I love you
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『え!U-17の合宿に呼ばれた?すごいじゃない!』
部活の後輩である、寿三郎くんが
にこにこと満面の笑みで報告しに来てくれた。
「へへっ、明日香先輩にはよ言いたくて
教室まで来てしもうた」
『わざわざ来てくれてありがとう』
休み時間に走って来てくれてた彼は
本当に嬉しそうにしている。
予鈴が鳴り、慌てて戻っていく彼の後ろ姿を見送りながら
代表メンバーに選ばれたことへの嬉しさと
しばらくの間、離れてしまうことへの寂しさとが入り交じる。
選手をサポートしなければならない立場である私は
喜ばなければいけないのに。
マネージャーでありながら
寿三郎くんに片思いをしている身としては
少しだけ、つらいのだ。
それからはあっという間で、彼は合宿へと旅立っていった。
こんなことを思ってはいけないが
寿三郎くんのいないテニスコートは物足りなく感じてしまい
あの眩しいキラキラとした笑顔が恋しくなる。
連絡は、主に寿三郎くんのほうから届いていた。
面白かったことや、楽しかったこと
きつい練習があったことなど
割りと頻繁に彼からメッセージが届くのだけど
届くたびに、その姿が見られないことがもどかしい。
私からも連絡したいのだけど
邪魔をしてはいけないという気持ちがあり
返信もちょっと遠慮がちになっている。
何年も離れているわけではないのに、と自嘲しつつ
こんなにも好きになっていたのかと改めて自覚し
また、彼が遠い存在に
なってしまったかのようにも思えてしまう。
会いたい。
部活の帰り道
寿三郎くんのことを思い浮かべながら帰路へと着く。
いつも通るこの道は、よく寿三郎くんと一緒に通っていた。
夜道は危ないやんけ
と言いながらいつも送ってくれていた彼は、今、いない。
夕日も沈みかけ
白く薄い月が出てきたのを立ち止まって見ていたら
ふいに人の気配を感じて、身構える。
「一人で帰るはやめんせーね。危ないやんけ」
『じゅ、寿三郎くん・・・?』
会いたいと思っていたから
一瞬幻覚なのかと思ってしまったけれど
紛れもなく、寿三郎くん本人だ。
「びっくりしんさった?ちょっと家の用事で帰省したんよ。
明日香先輩驚かせたくて、内緒にしてたんやけど
ええタイミングやったね」
嬉しすぎて、泣きそうになるのを堪えて
私は精一杯の笑顔でおかえり、と伝える。
へにゃっと笑ってただいま、と言われたら
胸が締め付けられるような感覚になる。
「少し、話しません?」
『うん。そうだね。私も話したいと思ってた』
近くの公園へと移動し、ベンチに腰掛けて
私のいない合宿のこと
寿三郎くんのいない部活のこと、色々と話をする。
「・・・けっこう、暗くなってきんさったね。
そろそろ、帰らんといかんね」
『そう、だね・・・』
明日のお昼にはまた合宿へと戻ってしまうらしく
また、しばらくは会えない。
今の彼に、告白なんかして
邪魔をしたくもないから
私は想いを封じ込めておかなければならない。
それでも、自己満足だけど
私は少しの勇気を出して月を見上げる。
『ねぇ、寿三郎くん。“月が綺麗ですね“』
あまり本を読まない彼は、きっと知らない言葉。
そうですね、の返事を待っていたのだけれど
さっきから寿三郎くんは黙ったまま。
おかしいなと思い、隣にいる彼に視線を向けると
真っ赤な顔をして固まっている。
え、嘘。この反応もしかして。
「な、なんて返すんが正解なんけ……?
えっと、確か死んでもええ、か?
いや、それくらい嬉しいけど死んだらアカンやん」
寿三郎くんは、ぶつぶつと呟き
しばらくするとパッとこちらを向く。
「明日香先輩!つ、月が、綺麗ですね!」
『……私、都合の良いように受け取っちゃうけど』
思いもよらない彼の言葉に思考が止まる。
“月が綺麗ですね“は“あなたを愛しています“
「俺も、都合のええように受け取りまっせ」
寿三郎くんの、熱い手が私の頬に触れる。
彼の体温を感じながら、私は静かに目を閉じた。
(寿三郎くん、知らないと思ってた)
(合宿所の先輩が教えてくれはったんです)
(そうなんだ。
男の子同士でそういう話するのってちょっと意外)
(……明日香先輩、よう本読んではるから
こういうの、好きなんかなって思ったんよ)
(……うん、好き)
(でも先に言われるとは思うてへんかった~。
先に言うんずるいですやん)
(だって、会えなくて少し寂しかったから…)
(俺も、寂しくなってもうて
家の用事や言うて、帰って来てしもうたんよ)
(え!サボりって言われない?大丈夫?)
(サボりやあらへんもん。充電でっせ!)
