ダイエット
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『う、嘘でしょ……』
合宿所のお風呂場に設置してある体重計を目の前に
私はこれでもかっていうくらいに落ち込んだ。
女の子ならば、誰もが経験したことのあるこの絶望。
太った。
しかも3㎏も太ったのだ。
このU-17のマネージャーとして
毎日皆のために動き回って
身体も動かしていたし、汗だってかいていたから
太ることはないと思っていた。
どちらかというと太りやすい家系でもないし
私自身、ちょっとだけ体型には自信があった。
それなのに、なぜこんなことに。
落ち込んだままの気持ちを引きずりお風呂場から出ると
両手にお菓子を抱えた毛利くんとバッタリ出くわした。
「あ!文香さんええとこにおんさった!!
今から先輩らとボードゲーム大会するんですけど
一緒にしやりません?」
満面の笑みで
スナック菓子やらポッキーやらを抱えている彼は
楽しみで仕方がない、という気持ちが全面に出ている。
私も、と返事をしかけてハッと気がついた。
太った理由は、きっとこれだ。
『あ…今日はちょっと疲れちゃったから遠慮しとくよ。
誘ってくれてありがとう』
「残念です…ほなら今日はゆっくり休んでください。
またやりましょね!」
毛利くんの背中を見送り
ここ最近の生活を振り替える。
先程のように、お菓子を持ち寄って
皆でゲームをしたり映画を観たりすることもあれば
丸井くんがケーキを作ってきたり
観月くんがお茶会を開いてくれたり
新商品のお菓子が出てたといって
皆が私に色々と持ってきてくれる。
そう。太った理由はこの日頃のお菓子や間食のせいだ。
皆とボードゲームしたかったけど
今から私はダイエットを決意したのだ。
3㎏戻す。絶対に。
とはいえ、まずは何からはじめたら良いのか。
とりあえず風呂上がりのそのままの足で
図書室へと向かった。
やみくもに食事制限をしたりしても意味はない。
ここにはトレーニングの本や
身体に関する本がたくさんあるのだから
まずは少し下調べをしてからやったほうが効果的だ。
「野島先輩、珍しいですね」
『あ、乾くんに柳くん』
そこには中学生のデータマンコンビがいた。
できれば誰も居ないことを願っていたのだけど
この二人なら、口は固そうだし
色々とアドバイスをくれそうだから
私はダイエットのことを話すことにした。
「痩せる必要などないように見えますが…」
『そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど
3㎏って、けっこうショックなのよ…』
「でしたら身体を引き締めるメニューを
俺達で考えましょうか?」
『え!いいの!?二人が協力してくれるなら頼もしいよ』
そのあと、二人から身体造りの基礎を簡単に教えてもらい
明日にはダイエットメニューを組んで
レクチャーしてくれることになった。
年下だけど、二人とも頼りになる。
翌朝、とりあえず昨日教えてもらったように
パンなどの炭水化物を控えた朝食にしてみた。
果物や野菜だけだと正直物足りないが仕方がない。
バイキング形式のレストランはなかなか誘惑が多く
朝食で既に物足りなさを感じているのだから
夕食は過酷な試練になりそうだ。
「あれ?文香さん食欲ないん」
ひょこっと私の席に毛利くんが現れた。
『ちょっとね…さっぱりしたものが食べたくて』
「夏バテですやろか?
せめて、うどんとかもうちょいエネルギーになるもん
食べた方がええんとちゃいます?」
『いや、これでいいの。大丈夫だから』
炭水化物は控えなきゃいけないのだ。
私が断言したからか毛利くんは
一瞬面食らったような顔をしたけど
越知くんに呼ばれて立ち去って行った。
それからは、柳くんと乾くんの考えてくれた
ダイエットメニューに沿って生活をしてみた。
彼らの作ったダイエットメニューは
続けるのに無理のないレベルのもので
2週間続けた今、見るからに身体が引き締まった気がする。
あの二人にはお礼をしなくちゃと思って
合宿内で二人の姿を探していたら
いきなりパシッと腕を握られた。
『え…?毛利くん?』
見ると少しだけ寂しげな表情をした毛利くんが
私の腕を掴んでいた。
「…文香さん、柳たちのとこに行くん?」
『あ…うん、そうだけど…』
なぜ私が二人を探しているとわかったのだろうか。
「最近、仲ええですね」
仲が良いとは少し意味合いが異なる気がするけど
毛利くんが何を言いたいのかわからず
私はそうかな、と曖昧な返事をした。
「……俺には最近、何も話してくれへんのに
柳たちばっかズルいですやん」
毛利くんの言葉に固まる。
そう言えば、ダイエットのことばかりを優先していて
以前のように皆でゲームをしたり映画を観たり
集まることすら断っていた。
付き合いが悪いと思われても仕方がない行動だった。
『あのね、実は…ちょっと太っちゃったから
皆に内緒でダイエットしてたの。
柳くんと乾くんはトレーナーというか
アドバイザーというかでお世話になってて』
「ダイエット…?文香さん太ってへんのに!
