きみはクラスメート(中編小説)
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朝、教室に入ると種ヶ島の姿がなかった。
昨日のことがあったから
なんとなく顔を合わせにくかったので
ちょうど良かったのだけど
だいたいいつも席にいるから変な感じがする。
そういえば
私は割りと早めに登校しているほうなのだけど
種ヶ島はいつも先にいるなあ、なんて今さら気づく。
だけど、何かしている様子でもなく
窓の外を眺めてぼんやりしてたり
クラスメートと談笑してたり。
それでも、いつも彼は私に
“おはよう”って、一番に笑いかけてくれる。
鞄があるから、登校はしているはず。
誰もいない、無機質な机を見ていたら何故か
置いていかれたような切ない気持ちになって
無人の机を見つめる。
どこ行ったんだろう。
そう思っていたら予鈴が鳴り
同時に種ヶ島が教室へと戻って来た。
おはよう、と声を掛けようとした瞬間先生が入ってきたので
そのまま授業が始まってしまった。
それからは、なんとなく、話すタイミングを失ってしまい
一言も話さないまま昼休みになった。
昨日同様居心地が悪くて
私は逃げるように教室から出ると
購買でサンドイッチを買って
外のベンチで食べることにした。
「あれ?こんなところで食べてるの?」
声の主は、入江くん。
昨日の続きを聞かれるのでは、身構えていたら
クスクス、と上品な笑い声が聞こえる。
「そんなに身構えないでよ。
困らせるようなことはもう言わないから安心して」
『なら良いけど…』
「あのあとね、修さんから怒られちゃったからさ。
中園さんをからかうなってね」
あれはやっぱりからかわれていたのか、と入江くんを睨む。
「そんなに睨むなんて酷いよ………!
……なーんてね。あれ?迫真の演技だったんだけど」
『…種ヶ島から、話聞いてたから』
入江くんの演技力がすごい話はよく聞かされていた。
二刀流で本を読むダブルスペアのことも
身長が2mを超えるチームメイトのことも
育てがいのある後輩達のことも
種ヶ島は、私に色んな話をしてくれていた。
「…本当に修さんは、中園さんのこと…
信頼してるんだろうね。他の人にはそういう話しないよ」
『けっこう他の女子とも仲良いと思うけど』
「話す内容も、態度も、声のトーンも
中園さん相手だと全然違うよ?」
『………』
期待をしても、良いのだろうか。
自惚れても、良いのだろうか。
もしかしたら、種ヶ島も
私のこと好きでいてくれているのかもしれないと
調子に乗っても良いのだろうか。
入江くんと別れてから、悶々と考えつつ教室へと戻る。
とりあえず、なんとなく気まずいままなのが嫌だから
昨日のことには触れずに普通に話しかけよう
そう思って中庭を通ったら、見慣れた後ろ姿が見えた。
種ヶ島、と声を掛けようとした瞬間
彼の背中にか細い腕が回された。
私は、それ以上見ることができずに教室へと走って戻った。
おーきに。と
種ヶ島の声だけが、脳裏にこびりついた。
昨日のことがあったから
なんとなく顔を合わせにくかったので
ちょうど良かったのだけど
だいたいいつも席にいるから変な感じがする。
そういえば
私は割りと早めに登校しているほうなのだけど
種ヶ島はいつも先にいるなあ、なんて今さら気づく。
だけど、何かしている様子でもなく
窓の外を眺めてぼんやりしてたり
クラスメートと談笑してたり。
それでも、いつも彼は私に
“おはよう”って、一番に笑いかけてくれる。
鞄があるから、登校はしているはず。
誰もいない、無機質な机を見ていたら何故か
置いていかれたような切ない気持ちになって
無人の机を見つめる。
どこ行ったんだろう。
そう思っていたら予鈴が鳴り
同時に種ヶ島が教室へと戻って来た。
おはよう、と声を掛けようとした瞬間先生が入ってきたので
そのまま授業が始まってしまった。
それからは、なんとなく、話すタイミングを失ってしまい
一言も話さないまま昼休みになった。
昨日同様居心地が悪くて
私は逃げるように教室から出ると
購買でサンドイッチを買って
外のベンチで食べることにした。
「あれ?こんなところで食べてるの?」
声の主は、入江くん。
昨日の続きを聞かれるのでは、身構えていたら
クスクス、と上品な笑い声が聞こえる。
「そんなに身構えないでよ。
困らせるようなことはもう言わないから安心して」
『なら良いけど…』
「あのあとね、修さんから怒られちゃったからさ。
中園さんをからかうなってね」
あれはやっぱりからかわれていたのか、と入江くんを睨む。
「そんなに睨むなんて酷いよ………!
……なーんてね。あれ?迫真の演技だったんだけど」
『…種ヶ島から、話聞いてたから』
入江くんの演技力がすごい話はよく聞かされていた。
二刀流で本を読むダブルスペアのことも
身長が2mを超えるチームメイトのことも
育てがいのある後輩達のことも
種ヶ島は、私に色んな話をしてくれていた。
「…本当に修さんは、中園さんのこと…
信頼してるんだろうね。他の人にはそういう話しないよ」
『けっこう他の女子とも仲良いと思うけど』
「話す内容も、態度も、声のトーンも
中園さん相手だと全然違うよ?」
『………』
期待をしても、良いのだろうか。
自惚れても、良いのだろうか。
もしかしたら、種ヶ島も
私のこと好きでいてくれているのかもしれないと
調子に乗っても良いのだろうか。
入江くんと別れてから、悶々と考えつつ教室へと戻る。
とりあえず、なんとなく気まずいままなのが嫌だから
昨日のことには触れずに普通に話しかけよう
そう思って中庭を通ったら、見慣れた後ろ姿が見えた。
種ヶ島、と声を掛けようとした瞬間
彼の背中にか細い腕が回された。
私は、それ以上見ることができずに教室へと走って戻った。
おーきに。と
種ヶ島の声だけが、脳裏にこびりついた。