尊敬と愛情
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「猫グッズとかはどうやろ?」
『うーん、あんまり小物とか持たないイメージだよね』
「わんこ蕎麦招待券!」
『マッハのスピードで食べてもらって……って
迷惑でしょ絶対!』
「うは!沙耶ちゃん、ええノリツッコミでっせ!」
『もう……』
この合宿に
マネージャーとして参加している沙耶ちゃんとは
同い年で、話も合って
何より、月光さんを尊敬してる同盟として仲が良い。
そんな沙耶ちゃんと
今回一緒に月光さんへの誕生日プレゼントを
渡そうってことになって
二人であれこれ案を出してる途中やけど
つい彼女との会話が楽しくてふざけてしまう。
『蕎麦ねぇ……でも消費物はいいかもね』
「あと月光さんが好きなもんは……」
『「水!」』
二人で顔を見合わせて思い付いた名案。
スーパーとかに売ってある色んな水を買って
プレゼントしようってことになった。
高いもんでもないし
賞味期限もそこまで気にせんでええし
月光さんも気軽に、長く楽しめはるはず。
沙耶ちゃんと一緒に
近くのお店をピックアップしていると
小さな子供みたいにニコニコ笑ってはる。
「宝探しみたいやね」
『そうだね!なんだかワクワクしてきた!』
「せやね!」
子供みたいなんは、自分も。
沙耶ちゃんと一緒やったらなんでも楽しい。
商店街に着き
スーパーからドラッグストアーまで巡って
色んな種類の水を買っていると、段々種類が被ってきた。
『ここのお店にあるのはもう買っちゃってるね』
「ほんまやね。
さっきあっちに酒屋さんあったけどそこも見てみる?」
『そうしよう!……ふふっ』
「ん?どないしたん?」
沙耶ちゃんが楽しそうに笑う。
『宝探しもだけど、スタンプラリーしてるみたいだなって!
寿三郎がスタンプラリーが好きなのわかった気がする』
スタンプラリーが趣味って、人に言うと
何が楽しいん?みたいな顔されることが多い。
前もスタンプラリーするんは景品狙いやないって
切原に言うたら驚かれたし
人に共感してもらえへんのがちょっと寂しかった。
「えへへ、そう言ってもらえたら嬉しいやんけ」
『今度、越知先輩も誘って3人でスタンプラリーしたいね』
“3人“の言葉に、一瞬ズキッと胸が痛む。
俺と2人じゃダメなんやろか。
やっぱり沙耶ちゃんは
月光さんのことが好きなんやろか。
そらこないに一生懸命誕生日プレゼント探すってことは
尊敬だけの感情やないよな。
ここまで考えて
自分の感情がようわからへんことに気がついた。
『寿三郎?どうしたの?』
沙耶ちゃんが心配そうな顔をして俺を見上げる。
仕草が全部可愛いなあと思いつつ
そないなこと、言えへん自分が情けない。
誤魔化すように次の店へと向かい
そこで数本追加で買ったあと、合宿所へと戻ることにした。
「買ったものの、これどないして渡すん?」
『ん~一本ずつリボン付ける?』
「あ、しもた。リボン買うてへんやんけ」
『え~!
……あっ、じゃあさ大変だけど一本ずつメッセージ書くのは?
