芽生えた気持ち
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「今日の晩飯もうまかったわ~。ねー、月光さん!」
「ああ」
夕食を終えて部屋に戻る途中
上機嫌の毛利が越知にずっと話し掛けている。
今日の練習はどこがよかった
明日はここを練習したい
食事のメニューに野菜天丼もあったらいいのに、と。
越知はよくここまで色んな話ができるなと感心する。
ころころと表情のよく変わる毛利を見ていると
まるで大型犬のようにも見える。
「そんで、今日中学生達と……って、あー!!」
外を見て、いきなり叫ぶ毛利。
「どうした」
「美月ちゃん
またこんな時間に外出てますやん!
危ないからあかんよって言うたのに……
すんません、月光さん。ちょっと行ってきますわ!」
慌てて走って行く毛利と
のんびりと歩いている美月がひどく対照的で
越知は少しだけ自分の口許が緩んだ気がした。
「美月ちゃん!!」
『ん……?あぁ、毛利くん。どうしたの、そんなに慌てて』
穏やかに笑う彼女を見て、毛利はため息をつく。
「夜に一人で出歩くの、やめんせーね」
『んー、でも合宿所の中だよ?そこまで心配しなくても』
「合宿所の中でも!
男ばっかなんやから、女の子一人は危ないやん」
『そうかなあ』
美月は心配そうな顔をしている毛利が不思議だった。
前も何度か、夜散歩をしていたら
こうやって走ってきては夜道は危ないと言われる。
合宿関係者しか居ないこの中に
危険はないのに、と思いつつ
毎回走ってきてくれることが少し嬉しかった。
「美月ちゃんは、自覚ないかもしれんけど
・・・皆、美月ちゃんのこと狙うてるんよ」
『狙うって?』
「そ、それは・・・」
少し天然な彼女には、意味が伝わらなかったらしい。
改めて説明するわけにもいかず
毛利は誤魔化すことにした。
無自覚ならば、それはそれで良い。
彼女に言い寄る者がいれば、自分が守れば良いのだから。
『毛利くんが心配するかなって、思ってはいるんだけど
今日みたいに月が綺麗な日は
お散歩したくなっちゃうんだよね。
ごめんね、心配掛けちゃって』
彼女の困ったような笑顔を見て
毛利は少し胸がきゅっとした。
「・・・心配なんやけど
俺が美月ちゃんのすることに口出するんは
やっぱおかしいやんね・・・」
可愛くて、猫のように
どこか掴みどころのない美月を見ていると
毛利はいつも心配になるのだった。
このまま誰かに連れ去られてしまうのではないか
夜の暗闇にふっと、消えてしまうのではないかと。
心配する気持ちが先走って
彼女の行動を制限するようなことをしてしまっているが
自分は彼氏でも、保護者でもない。
ただの友達であり、選手とマネージャー。
そう考えると、かなり勘違いの行動ではないかと
不安になってきていた。
『そう?おかしいっては思ってないよ。
私が危なっかしいから
心配してくれてるんだな~って
ありがたいな~って思っちゃう。
走ってまで来てくれるの、嬉しいよ。ありがとう』
裏表のない素直な言葉と柔らかい笑顔。
美月のこういうところが、毛利は好きだった。
つい、抱きしめてしまいそうになる気持ちと
好きだと伝えそうになる想いを抑えて、毛利は微笑み返す。
話しているうちに、少し冷えてきた。
「山の上やから冷えてきんさったね。寒ない?」
『少し、肌寒いかな』
毛利は着ていたジャージの上着を脱いで
美月の肩にかける。
風邪をひかないように、咄嗟に羽織らせたものの
ふと、自分のジャージが洗濯前だったことを思い出す。
「あっ!!やっぱ、あかん!これ洗濯前のやつやんけ!」
『え?気にしないよ?』
「でも・・・、汗の臭いとかしやるよ・・・?」
『しないよ。だからこのまま借りてもいいかな?』
格好つけたつもりが、様にならない。
毛利は恥ずかしくなったが
彼女の意思を尊重することにした。
『ふふふっ、見て見て!
