きみはクラスメート(中編小説)
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『わー、雨だあ…』
以前も同じことを同じ場所で言ったなあと
一人でデジャヴを感じていたら
玄関で種ヶ島が外を眺めているのを見つけた。
あちゃー、降ってもうてるやん、と
独り言が聞こえてきて、どうやら傘を忘れたようだ。
『将来有望なテニスプレーヤーさん。
風邪ひきたくないなら、入っていく?』
振り向いた種ヶ島の顔は
いままでに見たことがないような顔をしていて
思わず吹き出した。
「ちょっ、なんで笑うん」
『いや、だって見たことないくらい驚いてたから』
「そらー…まぁ、ええわ。いれてくれるん?」
傘を広げて差し出せば
お邪魔します、と嬉しそうに種ヶ島は私の傘に入る。
身長が180cmを超える彼と同じ傘に入るには
けっこう腕を伸ばさなければならず
自分の目線に手をあげる。
この高さでずっと持つのはきついなと思っていたら
それに気がついた種ヶ島は俺が持つ、と
私の手ごと、傘の柄を握ってきた。
『ちょっ、ちょっと!手ごと握らないでよ!』
「んー?まあたまにはええやん?こーゆーのも」
お腹でも軽く殴ってやろうかと思ったけど
左手は種ヶ島の手に包まれ
右手は鞄を持っているので大人しくそのままでいることにした。
「ちょっと前までの玲ちゃんとは
ホンマに別人みたいやな」
ちょっと前というのは、以前種ヶ島の傘に
入れてもらったときのことだろうか。
確かあのときは雨が止むのを待つのが面倒になってきて
濡れながら帰ろうとしていたんだっけ。
数ヶ月前のことが懐かしいと思うと同時に
あの時とは、種ヶ島への接し方が変わったと
自分でも自覚している。
別人みたい、と言われても仕方がないだろう。
自分でも、本来の私とは
別人格のように振る舞っていたのだから。
『…でも、今の私のほうが良いんでしょ?』
「そらなそーやな。素でおるほうが好きやで」
『………それならいいや』
種ヶ島は傘を持ち直し、握っていた私の左手を解放した。
そろそろ私の手が疲れてきたことを察したのだろう。
手が解放されたことにより
自然と近くなっていた2人の距離が少し離れ
なんとなく無言になる。
「もうちょい寄りや。肩、濡れてまう」
そう言われても素直に寄るのが恥ずかしくて
そのままでいたら
種ヶ島の方から身体が触れあうくらいに寄ってきた。
雨に濡れて少し肌寒かったのに
彼の体温のせいか、私の体温のせいか
触れている部分が心地良く感じる。
ふと、見れば
寄れと言う割に傘は私の方に傾いていて
私が濡れないように気にかけてくれていたのだと気づいた。
あぁ、もうやめてほしい。
これ以上、好きにさせないでほしい。
そんな気持ちが芽生えた瞬間だった。
以前も同じことを同じ場所で言ったなあと
一人でデジャヴを感じていたら
玄関で種ヶ島が外を眺めているのを見つけた。
あちゃー、降ってもうてるやん、と
独り言が聞こえてきて、どうやら傘を忘れたようだ。
『将来有望なテニスプレーヤーさん。
風邪ひきたくないなら、入っていく?』
振り向いた種ヶ島の顔は
いままでに見たことがないような顔をしていて
思わず吹き出した。
「ちょっ、なんで笑うん」
『いや、だって見たことないくらい驚いてたから』
「そらー…まぁ、ええわ。いれてくれるん?」
傘を広げて差し出せば
お邪魔します、と嬉しそうに種ヶ島は私の傘に入る。
身長が180cmを超える彼と同じ傘に入るには
けっこう腕を伸ばさなければならず
自分の目線に手をあげる。
この高さでずっと持つのはきついなと思っていたら
それに気がついた種ヶ島は俺が持つ、と
私の手ごと、傘の柄を握ってきた。
『ちょっ、ちょっと!手ごと握らないでよ!』
「んー?まあたまにはええやん?こーゆーのも」
お腹でも軽く殴ってやろうかと思ったけど
左手は種ヶ島の手に包まれ
右手は鞄を持っているので大人しくそのままでいることにした。
「ちょっと前までの玲ちゃんとは
ホンマに別人みたいやな」
ちょっと前というのは、以前種ヶ島の傘に
入れてもらったときのことだろうか。
確かあのときは雨が止むのを待つのが面倒になってきて
濡れながら帰ろうとしていたんだっけ。
数ヶ月前のことが懐かしいと思うと同時に
あの時とは、種ヶ島への接し方が変わったと
自分でも自覚している。
別人みたい、と言われても仕方がないだろう。
自分でも、本来の私とは
別人格のように振る舞っていたのだから。
『…でも、今の私のほうが良いんでしょ?』
「そらなそーやな。素でおるほうが好きやで」
『………それならいいや』
種ヶ島は傘を持ち直し、握っていた私の左手を解放した。
そろそろ私の手が疲れてきたことを察したのだろう。
手が解放されたことにより
自然と近くなっていた2人の距離が少し離れ
なんとなく無言になる。
「もうちょい寄りや。肩、濡れてまう」
そう言われても素直に寄るのが恥ずかしくて
そのままでいたら
種ヶ島の方から身体が触れあうくらいに寄ってきた。
雨に濡れて少し肌寒かったのに
彼の体温のせいか、私の体温のせいか
触れている部分が心地良く感じる。
ふと、見れば
寄れと言う割に傘は私の方に傾いていて
私が濡れないように気にかけてくれていたのだと気づいた。
あぁ、もうやめてほしい。
これ以上、好きにさせないでほしい。
そんな気持ちが芽生えた瞬間だった。