんが嫌とかじゃなくて……逆なの!』
「へ?逆?」
顔を真っ赤にした千夏と対象的に
毛利はきょとんとしていた。
千夏の意図が読めずにいると、意を決したのか
半ば自棄になった千夏が叫ぶ。
『好きだから、名前呼んだりできないのっ!!』
ぽかんとする毛利と
表情を変えない越知をそのままにして
千夏は去っていってしまった。
「えっ、えーっと・・・月光さん、知ってはったんです?」
「ああ。相談を受けていた」
「あああああ。やらかしてもうた・・・。
すんません、俺・・・」
「謝る相手は、俺ではない」
越知に言われて毛利はハッとし
慌てて千夏を追いかけた。
「千夏さん、部屋、入ってもええですやろか?」
どこを探しても千夏の姿はなく
やっと部屋へと駆け込んだとの目撃情報をもとに
彼女の部屋へとやってきた。
耳をすませば、小声でいいよ、聞こえてきたので
毛利はドアを開ける。
無邪気で、いつも元気な千夏が
しおらしく、居心地悪そうにベッドに腰掛けていた。
「さっきは、その・・・すんませんでした。
千夏さん、先輩らとは仲良さそうにしてはるのに
俺に対してだけよそよそしいっちゅーか
嫌われてるんやと思うて・・・」
千夏はブンブンと首を振る。
「・・・さっきの、続き、聞きたいんやけど」
『・・・な、何が?』
「好きって、後輩としての好き?
それとも男として、見てくれてはるって意味?」
毛利がじっと見つめる。
なんて答えたら良いか、千夏は迷っていた。
「……なんも言わへんのやったら
俺、都合のええように解釈してまうけど……」
『……うん。
私も都合のいいように、解釈して、いいの?
“毛利くん“って呼ばれるのが嫌って……』
「解釈せえへんでも、ちゃんと言いまっせ。
俺、千夏さんが好き。
“毛利くん“やのうて、名前で呼んでほしい」
『じゅ……寿三郎……』
「おん!どないしよ、めっちゃ嬉しいやんけ!
好きやから、名前で呼ばれへんって理由も
めちゃくちゃかわええね」
翌日、照れた顔で“寿三郎“と呼ぶ千夏の姿と
満足げな毛利の笑顔を見て
越知は安堵し、次は冷やかしから
二人を守らねば、とまた頭を悩ませたのだった。
(え~。なんやあの二人くっついてもうたんか)
(三田が毛利を好いてるのは、わかってたし)
(微笑ましいですなぁ)
(くっついた?どういう意味だあ?)
(遠野くん、あなたはもういいですから)
(種ヶ島さんは
千夏さんのことが、好きだったのですか?)
(ん?ちゃうよ☆)
(でも修さん、少し残念そうだけど)
(友達の恋愛相談に乗るうちに好きになってまうツッキー。
せやけど、可愛い後輩も彼女に思いを寄せてて…
ドキドキ☆三角関係ルート!にならへんかなと…
って、ツッキー待ってや、怒ってる?なあ?
ちょお、竜次助けて~)
(でか勘弁しろし)