きみはクラスメート(中編小説)
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早退したのが金曜日でよかった。
土日休みのおかげで種ヶ島に会うことはなく
少しだけ、気持ちの整理ができた。
整理ができた、と言って良いのかわからないけど
決意というか、気持ちは固まったので
私は引きこもっていた部屋から出て
近くのコンビニまで出掛けることにした。
途中、ふとあの日
レンタルショップで種ヶ島とたまたま
遭遇したことを思い出して
なんとなく、近くに行ってみたくなった。
思えばあの日が初めて
きちんと種ヶ島と話をした日だったから。
彼はあの時
私こオススメの映画をいくつか借りて行ったけど
また映画の話ができる日なんて来るのだろうか。
私が、言葉にしてしまったら
もう今までの関係は全て崩れ去ってしまうのではないか。
怖い。
それが1番の感情。
レンタルショップをただ、ぼーっと眺めて
来た道を戻ろうと振り返った時
会いたかったようで
会いたくなかった人が歩いて来ていた。
「えっ、玲ちゃんやん」
『うそ…種ヶ島…』
種ヶ島もここで私に会うなんて予想外だったのか
大きな目をパチパチとさせて
珍しく驚いた表情をしている。
「またなんか映画借りたん?」
『え、いや……ただ近くを散歩しただけ…』
「……さよか」
言葉が思いつかなくて沈黙が続く。
顔を見ることができなくて、ただ下をむいていたら
ちょっと話さへん?と尋ねられ
近くの公園へと移動することにした。
「体調は大丈夫なん?」
『あ、うん。大丈夫…』
「昼休み終わったらおらんのやもん。ビックリしたわ」
『………』
昼休み、というワードに思わず固まる。
脳裏によぎるのは、あの中庭の光景。
どうしよう。
気持ちの整理なんて、全くついてないじゃないか。
「玲ちゃん。
あんな、言わなアカンことあんねんけど」
ヒヤリ、と背筋に水を浴びせられたように身体が強張る。
いやだ。聞きたくない。
想いを伝えないまま私はフラレるの?
私が話すよりも、先に話さないでほしいのに。
「俺な、卒業したら海外行こうと思うてて」
『え………?』
「この前フランスの強い奴らと試合してなあ。
結果は勝てたんやけど、今の俺ではもう勝てへん。
あの時やったから勝てたようなもんやったんや。
せやから、もっと色々見たくなってな」
私はてっきり
彼女ができた、という話かと思っていたので
想像していなかった言葉に
困惑はしたけど安堵してしまった。
そして、油断した。
『話って…そんなこと…』
ハッと、口をつぐんだときにはもう遅かった。
種ヶ島は一瞬目を見開いたかと思うと
すぐに薄ら笑みを浮かべて私から視線を反らした。
「……ひどいわあ。
俺にとっては一大決心やったんやで。
まあ、玲ちゃんにとっては
そんなこと、かもしれへんけどな」
『え、やっ、違う……!
今のはそういう意味じゃなくて…』
「ほんなら、どないな意味か教えてくれへん?」
『そ、れは……』
種ヶ島の視線が痛い。
鋭くて、突き刺さるような冷たい視線。
この時、ちゃんと言えば良かったのに
私は何も言えなくなって
もう体調崩さんようにな、と言って
去って行く彼の寂しそうな後ろ姿を
ただただ見つめたのだった。
土日休みのおかげで種ヶ島に会うことはなく
少しだけ、気持ちの整理ができた。
整理ができた、と言って良いのかわからないけど
決意というか、気持ちは固まったので
私は引きこもっていた部屋から出て
近くのコンビニまで出掛けることにした。
途中、ふとあの日
レンタルショップで種ヶ島とたまたま
遭遇したことを思い出して
なんとなく、近くに行ってみたくなった。
思えばあの日が初めて
きちんと種ヶ島と話をした日だったから。
彼はあの時
私こオススメの映画をいくつか借りて行ったけど
また映画の話ができる日なんて来るのだろうか。
私が、言葉にしてしまったら
もう今までの関係は全て崩れ去ってしまうのではないか。
怖い。
それが1番の感情。
レンタルショップをただ、ぼーっと眺めて
来た道を戻ろうと振り返った時
会いたかったようで
会いたくなかった人が歩いて来ていた。
「えっ、玲ちゃんやん」
『うそ…種ヶ島…』
種ヶ島もここで私に会うなんて予想外だったのか
大きな目をパチパチとさせて
珍しく驚いた表情をしている。
「またなんか映画借りたん?」
『え、いや……ただ近くを散歩しただけ…』
「……さよか」
言葉が思いつかなくて沈黙が続く。
顔を見ることができなくて、ただ下をむいていたら
ちょっと話さへん?と尋ねられ
近くの公園へと移動することにした。
「体調は大丈夫なん?」
『あ、うん。大丈夫…』
「昼休み終わったらおらんのやもん。ビックリしたわ」
『………』
昼休み、というワードに思わず固まる。
脳裏によぎるのは、あの中庭の光景。
どうしよう。
気持ちの整理なんて、全くついてないじゃないか。
「玲ちゃん。
あんな、言わなアカンことあんねんけど」
ヒヤリ、と背筋に水を浴びせられたように身体が強張る。
いやだ。聞きたくない。
想いを伝えないまま私はフラレるの?
私が話すよりも、先に話さないでほしいのに。
「俺な、卒業したら海外行こうと思うてて」
『え………?』
「この前フランスの強い奴らと試合してなあ。
結果は勝てたんやけど、今の俺ではもう勝てへん。
あの時やったから勝てたようなもんやったんや。
せやから、もっと色々見たくなってな」
私はてっきり
彼女ができた、という話かと思っていたので
想像していなかった言葉に
困惑はしたけど安堵してしまった。
そして、油断した。
『話って…そんなこと…』
ハッと、口をつぐんだときにはもう遅かった。
種ヶ島は一瞬目を見開いたかと思うと
すぐに薄ら笑みを浮かべて私から視線を反らした。
「……ひどいわあ。
俺にとっては一大決心やったんやで。
まあ、玲ちゃんにとっては
そんなこと、かもしれへんけどな」
『え、やっ、違う……!
今のはそういう意味じゃなくて…』
「ほんなら、どないな意味か教えてくれへん?」
『そ、れは……』
種ヶ島の視線が痛い。
鋭くて、突き刺さるような冷たい視線。
この時、ちゃんと言えば良かったのに
私は何も言えなくなって
もう体調崩さんようにな、と言って
去って行く彼の寂しそうな後ろ姿を
ただただ見つめたのだった。