小さい私と大きなあなた
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
“小さくて可愛い”
“子供っぽい”
“華奢でひ弱そう”
145cmの私は、そんなレッテルばかりを貼られて
学校でも、この合宿所でも
頭を撫でられたり
お菓子を渡されたり
とにかく、“女子”として扱われない。
中学生の子たちも
私が高校生2年生だと知った瞬間どよめいていたし
どこのどいつが言ったかはわからなかったけど
ロリじゃん、って言った奴もいた。
(言った奴見つけたら許さない)
ぼーっと、木陰を歩きながら
さっき散歩をしていた
千歳くんから貰った飴を見つめる。
きっとこの飴に深い意味はないのだろうけど
なんでもかんでも
頑張ってて偉いね、と子供扱いされている気がしてくる。
こんなに弱気になるなんて
情けないし惨めだなあと思っていたら
ガッ、と何かに躓き私は前のめりに倒れ込んだ。
『痛たた…って、あれ…?』
「びっくりしたわ~、陽菜さん大丈夫でっか?」
倒れた割に痛くない、と思って顔をあげると
そこは一つ年下の、大柄な後輩寿三郎がいた。
『え……?』
私が躓いた何かは、木陰で昼寝をしていた寿三郎の脚だった。
寿三郎は転けた私をがっしりと受け止めてくれて
小さな身体の私は
大きな身体の彼の上に綺麗に乗っかり
すっぽりと、抱き締められるような体勢になっていた。
しばらく唖然としていたけどハッと、我にかえる。
『ご、ごめんね…!痛かったよね!?怪我とかしてない!?』
「俺は大丈夫でっせ!
陽菜さんは怪我とかしてへんです?」
『わ、私は大丈夫…』
鍛えられた筋肉質な身体が、ジャージ越しに伝わってきて
可愛らしい顔をしていても、男の子だと実感する。
じわりと火照る頬を隠して
寿三郎の身体から降りると、改めて御礼とお詫びを告げる。
「こないなとこに寝てた俺も悪いんやけど
陽菜さんがぼーっとしやるって珍しいですやんけ。
…どないしはりました?」
様子を伺うように、ジッと見つめられる。
純粋に心配する瞳に私は一瞬悩んだけど
モヤモヤしていた胸の内を話すことにした。
背の低さがコンプレックスであること。
本当は、可愛いより綺麗だと言われたいこと。
幼く見えるけど同級生のほうが子供っぽいこと。
華奢でひ弱どころか、両手の握力は25以上あること。
それなのに、見た目で全部決めつけられて悔しいこと。
『私は、なにもできない
か弱い女の子なんかじゃないのに』
一番悔しいのは、マネージャーとしての仕事すら
ちゃんと任せてもらえないということ。
危ないから、という理由で
荷物を運ぶのさえ皆がやってくれる。
それが、とてつもなく、悔しい。
「ここは男ばっかりやから
女の子が力仕事してたら、そら助けたくはなりますやん。
怪我したら危ないって思うのも
陽菜さんの身長は関係あらへんのとちゃいまっか?」
『そうかもしれないけど…』
「それに、きっと皆陽菜さんと話したいんよ。
…素敵な女の子、やから」
スッと伸ばされた手は、頭ではなく私の頬に触れる。
『寿三郎?』
「俺は、陽菜さんのこと守りたいって思うてますけど
それは小さいからとか、か弱そうとかじゃなくて
大切で、大事な人やから。
陽菜さんだから、そう思うんです。
…陽菜さんにしか、思わへんよ」
『寿三郎、わ、私…』
告白のように聞こえてしまうのは私の思い違いか。
さっきから、心臓の音がうるさい。
どう返すのが正しいのか考えていたら
今度は唇を、指で抑えられた。
「せやから、俺のことも年下の後輩扱いは
もうやめんせーね」
そこにはいつもの可愛い顔はなくて
ちょっとだけ大人っぽい笑みを浮かべた寿三郎がいた。
“可愛い後輩”というレッテルが剥がれた寿三郎は
一人の魅力的な異性として
私の心に住み着いたのだった。
(寿三郎と私、身長差すごいよね)
(46cmくらい差ありますね)
(私と並ぶと、目立っちゃうね…)
(そないなこと、気にならへんけど)
(私は気になるよ)
(身長差やなくて、陽菜さん美人やから
そっちの意味で目立ってまいそうで嫌ですわ)
(それを言うなら寿三郎だって
かっこいいし、スタイル良いし、モデルみたいで
目立っちゃうよ)
(めっちゃ褒めてきよる…。えへへ、アカン。にやけてまう)
(性格だって明るくて優しいし素敵な人だって思うよ)
(………薄々感じてたんですけど
陽菜さんって少し天然ですよね)
