毛利くんと私(中編作品)
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『絶対いやだ』
そう告げたのに、着せられたメイド服。
裏方やるって言ったのに。
料理班お願いって言われたのに。
今日は文化の日であり、文化祭だ。
うちのクラスは普通の喫茶店だったのに
それじゃ面白くないと誰かが言い出し
“メイドと執事のおもてなし喫茶“
という名の喫茶店になったのだった。
どちらかというと
落ち着いた雰囲気をコンセプトにしているので
衣装も少し、大人しめなのがせめてもの救い。
寿三郎くんからクラスの出し物なにするのかと聞かれたから
彼には喫茶店だけど私は午後から裏方だと伝えていた。
突然午前にウェイターをすることが決まり
彼にはスケジュールが変わったことは伝えていないので
もし彼が来るなら午後だ。
きっとこの姿は見られないはず。
こんな姿、絶対に見られたくないもの。
本当は一緒に見て回ったりしてみたかったけど
こんな姿じゃ……
「え、あ?えぇっと?…千里さん!?」
『嘘でしょ………』
速攻で見つかった。
もうやだ帰りたい。
『な、なんでこの時間に…』
「いや、俺ら展示やからなんもすることあらへんし…
千里さんが午後から当番なら
午前は一緒に回りたいなって誘いに来たんやけど………」
まじまじと見つめる寿三郎くんの視線に耐えかねて
持っていたトレーで顔を隠す。
『ちょっと…もう……寿三郎くんだけには
こんなの見られたくなかったのに』
「な、なんで!?」
『…恥ずかしい』
「俺、来たらアカンかった?」
声のトーンがしゅん、としてたから
落ち込んでるのかなと思って
寿三郎くんの顔を見ると
にっこにこの笑顔で見つめられていた。
『……声のトーンと表情が合ってないんだけど』
「だって…千里さんむっちゃ可愛いんですもん!」
そう言いつつスマホを取り出すから
撮っちゃだめ!と手を伸ばすも
彼の身長に届くはずもなく空振りする。
「俺お客さんやんけ。おもてなし、してくれへんの?」
『うっ………』
キラキラとした目に見つめられ
もう半ばやけくそに
お決まりのセリフを口にする。
『…お帰りなさいませ、ご主人様。
メニューはこちらでございます。
どれになさいますか?」
メニューを持って、寿三郎くんは固まっていた。
これは、滑ったのだろうか。
「ちょ…っ…思ってたより、アカンです…。
破壊力ありすぎでっせ。
千里さんずっとその姿でおるん?
他の人にも接客するん?」
『え、だって仕事だしやらなきゃだね』
「……俺、千里さん待っててもええやろか?」
『待つって、けっこう時間あるよ?
それに待っててもつまらないんじゃ…』
寿三郎くんはブンブンと首を振る。
「待つんも楽しいでっせ。
それに、ナンパされへんようにボディーガードしやる!」
メイドとボディーガードって
よくわからない組み合わせだなと思いつつ
彼が待っててくれることが嬉しくて
私の最悪だった気分は少し戻ったのだった。
『はぁ…終わった…』
「お疲れさまです」
思っていたより集客があり
常に席は満席状態だった。
やっとメイド姿から解放されたのだけど
けっこうくたくただ。
「衣装、脱いでしもうたんやね」
『脱ぐに決まってるでしょ』
「……可愛かったのに」
『もう、そうやってすぐからかうんだから』
寿三郎くんのクラスの展示を見て
私たちは二人でぶらぶら校内を巡ったあと
飲み物と、調理部が作ったクッキーを食べながら
休憩することにした。
さっきからメイド服のことばかり言ってくる寿三郎くんに
私は少し意地悪してみる。
『寿三郎くんはメイドとかそういうのが好きなんだね~
意外だったなあ~』
バッと勢いよくこちらを向く彼の口には
クッキーが咥えられている。
「むぐっ…んぐ…な、なに言うて…!」
『こらこら、制服にクッキーこぼしてるよ』
弟にしてあげるみたいに
胸元にこぼしたクッキーのくずを払ってあげて
手の掛かるご主人様ですね、と言えば
寿三郎くんは顔を真っ赤にしている。
「ちゃ、ちゃいます!メイドが好きなわけやなくて…!
