きみはクラスメート(中編小説)
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『よし、行こう』
今日は合格発表の日。
家で確認しようかと思ったけど
怖くて、心細くて
私は修二とよく行く公園で確認することにした。
もちろん、修二と一緒に。
公園に着くと既にいつものベンチに彼は座っていて
ちゃい☆と、明るく手を振ってくれた。
「ハハッ!顔強張ってるやん」
『仕方ないでしょっ』
「学校の前の掲示板に貼り出されたん見る〜
ってシチュエーションに憧れとったんやけどなあ」
『確かにちょっとやってみたかったけど…』
でもあれって
不合格の人の前で喜ぶんだよね。
それってちょっと道徳的にどうなんだろうか。
それに自分が落ちていたら……
と考えていたらオデコに軽くデコピンされた。
「ほらでた。余計なこと考えてる顔やん」
『だって…』
「俺がついとるから」
もうそろそろ、合格の確認ができる。
受験した大学のホームページに
受験番号が記載されていれば合格だ。
息を吸うことも忘れてしまうほどの緊張が私を襲い
タップする指先が震える。
修二はそんな私を見て小さく笑い
なんで笑うのだと睨みつけたら
私の手ごとスマホを握って膝に置かれた。
「よっしゃ。見る前に息抜きしよか」
『息抜きなんて良いから…』
「最初はグー☆ジャンケン…ポン!」
高らかな声でじゃんけんを促されたので
つい、つられてじゃんけんをする。
「あっち向いてホイ☆」
『うっ…!もっかい!』
見事なまでに修二の指す方に顔を向けてしまって
その後も何度か試したけれど全く勝てない。
『な、なんで勝てないの……』
「ちゃい☆俺の特技やねん。よし、肩の力抜けたな」
突拍子もないあっち向いてホイのおかげで
さっきまでの緊張はなくなって
口元に笑みが溢れている自分に驚いた。
もう大丈夫だと、深呼吸してもう一度スマホをタップする。
空いた片方の手には、修二の大きな手があるから
なにも怖くはなかった。
『あっ………あった…』
画面には、私の受験番号が表示されている。
受かった。
合格したのだ。
『修二、やった…って、わぁっ!』
「おめでとうさん!!」
外にいることなんて忘れてしまうくらい
強い力で思いきり抱きしめられた。
嬉しさよりも安心したというか
とにかく肩の荷が降りた感じがして
張り詰めていた糸が切れて涙が出てきてしまった。
修二は私が落ち着くまでの間
とんとんと、背中を優しくさすってくれた。
「ホンマに良かった。これで叶ったな」
叶った。
確かに目標の第一歩は叶った。
だけど、本当に叶えたいことはまだまだこれから始まる。
『……私ね、哲学とか思想に興味があって。
ここの大学の哲学科なら、詳しく学べる。
だから絶対に、ここに入学したかった』
「せやからあの時、図書室で話した時から
中国禅宗のこと知ってたんやな」
『うん。最初は東洋哲学しか興味なかったんだけどね。
この前オーストラリアに行って
何もかもが日本とは異なっているのを見て
根本的な概念の違いを知りたいと思った。
…修二のおかげでね
私の世界がどれだけ狭いものだったのか
気づくことができたんだよ』
進路のことだけではない。
自分を偽ってばかりいた私を
修二が引っ張って広い世界に連れ出してくれた。
いろんなものを見せてくれた。
私を変えてくれた。
今まで転校という理由で色んな所を転々とし
その場をただうまく過ごすことだけを考えてやってきたから
今度こそ、自分の選択で
行ったことのない場所で
新しい自分で生きていきたいとも思ったのだ。
自分と向き合わせてくれた修二に
どれだけ感謝してもしきれないし
どれだけ想いを口にしても
伝えられないほど愛しい気持ちで溢れている。
『離れるの、正直怖い。
一緒にいたい。
だけど、修二が頑張るから、私も頑張る』
「…俺なぁ、これでもけっこう不安に思ってんねん。
らしくないかもしれへんけど
俺も、玲がおるから、頑張れる。
待っといてくれる人がおるって思えば、ホンマに心強いわ」
修二はそう言うと
触れるだけの優しいキスをしてくれた。
私の支えが貴方であるように
貴方の支えに、私はなろう。
歩む道は違っても、見据える先はきっと同じ。
だから、大丈夫。
