毛利くんと私(中編作品)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
37.8℃ 。
熱を出すなんて久しぶり。
原因は季節の変わり目だからか、それとも知恵熱か。
寿三郎くんの部活を見に行ったことにより
私は自分の気持ちに気がついた。
いつの間にか、彼のことが、好きになっていたのだと。
自覚してしまうと、これからどう接したら良いか
わからなくなってしまって
明日からどうしようと考えていたら
“今日部活見に来んさったんやね!“
と、寿三郎くんから連絡が届いて
これまたどう返信しようかと考えて…そして今に至る。
だからきっと知恵熱だ。
心配そうな父と弟に大丈夫だと告げたものの
一人で寝ていると、心細くなる。
病気になると、寂しくなったり
悲しくなったりするのはなぜだろう。
ただの熱なのに。
スマホが通知を知らせてくるけど
身体はダルいし、画面を見る気力はなく
ただただベッドで目を閉じる。
目を閉じて想うのは、彼のこと。
うつらうつらしていたら
インターフォンの音でハッとした。
出なくてもいいかな、と思ったけど
鍵を忘れた弟かもしれないと思い
重たい身体を引きずって、自室から出る。
『はい……』
「良かった!…って、千里さん!」
ガチャッと、ドアを開けると、そこには寿三郎くんがいた。
彼の姿を見た瞬間、ポロッと涙が出て力が抜けてしまった。
がっしりと、寿三郎くんが私の身体を受け止めてくれて
部屋まで支えながら連れていってくれた。
「気分、大丈夫でっか?」
『うん…ちょっと、ふわふわするけど、大丈夫』
「迷惑かもって思うたんやけど…
既読にもならへんし、心配になってもうて」
そう言われてスマホを見れば、数件連絡があった。
時間的に休み時間の度に
連絡をしてくれていたようだ。
『ごめんね、寝てて気づいてなくて…』
「ええんよ。むしろ起こしてもうて、すんません。
あ、せや。色々買ってきたんであとで食べんせーね」
寿三郎くんは、ビニール袋から
ゼリーや栄養ドリンク、スポーツドリンク、のど飴…
風邪に良さそうな物を色々と持ってきてくれていた。
気遣いが身に染みて、また涙腺が緩む。
寿三郎くんは、初めおろおろとしていたけど
ポンポンと、私の頭を撫でてくれた。
「千里さんは、頑張りすぎでっせ。
いつでもしっかり者でおらんでも、ええんとちゃいまっか?
たまには甘えて、自分の気持ちに素直にならんとね」
寿三郎くんの優しい瞳を見て
自分が色々と限界だったことに気がついた。
中学生3年生の時、病気で母を亡くした。
それからは、私が家事をして、弟の面倒を見て
自分のことは二の次だった。
部活も本当は続けたかったし
もっと友人と遊んだりもしたい。
でも、私がそんなんじゃいけない、
しっかりしないと、という気持ちがあって
張りつめた日常を過ごしていた。
甘える相手も、いなかったから。
『甘えさせて、くれるの?』
「もちろんやんけ!
せやけど甘えるのは、俺だけにしてくださいね」
優しい笑顔を見て
この人が、本当に好きだと思った。
『…寿三郎くんは、本当に優しいよね』
「誰にでも、優しいわけとちゃいます。
……千里さんは、俺にとって大切な人やから」
それって、どういう意味?と口を開いたその時
「じゅさぶろーがいる!!」
と、叫びながらやってきた弟の登場に
私と寿三郎くんは顔を見合せたのだった。
熱を出すなんて久しぶり。
原因は季節の変わり目だからか、それとも知恵熱か。
寿三郎くんの部活を見に行ったことにより
私は自分の気持ちに気がついた。
いつの間にか、彼のことが、好きになっていたのだと。
自覚してしまうと、これからどう接したら良いか
わからなくなってしまって
明日からどうしようと考えていたら
“今日部活見に来んさったんやね!“
と、寿三郎くんから連絡が届いて
これまたどう返信しようかと考えて…そして今に至る。
だからきっと知恵熱だ。
心配そうな父と弟に大丈夫だと告げたものの
一人で寝ていると、心細くなる。
病気になると、寂しくなったり
悲しくなったりするのはなぜだろう。
ただの熱なのに。
スマホが通知を知らせてくるけど
身体はダルいし、画面を見る気力はなく
ただただベッドで目を閉じる。
目を閉じて想うのは、彼のこと。
うつらうつらしていたら
インターフォンの音でハッとした。
出なくてもいいかな、と思ったけど
鍵を忘れた弟かもしれないと思い
重たい身体を引きずって、自室から出る。
『はい……』
「良かった!…って、千里さん!」
ガチャッと、ドアを開けると、そこには寿三郎くんがいた。
彼の姿を見た瞬間、ポロッと涙が出て力が抜けてしまった。
がっしりと、寿三郎くんが私の身体を受け止めてくれて
部屋まで支えながら連れていってくれた。
「気分、大丈夫でっか?」
『うん…ちょっと、ふわふわするけど、大丈夫』
「迷惑かもって思うたんやけど…
既読にもならへんし、心配になってもうて」
そう言われてスマホを見れば、数件連絡があった。
時間的に休み時間の度に
連絡をしてくれていたようだ。
『ごめんね、寝てて気づいてなくて…』
「ええんよ。むしろ起こしてもうて、すんません。
あ、せや。色々買ってきたんであとで食べんせーね」
寿三郎くんは、ビニール袋から
ゼリーや栄養ドリンク、スポーツドリンク、のど飴…
風邪に良さそうな物を色々と持ってきてくれていた。
気遣いが身に染みて、また涙腺が緩む。
寿三郎くんは、初めおろおろとしていたけど
ポンポンと、私の頭を撫でてくれた。
「千里さんは、頑張りすぎでっせ。
いつでもしっかり者でおらんでも、ええんとちゃいまっか?
たまには甘えて、自分の気持ちに素直にならんとね」
寿三郎くんの優しい瞳を見て
自分が色々と限界だったことに気がついた。
中学生3年生の時、病気で母を亡くした。
それからは、私が家事をして、弟の面倒を見て
自分のことは二の次だった。
部活も本当は続けたかったし
もっと友人と遊んだりもしたい。
でも、私がそんなんじゃいけない、
しっかりしないと、という気持ちがあって
張りつめた日常を過ごしていた。
甘える相手も、いなかったから。
『甘えさせて、くれるの?』
「もちろんやんけ!
せやけど甘えるのは、俺だけにしてくださいね」
優しい笑顔を見て
この人が、本当に好きだと思った。
『…寿三郎くんは、本当に優しいよね』
「誰にでも、優しいわけとちゃいます。
……千里さんは、俺にとって大切な人やから」
それって、どういう意味?と口を開いたその時
「じゅさぶろーがいる!!」
と、叫びながらやってきた弟の登場に
私と寿三郎くんは顔を見合せたのだった。