好きなタイプ
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「へぇ~、千歳も九州からの転校生やったんやねぇ」
「はい。そいけん四天宝寺のノリは
いまだによくわからんとです」
「俺は四天から立海やったから
四天のノリでいったら滑ってもうて…」
190cm越えのふたり、毛利と千歳は休憩時間中に
お互いの身の上話で盛り上がっていた。
転校生、ということだけでなく
好みや雰囲気がどことなく似ていて、お互い親近感が沸く。
「それで、校舎裏に大きか木のあって
そこで昼寝すると気持ちの良かとよ」
「ああ!あそこな!俺もようそこでサボってたんよ!」
テニスは好きだがサボり癖
放浪癖があるところも共通点だ。
話す雰囲気までもが似ていて
ゆったりと話すふたりの会話は、ほのぼのとしている。
『あれ?なんだか珍しい組み合わせね』
「静香ちゃん!」
声の主はこの合宿で
マネージャーをしている少女、静香だった。
「毛利先輩とは好みが似とるって、話よったとです」
『確かに二人とも雰囲気とか似てるよね』
「共通点も多いんよお」
共通点?と首を傾げた静香に
毛利が先程話していた内容を話す。
『本当に似ているところが多いね』
「似てへんところはどこやろね」
毛利の何気ない一言に、静香があっ、と声をあげた。
『じゃあ、好きな女の子のタイプは?』
「えっ!?」
毛利はどう答えるべきか悩んでいたが
千歳は何も気にすることなく
そうやねえ、と楽しそうにしている。
「俺は少し影のある子……
興味のそそられる子がタイプやね」
『中学生とは思えない大人な回答ね…毛利は?』
「お、俺は…その……」
柔らかい子がタイプではあるのだが
好きな女の子を目の前にして
なかなか答えることができない。
なんて答えるべきか悩んでいると
静香のスマホが鳴り、監督からの呼び出しで
彼女は去っていった。
「……もしかして」
「……アカンよ。静香ちゃんは、アカンよ?」
「どうやら、好みのタイプも似とるったい」
「えっ!?別に影のあるタイプとちゃうやんけ!」
「興味のそそられる子がタイプやけんね。
静香さんは魅力的ばい」
千歳の思わぬ発言に毛利は焦る。
ただでさえライバルは多いというのに
呑気に気が合うと楽しんでいた相手までもが
ライバルになろうとは。
「中学生の中でも、静香さんは人気やけんね。
気を付けんば、とられるたい」
千歳とわかれたあと
毛利はブラブラと歩きながら
千歳との会話を思い出していた。
自分の想い人が人気なことはわかっていた。
この合宿所で唯一の女子であり
見た目も良ければ、性格も良いのだ。
皆が興味を持つに決まっている。
(千歳も、好きなんやろか……)
好きとは言ってはいなかったが
言葉通り魅力的だとは思っているのだろう。
千歳の好意よりも、毛利は
千歳と話すときの静香の様子が気になっていた。
人見知りをしない彼女の新鮮な表情を思い出し
良からぬ想像が浮かぶ。
年下ではあるが、千歳は毛利にはない
男らしさと色気があり
あのふんわりとした雰囲気とのギャップは
同姓から見てもずるいと思える。
彼女がもし、千歳のことを好きだったらと考え
毛利はつい静香の名前を呟いた。
『呼んだ?』
「わああっ!?」
ポンッ、と背中を叩かれ振り返ると
にこにこと笑う静香がいた。
『ごめん、ごめん。驚かせちゃったね』
「び、ビックリした……えっと、どないしたん?
なんか用事でもあったんけ?」
『用事というか……毛利の様子がおかしかったから。
私、変なこと聞いちゃったんだよね?ごめんね』
好きなタイプを聞いたとき
毛利が答えず無言になったことを言っているのだろうか
少しだけしゅんとした表情で謝られる。
「謝るんはやめんせーね!
その、なんて答えたらええか
悩んでしもうただけなんよ。
せやから、聞かれて嫌やったわけでもない。
・・・静香ちゃんが、そないにしゅんとした顔しはったら
俺、どないしたらええか、わからへんよ」
様子のおかしい自分のことを
心配してくれたのは素直に嬉しかったが
彼女の悲しい顔は見たくはない。
静香にはいつも笑顔でいて欲しい。
毛利は彼女の視線に合わせて屈むと
自分の頬を引っ張って「ほら笑うて」と笑ってみせた。
『ふふっ・・・よかった。毛利は、優しいね』
「何言うてるん?
