電車で紡ぐ恋心
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いつも同じ時間に
電車で見かける彼女は恐らく上級生。
ピンとした背筋に、キリッとした表情。
長めのスカート丈も、ネクタイも鞄も
立ち姿までもが「優等生」って感じの人。
まるで真田と柳を混ぜたかのような雰囲気の彼女は
隙がない、そんな雰囲気を纏ってはる。
初めてその人を見たときは
えらく所作が綺麗な人やなって思うた。
つり革に掴まって外を眺めてはるときも
座って本を読んではるときも
乗り降りするときも
上品っちゅーか、丁寧っちゅーか。
見ているうちに
どないな声なんやろか。
話し方も綺麗なんやろうか。
箸の持ち方とか綺麗そうやな、とか
どうでもええことを想像してまう。
話してみたいなあ、そないなことを考えてたら
ふいに睡魔がきんさって
俺は素直に従うことにした。
体感的には10分、15分寝てたと思うんやけど
気がついたら俺は隣の人にもたれ掛かっていた。
しかも、隣の人は例の彼女。
「あっ……!お、俺っ…!」
慌てて身体を離して謝罪しようとしたら
読んでいた本を静かに閉じて
しーっと、人差し指を立て“静かに”と
ジェスチャーされた。
こんな時でも、一連の動作がやっぱり綺麗やな、と
思わず見惚れてしまう。
「あ、あの…すんません。重かったんやないですか?」
『重くなかったと言えば嘘にはなるかな』
「す、すんません…」
初めての会話で謝罪しかしてへんやんけ、と
情けなく思うてたら
隣から小さな声で、ふふっと笑い声が聞こえてきた。
『謝ってばかりね。毛利くん、だっけ?』
「え、なんで俺の名前…」
『2年の間でも有名だもの。
テニスは強いし、身長は高いし』
知らんところで名前が広まっていることに
少し気恥ずかしさを覚えたけど
この人に、俺の名前を知ってもらえてたんが嬉しい。
「2年ってことは先輩やね。
ずっと上級生やろなあとは思うてたんやけど」
『ずっと?毛利くん、私のこと知ってたんだね』
ずっと見てたなんて墓穴を掘りそうになり
慌てて乗る時間と車両が一緒やからと弁解するも
また俺の様子が可笑しかったのか
楽しそうに笑われる。
いつものキリッとした表情は
こんなふうに崩れて、優しく笑うのかと思うと
胸がじんわり、あったかくなる気がしやる。
もっと、この人と話がしたい。
『あ、もうすぐ着くね』
「話足りひんのに…」
『え?』
ポロッと出てしもた言葉を飲み込む。
アカン。はじめましてレベルやのに
けっこう気持ち悪いこと言うてしもた。
聞こえてしもたよな、とちらりと様子を窺うと
少しだけ耳元が赤くなってはった。
『…私も、もう少し話がしたいと思ってた』
「ほなら、電車降りたら学校まで一緒に行きません?
俺、先輩の名前すら知らんから
色んなこと…先輩のこと、教えてもろてもええです?」
もちろん、とはにかむ姿は可愛らしくて
俺はこの名前も知らない先輩のことを
いつの間にか好きになってたんやと気づく。
ほんで、きっとこれからもっと
この人のこと好きになる気がしやる。
人ごとのようにそう思って
これからよろしゅう頼んます、と宣言したのだった。
(毛利くんて聞き上手だね。
話すの楽しくてあっという間に着いちゃった)
(そうですやろか?
でも俺も佳純さんと話すん楽しくて
時間過ぎるの早すぎあっという間でしたわ)
(一人で歩くのと全然違うね)
(あ、あの。もし良かったらなんですけど
たまに、こうやって一緒に登校しません…?)
(私と?友達とかと一緒に行かなくて良いの?)
(佳純さんと、一緒がええんです。ダメやろか…?)
(ダメじゃないよ。ふふっ、通学が楽しみになりそう)
(俺もです!もう居眠りもしやらんから
お話しましょね!)