“今日もfightです!“とか
“良い日になりますように!“とか』
なんとか笑顔を作って
名案やね、と答えたけど
だんだん月光さんのことが羨ましくて
ズルいなって思えてきた。
あかん。
明日は月光さんの誕生日やん。
俺むっちゃ嫌なやつになってるやんけ。
明日までに気持ちを落ち着けておこうと思いながら
彼女の隣に座って
ペットボトルに書くメッセージを考え始めた。
「ツッキーおめでとうさん☆」
「この俺が祝ってあげちゃうよ!」
「まあなんだし、今日は楽しんでくれや」
先輩らも今日はお祝いモードで
それぞれプレゼントを渡してはる。
なんだかんだで誰かの誕生日のときは
いつもこうやってお祝いするから仲ええなあって思う。
『寿三郎、渡しに行こうよ!』
「せやね!」
ぐいっと沙耶ちゃんに手を引かれて
月光さんの元へ駆け寄る。
『「お誕生日、おめでとうございます!」』
二人でせーのと声を掛け合って
メッセージ付きの水を渡す。
「随分と重いが……これは水か?」
『はい!寿三郎と一緒に選びました!』
「月光さん水好きやから、色んな種類の水集めたんでっせ」
月光さんは一本取り出して、すべてにメッセージが
付いていることに少し驚いているみたいや。
「そうか。今すべて読まないようにしよう。
二人ともありがとう」
スッと月光さんの手が伸びて
俺と沙耶ちゃんの頭を撫でる。
先輩で、兄のようで、尊敬する月光さんに
頭を撫でられるなんてくすぐったいけど嬉しい。
昨日のよくわからん気持ちはどっか行ってもうたな
なんて安心してたんやけど
隣の沙耶ちゃんが
目を細めてはにかんでいるのを見たら
ぐるぐると、また色んな感情が巡ってしもた。
月光さんだけが、一瞬俺のことを見んさって
多分複雑な顔してたのバレてもうたと思うけど
何にも言わんでくれはった。
「あ゛~。もうなんなん…」
夜、散歩しながら今日のことを思い返す。
嬉しそうにお祝いする姿
頭を撫でられて照れてる姿。
なんなん、って言いつつわかってる。
沙耶ちゃんが好きだから
月光さんにヤキモチ妬いてる。
月光さん相手って、けっこう無謀やんけ。
『寿三郎!』
聞きたいようで
今は聞きたくない彼女の声がして足を止める。
「どないしたん?」
『あのね、昨日ずっと荷物持ってくれてありがとう。
水、重たかったよね?』
「あのくらい平気でっせ。それわざわざ言いに来たんけ?」
『うん。きちんとお礼言ってなかったなって思って』
ああ。
沙耶ちゃんの、こういうところが好きなんよ。
相手を思ってくれる優しいところも
ごめん、とありがとうを
ちゃんと伝えてくれるところも。
「沙耶ちゃんは……月光さんのことが、好きなん?」
口にするつもりはなかったのに、つい聞いてしもうた。
聞いたら後悔するのに
でも聞かへんかったらもっと何もできひん。
『んー。好き、とはちょっと違うんだよね』
「え?」
『寿三郎が言ってるのは、恋愛の好きかってことだよね?』
「まぁ…そう、やね」
『“尊敬“、“敬愛“、“憧れ“そんな感じ』
予想外の言葉に
用意していた言葉が的外れすぎて、うまく返事ができずにいた。
『越知先輩って、冷たく見えるけど
本当は優しくてよく周りを見てる人でしょ。
でもその優しさを押し付けたりはしない。
ちゃんと相手を見て、自分で考えて、冷静に動いて…
そういうところが、人として尊敬してる』
私にないものばかりなんだ、と呟く彼女の表情からは
恋い焦がれるというより
目標に向かっているかのような意思を感じる。
俺、むっちゃダサいやんけ。
「……俺、失礼なこと聞いてもうたね」
『そんなことないよ』
穏やかに笑って見せる彼女を見ていると
あったかい気持ちになれる。
「沙耶ちゃん。
昨日は一緒にプレゼント探しに行けて楽しかった。
…月光さん抜きで
今度また、俺と二人で出掛けてくれへん?」
『もちろん!』
好きだという気持ちを伝えるにはまだ早い。
今はただ、同い年の気の合う、月光さん尊敬同盟として
もうちょっと、この気持ちは隠しておこう。
(わー!やっぱりマッハ打ってる姿、かっこいいよね!)
(…沙耶ちゃん、月光さん尊敬してる言ってたけど
見た目も、タイプなん…?)
(え?あぁ、そうだね…背が高い人はタイプかも!
スラッとしててかっこいいなって思うかな)
(お、俺も背高いやんけ)
(寿三郎はかっこいいより、かわいいかな?)