(ふふっ……私も、明日からの充電にしよ)
部活の後輩である、寿三郎くんが
にこにこと満面の笑みで報告しに来てくれた。
「へへっ、明日香先輩にはよ言いたくて
教室まで来てしもうた」
『わざわざ来てくれてありがとう』
休み時間に走って来てくれてた彼は
本当に嬉しそうにしている。
予鈴が鳴り、慌てて戻っていく彼の後ろ姿を見送りながら
代表メンバーに選ばれたことへの嬉しさと
しばらくの間、離れてしまうことへの寂しさとが入り交じる。
選手をサポートしなければならない立場である私は
喜ばなければいけないのに。
マネージャーでありながら
寿三郎くんに片思いをしている身としては
少しだけ、つらいのだ。
それからはあっという間で、彼は合宿へと旅立っていった。
こんなことを思ってはいけないが
寿三郎くんのいないテニスコートは物足りなく感じてしまい
あの眩しいキラキラとした笑顔が恋しくなる。
連絡は、主に寿三郎くんのほうから届いていた。
面白かったことや、楽しかったこと
きつい練習があったことなど
割りと頻繁に彼からメッセージが届くのだけど
届くたびに、その姿が見られないことがもどかしい。
私からも連絡したいのだけど
邪魔をしてはいけないという気持ちがあり
返信もちょっと遠慮がちになっている。
何年も離れているわけではないのに、と自嘲しつつ
こんなにも好きになっていたのかと改めて自覚し
また、彼が遠い存在に
なってしまったかのようにも思えてしまう。
会いたい。
部活の帰り道
寿三郎くんのことを思い浮かべながら帰路へと着く。
いつも通るこの道は、よく寿三郎くんと一緒に通っていた。
夜道は危ないやんけ
と言いながらいつも送ってくれていた彼は、今、いない。
夕日も沈みかけ
白く薄い月が出てきたのを立ち止まって見ていたら
ふいに人の気配を感じて、身構える。
「一人で帰るはやめんせーね。危ないやんけ」
『じゅ、寿三郎くん・・・?』
会いたいと思っていたから
一瞬幻覚なのかと思ってしまったけれど
紛れもなく、寿三郎くん本人だ。
「びっくりしんさった?ちょっと家の用事で帰省したんよ。
明日香先輩驚かせたくて、内緒にしてたんやけど
ええタイミングやったね」
嬉しすぎて、泣きそうになるのを堪えて
私は精一杯の笑顔でおかえり、と伝える。
へにゃっと笑ってただいま、と言われたら
胸が締め付けられるような感覚になる。
「少し、話しません?」
『うん。そうだね。私も話したいと思ってた』
近くの公園へと移動し、ベンチに腰掛けて
私のいない合宿のこと
寿三郎くんのいない部活のこと、色々と話をする。
「・・・けっこう、暗くなってきんさったね。
そろそろ、帰らんといかんね」
『そう、だね・・・』
明日のお昼にはまた合宿へと戻ってしまうらしく
また、しばらくは会えない。
今の彼に、告白なんかして
邪魔をしたくもないから
私は想いを封じ込めておかなければならない。
それでも、自己満足だけど
私は少しの勇気を出して月を見上げる。
『ねぇ、寿三郎くん。“月が綺麗ですね“』
あまり本を読まない彼は、きっと知らない言葉。
そうですね、の返事を待っていたのだけれど
さっきから寿三郎くんは黙ったまま。
おかしいなと思い、隣にいる彼に視線を向けると
真っ赤な顔をして固まっている。
え、嘘。この反応もしかして。
「な、なんて返すんが正解なんけ……?
えっと、確か死んでもええ、か?
いや、それくらい嬉しいけど死んだらアカンやん」
寿三郎くんは、ぶつぶつと呟き
しばらくするとパッとこちらを向く。
「明日香先輩!つ、月が、綺麗ですね!」
『……私、都合の良いように受け取っちゃうけど』
思いもよらない彼の言葉に思考が止まる。
“月が綺麗ですね“は“あなたを愛しています“
「俺も、都合のええように受け取りまっせ」
寿三郎くんの、熱い手が私の頬に触れる。
彼の体温を感じながら、私は静かに目を閉じた。
(寿三郎くん、知らないと思ってた)
(合宿所の先輩が教えてくれはったんです)
(そうなんだ。
男の子同士でそういう話するのってちょっと意外)
(……明日香先輩、よう本読んではるから
こういうの、好きなんかなって思ったんよ)
(……うん、好き)
(でも先に言われるとは思うてへんかった~。
先に言うんずるいですやん)
(だって、会えなくて少し寂しかったから…)
(俺も、寂しくなってもうて
家の用事や言うて、帰って来てしもうたんよ)
(え!サボりって言われない?大丈夫?)
(サボりやあらへんもん。充電でっせ!)
(ふふっ……私も、明日からの充電にしよ)