俺の心配してくれる静香ちゃんのほうが優しいやんけ」
お互い顔を見合わせて笑い合い
ふと、毛利は気になっていたことを口にしてみた。
「静香ちゃんは、千歳のこと、好きなん・・・?」
静香が目を見張ったので
毛利は最悪の返答を覚悟する。
『えぇ?好きって、人としては好きだけど』
「そうやなくて、い、異性として・・・恋愛的な感情とか・・・」
『ないない。全然ないよ。
むしろなんでそう思ったのかが不思議だけど・・・』
目を見張ったのはただ驚いただけだったのかと
毛利は安堵した。
「千歳と話すときの静香ちゃん
緊張してるように見えて・・・
せやから好きなんかなあって思うてしもうたんよ」
『確かに緊張はしてたかな。そこまでまだ仲良くもないしね』
ここまで聞いたのだから
この際ずっと聞きたかったことも聞いてみることにした。
「静香ちゃんの
好きなタイプって、どないな人・・・?」
自分は彼女の質問に答えていないので
フェアではないかもしれないが
静香の答えを待ってみることにした。
『好きなタイプか・・・そうね・・・』
なんてくるだろうか。
この合宿所には色んな男性がいる。
跡部のようなカリスマ性のあるタイプから
白石のような正統派のイケメンまで揃っているのだ。今から跡部のようになることは難しいが
毛利はできるだけ参考にしたいと思っていた。
『・・・私は、穏やかに話ができる人が良いな』
「穏やかに、話せる人?」
予想していなかった答えにきょとんとする。
『うん。それでいて優しくて
誰とでも仲良くなる、そんな人かな』
それならまだ自分でもいけるかもしれない、と
毛利が内心思っていると静香は優しく笑う。
『毛利とは、穏やかに話せるよ』
「それって・・・」
『あっ!そろそろ夕食の時間だよ!行こっ』
話の続きをしたかったが
楽しそうな笑顔の彼女に手を引かれて
毛利はもうしばらくはこのままでも良いかなと
思ったのだった。
(毛利の好きなタイプ、聞いてない)
(気づいてもうたか・・・)
(私だけ教えるのはフェアじゃないよ!)
(・・・俺は、柔らかい子がタイプ、やね)
(・・・そ、そう)
(えっ?なんやの?どういう反応?)
(いや、その・・・案外見た目を答える方なんだな~って)
(ちゃうよ!!そういう意味やない・・・って
見た目柔らかい子てなんなん!)
(ふくよか、とか胸大きい子とか、そういうのかと・・・)
(話す雰囲気とか、表情とか
そういうんが柔らかい子ってこと!
静香ちゃんみたいな子・・・・って、あ。)
(え・・・?)
「はい。そいけん四天宝寺のノリは
いまだによくわからんとです」
「俺は四天から立海やったから
四天のノリでいったら滑ってもうて…」
190cm越えのふたり、毛利と千歳は休憩時間中に
お互いの身の上話で盛り上がっていた。
転校生、ということだけでなく
好みや雰囲気がどことなく似ていて、お互い親近感が沸く。
「それで、校舎裏に大きか木のあって
そこで昼寝すると気持ちの良かとよ」
「ああ!あそこな!俺もようそこでサボってたんよ!」
テニスは好きだがサボり癖
放浪癖があるところも共通点だ。
話す雰囲気までもが似ていて
ゆったりと話すふたりの会話は、ほのぼのとしている。
『あれ?なんだか珍しい組み合わせね』
「静香ちゃん!」
声の主はこの合宿で
マネージャーをしている少女、静香だった。
「毛利先輩とは好みが似とるって、話よったとです」
『確かに二人とも雰囲気とか似てるよね』
「共通点も多いんよお」
共通点?と首を傾げた静香に
毛利が先程話していた内容を話す。
『本当に似ているところが多いね』
「似てへんところはどこやろね」
毛利の何気ない一言に、静香があっ、と声をあげた。
『じゃあ、好きな女の子のタイプは?』
「えっ!?」
毛利はどう答えるべきか悩んでいたが
千歳は何も気にすることなく
そうやねえ、と楽しそうにしている。
「俺は少し影のある子……
興味のそそられる子がタイプやね」
『中学生とは思えない大人な回答ね…毛利は?』
「お、俺は…その……」
柔らかい子がタイプではあるのだが
好きな女の子を目の前にして
なかなか答えることができない。
なんて答えるべきか悩んでいると
静香のスマホが鳴り、監督からの呼び出しで
彼女は去っていった。
「……もしかして」
「……アカンよ。静香ちゃんは、アカンよ?」
「どうやら、好みのタイプも似とるったい」
「えっ!?別に影のあるタイプとちゃうやんけ!」
「興味のそそられる子がタイプやけんね。
静香さんは魅力的ばい」
千歳の思わぬ発言に毛利は焦る。
ただでさえライバルは多いというのに
呑気に気が合うと楽しんでいた相手までもが
ライバルになろうとは。
「中学生の中でも、静香さんは人気やけんね。
気を付けんば、とられるたい」
千歳とわかれたあと
毛利はブラブラと歩きながら
千歳との会話を思い出していた。
自分の想い人が人気なことはわかっていた。
この合宿所で唯一の女子であり
見た目も良ければ、性格も良いのだ。
皆が興味を持つに決まっている。
(千歳も、好きなんやろか……)
好きとは言ってはいなかったが
言葉通り魅力的だとは思っているのだろう。
千歳の好意よりも、毛利は
千歳と話すときの静香の様子が気になっていた。
人見知りをしない彼女の新鮮な表情を思い出し
良からぬ想像が浮かぶ。
年下ではあるが、千歳は毛利にはない
男らしさと色気があり
あのふんわりとした雰囲気とのギャップは
同姓から見てもずるいと思える。
彼女がもし、千歳のことを好きだったらと考え
毛利はつい静香の名前を呟いた。
『呼んだ?』
「わああっ!?」
ポンッ、と背中を叩かれ振り返ると
にこにこと笑う静香がいた。
『ごめん、ごめん。驚かせちゃったね』
「び、ビックリした……えっと、どないしたん?
