きみはクラスメート(中編小説)
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「告白、しないの?」
生徒会の会議のあと、資料の整理をしていたら
唐突に入江くんに言われた一言に、思わず固まった。
『な、なん…!えっ…!?』
一瞬言っている意味がわからなかったのだけど
ニコニコと笑う入江くんの顔から全てを察して
慌てて立ち上がる。
立ち上がった拍子にバサバサッと、音を立てて
今しがた整理した資料を落としてしまった。
「そんなに動揺しなくてもいいのに」
入江くんは私のもとへ来ると
片膝をついて資料を拾うのを手伝ってくれた。
『えっと、その……』
「修さんのこと、好きなんでしょ? 」
ストレートにぶつけられた問いに
違う、と言いたいのに声が出ないし
表情がうまく作れない。
ついこの間まで
自分を繕うことは容易にできていたはずなのに。
「フフッ、その顔修さんにも見せてあげたいよ」
そんなにも、私はわかりやすかったのだろうか。
確かにあの練習試合の日
さらに種ヶ島に惹かれたのは事実だけど
入江くんからそんな風に思われていることが
気恥ずかしいし、どことなく悔しい。
『告白とか、そういうのは別に… 私には、関係ないよ』
好きであると、肯定することはなく答えると
入江くんは拾っていたプリントから
目を外して、私を見つめる。
「関係ないんだったら、僕にもチャンスはあるのかな?」
眼鏡越しの瞳が、あまりにも綺麗で、つい見とれる。
時間にしてみれば、ほんの一瞬。
でもこの一瞬で
入江くんの視線に飲み込まれそうになり
それでも、ふいに種ヶ島のことが脳裏を過った。
こんな状況なのに
夕方の、誰もいない教室で
見た目も良くて、優しくて
女性人気の高い異性と二人きりなのに
私は今、種ヶ島に会いたくて、たまらない。
『私は………』
私は、種ヶ島が好き
そう伝えようと口を開いたその時
ガラッと、ドアが開いて聞き馴染みのある声が響いた。
「…奏多、何してるん?」
「だから、いきなり部外者が開けたらダメだって修さん」
聞かれたのではないかと焦るも
ドアから顔を覗かせた種ヶ島の表情は
笑っているけれど、どことなく冷たい。
私ではなく、入江くんをただただ見据えて
二人とも何も話さないし、なんとなく居心地が悪い。
『あ……わ、私…帰るね…!』
もしさっきの入江くんとの会話を聞かれていたらと思うと
気が気ではない。
ここはさっさと退散してしまおうと
すぼやく身支度をしたら種ヶ島の横をすり抜ける。
「玲ちゃん」
『な、なに?』
「奏多と話したいことあるから送れへんけど
帰り道気を付けてな」
すれ違い様にさりげなくポンっと頭を撫でられる。
こういうボディタッチは意識するから
やめてほしいと思う反面
特別扱いされている気がして嬉しい。
逃げるように生徒会室から出ていくと
種ヶ島と入江くんの声がボソボソと聞こえてきた。
何の話かわからないけど
なんとなく種ヶ島の機嫌が悪いことだけはわかった。
あの種ヶ島が怒るなんて
よっぽどだなぁと思いながら私は家路に着いたのだった。
生徒会の会議のあと、資料の整理をしていたら
唐突に入江くんに言われた一言に、思わず固まった。
『な、なん…!えっ…!?』
一瞬言っている意味がわからなかったのだけど
ニコニコと笑う入江くんの顔から全てを察して
慌てて立ち上がる。
立ち上がった拍子にバサバサッと、音を立てて
今しがた整理した資料を落としてしまった。
「そんなに動揺しなくてもいいのに」
入江くんは私のもとへ来ると
片膝をついて資料を拾うのを手伝ってくれた。
『えっと、その……』
「修さんのこと、好きなんでしょ? 」
ストレートにぶつけられた問いに
違う、と言いたいのに声が出ないし
表情がうまく作れない。
ついこの間まで
自分を繕うことは容易にできていたはずなのに。
「フフッ、その顔修さんにも見せてあげたいよ」
そんなにも、私はわかりやすかったのだろうか。
確かにあの練習試合の日
さらに種ヶ島に惹かれたのは事実だけど
入江くんからそんな風に思われていることが
気恥ずかしいし、どことなく悔しい。
『告白とか、そういうのは別に… 私には、関係ないよ』
好きであると、肯定することはなく答えると
入江くんは拾っていたプリントから
目を外して、私を見つめる。
「関係ないんだったら、僕にもチャンスはあるのかな?」
眼鏡越しの瞳が、あまりにも綺麗で、つい見とれる。
時間にしてみれば、ほんの一瞬。
でもこの一瞬で
入江くんの視線に飲み込まれそうになり
それでも、ふいに種ヶ島のことが脳裏を過った。
こんな状況なのに
夕方の、誰もいない教室で
見た目も良くて、優しくて
女性人気の高い異性と二人きりなのに
私は今、種ヶ島に会いたくて、たまらない。
『私は………』
私は、種ヶ島が好き
そう伝えようと口を開いたその時
ガラッと、ドアが開いて聞き馴染みのある声が響いた。
「…奏多、何してるん?」
「だから、いきなり部外者が開けたらダメだって修さん」
聞かれたのではないかと焦るも
ドアから顔を覗かせた種ヶ島の表情は
笑っているけれど、どことなく冷たい。
私ではなく、入江くんをただただ見据えて
二人とも何も話さないし、なんとなく居心地が悪い。
『あ……わ、私…帰るね…!』
もしさっきの入江くんとの会話を聞かれていたらと思うと
気が気ではない。
ここはさっさと退散してしまおうと
すぼやく身支度をしたら種ヶ島の横をすり抜ける。
「玲ちゃん」
『な、なに?』
「奏多と話したいことあるから送れへんけど
帰り道気を付けてな」
すれ違い様にさりげなくポンっと頭を撫でられる。
こういうボディタッチは意識するから
やめてほしいと思う反面
特別扱いされている気がして嬉しい。
逃げるように生徒会室から出ていくと
種ヶ島と入江くんの声がボソボソと聞こえてきた。
何の話かわからないけど
なんとなく種ヶ島の機嫌が悪いことだけはわかった。
あの種ヶ島が怒るなんて
よっぽどだなぁと思いながら私は家路に着いたのだった。