毛利くんと私(中編作品)
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もうすぐ夏休みが終わる。
長いようで短いなあと思っていたら
ピロン、とスマホに一件の通知。
“海見に行きません?“
と、寿三郎くんからのメッセージ。
海に行こう、ではなく
見に行こう、ということは泳ぐわけではなさそう。
“水着でなければいいよ“と返信し
夏休み最終日に、近くの海に行くことになった。
待ち合わせたのは夕方。
少し涼しくなってから
夕方の海辺を一緒に散歩することになった。
お盆も過ぎているし
夕方ということもあり
浜辺にいるのは犬の散歩をしている人くらい。
夏祭りといい、海といい
本当に久しぶりな気がする。
「夏休み、もう終わってまうね」
『そうだね。
でも、今年の夏休みはあっという間だったよ』
本当にあっという間だった。
去年は母が亡くなったことへの悲しみから
まだ抜け出せずいて
それに加えて家のことをして…
毎日、同じ事を繰り返していただけだった。
だから長いのか短いのかわからない。
ただ毎日過ぎていく感じだったのだ。
でも今年は寿三郎くんがいてくれたし
彼のおかげで、ちょっとだけ気を抜くことができて
特別な夏になったと思う 。
「夏休み、けっこう一緒におりましたね」
『そうだね。勉強したり、アイス食べたり夏祭りにも…
楽しいことが沢山あった素敵な夏休みになったよ』
「…俺にとっても、素敵な夏休みになったやんけ」
目を細めて笑う寿三郎くんを見て
胸がきゅっと締め付けられる。
『あ…、そ、そうだ。足だけでも、海に入らない?
タオルとかは持ってきたから』
「ホンマに!?やった!さすが千里さん!」
小さな子供のようにはしゃぐ、大きな彼は
いそいそと靴を脱いで
ジーンズをたくしあげる。
私も靴を脱いで海に入る準備をしていると
スッと、手を差し伸べられた。
「転けたらアカンから」
『そんなにドジじゃないよ』
「ちゃいます。俺が心配性なだけですって。
千里さん軽いから、波で転けてまいそうですやん」
こういうギャップがズルい。
無邪気で、天真爛漫で、子供みたいに笑うかと思えば
急に男らしく私のことを
守るような素振りをしてくれる。
…他の子にも、同じようなことをしているのだろうか。
ふと、思い出したのは
部活を見に行ったときのこと。
あの子とは、どういう関係なのだろう。
聞きたいのに、聞く勇気はなくて
彼の手に、自分の手のひらを乗せる。
「へへっ、お姫さま連れてるみたいやね」
『じゃあ、寿三郎くんは王子様だね』
どうやら寿三郎くんは“王子様“にちょっと照れたらしく
頭を掻きながら目をそらす。
海に入ると少しひんやりする海水が気持ちが良くて
星が見えだす頃まで
私達は手を繋いだまま、ゆっくりと歩いたのだった。
長いようで短いなあと思っていたら
ピロン、とスマホに一件の通知。
“海見に行きません?“
と、寿三郎くんからのメッセージ。
海に行こう、ではなく
見に行こう、ということは泳ぐわけではなさそう。
“水着でなければいいよ“と返信し
夏休み最終日に、近くの海に行くことになった。
待ち合わせたのは夕方。
少し涼しくなってから
夕方の海辺を一緒に散歩することになった。
お盆も過ぎているし
夕方ということもあり
浜辺にいるのは犬の散歩をしている人くらい。
夏祭りといい、海といい
本当に久しぶりな気がする。
「夏休み、もう終わってまうね」
『そうだね。
でも、今年の夏休みはあっという間だったよ』
本当にあっという間だった。
去年は母が亡くなったことへの悲しみから
まだ抜け出せずいて
それに加えて家のことをして…
毎日、同じ事を繰り返していただけだった。
だから長いのか短いのかわからない。
ただ毎日過ぎていく感じだったのだ。
でも今年は寿三郎くんがいてくれたし
彼のおかげで、ちょっとだけ気を抜くことができて
特別な夏になったと思う 。
「夏休み、けっこう一緒におりましたね」
『そうだね。勉強したり、アイス食べたり夏祭りにも…
楽しいことが沢山あった素敵な夏休みになったよ』
「…俺にとっても、素敵な夏休みになったやんけ」
目を細めて笑う寿三郎くんを見て
胸がきゅっと締め付けられる。
『あ…、そ、そうだ。足だけでも、海に入らない?
タオルとかは持ってきたから』
「ホンマに!?やった!さすが千里さん!」
小さな子供のようにはしゃぐ、大きな彼は
いそいそと靴を脱いで
ジーンズをたくしあげる。
私も靴を脱いで海に入る準備をしていると
スッと、手を差し伸べられた。
「転けたらアカンから」
『そんなにドジじゃないよ』
「ちゃいます。俺が心配性なだけですって。
千里さん軽いから、波で転けてまいそうですやん」
こういうギャップがズルい。
無邪気で、天真爛漫で、子供みたいに笑うかと思えば
急に男らしく私のことを
守るような素振りをしてくれる。
…他の子にも、同じようなことをしているのだろうか。
ふと、思い出したのは
部活を見に行ったときのこと。
あの子とは、どういう関係なのだろう。
聞きたいのに、聞く勇気はなくて
彼の手に、自分の手のひらを乗せる。
「へへっ、お姫さま連れてるみたいやね」
『じゃあ、寿三郎くんは王子様だね』
どうやら寿三郎くんは“王子様“にちょっと照れたらしく
頭を掻きながら目をそらす。
海に入ると少しひんやりする海水が気持ちが良くて
星が見えだす頃まで
私達は手を繋いだまま、ゆっくりと歩いたのだった。