毛利くんと私(中編作品)
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バレンタインから1ヶ月。
今度は私がそわそわする番。
寿三郎くんは当日までのお楽しみと言いつつ
本人が早く言いたくてたまらないっていう感じだ。
きっと彼は隠し事が、とびきり下手なのだろう。
ババ抜きとかしたらすぐに手持ちのカードが
バレちゃうタイプっぽい。
当日は土曜日だったけど
寿三郎くんが部活だったので
夕方近くの公園で待ち合わせた。
早めに着いたかなと思っていたのに
公園の入り口に佇む大きな姿を見つけて
自然と口許がゆるむ。
「おっ!お姫様が来んさった」
『もう、なにそれ。待たせてごめんね 』
「そないに待ってないです。あっち、行きましょか」
噴水の前のベンチに座ると
寿三郎くんはすぐに持っていた紙袋を差し出した。
白い紙袋にブルーのリボンが
ホワイトデーらしさを醸し出している。
『ありがとう!開けてもいいの?』
「もちろんでっせ!」
中から包みを取り出す。
開けるとカラフルなマカロンが入っていた。
『わ!食べるのもったいないくらい綺麗…!
マカロン好きなの!ありがとう!』
「クッキーとか、ケーキとか悩んだんですけど
これあげたいなって思ったんよ」
好きな人からもらうホワイトデーが
こんなにも、温かくて、嬉しいなんて
思ってもみなかった。
マカロンに夢中になって気がつかなかったけど
紙袋には、もうひとつの袋が残されていた。
『これは?』
「それはおまけみたいなもんですやん」
中には、オレンジの生地に
白い花柄のタオルハンカチが入っていた。
明るすぎないオレンジが上品だ。
『可愛い!寿三郎くんが選んでくれたの?』
「千里さんイメージしよって思うたんですけど
自分の好きな色、選んでしもた」
明るくて、おひさまみたいな寿三郎くんにとても似合う色。
彼が私にと選んでくれたことが嬉しい。
私もなにか残るものを渡せばよかったな、と思っていたら
ふいに、ぎゅっと、手を握られた。
「…ホワイトデーに、マカロン渡すのって
ちゃんと意味があるって知ってます?」
『意味?』
「“あなたは特別な人“って意味があるんでっせ」
特別な人、という言葉が
胸に響いて、泣きそうになるくらい嬉しい。
というか、ちょっと涙目になってしまっている。
寿三郎くんはそんな私を見て少し焦ったあと
何かを思い出したかのような顔をした。
「このハンカチで拭きんせーね」
『うん、ごめんね。嬉しくて』
真新しいハンカチを
いきなり涙を拭くのに使うなんて申し訳なかったのだけど
寿三郎くんは何故かにこにこ笑っている。
「実は、ハンカチにも意味あるんです。
ジンクスらしいんですけど
”それで涙を拭くことになる”んやって。
俺、これから先、いっぱい嬉し泣きさせたりますから
その度にそのハンカチ、使いんせーね」
こんなにも気持ちのこもったお返しに
私は何度もお礼を言って
寿三郎くんと同じように
貰ったマカロンとハンカチの写真を撮った。
ちらりと見えた寿三郎くんのスマホの画面が
バレンタインのイチゴタルトだったから
私もこの写真をスマホ用に設定しようと思った。
それにしても
マカロンの意味とか、ハンカチの意味とか
よく知っていたなあなんて思っていたら
どうやら合宿所に
物知りな後輩とモテる先輩方がいて教えてくれたらしい。
なんとなく教えられている姿が想像できて
くすりと笑ったのだった。
今度は私がそわそわする番。
寿三郎くんは当日までのお楽しみと言いつつ
本人が早く言いたくてたまらないっていう感じだ。
きっと彼は隠し事が、とびきり下手なのだろう。
ババ抜きとかしたらすぐに手持ちのカードが
バレちゃうタイプっぽい。
当日は土曜日だったけど
寿三郎くんが部活だったので
夕方近くの公園で待ち合わせた。
早めに着いたかなと思っていたのに
公園の入り口に佇む大きな姿を見つけて
自然と口許がゆるむ。
「おっ!お姫様が来んさった」
『もう、なにそれ。待たせてごめんね 』
「そないに待ってないです。あっち、行きましょか」
噴水の前のベンチに座ると
寿三郎くんはすぐに持っていた紙袋を差し出した。
白い紙袋にブルーのリボンが
ホワイトデーらしさを醸し出している。
『ありがとう!開けてもいいの?』
「もちろんでっせ!」
中から包みを取り出す。
開けるとカラフルなマカロンが入っていた。
『わ!食べるのもったいないくらい綺麗…!
マカロン好きなの!ありがとう!』
「クッキーとか、ケーキとか悩んだんですけど
これあげたいなって思ったんよ」
好きな人からもらうホワイトデーが
こんなにも、温かくて、嬉しいなんて
思ってもみなかった。
マカロンに夢中になって気がつかなかったけど
紙袋には、もうひとつの袋が残されていた。
『これは?』
「それはおまけみたいなもんですやん」
中には、オレンジの生地に
白い花柄のタオルハンカチが入っていた。
明るすぎないオレンジが上品だ。
『可愛い!寿三郎くんが選んでくれたの?』
「千里さんイメージしよって思うたんですけど
自分の好きな色、選んでしもた」
明るくて、おひさまみたいな寿三郎くんにとても似合う色。
彼が私にと選んでくれたことが嬉しい。
私もなにか残るものを渡せばよかったな、と思っていたら
ふいに、ぎゅっと、手を握られた。
「…ホワイトデーに、マカロン渡すのって
ちゃんと意味があるって知ってます?」
『意味?』
「“あなたは特別な人“って意味があるんでっせ」
特別な人、という言葉が
胸に響いて、泣きそうになるくらい嬉しい。
というか、ちょっと涙目になってしまっている。
寿三郎くんはそんな私を見て少し焦ったあと
何かを思い出したかのような顔をした。
「このハンカチで拭きんせーね」
『うん、ごめんね。嬉しくて』
真新しいハンカチを
いきなり涙を拭くのに使うなんて申し訳なかったのだけど
寿三郎くんは何故かにこにこ笑っている。
「実は、ハンカチにも意味あるんです。
ジンクスらしいんですけど
”それで涙を拭くことになる”んやって。
俺、これから先、いっぱい嬉し泣きさせたりますから
その度にそのハンカチ、使いんせーね」
こんなにも気持ちのこもったお返しに
私は何度もお礼を言って
寿三郎くんと同じように
貰ったマカロンとハンカチの写真を撮った。
ちらりと見えた寿三郎くんのスマホの画面が
バレンタインのイチゴタルトだったから
私もこの写真をスマホ用に設定しようと思った。
それにしても
マカロンの意味とか、ハンカチの意味とか
よく知っていたなあなんて思っていたら
どうやら合宿所に
物知りな後輩とモテる先輩方がいて教えてくれたらしい。
なんとなく教えられている姿が想像できて
くすりと笑ったのだった。