人こひ初めしはじめなり
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今日は1日オフの日やのに、生憎の雨。
やっと雨のあがった夕方
あてもなく、なんとなく散歩することにした。
梅雨時期は髪はうねるし、練習は屋内になるし
なんもええことあらへんけど
雨上がりの雰囲気は好きだったりする。
「ん?茜さんや。なにしてはるんやろ」
マネージャーである、1つ歳上の茜さんが
屈んでなにかを見てはる。
なんか、落とし物でもしたんやろか?
「しゃがみこんで、何してますん?」
『あ、毛利くん。お疲れ様。これ見てたの』
言われて見ると、紫陽花が咲いていた。
風景と化していて、気づかへんかったけど
よく見れば一面紫陽花が咲いている。
「ぼーっと通るだけで気づかへんかった。
こないに綺麗に咲いてたんやね」
『そうなの。私もバタバタしてちゃんと見てなかったけど』
いつも合宿所内を忙しく走り回っている茜さんは
俺から見てもいつでも何かをしてはってて
こうやってゆっくり花を眺めてる姿は初めて見る。
平等院さんや亜久津相手にも怯まず
けっこう、根性ある人なんやけど
紫陽花見つめる顔は、女の子らしくて可愛い。
『梅雨って外に出にくいし、髪もうねるし
あまり好きではないけど
雨上がりの光景は、好きなんだよね』
あ、それ、俺も思うてたことやんけ。
ふんわりと笑う笑顔は穏やかで少し見とれてしもうた。
なんやろ、照れ臭くなって
ふと、柳との会話を思い出して口にする。
「せや。赤い紫陽花の下には死体が埋まってるて話
聞いたことありますやろか?
あれ柳に言うたら、ため息着きながら説明してくれたんよ。
ホンマに物知りな奴でっせ」
茜さんはちょっと驚いた表情をしてから
クスクスと笑いだした。
『それ、私も同じ事を乾くんから聞いたよ』
「え、ホンマ?二人して、年下に教えられてますやん」
『ほんとだね』
話しながら、楽しそうに笑う茜さんは
いつもより無邪気で、幼く見える。
普段ゆっくり話す機会があまりなかったけど
穏やかで、優しくて、柔らかい人やと感じる。
なんか、ええなあ。この人の傍。
あったかい気持ちになれる。
『毛利くんは、どの色の紫陽花が好き?』
紫陽花についた雫に触れながら
茜さんは訪ねてきた。
「ん~……あの淡い色のやつええですね。
あ、でも濃い色のと混ざってるんも綺麗やと思います」
『わかる。だんだん色が変わってるの綺麗だよね』
紫陽花への感想や
練習でのこと、ご飯が美味しかったこと
学校のこと色んなことを話していたら
茜さんが、じっとこちらを見てはった。
「なんですの?」
『ううん。なんだかいいなって思って。
同じものを見て、同じ感想を言い合える人って
とても素敵だと思って。毛利くんは、あったかい人だね』
「……さっきから、同じこと思ってますやん」
『え?そうなの?似た者同士ってことかな?』
茜さんとなら、どこへ行っても何を見ても
きっと穏やかに笑って過ごせる気がする。
感覚とか、話す速度とか
そういうんが全部ピッタリと合う。
心地好ええ。
「…またこうして、一緒に過ごしたいです」
ついポロっと出た言葉に、自分で驚く。
あれ、俺はもしかして、と思いつつ
まだこの感情がわからへん。
『じゃあ今度、蛍見に行かない?
あともう少ししたら見られると思うの』
「ええですね。あ、蛍の次はヒマワリもええね」
『いいね!夏になるし星も綺麗だろうね』
「山やから、よう見えそうやね。秋は紅葉狩りやろか」
『ふふっ、これから楽しみがたくさんあるね』
お互い顔を見合わせて笑う。
これから先の日常に
茜さんに隣にいてほしい。
傍にいさせてほしい。
そう思いながら、また二人で紫陽花を見ていた。
(紫陽花て、花言葉はネガティブなんが多いんやて)
(よく知ってるね)
(幸村が前に教えてくれたんよ)
(ネガティブって例えば?)
(確か“浮気“とか“無常“とか)
(それはネガティブだね)
(でも色によって細かく言葉ちゃう言うてました)
(じゃあいっぱい言葉ありそうだね)
(今度、図書館で一緒に他の花言葉調べてみません?)
(いいね!楽しそう!