やっぱり毛利くんのサイズ大きいね。
私が着るとワンピースみたいになっちゃう』
はしゃいでそう話す彼女の姿は、
もはや毛利のジャージしか着ていないように見える。
下がハーフパンツだったからなおさらだ。
(あかん、めっちゃ可愛い・・・。
彼シャツって男のロマンやって
種ヶ島さんが言うてはったけど、わかるわぁ・・・)
『越知さんのを着たら、もっと長くなっちゃうかな?』
「せやね。・・・けど、他の男のは、着たらあかんよ。
俺のだけしか、着てほしくないんよ」
言いながら、こんなにも自分が
彼女のことを好きでたまらないのだと実感する。
『……?わかった。
毛利くんがそう言うなら、他の人からは借りないよ。
毛利くんが嫌なことはしたくないもの』
「……美月ちゃんは、ほんまに優しい人やんねえ」
『毛利くんこそ。優しい人だよ。いつもありがとう』
好きだという気持ちを伝えてしまったら
この心地よい関係が壊れてしまいそうで怖い。
今はまだ、このままで彼女を守る存在でいよう。
この場所は、他の誰にも渡さない。
自分の中で嫉妬心が芽生えたことに少し戸惑いつつ
毛利は美月と一緒に、しばらく夜の散歩を楽しんだ。
(毛利、ジャージを見つめてどうした?)
(え!い、いや、そのー…月光さん、俺のジャージ
汗の臭いとかしやる?)
(さして問題はないが…いつもと違う香りがするな)
(え!ほんま!?…これ………美月ちゃんの香りやんけ)
(……散歩は楽しめたようだな)
(冷えてきんさったから、ジャージ貸しただけですからね!)
(…わかっている)
(だ、抱き締めたりとかしてへんですから!
したかったけど……)
(…………)
(…………洗うん、勿体ないわ)
「ああ」
夕食を終えて部屋に戻る途中
上機嫌の毛利が越知にずっと話し掛けている。
今日の練習はどこがよかった
明日はここを練習したい
食事のメニューに野菜天丼もあったらいいのに、と。
越知はよくここまで色んな話ができるなと感心する。
ころころと表情のよく変わる毛利を見ていると
まるで大型犬のようにも見える。
「そんで、今日中学生達と……って、あー!!」
外を見て、いきなり叫ぶ毛利。
「どうした」
「美月ちゃん
またこんな時間に外出てますやん!
危ないからあかんよって言うたのに……
すんません、月光さん。ちょっと行ってきますわ!」
慌てて走って行く毛利と
のんびりと歩いている美月がひどく対照的で
越知は少しだけ自分の口許が緩んだ気がした。
「美月ちゃん!!」
『ん……?あぁ、毛利くん。どうしたの、そんなに慌てて』
穏やかに笑う彼女を見て、毛利はため息をつく。
「夜に一人で出歩くの、やめんせーね」
『んー、でも合宿所の中だよ?そこまで心配しなくても』
「合宿所の中でも!
