きみはクラスメート(中編小説)
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デート当日、ドキドキしながら待ち合わせ場所へと向かう。
デートは今までだって何回もしているのに
いつまでたっても気持ちが落ち着かず
ソワソワしてしまっている。
朝から夕方まで
丸一日一緒に出掛けられることは滅多にないから
一段と浮足立っているのかもしれない。
途中でトイレに寄って
身だしなみを何度もチェックしたにも関わらず
待ち合わせた時間より
15分ほど早めに着いたのだけど
種ヶ島は既に到着していた。
『ごめんね!待たせちゃったよね』
「待ってへんよ〜。
俺が早すぎただけやでって
玲ちゃんもえらいはよ来たなあ」
『た、たまたまです……』
楽しみすぎて早く来たくせに
何を嘘ついてるんだと我ながら呆れるが
もちろんバレているのだろう
種ヶ島は嬉しそうな顔をしている。
「ほな行こか☆楽しみやなあ〜」
当たり前のように繋がれた手や
移動中の電車で人混みから守ってくれたこと
車道側を歩いてくれること
全てにドキドキしっぱなしで
これからの時間
この人を独り占めできることが贅沢過ぎる。
「よっし!到着!今日はいっぱい楽しもなっ!」
『うん!』
到着したのは、夢の国。
種ヶ島からのお願いで来ることになったのだけど
ちょっとだけ予想外だった。
だけど入口から写真を撮りまくっている姿を見ていると
本当に来たかったんだなと可愛らしく思えてきた。
「なぁ、アレ付けようや☆」
『どれって……えぇっ!』
種ヶ島が指を指したのは
テーマパークではお馴染みの某キャラクターの耳。
正直、ああいうのを付けるのは抵抗がある。
というか、可愛い子が付けてたら微笑ましいのだけど
私が付けるのはキャラじゃないというか…
チラリと種ヶ島を見るとキラキラした目をしているから
私は観念するしかなさそう。
「修さんとしてはお揃いが嬉しいんやけどなあ」
『じゃあ私はこのリボンついたやつにしようかな』
「ほんなら俺はこっちの帽子ついたやつやな。
ええなあ。カップルって感じやなあ。
あ、写真も撮ろな!」
『うん!』
周りを見れば幸せそうなカップルがたくさんいて
私達も同じように見えているのかな、なんて
考えながら二人でパーク内の地図を見て
どこに行くか決める。
気になっていたアトラクションは全部長蛇の列だけど
二人で話してたらあっという間で
待っている時間さえも楽しくてたまらない。
『けっこう乗ったね〜』
「せやなぁ。疲れたやろ?そろそろ休憩しよか。
飲み物とか買うてくるな」
夢の国のキャラクターがモチーフになっている
ベンチに座らされて待っていると
コーヒーと、チュロスを買って来てくれた。
『……ねぇ、ちょっとこっち向いて』
「ん?どないしたん?」
スマホを向けて、パシャリと写真を撮る。
「えっ!なんで今なん?」
『いや、だって耳付けて
チュロス持って背景にアトラクションあって…
満喫してます感満載でつい』
いつもは格好良いのに、今日は可愛くてズルい。
撮った写真を見て笑っていると
種ヶ島はピッタリと横に座って
自分のスマホを取り出した。
「一緒に撮らな意味ないやん。
ほら、こっち向いてや」
触れるんじゃないかってくらい頬を寄せて
二人で写真を撮る。
あぁ、もう、心臓がうるさい。
種ヶ島は撮った写真をすぐに送ってくれたのだけど
ロック画面に設定するって言い出したので
私は必死に止めたのだった。
それからはまたいくつかアトラクションを楽しんで
ショップでお土産とかぬいぐるみとか買って
またちょっと休憩したら
辺りは暗くなり始めていた。
そろそろ、夢の国も終わり。
帰りたくない、そう思うと無意識に
種ヶ島の手を強く握っていたようで
全てを見透かしたような顔で見つめられる。
「パーク内のライトアップまで見て帰らへん?