…せやったら、最近誘っても断りはってたんは
ダイエットが理由?」
『うん。せっかく誘ってくれてたのにごめんね』
そこまで話すと毛利くんは
よかった~とため息交じりに呟いてしゃがみこんでしまった。
優しい彼のことだから
私が何かに悩んでいるとでも思ったのだろうか。
いつも見上げる毛利くんの頭が
私の視線よりも下にあるから
私はつい、彼の頭に手を伸ばしてその柔らかな髪を撫でる。
「…なんで撫でますん」
『優しくて、可愛い後輩だなって思って』
「めっちゃ年下扱いしやる… 」
『だって2歳下だもん』
むぅっとした顔で上目遣いしてくる顔は
男の子なのに可愛くてあざとい。
そう思っていたら
すくっと立ち上がって、元の視線へと戻る。
残念、と言いかけたところで
今度は毛利くんの手が伸びて
私の手を、指をからめとられた。
「俺は文香さんのこと、先輩じゃなくて
可愛くて素敵な女の人って思うてますのに。
ダイエットせぇへんでも、文香さんは綺麗でっせ」
毛利くんの口から出る甘い台詞に
胸がどくん、と高鳴る。
そこには先程までの可愛さはなく
一人の異性として、男性としての一面に
どうしていいかわからずにいた。
「ダイエットするなら、今度からは俺がサポートしやるから
もう柳達に言うんはやめんせーね」
指先の熱と、どんどん熱くなる身体をどうすることもできず
ただただ、私は頷くだけだった。
(毛利くん!どうしよう、痩せてない…!寧ろ増えてる!)
(え?でも柳達のダイエットメニュー効果あったって…)
(それが、なぜか体重が増えてて…
こんなに引き締まったのに…)
(文香さん、多分それ筋肉ついたんとちゃいまっか?)
(筋肉?)
(柳達の作ったメニュー、多分痩せるんやなくて
引き締めるほう内容やと思うんやけど…)
(体重を減らしたかったのに…)
(どないな文香さんでも素敵でっせ。
…太ってしもても、俺…文香さんのこと…)
(太るのだけは、絶対いや!)
(あ、聞いてへんやんけ)
合宿所のお風呂場に設置してある体重計を目の前に
私はこれでもかっていうくらいに落ち込んだ。
女の子ならば、誰もが経験したことのあるこの絶望。
太った。
しかも3㎏も太ったのだ。
このU-17のマネージャーとして
毎日皆のために動き回って
身体も動かしていたし、汗だってかいていたから
太ることはないと思っていた。
どちらかというと太りやすい家系でもないし
私自身、ちょっとだけ体型には自信があった。
それなのに、なぜこんなことに。
落ち込んだままの気持ちを引きずりお風呂場から出ると
両手にお菓子を抱えた毛利くんとバッタリ出くわした。
「あ!文香さんええとこにおんさった!!
今から先輩らとボードゲーム大会するんですけど
一緒にしやりません?」
満面の笑みで
スナック菓子やらポッキーやらを抱えている彼は
楽しみで仕方がない、という気持ちが全面に出ている。
私も、と返事をしかけてハッと気がついた。
太った理由は、きっとこれだ。
『あ…今日はちょっと疲れちゃったから遠慮しとくよ。
誘ってくれてありがとう』
「残念です…ほなら今日はゆっくり休んでください。
またやりましょね!」
毛利くんの背中を見送り
ここ最近の生活を振り替える。
先程のように、お菓子を持ち寄って
皆でゲームをしたり映画を観たりすることもあれば
丸井くんがケーキを作ってきたり
観月くんがお茶会を開いてくれたり
新商品のお菓子が出てたといって
皆が私に色々と持ってきてくれる。
そう。太った理由はこの日頃のお菓子や間食のせいだ。
皆とボードゲームしたかったけど
今から私はダイエットを決意したのだ。
3㎏戻す。絶対に。
とはいえ、まずは何からはじめたら良いのか。
とりあえず風呂上がりのそのままの足で
図書室へと向かった。
やみくもに食事制限をしたりしても意味はない。
ここにはトレーニングの本や
身体に関する本がたくさんあるのだから
まずは少し下調べをしてからやったほうが効果的だ。
「野島先輩、珍しいですね」
『あ、乾くんに柳くん』
そこには中学生のデータマンコンビがいた。
できれば誰も居ないことを願っていたのだけど
この二人なら、口は固そうだし
色々とアドバイスをくれそうだから
私はダイエットのことを話すことにした。
「痩せる必要などないように見えますが…」
『そう言ってもらえるのは嬉しいんだけど
3㎏って、けっこうショックなのよ…』
「でしたら身体を引き締めるメニューを
俺達で考えましょうか?」
『え!いいの!?二人が協力してくれるなら頼もしいよ』
そのあと、二人から身体造りの基礎を簡単に教えてもらい
明日にはダイエットメニューを組んで
レクチャーしてくれることになった。
年下だけど、二人とも頼りになる。
翌朝、とりあえず昨日教えてもらったように
パンなどの炭水化物を控えた朝食にしてみた。
果物や野菜だけだと正直物足りないが仕方がない。
バイキング形式のレストランはなかなか誘惑が多く
朝食で既に物足りなさを感じているのだから
夕食は過酷な試練になりそうだ。
「あれ?文香さん食欲ないん」
ひょこっと私の席に毛利くんが現れた。
『ちょっとね…さっぱりしたものが食べたくて』
「夏バテですやろか?