(あ、うん。この辺はちょっとうねってるかも)
(アカン。この人むっちゃ天然や)
“子供っぽい”
“華奢でひ弱そう”
145cmの私は、そんなレッテルばかりを貼られて
学校でも、この合宿所でも
頭を撫でられたり
お菓子を渡されたり
とにかく、“女子”として扱われない。
中学生の子たちも
私が高校生2年生だと知った瞬間どよめいていたし
どこのどいつが言ったかはわからなかったけど
ロリじゃん、って言った奴もいた。
(言った奴見つけたら許さない)
ぼーっと、木陰を歩きながら
さっき散歩をしていた
千歳くんから貰った飴を見つめる。
きっとこの飴に深い意味はないのだろうけど
なんでもかんでも
頑張ってて偉いね、と子供扱いされている気がしてくる。
こんなに弱気になるなんて
情けないし惨めだなあと思っていたら
ガッ、と何かに躓き私は前のめりに倒れ込んだ。
『痛たた…って、あれ…?』
「びっくりしたわ~、陽菜さん大丈夫でっか?」
倒れた割に痛くない、と思って顔をあげると
そこは一つ年下の、大柄な後輩寿三郎がいた。
『え……?』
私が躓いた何かは、木陰で昼寝をしていた寿三郎の脚だった。
寿三郎は転けた私をがっしりと受け止めてくれて
小さな身体の私は
大きな身体の彼の上に綺麗に乗っかり
すっぽりと、抱き締められるような体勢になっていた。
しばらく唖然としていたけどハッと、我にかえる。
『ご、ごめんね…!痛かったよね!?怪我とかしてない!?』
「俺は大丈夫でっせ!
陽菜さんは怪我とかしてへんです?」
『わ、私は大丈夫…』
鍛えられた筋肉質な身体が、ジャージ越しに伝わってきて
可愛らしい顔をしていても、男の子だと実感する。
じわりと火照る頬を隠して
寿三郎の身体から降りると、改めて御礼とお詫びを告げる。
「こないなとこに寝てた俺も悪いんやけど
陽菜さんがぼーっとしやるって珍しいですやんけ。
…どないしはりました?」
様子を伺うように、ジッと見つめられる。
純粋に心配する瞳に私は一瞬悩んだけど
モヤモヤしていた胸の内を話すことにした。
背の低さがコンプレックスであること。
本当は、可愛いより綺麗だと言われたいこと。
幼く見えるけど同級生のほうが子供っぽいこと。
華奢でひ弱どころか、両手の握力は25以上あること。
それなのに、見た目で全部決めつけられて悔しいこと。
『私は、なにもできない
か弱い女の子なんかじゃないのに』
一番悔しいのは、マネージャーとしての仕事すら
ちゃんと任せてもらえないということ。
危ないから、という理由で
荷物を運ぶのさえ皆がやってくれる。
それが、とてつもなく、悔しい。
「ここは男ばっかりやから
女の子が力仕事してたら、そら助けたくはなりますやん。
怪我したら危ないって思うのも
陽菜さんの身長は関係あらへんのとちゃいまっか?」
『そうかもしれないけど…』
「それに、きっと皆陽菜さんと話したいんよ。
…素敵な女の子、やから」
スッと伸ばされた手は、頭ではなく私の頬に触れる。
『寿三郎?』
「俺は、陽菜さんのこと守りたいって思うてますけど
それは小さいからとか、か弱そうとかじゃなくて
大切で、大事な人やから。
陽菜さんだから、そう思うんです。
…陽菜さんにしか、思わへんよ」
『寿三郎、わ、私…』
告白のように聞こえてしまうのは私の思い違いか。
さっきから、心臓の音がうるさい。
どう返すのが正しいのか考えていたら
今度は唇を、指で抑えられた。
「せやから、俺のことも年下の後輩扱いは
もうやめんせーね」
そこにはいつもの可愛い顔はなくて
ちょっとだけ大人っぽい笑みを浮かべた寿三郎がいた。
“可愛い後輩”というレッテルが剥がれた寿三郎は
一人の魅力的な異性として
私の心に住み着いたのだった。
(寿三郎と私、身長差すごいよね)
(46cmくらい差ありますね)
(私と並ぶと、目立っちゃうね…)
(そないなこと、気にならへんけど)
(私は気になるよ)
(身長差やなくて、陽菜さん美人やから
そっちの意味で目立ってまいそうで嫌ですわ)
(それを言うなら寿三郎だって
かっこいいし、スタイル良いし、モデルみたいで
目立っちゃうよ)
(めっちゃ褒めてきよる…。えへへ、アカン。にやけてまう)
(性格だって明るくて優しいし素敵な人だって思うよ)
(………薄々感じてたんですけど
陽菜さんって少し天然ですよね)
(あ、うん。この辺はちょっとうねってるかも)
(アカン。この人むっちゃ天然や)