男ばっかなんやから、女の子一人は危ないやん」
『そうかなあ』
美月は心配そうな顔をしている毛利が不思議だった。
前も何度か、夜散歩をしていたら
こうやって走ってきては夜道は危ないと言われる。
合宿関係者しか居ないこの中に
危険はないのに、と思いつつ
毎回走ってきてくれることが少し嬉しかった。
「美月ちゃんは、自覚ないかもしれんけど
・・・皆、美月ちゃんのこと狙うてるんよ」
『狙うって?』
「そ、それは・・・」
少し天然な彼女には、意味が伝わらなかったらしい。
改めて説明するわけにもいかず
毛利は誤魔化すことにした。
無自覚ならば、それはそれで良い。
彼女に言い寄る者がいれば、自分が守れば良いのだから。
『毛利くんが心配するかなって、思ってはいるんだけど
今日みたいに月が綺麗な日は
お散歩したくなっちゃうんだよね。
ごめんね、心配掛けちゃって』
彼女の困ったような笑顔を見て
毛利は少し胸がきゅっとした。
「・・・心配なんやけど
俺が美月ちゃんのすることに口出するんは
やっぱおかしいやんね・・・」
可愛くて、猫のように
どこか掴みどころのない美月を見ていると
毛利はいつも心配になるのだった。
このまま誰かに連れ去られてしまうのではないか
夜の暗闇にふっと、消えてしまうのではないかと。
心配する気持ちが先走って
彼女の行動を制限するようなことをしてしまっているが
自分は彼氏でも、保護者でもない。
ただの友達であり、選手とマネージャー。
そう考えると、かなり勘違いの行動ではないかと
不安になってきていた。
『そう?おかしいっては思ってないよ。
私が危なっかしいから
心配してくれてるんだな~って
ありがたいな~って思っちゃう。
走ってまで来てくれるの、嬉しいよ。ありがとう』
裏表のない素直な言葉と柔らかい笑顔。
美月のこういうところが、毛利は好きだった。
つい、抱きしめてしまいそうになる気持ちと
好きだと伝えそうになる想いを抑えて、毛利は微笑み返す。
話しているうちに、少し冷えてきた。
「山の上やから冷えてきんさったね。寒ない?」
『少し、肌寒いかな』
毛利は着ていたジャージの上着を脱いで
美月の肩にかける。
風邪をひかないように、咄嗟に羽織らせたものの
ふと、自分のジャージが洗濯前だったことを思い出す。
「あっ!!やっぱ、あかん!これ洗濯前のやつやんけ!」
『え?気にしないよ?』
「でも・・・、汗の臭いとかしやるよ・・・?」
『しないよ。だからこのまま借りてもいいかな?』
格好つけたつもりが、様にならない。
毛利は恥ずかしくなったが
彼女の意思を尊重することにした。
『ふふふっ、見て見て!
やっぱり毛利くんのサイズ大きいね。
私が着るとワンピースみたいになっちゃう』
はしゃいでそう話す彼女の姿は、
もはや毛利のジャージしか着ていないように見える。
下がハーフパンツだったからなおさらだ。
(あかん、めっちゃ可愛い・・・。
彼シャツって男のロマンやって
種ヶ島さんが言うてはったけど、わかるわぁ・・・)
『越知さんのを着たら、もっと長くなっちゃうかな?』
「せやね。・・・けど、他の男のは、着たらあかんよ。
俺のだけしか、着てほしくないんよ」
言いながら、こんなにも自分が
彼女のことを好きでたまらないのだと実感する。
『……?わかった。
毛利くんがそう言うなら、他の人からは借りないよ。
毛利くんが嫌なことはしたくないもの』
「……美月ちゃんは、ほんまに優しい人やんねえ」
『毛利くんこそ。優しい人だよ。いつもありがとう』
好きだという気持ちを伝えてしまったら
この心地よい関係が壊れてしまいそうで怖い。
今はまだ、このままで彼女を守る存在でいよう。
この場所は、他の誰にも渡さない。
自分の中で嫉妬心が芽生えたことに少し戸惑いつつ
毛利は美月と一緒に、しばらく夜の散歩を楽しんだ。
(毛利、ジャージを見つめてどうした?)
(え!い、いや、そのー…月光さん、俺のジャージ
汗の臭いとかしやる?)
(さして問題はないが…いつもと違う香りがするな)
(え!ほんま!?…これ………美月ちゃんの香りやんけ)
(……散歩は楽しめたようだな)
(冷えてきんさったから、ジャージ貸しただけですからね!)
(…わかっている)
(だ、抱き締めたりとかしてへんですから!
したかったけど……)
(…………)
(…………洗うん、勿体ないわ)