綺麗らしいで」
『うん。見たい』
彼の提案に即答し、少し歩いて場所を変えた。
さっきまで明るく楽しげな雰囲気だったのに
少し落ち着いたムードのある雰囲気へと変わってきた。
どこからか聴こえてくるBGMも
ジャズテイストな曲調だ。
「ここらへん、この時間はちょっと落ち着いて
過ごせる場所らしいねん」
『ほんと、昼間とは違う雰囲気だね』
あんなにはしゃいでいたのに
種ヶ島の横顔も、昼間とは違って大人びて見える。
「せや、ずっと言いたかったんやけどな
そろそろ“種ヶ島”はやめへん?」
『ん?どういうこと?』
「せやから、な·ま·え。
ええ加減名前で呼んで欲しいねんけど」
言われて気がついた。
あまりにも“種ヶ島”って呼ぶことが定着していて
名前で呼んだことがなかった。
名前くらい、と思ったけれど
いざ口にしようとしたら
予想以上に気恥ずかしさがこみ上げてきて
喉の奥につっかえる。
「玲」
甘くて、低くくて、優しい声が響く。
愛しさがこみ上げてきて
なんだか泣きそうになって種ヶ島を見上げると
なんちゅー顔してんねんって笑われた。
『修二…』
勇気を振り絞って言った名前は
思っていたよりも小さな声しか出なくて
聞こえなかったのではないかと不安になったけど
彼の顔を見ると
どうやらちゃんと聞こえているようだった。
『…そんな顔、するんだね』
「予想以上の破壊力ってやつやなあ…」
私より上手なはずなのに、名前を呼んだだけで
こんなにも照れてくれるなんて嬉しくて
帰り道、寂しいなんて
思うことはなかったのだった。
デートは今までだって何回もしているのに
いつまでたっても気持ちが落ち着かず
ソワソワしてしまっている。
朝から夕方まで
丸一日一緒に出掛けられることは滅多にないから
一段と浮足立っているのかもしれない。
途中でトイレに寄って
身だしなみを何度もチェックしたにも関わらず
待ち合わせた時間より
15分ほど早めに着いたのだけど
種ヶ島は既に到着していた。
『ごめんね!待たせちゃったよね』
「待ってへんよ〜。
俺が早すぎただけやでって
玲ちゃんもえらいはよ来たなあ」
『た、たまたまです……』
楽しみすぎて早く来たくせに
何を嘘ついてるんだと我ながら呆れるが
もちろんバレているのだろう
種ヶ島は嬉しそうな顔をしている。
「ほな行こか☆楽しみやなあ〜」
当たり前のように繋がれた手や
移動中の電車で人混みから守ってくれたこと
車道側を歩いてくれること
全てにドキドキしっぱなしで
これからの時間
この人を独り占めできることが贅沢過ぎる。
「よっし!到着!今日はいっぱい楽しもなっ!」
『うん!』
到着したのは、夢の国。
種ヶ島からのお願いで来ることになったのだけど
ちょっとだけ予想外だった。
だけど入口から写真を撮りまくっている姿を見ていると
本当に来たかったんだなと可愛らしく思えてきた。
「なぁ、アレ付けようや☆」
『どれって……えぇっ!』
種ヶ島が指を指したのは
テーマパークではお馴染みの某キャラクターの耳。
正直、ああいうのを付けるのは抵抗がある。
というか、可愛い子が付けてたら微笑ましいのだけど
私が付けるのはキャラじゃないというか…
チラリと種ヶ島を見るとキラキラした目をしているから
私は観念するしかなさそう。
「修さんとしてはお揃いが嬉しいんやけどなあ」
『じゃあ私はこのリボンついたやつにしようかな』
「ほんなら俺はこっちの帽子ついたやつやな。
ええなあ。カップルって感じやなあ。
あ、写真も撮ろな!」
『うん!』
周りを見れば幸せそうなカップルがたくさんいて
私達も同じように見えているのかな、なんて
考えながら二人でパーク内の地図を見て
どこに行くか決める。
気になっていたアトラクションは全部長蛇の列だけど
二人で話してたらあっという間で
待っている時間さえも楽しくてたまらない。
『けっこう乗ったね〜』
「せやなぁ。疲れたやろ?そろそろ休憩しよか。
飲み物とか買うてくるな」
夢の国のキャラクターがモチーフになっている
ベンチに座らされて待っていると
コーヒーと、チュロスを買って来てくれた。
『……ねぇ、ちょっとこっち向いて』
「ん?どないしたん?」
スマホを向けて、パシャリと写真を撮る。
「えっ!なんで今なん?」
『いや、だって耳付けて
チュロス持って背景にアトラクションあって…
満喫してます感満載でつい』
いつもは格好良いのに、今日は可愛くてズルい。
撮った写真を見て笑っていると
種ヶ島はピッタリと横に座って
自分のスマホを取り出した。
「一緒に撮らな意味ないやん。
ほら、こっち向いてや」
触れるんじゃないかってくらい頬を寄せて
二人で写真を撮る。
あぁ、もう、心臓がうるさい。
種ヶ島は撮った写真をすぐに送ってくれたのだけど
ロック画面に設定するって言い出したので
私は必死に止めたのだった。
それからはまたいくつかアトラクションを楽しんで
ショップでお土産とかぬいぐるみとか買って
またちょっと休憩したら
辺りは暗くなり始めていた。
そろそろ、夢の国も終わり。
帰りたくない、そう思うと無意識に
種ヶ島の手を強く握っていたようで
全てを見透かしたような顔で見つめられる。
「パーク内のライトアップまで見て帰らへん?
綺麗らしいで」
『うん。見たい』
彼の提案に即答し、少し歩いて場所を変えた。
さっきまで明るく楽しげな雰囲気だったのに
少し落ち着いたムードのある雰囲気へと変わってきた。
どこからか聴こえてくるBGMも
ジャズテイストな曲調だ。
「ここらへん、この時間はちょっと落ち着いて
過ごせる場所らしいねん」
『ほんと、昼間とは違う雰囲気だね』
あんなにはしゃいでいたのに
種ヶ島の横顔も、昼間とは違って大人びて見える。
「せや、ずっと言いたかったんやけどな
そろそろ“種ヶ島”はやめへん?」
『ん?どういうこと?』
「せやから、な·ま·え。
ええ加減名前で呼んで欲しいねんけど」
言われて気がついた。
あまりにも“種ヶ島”って呼ぶことが定着していて
名前で呼んだことがなかった。
名前くらい、と思ったけれど
いざ口にしようとしたら
予想以上に気恥ずかしさがこみ上げてきて
喉の奥につっかえる。
「玲」
甘くて、低くくて、優しい声が響く。
愛しさがこみ上げてきて
なんだか泣きそうになって種ヶ島を見上げると
なんちゅー顔してんねんって笑われた。
『修二…』
勇気を振り絞って言った名前は
思っていたよりも小さな声しか出なくて
聞こえなかったのではないかと不安になったけど
彼の顔を見ると
どうやらちゃんと聞こえているようだった。
『…そんな顔、するんだね』
「予想以上の破壊力ってやつやなあ…」
私より上手なはずなのに、名前を呼んだだけで
こんなにも照れてくれるなんて嬉しくて
帰り道、寂しいなんて
思うことはなかったのだった。