(…月光さんには負けられぇへん……!)
『うーん、あんまり小物とか持たないイメージだよね』
「わんこ蕎麦招待券!」
『マッハのスピードで食べてもらって……って
迷惑でしょ絶対!』
「うは!沙耶ちゃん、ええノリツッコミでっせ!」
『もう……』
この合宿に
マネージャーとして参加している沙耶ちゃんとは
同い年で、話も合って
何より、月光さんを尊敬してる同盟として仲が良い。
そんな沙耶ちゃんと
今回一緒に月光さんへの誕生日プレゼントを
渡そうってことになって
二人であれこれ案を出してる途中やけど
つい彼女との会話が楽しくてふざけてしまう。
『蕎麦ねぇ……でも消費物はいいかもね』
「あと月光さんが好きなもんは……」
『「水!」』
二人で顔を見合わせて思い付いた名案。
スーパーとかに売ってある色んな水を買って
プレゼントしようってことになった。
高いもんでもないし
賞味期限もそこまで気にせんでええし
月光さんも気軽に、長く楽しめはるはず。
沙耶ちゃんと一緒に
近くのお店をピックアップしていると
小さな子供みたいにニコニコ笑ってはる。
「宝探しみたいやね」
『そうだね!なんだかワクワクしてきた!』
「せやね!」
子供みたいなんは、自分も。
沙耶ちゃんと一緒やったらなんでも楽しい。
商店街に着き
スーパーからドラッグストアーまで巡って
色んな種類の水を買っていると、段々種類が被ってきた。
『ここのお店にあるのはもう買っちゃってるね』
「ほんまやね。
さっきあっちに酒屋さんあったけどそこも見てみる?」
『そうしよう!……ふふっ』
「ん?どないしたん?」
沙耶ちゃんが楽しそうに笑う。
『宝探しもだけど、スタンプラリーしてるみたいだなって!
寿三郎がスタンプラリーが好きなのわかった気がする』
スタンプラリーが趣味って、人に言うと
何が楽しいん?みたいな顔されることが多い。
前もスタンプラリーするんは景品狙いやないって
切原に言うたら驚かれたし
人に共感してもらえへんのがちょっと寂しかった。
「えへへ、そう言ってもらえたら嬉しいやんけ」
『今度、越知先輩も誘って3人でスタンプラリーしたいね』
“3人“の言葉に、一瞬ズキッと胸が痛む。
俺と2人じゃダメなんやろか。
やっぱり沙耶ちゃんは
月光さんのことが好きなんやろか。
そらこないに一生懸命誕生日プレゼント探すってことは
尊敬だけの感情やないよな。
ここまで考えて
自分の感情がようわからへんことに気がついた。
『寿三郎?どうしたの?』
沙耶ちゃんが心配そうな顔をして俺を見上げる。
仕草が全部可愛いなあと思いつつ
そないなこと、言えへん自分が情けない。
誤魔化すように次の店へと向かい
そこで数本追加で買ったあと、合宿所へと戻ることにした。
「買ったものの、これどないして渡すん?」
『ん~一本ずつリボン付ける?』
「あ、しもた。リボン買うてへんやんけ」
『え~!
……あっ、じゃあさ大変だけど一本ずつメッセージ書くのは?