せめて、うどんとかもうちょいエネルギーになるもん
食べた方がええんとちゃいます?」
『いや、これでいいの。大丈夫だから』
炭水化物は控えなきゃいけないのだ。
私が断言したからか毛利くんは
一瞬面食らったような顔をしたけど
越知くんに呼ばれて立ち去って行った。
それからは、柳くんと乾くんの考えてくれた
ダイエットメニューに沿って生活をしてみた。
彼らの作ったダイエットメニューは
続けるのに無理のないレベルのもので
2週間続けた今、見るからに身体が引き締まった気がする。
あの二人にはお礼をしなくちゃと思って
合宿内で二人の姿を探していたら
いきなりパシッと腕を握られた。
『え…?毛利くん?』
見ると少しだけ寂しげな表情をした毛利くんが
私の腕を掴んでいた。
「…文香さん、柳たちのとこに行くん?」
『あ…うん、そうだけど…』
なぜ私が二人を探しているとわかったのだろうか。
「最近、仲ええですね」
仲が良いとは少し意味合いが異なる気がするけど
毛利くんが何を言いたいのかわからず
私はそうかな、と曖昧な返事をした。
「……俺には最近、何も話してくれへんのに
柳たちばっかズルいですやん」
毛利くんの言葉に固まる。
そう言えば、ダイエットのことばかりを優先していて
以前のように皆でゲームをしたり映画を観たり
集まることすら断っていた。
付き合いが悪いと思われても仕方がない行動だった。
『あのね、実は…ちょっと太っちゃったから
皆に内緒でダイエットしてたの。
柳くんと乾くんはトレーナーというか
アドバイザーというかでお世話になってて』
「ダイエット…?文香さん太ってへんのに!
…せやったら、最近誘っても断りはってたんは
ダイエットが理由?」
『うん。せっかく誘ってくれてたのにごめんね』
そこまで話すと毛利くんは
よかった~とため息交じりに呟いてしゃがみこんでしまった。
優しい彼のことだから
私が何かに悩んでいるとでも思ったのだろうか。
いつも見上げる毛利くんの頭が
私の視線よりも下にあるから
私はつい、彼の頭に手を伸ばしてその柔らかな髪を撫でる。
「…なんで撫でますん」
『優しくて、可愛い後輩だなって思って』
「めっちゃ年下扱いしやる… 」
『だって2歳下だもん』
むぅっとした顔で上目遣いしてくる顔は
男の子なのに可愛くてあざとい。
そう思っていたら
すくっと立ち上がって、元の視線へと戻る。
残念、と言いかけたところで
今度は毛利くんの手が伸びて
私の手を、指をからめとられた。
「俺は文香さんのこと、先輩じゃなくて
可愛くて素敵な女の人って思うてますのに。
ダイエットせぇへんでも、文香さんは綺麗でっせ」
毛利くんの口から出る甘い台詞に
胸がどくん、と高鳴る。
そこには先程までの可愛さはなく
一人の異性として、男性としての一面に
どうしていいかわからずにいた。
「ダイエットするなら、今度からは俺がサポートしやるから
もう柳達に言うんはやめんせーね」
指先の熱と、どんどん熱くなる身体をどうすることもできず
ただただ、私は頷くだけだった。
(毛利くん!どうしよう、痩せてない…!寧ろ増えてる!)
(え?でも柳達のダイエットメニュー効果あったって…)
(それが、なぜか体重が増えてて…
こんなに引き締まったのに…)
(文香さん、多分それ筋肉ついたんとちゃいまっか?)
(筋肉?)
(柳達の作ったメニュー、多分痩せるんやなくて
引き締めるほう内容やと思うんやけど…)
(体重を減らしたかったのに…)
(どないな文香さんでも素敵でっせ。
…太ってしもても、俺…文香さんのこと…)
(太るのだけは、絶対いや!)
(あ、聞いてへんやんけ)