なんか用事でもあったんけ?」
『用事というか……毛利の様子がおかしかったから。
私、変なこと聞いちゃったんだよね?ごめんね』
好きなタイプを聞いたとき
毛利が答えず無言になったことを言っているのだろうか
少しだけしゅんとした表情で謝られる。
「謝るんはやめんせーね!
その、なんて答えたらええか
悩んでしもうただけなんよ。
せやから、聞かれて嫌やったわけでもない。
・・・静香ちゃんが、そないにしゅんとした顔しはったら
俺、どないしたらええか、わからへんよ」
様子のおかしい自分のことを
心配してくれたのは素直に嬉しかったが
彼女の悲しい顔は見たくはない。
静香にはいつも笑顔でいて欲しい。
毛利は彼女の視線に合わせて屈むと
自分の頬を引っ張って「ほら笑うて」と笑ってみせた。
『ふふっ・・・よかった。毛利は、優しいね』
「何言うてるん?
俺の心配してくれる静香ちゃんのほうが優しいやんけ」
お互い顔を見合わせて笑い合い
ふと、毛利は気になっていたことを口にしてみた。
「静香ちゃんは、千歳のこと、好きなん・・・?」
静香が目を見張ったので
毛利は最悪の返答を覚悟する。
『えぇ?好きって、人としては好きだけど』
「そうやなくて、い、異性として・・・恋愛的な感情とか・・・」
『ないない。全然ないよ。
むしろなんでそう思ったのかが不思議だけど・・・』
目を見張ったのはただ驚いただけだったのかと
毛利は安堵した。
「千歳と話すときの静香ちゃん
緊張してるように見えて・・・
せやから好きなんかなあって思うてしもうたんよ」
『確かに緊張はしてたかな。そこまでまだ仲良くもないしね』
ここまで聞いたのだから
この際ずっと聞きたかったことも聞いてみることにした。
「静香ちゃんの
好きなタイプって、どないな人・・・?」
自分は彼女の質問に答えていないので
フェアではないかもしれないが
静香の答えを待ってみることにした。
『好きなタイプか・・・そうね・・・』
なんてくるだろうか。
この合宿所には色んな男性がいる。
跡部のようなカリスマ性のあるタイプから
白石のような正統派のイケメンまで揃っているのだ。今から跡部のようになることは難しいが
毛利はできるだけ参考にしたいと思っていた。
『・・・私は、穏やかに話ができる人が良いな』
「穏やかに、話せる人?」
予想していなかった答えにきょとんとする。
『うん。それでいて優しくて
誰とでも仲良くなる、そんな人かな』
それならまだ自分でもいけるかもしれない、と
毛利が内心思っていると静香は優しく笑う。
『毛利とは、穏やかに話せるよ』
「それって・・・」
『あっ!そろそろ夕食の時間だよ!行こっ』
話の続きをしたかったが
楽しそうな笑顔の彼女に手を引かれて
毛利はもうしばらくはこのままでも良いかなと
思ったのだった。
(毛利の好きなタイプ、聞いてない)
(気づいてもうたか・・・)
(私だけ教えるのはフェアじゃないよ!)
(・・・俺は、柔らかい子がタイプ、やね)
(・・・そ、そう)
(えっ?なんやの?どういう反応?)
(いや、その・・・案外見た目を答える方なんだな~って)
(ちゃうよ!!そういう意味やない・・・って
見た目柔らかい子てなんなん!)
(ふくよか、とか胸大きい子とか、そういうのかと・・・)
(話す雰囲気とか、表情とか
そういうんが柔らかい子ってこと!
静香ちゃんみたいな子・・・・って、あ。)
(え・・・?)