きみはクラスメート(中編小説)
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うちの学校のテニス部がいかに強いのか
今日の練習試合で実感した。
言葉で表現するのは難しいけど
なんというか“質”が違うのだ。
プレイだけでなく、マナーであったり
色んな面でこちらが格上なのがわかる。
格上って表現は失礼かもしれないけど
素人目にもはっきりとその違いが見て取れるから
スポーツって、強い弱いだけじゃないんだって初めて知った。
「中園さん、次、修さんの試合だよ」
そう言って、にこやかに笑う入江くんは
私の手からスコア表を取り上げた。
『え…?』
「修さん、中園さんが見てるからって
張り切ってるからさ。しっかり見てあげてよ」
私が見てるからって、どこまで本気なのかわからないけど
入江くんの言葉に甘えることにした。
任されたマネージャーとしての仕事を放棄してまで
テニスをする種ヶ島の姿を、近くで見たい。
自分でなんて無責任な、と思っていたら
一際女子生徒たちの歓声が響き
視線を向けると種ヶ島がコートへ入って行く姿が見えた。
へらりと笑って女子からの声援に答えるのかと思いきや
視線は対戦相手だけを見据えている。
握手をしたあと、ポジションにつくまでの間も
表情を変えない種ヶ島を見つめていたら
バチっと、目があった。
頑張って、と言うべきか悩んでいたら
“見とき”と口パクで伝えられた。
試合は、種ヶ島の圧勝だった。
何もかもが圧倒的に強くて
私が知っているテニスじゃなかった。
種ヶ島のプレーは、見ていて引き込まれるような動きで
私の視線は彼に釘付けで
スコア表、入江くんに渡しておいて正解だったと心底思う。
コートから出てきた種ヶ島に
私はタオルと飲み物を持って駆け寄った。
『た、種ヶ島これ…』
「お!おーきに玲ちゃん」
『あの、試合、すごかった…!
あんなの見たことないし
テニスがあんなに面白いものだとも思ってなくて…!
ボール消えちゃうし、全部先読みしてるみたいに動いてて
見てて目が離せないくらいドキドキしたし
とにかく、すごかった…!』
もう少しうまく感想をまとめていたはずなのに
話しだすと、まとまらないし、止まらなくて
息継ぎも忘れて一気に話してしまった。
種ヶ島は私の様子に一瞬呆気に取られていたけど
お腹を抱えて笑いだした。
『そ、そこまで笑わなくても…せっかく褒めたのに…』
「いや…予想外の反応やったからつい、な。
あ~、拗ねへんでや」
『拗ねてませんっ』
だんだん恥ずかしくなってきて顔を反らしたけど
種ヶ島は私の顔を覗き込んでニヤニヤしている。
『なに!』
「なあ、俺かっこよかった?」
私に言わせたいのか、種ヶ島は笑みを浮かべながらも
逃す気はないという雰囲気で私の行く手を阻んでいる。
『か、かっこよかった…です』
顔全体が熱を帯びる。
かっこよかったに決まってる。
この前の図書室で
テニスに対して真剣なことはわかっていたけど
本当にテニスが好きで
勝つための努力と研究を怠らない姿を見たら
かっこよくて、眩しくて、ずるい。
言わせたくせに何も言わないので
一言嫌みでも言おうかと思って顔をあげたら
種ヶ島はどうやら照れているようだった。
『え…照れたりするの?』
「そら照れもするわ。
…玲ちゃんに言われたら嬉しいしなあ」
『それって、どういう…』
種ヶ島の視線を見て、この質問はダメだと思った。
聞いちゃいけない。
この先に進んじゃいけない。
そう思って咄嗟に口を閉じたのだけど
種ヶ島は何かを言いたそうにしている。
どうしよう、と思っていたら
ちょうど他の部員に呼ばれてしまったので
私は逃げるように、種ヶ島の元を去ったのだった。
今日の練習試合で実感した。
言葉で表現するのは難しいけど
なんというか“質”が違うのだ。
プレイだけでなく、マナーであったり
色んな面でこちらが格上なのがわかる。
格上って表現は失礼かもしれないけど
素人目にもはっきりとその違いが見て取れるから
スポーツって、強い弱いだけじゃないんだって初めて知った。
「中園さん、次、修さんの試合だよ」
そう言って、にこやかに笑う入江くんは
私の手からスコア表を取り上げた。
『え…?』
「修さん、中園さんが見てるからって
張り切ってるからさ。しっかり見てあげてよ」
私が見てるからって、どこまで本気なのかわからないけど
入江くんの言葉に甘えることにした。
任されたマネージャーとしての仕事を放棄してまで
テニスをする種ヶ島の姿を、近くで見たい。
自分でなんて無責任な、と思っていたら
一際女子生徒たちの歓声が響き
視線を向けると種ヶ島がコートへ入って行く姿が見えた。
へらりと笑って女子からの声援に答えるのかと思いきや
視線は対戦相手だけを見据えている。
握手をしたあと、ポジションにつくまでの間も
表情を変えない種ヶ島を見つめていたら
バチっと、目があった。
頑張って、と言うべきか悩んでいたら
“見とき”と口パクで伝えられた。
試合は、種ヶ島の圧勝だった。
何もかもが圧倒的に強くて
私が知っているテニスじゃなかった。
種ヶ島のプレーは、見ていて引き込まれるような動きで
私の視線は彼に釘付けで
スコア表、入江くんに渡しておいて正解だったと心底思う。
コートから出てきた種ヶ島に
私はタオルと飲み物を持って駆け寄った。
『た、種ヶ島これ…』
「お!おーきに玲ちゃん」
『あの、試合、すごかった…!
あんなの見たことないし
テニスがあんなに面白いものだとも思ってなくて…!
ボール消えちゃうし、全部先読みしてるみたいに動いてて
見てて目が離せないくらいドキドキしたし
とにかく、すごかった…!』
もう少しうまく感想をまとめていたはずなのに
話しだすと、まとまらないし、止まらなくて
息継ぎも忘れて一気に話してしまった。
種ヶ島は私の様子に一瞬呆気に取られていたけど
お腹を抱えて笑いだした。
『そ、そこまで笑わなくても…せっかく褒めたのに…』
「いや…予想外の反応やったからつい、な。
あ~、拗ねへんでや」
『拗ねてませんっ』
だんだん恥ずかしくなってきて顔を反らしたけど
種ヶ島は私の顔を覗き込んでニヤニヤしている。
『なに!』
「なあ、俺かっこよかった?」
私に言わせたいのか、種ヶ島は笑みを浮かべながらも
逃す気はないという雰囲気で私の行く手を阻んでいる。
『か、かっこよかった…です』
顔全体が熱を帯びる。
かっこよかったに決まってる。
この前の図書室で
テニスに対して真剣なことはわかっていたけど
本当にテニスが好きで
勝つための努力と研究を怠らない姿を見たら
かっこよくて、眩しくて、ずるい。
言わせたくせに何も言わないので
一言嫌みでも言おうかと思って顔をあげたら
種ヶ島はどうやら照れているようだった。
『え…照れたりするの?』
「そら照れもするわ。
…玲ちゃんに言われたら嬉しいしなあ」
『それって、どういう…』
種ヶ島の視線を見て、この質問はダメだと思った。
聞いちゃいけない。
この先に進んじゃいけない。
そう思って咄嗟に口を閉じたのだけど
種ヶ島は何かを言いたそうにしている。
どうしよう、と思っていたら
ちょうど他の部員に呼ばれてしまったので
私は逃げるように、種ヶ島の元を去ったのだった。