きみはクラスメートで
愛しくてたまらない恋人で
一生の付き合いになる、大切な人。
今日は合格発表の日。
家で確認しようかと思ったけど
怖くて、心細くて
私は修二とよく行く公園で確認することにした。
もちろん、修二と一緒に。
公園に着くと既にいつものベンチに彼は座っていて
ちゃい☆と、明るく手を振ってくれた。
「ハハッ!顔強張ってるやん」
『仕方ないでしょっ』
「学校の前の掲示板に貼り出されたん見る〜
ってシチュエーションに憧れとったんやけどなあ」
『確かにちょっとやってみたかったけど…』
でもあれって
不合格の人の前で喜ぶんだよね。
それってちょっと道徳的にどうなんだろうか。
それに自分が落ちていたら……
と考えていたらオデコに軽くデコピンされた。
「ほらでた。余計なこと考えてる顔やん」
『だって…』
「俺がついとるから」
もうそろそろ、合格の確認ができる。
受験した大学のホームページに
受験番号が記載されていれば合格だ。
息を吸うことも忘れてしまうほどの緊張が私を襲い
タップする指先が震える。
修二はそんな私を見て小さく笑い
なんで笑うのだと睨みつけたら
私の手ごとスマホを握って膝に置かれた。
「よっしゃ。見る前に息抜きしよか」
『息抜きなんて良いから…』
「最初はグー☆ジャンケン…ポン!」
高らかな声でじゃんけんを促されたので
つい、つられてじゃんけんをする。
「あっち向いてホイ☆」
『うっ…!もっかい!』
見事なまでに修二の指す方に顔を向けてしまって
その後も何度か試したけれど全く勝てない。
『な、なんで勝てないの……』
「ちゃい☆俺の特技やねん。よし、肩の力抜けたな」
突拍子もないあっち向いてホイのおかげで
さっきまでの緊張はなくなって
口元に笑みが溢れている自分に驚いた。
もう大丈夫だと、深呼吸してもう一度スマホをタップする。
空いた片方の手には、修二の大きな手があるから
なにも怖くはなかった。
『あっ………あった…』
画面には、私の受験番号が表示されている。
受かった。
合格したのだ。
『修二、やった…って、わぁっ!』
「おめでとうさん!!」
外にいることなんて忘れてしまうくらい
強い力で思いきり抱きしめられた。
嬉しさよりも安心したというか
とにかく肩の荷が降りた感じがして
張り詰めていた糸が切れて涙が出てきてしまった。
修二は私が落ち着くまでの間
とんとんと、背中を優しくさすってくれた。
「ホンマに良かった。これで叶ったな」
叶った。
確かに目標の第一歩は叶った。
だけど、本当に叶えたいことはまだまだこれから始まる。
『……私ね、哲学とか思想に興味があって。
ここの大学の哲学科なら、詳しく学べる。
だから絶対に、ここに入学したかった』
「せやからあの時、図書室で話した時から
中国禅宗のこと知ってたんやな」
『うん。最初は東洋哲学しか興味なかったんだけどね。
この前オーストラリアに行って
何もかもが日本とは異なっているのを見て
根本的な概念の違いを知りたいと思った。
…修二のおかげでね
私の世界がどれだけ狭いものだったのか
気づくことができたんだよ』
進路のことだけではない。
自分を偽ってばかりいた私を
修二が引っ張って広い世界に連れ出してくれた。
いろんなものを見せてくれた。
私を変えてくれた。
今まで転校という理由で色んな所を転々とし
その場をただうまく過ごすことだけを考えてやってきたから
今度こそ、自分の選択で
行ったことのない場所で
新しい自分で生きていきたいとも思ったのだ。
自分と向き合わせてくれた修二に
どれだけ感謝してもしきれないし
どれだけ想いを口にしても
伝えられないほど愛しい気持ちで溢れている。
『離れるの、正直怖い。
一緒にいたい。
だけど、修二が頑張るから、私も頑張る』
「…俺なぁ、これでもけっこう不安に思ってんねん。
らしくないかもしれへんけど
俺も、玲がおるから、頑張れる。
待っといてくれる人がおるって思えば、ホンマに心強いわ」
修二はそう言うと
触れるだけの優しいキスをしてくれた。
私の支えが貴方であるように
貴方の支えに、私はなろう。
歩む道は違っても、見据える先はきっと同じ。
だから、大丈夫。
きみはクラスメートで
愛しくてたまらない恋人で
一生の付き合いになる、大切な人。