電車で見かける彼女は恐らく上級生。
ピンとした背筋に、キリッとした表情。
長めのスカート丈も、ネクタイも鞄も
立ち姿までもが「優等生」って感じの人。
まるで真田と柳を混ぜたかのような雰囲気の彼女は
隙がない、そんな雰囲気を纏ってはる。
初めてその人を見たときは
えらく所作が綺麗な人やなって思うた。
つり革に掴まって外を眺めてはるときも
座って本を読んではるときも
乗り降りするときも
上品っちゅーか、丁寧っちゅーか。
見ているうちに
どないな声なんやろか。
話し方も綺麗なんやろうか。
箸の持ち方とか綺麗そうやな、とか
どうでもええことを想像してまう。
話してみたいなあ、そないなことを考えてたら
ふいに睡魔がきんさって
俺は素直に従うことにした。
体感的には10分、15分寝てたと思うんやけど
気がついたら俺は隣の人にもたれ掛かっていた。
しかも、隣の人は例の彼女。
「あっ……!お、俺っ…!」
慌てて身体を離して謝罪しようとしたら
読んでいた本を静かに閉じて
しーっと、人差し指を立て“静かに”と
ジェスチャーされた。
こんな時でも、一連の動作がやっぱり綺麗やな、と
思わず見惚れてしまう。
「あ、あの…すんません。重かったんやないですか?」
『重くなかったと言えば嘘にはなるかな』
「す、すんません…」
初めての会話で謝罪しかしてへんやんけ、と
情けなく思うてたら
隣から小さな声で、ふふっと笑い声が聞こえてきた。
『謝ってばかりね。毛利くん、だっけ?』
「え、なんで俺の名前…」
『2年の間でも有名だもの。
テニスは強いし、身長は高いし』
知らんところで名前が広まっていることに
少し気恥ずかしさを覚えたけど
この人に、俺の名前を知ってもらえてたんが嬉しい。
「2年ってことは先輩やね。
ずっと上級生やろなあとは思うてたんやけど」
『ずっと?毛利くん、私のこと知ってたんだね』
ずっと見てたなんて墓穴を掘りそうになり
慌てて乗る時間と車両が一緒やからと弁解するも
また俺の様子が可笑しかったのか
楽しそうに笑われる。
いつものキリッとした表情は
こんなふうに崩れて、優しく笑うのかと思うと
胸がじんわり、あったかくなる気がしやる。
もっと、この人と話がしたい。
『あ、もうすぐ着くね』
「話足りひんのに…」
『え?』
ポロッと出てしもた言葉を飲み込む。
アカン。はじめましてレベルやのに
けっこう気持ち悪いこと言うてしもた。
聞こえてしもたよな、とちらりと様子を窺うと
少しだけ耳元が赤くなってはった。
『…私も、もう少し話がしたいと思ってた』
「ほなら、電車降りたら学校まで一緒に行きません?
俺、先輩の名前すら知らんから
色んなこと…先輩のこと、教えてもろてもええです?」
もちろん、とはにかむ姿は可愛らしくて
俺はこの名前も知らない先輩のことを
いつの間にか好きになってたんやと気づく。
ほんで、きっとこれからもっと
この人のこと好きになる気がしやる。
人ごとのようにそう思って
これからよろしゅう頼んます、と宣言したのだった。
(毛利くんて聞き上手だね。
話すの楽しくてあっという間に着いちゃった)
(そうですやろか?
でも俺も佳純さんと話すん楽しくて
時間過ぎるの早すぎあっという間でしたわ)
(一人で歩くのと全然違うね)
(あ、あの。もし良かったらなんですけど
たまに、こうやって一緒に登校しません…?)
(私と?友達とかと一緒に行かなくて良いの?)
(佳純さんと、一緒がええんです。ダメやろか…?)
(ダメじゃないよ。ふふっ、通学が楽しみになりそう)
(俺もです!もう居眠りもしやらんから
お話しましょね!)