毛利くんと私(中編作品)
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今日は体育祭。
帰宅部の私には一見
最悪なイベントのように思われがちだが
実は運動は得意なのである。
走るのも、球技も何でもある程度できる。
跳び箱とかは少し苦手だけど。
なので、出場種目はリレーと100m走。
借り物競走的なのは、恥ずかしくて辞退した。
だってあれ、なんとも言えない空気感になりやすいもの。
体育祭は、保健委員としても大忙しで
自分の出る種目の時以外は
ずっと救護テントにいることになった。
もちろん他にも保健委員はいるのだけど
“清水は手当てに手慣れている“という理由で
私は先生の助手のようになっていたのだった。
「先生、手伝いに来たんやけど」
そう言って、毛利くんが手伝いにやって来た。
「って、先生、清水先輩のこと、こき使いすぎですやん。
先輩、ちょっと休みんせーね」
座れと言わんばかりに、椅子に促される。
確かにずっと立ちっぱなしだった。
知ってか知らずかはわからないけど
毛利くんの気遣いに感謝する。
『ありがとう。あ、毛利くん、さっきすごかったね。
めちゃくちゃ速くてビックリしたよ』
先程、200m走があったのだが
毛利くんは陸上部を抜いてぶっちぎり1位だった。
颯爽と走る姿は見ていて気持ちが良いくらいで
そのうち陸上部からスカウトが来るだろう。
「見ててくれたんやね!」
『うん。格好良かったよ』
ピタッと毛利くんの動きが止まる。
あ、ちょっと恥ずかしいこと言ったかな。
弁解すべきか悩んでいたら
女子100m走のアナウンスが聞こえた。
『あ、呼ばれたから行ってくるね』
「え!100m走出やるん!?」
『うん。…こいつ、走れるのかって思ったでしょ?』
図星って顔をされて少し悔しい。
よし、なら見せてあげようじゃない。
「…転けたら、手当てしやるから」
『ご心配なく。
1位になって格好良いとこ、見せてあげるから』
断言した通り、私も1位でゴールした。
救護テントの方を見て微笑むと
毛利くんは参りました、とジェスチャーしたので
思わず吹き出した。
体育祭も無事に終わってあとは片付け。
毛利くんと一緒に保健室に備品を運びながら
今日の感想を話していた。
「清水先輩、運動得意やったんやね」
『まあ、中学の時は運動部だったから』
「何してはったん?」
『バドミントンだよ』
「高校では、やらへんの?」
『…うん。高校ではゆっくりしようと思って…』
濁して答えたけど、毛利くんはそれ以上何も言わなかった。
余計な詮索もしないし、気遣いもできるし
今日は彼の人間性に救われた日だったと思った。
帰宅部の私には一見
最悪なイベントのように思われがちだが
実は運動は得意なのである。
走るのも、球技も何でもある程度できる。
跳び箱とかは少し苦手だけど。
なので、出場種目はリレーと100m走。
借り物競走的なのは、恥ずかしくて辞退した。
だってあれ、なんとも言えない空気感になりやすいもの。
体育祭は、保健委員としても大忙しで
自分の出る種目の時以外は
ずっと救護テントにいることになった。
もちろん他にも保健委員はいるのだけど
“清水は手当てに手慣れている“という理由で
私は先生の助手のようになっていたのだった。
「先生、手伝いに来たんやけど」
そう言って、毛利くんが手伝いにやって来た。
「って、先生、清水先輩のこと、こき使いすぎですやん。
先輩、ちょっと休みんせーね」
座れと言わんばかりに、椅子に促される。
確かにずっと立ちっぱなしだった。
知ってか知らずかはわからないけど
毛利くんの気遣いに感謝する。
『ありがとう。あ、毛利くん、さっきすごかったね。
めちゃくちゃ速くてビックリしたよ』
先程、200m走があったのだが
毛利くんは陸上部を抜いてぶっちぎり1位だった。
颯爽と走る姿は見ていて気持ちが良いくらいで
そのうち陸上部からスカウトが来るだろう。
「見ててくれたんやね!」
『うん。格好良かったよ』
ピタッと毛利くんの動きが止まる。
あ、ちょっと恥ずかしいこと言ったかな。
弁解すべきか悩んでいたら
女子100m走のアナウンスが聞こえた。
『あ、呼ばれたから行ってくるね』
「え!100m走出やるん!?」
『うん。…こいつ、走れるのかって思ったでしょ?』
図星って顔をされて少し悔しい。
よし、なら見せてあげようじゃない。
「…転けたら、手当てしやるから」
『ご心配なく。
1位になって格好良いとこ、見せてあげるから』
断言した通り、私も1位でゴールした。
救護テントの方を見て微笑むと
毛利くんは参りました、とジェスチャーしたので
思わず吹き出した。
体育祭も無事に終わってあとは片付け。
毛利くんと一緒に保健室に備品を運びながら
今日の感想を話していた。
「清水先輩、運動得意やったんやね」
『まあ、中学の時は運動部だったから』
「何してはったん?」
『バドミントンだよ』
「高校では、やらへんの?」
『…うん。高校ではゆっくりしようと思って…』
濁して答えたけど、毛利くんはそれ以上何も言わなかった。
余計な詮索もしないし、気遣いもできるし
今日は彼の人間性に救われた日だったと思った。