毛利くんは楽しみを見つける天才だね)
(ほなら、茜さんは俺を喜ばす天才やんけ)
やっと雨のあがった夕方
あてもなく、なんとなく散歩することにした。
梅雨時期は髪はうねるし、練習は屋内になるし
なんもええことあらへんけど
雨上がりの雰囲気は好きだったりする。
「ん?茜さんや。なにしてはるんやろ」
マネージャーである、1つ歳上の茜さんが
屈んでなにかを見てはる。
なんか、落とし物でもしたんやろか?
「しゃがみこんで、何してますん?」
『あ、毛利くん。お疲れ様。これ見てたの』
言われて見ると、紫陽花が咲いていた。
風景と化していて、気づかへんかったけど
よく見れば一面紫陽花が咲いている。
「ぼーっと通るだけで気づかへんかった。
こないに綺麗に咲いてたんやね」
『そうなの。私もバタバタしてちゃんと見てなかったけど』
いつも合宿所内を忙しく走り回っている茜さんは
俺から見てもいつでも何かをしてはってて
こうやってゆっくり花を眺めてる姿は初めて見る。
平等院さんや亜久津相手にも怯まず
けっこう、根性ある人なんやけど
紫陽花見つめる顔は、女の子らしくて可愛い。
『梅雨って外に出にくいし、髪もうねるし
あまり好きではないけど
雨上がりの光景は、好きなんだよね』
あ、それ、俺も思うてたことやんけ。
ふんわりと笑う笑顔は穏やかで少し見とれてしもうた。
なんやろ、照れ臭くなって
ふと、柳との会話を思い出して口にする。
「せや。赤い紫陽花の下には死体が埋まってるて話
聞いたことありますやろか?
あれ柳に言うたら、ため息着きながら説明してくれたんよ。
ホンマに物知りな奴でっせ」
茜さんはちょっと驚いた表情をしてから
クスクスと笑いだした。
『それ、私も同じ事を乾くんから聞いたよ』
「え、ホンマ?二人して、年下に教えられてますやん」
『ほんとだね』
話しながら、楽しそうに笑う茜さんは
いつもより無邪気で、幼く見える。
普段ゆっくり話す機会があまりなかったけど
穏やかで、優しくて、柔らかい人やと感じる。
なんか、ええなあ。この人の傍。
あったかい気持ちになれる。
『毛利くんは、どの色の紫陽花が好き?』
紫陽花についた雫に触れながら
茜さんは訪ねてきた。
「ん~……あの淡い色のやつええですね。
あ、でも濃い色のと混ざってるんも綺麗やと思います」
『わかる。だんだん色が変わってるの綺麗だよね』
紫陽花への感想や
練習でのこと、ご飯が美味しかったこと
学校のこと色んなことを話していたら
茜さんが、じっとこちらを見てはった。
「なんですの?」
『ううん。なんだかいいなって思って。
同じものを見て、同じ感想を言い合える人って
とても素敵だと思って。毛利くんは、あったかい人だね』
「……さっきから、同じこと思ってますやん」
『え?そうなの?似た者同士ってことかな?』
茜さんとなら、どこへ行っても何を見ても
きっと穏やかに笑って過ごせる気がする。
感覚とか、話す速度とか
そういうんが全部ピッタリと合う。
心地好ええ。
「…またこうして、一緒に過ごしたいです」
ついポロっと出た言葉に、自分で驚く。
あれ、俺はもしかして、と思いつつ
まだこの感情がわからへん。
『じゃあ今度、蛍見に行かない?
あともう少ししたら見られると思うの』
「ええですね。あ、蛍の次はヒマワリもええね」
『いいね!夏になるし星も綺麗だろうね』
「山やから、よう見えそうやね。秋は紅葉狩りやろか」
『ふふっ、これから楽しみがたくさんあるね』
お互い顔を見合わせて笑う。
これから先の日常に
茜さんに隣にいてほしい。
傍にいさせてほしい。
そう思いながら、また二人で紫陽花を見ていた。
(紫陽花て、花言葉はネガティブなんが多いんやて)
(よく知ってるね)
(幸村が前に教えてくれたんよ)
(ネガティブって例えば?)
(確か“浮気“とか“無常“とか)
(それはネガティブだね)
(でも色によって細かく言葉ちゃう言うてました)
(じゃあいっぱい言葉ありそうだね)
(今度、図書館で一緒に他の花言葉調べてみません?)
(いいね!楽しそう!
毛利くんは楽しみを見つける天才だね)
(ほなら、茜さんは俺を喜ばす天才やんけ)