“今日もfightです!“とか
“良い日になりますように!“とか』
なんとか笑顔を作って
名案やね、と答えたけど
だんだん月光さんのことが羨ましくて
ズルいなって思えてきた。
あかん。
明日は月光さんの誕生日やん。
俺むっちゃ嫌なやつになってるやんけ。
明日までに気持ちを落ち着けておこうと思いながら
彼女の隣に座って
ペットボトルに書くメッセージを考え始めた。
「ツッキーおめでとうさん☆」
「この俺が祝ってあげちゃうよ!」
「まあなんだし、今日は楽しんでくれや」
先輩らも今日はお祝いモードで
それぞれプレゼントを渡してはる。
なんだかんだで誰かの誕生日のときは
いつもこうやってお祝いするから仲ええなあって思う。
『寿三郎、渡しに行こうよ!』
「せやね!」
ぐいっと沙耶ちゃんに手を引かれて
月光さんの元へ駆け寄る。
『「お誕生日、おめでとうございます!」』
二人でせーのと声を掛け合って
メッセージ付きの水を渡す。
「随分と重いが……これは水か?」
『はい!寿三郎と一緒に選びました!』
「月光さん水好きやから、色んな種類の水集めたんでっせ」
月光さんは一本取り出して、すべてにメッセージが
付いていることに少し驚いているみたいや。
「そうか。今すべて読まないようにしよう。
二人ともありがとう」
スッと月光さんの手が伸びて
俺と沙耶ちゃんの頭を撫でる。
先輩で、兄のようで、尊敬する月光さんに
頭を撫でられるなんてくすぐったいけど嬉しい。
昨日のよくわからん気持ちはどっか行ってもうたな
なんて安心してたんやけど
隣の沙耶ちゃんが
目を細めてはにかんでいるのを見たら
ぐるぐると、また色んな感情が巡ってしもた。
月光さんだけが、一瞬俺のことを見んさって
多分複雑な顔してたのバレてもうたと思うけど
何にも言わんでくれはった。
「あ゛~。もうなんなん…」
夜、散歩しながら今日のことを思い返す。
嬉しそうにお祝いする姿
頭を撫でられて照れてる姿。
なんなん、って言いつつわかってる。
沙耶ちゃんが好きだから
月光さんにヤキモチ妬いてる。
月光さん相手って、けっこう無謀やんけ。
『寿三郎!』
聞きたいようで
今は聞きたくない彼女の声がして足を止める。
「どないしたん?」
『あのね、昨日ずっと荷物持ってくれてありがとう。
水、重たかったよね?』
「あのくらい平気でっせ。それわざわざ言いに来たんけ?」
『うん。きちんとお礼言ってなかったなって思って』
ああ。
沙耶ちゃんの、こういうところが好きなんよ。
相手を思ってくれる優しいところも
ごめん、とありがとうを
ちゃんと伝えてくれるところも。
「沙耶ちゃんは……月光さんのことが、好きなん?」
口にするつもりはなかったのに、つい聞いてしもうた。
聞いたら後悔するのに
でも聞かへんかったらもっと何もできひん。
『んー。好き、とはちょっと違うんだよね』
「え?」
『寿三郎が言ってるのは、恋愛の好きかってことだよね?』
「まぁ…そう、やね」
『“尊敬“、“敬愛“、“憧れ“そんな感じ』
予想外の言葉に
用意していた言葉が的外れすぎて、うまく返事ができずにいた。
『越知先輩って、冷たく見えるけど
本当は優しくてよく周りを見てる人でしょ。
でもその優しさを押し付けたりはしない。
ちゃんと相手を見て、自分で考えて、冷静に動いて…
そういうところが、人として尊敬してる』
私にないものばかりなんだ、と呟く彼女の表情からは
恋い焦がれるというより
目標に向かっているかのような意思を感じる。
俺、むっちゃダサいやんけ。
「……俺、失礼なこと聞いてもうたね」
『そんなことないよ』
穏やかに笑って見せる彼女を見ていると
あったかい気持ちになれる。
「沙耶ちゃん。
昨日は一緒にプレゼント探しに行けて楽しかった。
…月光さん抜きで
今度また、俺と二人で出掛けてくれへん?」
『もちろん!』
好きだという気持ちを伝えるにはまだ早い。
今はただ、同い年の気の合う、月光さん尊敬同盟として
もうちょっと、この気持ちは隠しておこう。
(わー!やっぱりマッハ打ってる姿、かっこいいよね!)
(…沙耶ちゃん、月光さん尊敬してる言ってたけど
見た目も、タイプなん…?)
(え?あぁ、そうだね…背が高い人はタイプかも!
スラッとしててかっこいいなって思うかな)
(お、俺も背高いやんけ)
(寿三郎はかっこいいより、かわいいかな?)
(…月光さんには負けられぇへん……!)