千里さんが……いや、そのっ…!」
意地悪しすぎたみたいだ。
慌てている様子がおかしくて思わず吹き出す。
可愛い彼だけど、きっとスーツ姿とか絶対似合うだろうな。
私も執事姿の寿三郎くんに
“お帰りなさいお嬢様“って言われたら照れちゃいそう。
でも格好いいと思う。
私の妄想を口にするとまた意地悪になりそうだから
黙っておくことにした。
そう告げたのに、着せられたメイド服。
裏方やるって言ったのに。
料理班お願いって言われたのに。
今日は文化の日であり、文化祭だ。
うちのクラスは普通の喫茶店だったのに
それじゃ面白くないと誰かが言い出し
“メイドと執事のおもてなし喫茶“
という名の喫茶店になったのだった。
どちらかというと
落ち着いた雰囲気をコンセプトにしているので
衣装も少し、大人しめなのがせめてもの救い。
寿三郎くんからクラスの出し物なにするのかと聞かれたから
彼には喫茶店だけど私は午後から裏方だと伝えていた。
突然午前にウェイターをすることが決まり
彼にはスケジュールが変わったことは伝えていないので
もし彼が来るなら午後だ。
きっとこの姿は見られないはず。
こんな姿、絶対に見られたくないもの。
本当は一緒に見て回ったりしてみたかったけど
こんな姿じゃ……
「え、あ?えぇっと?…千里さん!?」
『嘘でしょ………』
速攻で見つかった。
もうやだ帰りたい。
『な、なんでこの時間に…』
「いや、俺ら展示やからなんもすることあらへんし…
千里さんが午後から当番なら
午前は一緒に回りたいなって誘いに来たんやけど………」
まじまじと見つめる寿三郎くんの視線に耐えかねて
持っていたトレーで顔を隠す。
『ちょっと…もう……寿三郎くんだけには
こんなの見られたくなかったのに』
「な、なんで!?」
『…恥ずかしい』
「俺、来たらアカンかった?」
声のトーンがしゅん、としてたから
落ち込んでるのかなと思って
寿三郎くんの顔を見ると
にっこにこの笑顔で見つめられていた。
『……声のトーンと表情が合ってないんだけど』
「だって…千里さんむっちゃ可愛いんですもん!」
そう言いつつスマホを取り出すから
撮っちゃだめ!と手を伸ばすも
彼の身長に届くはずもなく空振りする。
「俺お客さんやんけ。おもてなし、してくれへんの?」
『うっ………』
キラキラとした目に見つめられ
もう半ばやけくそに
お決まりのセリフを口にする。
『…お帰りなさいませ、ご主人様。
メニューはこちらでございます。
どれになさいますか?」
メニューを持って、寿三郎くんは固まっていた。
これは、滑ったのだろうか。
「ちょ…っ…思ってたより、アカンです…。
破壊力ありすぎでっせ。
千里さんずっとその姿でおるん?
他の人にも接客するん?」
『え、だって仕事だしやらなきゃだね』
「……俺、千里さん待っててもええやろか?」
『待つって、けっこう時間あるよ?
それに待っててもつまらないんじゃ…』
寿三郎くんはブンブンと首を振る。
「待つんも楽しいでっせ。
それに、ナンパされへんようにボディーガードしやる!」
メイドとボディーガードって
よくわからない組み合わせだなと思いつつ
彼が待っててくれることが嬉しくて
私の最悪だった気分は少し戻ったのだった。
『はぁ…終わった…』
「お疲れさまです」
思っていたより集客があり
常に席は満席状態だった。
やっとメイド姿から解放されたのだけど
けっこうくたくただ。
「衣装、脱いでしもうたんやね」
『脱ぐに決まってるでしょ』
「……可愛かったのに」
『もう、そうやってすぐからかうんだから』
寿三郎くんのクラスの展示を見て
私たちは二人でぶらぶら校内を巡ったあと
飲み物と、調理部が作ったクッキーを食べながら
休憩することにした。
さっきからメイド服のことばかり言ってくる寿三郎くんに
私は少し意地悪してみる。
『寿三郎くんはメイドとかそういうのが好きなんだね~
意外だったなあ~』
バッと勢いよくこちらを向く彼の口には
クッキーが咥えられている。
「むぐっ…んぐ…な、なに言うて…!」
『こらこら、制服にクッキーこぼしてるよ』
弟にしてあげるみたいに
胸元にこぼしたクッキーのくずを払ってあげて
手の掛かるご主人様ですね、と言えば
寿三郎くんは顔を真っ赤にしている。
「ちゃ、ちゃいます!メイドが好きなわけやなくて…!
千里さんが……いや、そのっ…!」
意地悪しすぎたみたいだ。
慌てている様子がおかしくて思わず吹き出す。
可愛い彼だけど、きっとスーツ姿とか絶対似合うだろうな。
私も執事姿の寿三郎くんに
“お帰りなさいお嬢様“って言われたら照れちゃいそう。
でも格好いいと思う。
私の妄想を口にするとまた意地悪になりそうだから
黙っておくことにした。