きみはクラスメート(中編小説)
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校門を出たところでスマホを机の中に
忘れて来たことに気がついた。
取りに戻るのが面倒だけど仕方がないと、踵を返す。
校内に戻ると生徒は疎らで閑散としていた。
オレンジに染まる校内は静かだけど
校庭からは運動部の掛け声が聞こえてきて
私だけが、遠くに来てしまったかのような感覚に陥る。
誰もいない教室に入りスマホを取る。
すぐに帰るつもりだったのだけど
なんとなく、自分の席に座って校庭を眺めてみた。
野球部の掛け声、陸上部の笛の音、サッカー部の笑い声。
どうして部活をしている人って
キラキラして見えるんだろう。
帰宅部ってだけで、どうして後ろめたくなるのだろう。
ふぅ、とため息をついて誰からも連絡の無いスマホを見る。
あぁ、なんでこんなにセンチメンタルに
なってしまっているのか。
「なんや夕陽に染まった美人さんがおるやん」
声の主は振り向かずとも、あの男だとすぐにわかる。
『部活じゃないの?』
「忘れ物してん」
そう言うと種ヶ島修二は席へと近づいて来た。
すこし汗が光って見えるのは、
部活中だったからなのか、それとも走って来たのか。
聞かれる前にスマホを忘れたから取りに来たと説明すると
さよか、と言って優しく微笑まれる。
なぜだろう。
この前までこの笑顔に苛立っていたのに
今はほっとしている自分がいる。
「中園さんは部活入らへんかったんやな」
『……いつまで、ここにいるかわからないから』
3年になった今、流石にもう転校することはないと思うけど
この舞子坂で卒業式に参加するとも限らない。
部活に入ったところで、すぐに転校ともなれば
少なからず入部先に迷惑が掛かると思い
私は部活に入らなかったのだ。
「今から部活入るんもありなんとちゃう?
男子テニス部のマネージャーとか☆」
『絶対いや。種ヶ島修二ファンにやられそう』
「え~。部活楽しいで。学生生活楽しまな!
それに高校の友達は一生の友達言うやろ?」
部活の友達はええで、と言われても
一生の友達なんて、私は信じない。
転校を繰り返してきて、友達はたくさんできた。
引っ越す時も寂しいと泣いてくれた子もいた。
だけどそのあと、誰ひとりとして
連絡をしてくれる子はいなかった。
うわべだけの友達ごっこを通して私は
次第にとりあえずうまく立ち回れることができれば
それで良いやと思うようになったのだ。
『だから、別にもういい。
あとはこのまま過ごせれば良いの』
「ほんなら、俺とは一生の付き合いになろや」
種ヶ島修二と一生の友達、と考えて
確かにこの先、一生忘れない奴だろうなとは思う。
『確かに、あんたのことは一生忘れないと思う』
「俺も忘れへんし、忘れさせへんよ」
種ヶ島修二と話をしていたら
センチメンタルな気持ちなんかいつの間にか消えてしまって
本人には言わないけども
ありがとうって、少しだけ思った。
そう言えば、忘れ物をしたと言っていたけど
何を忘れたのだろうかと思い聞いてみるも
「もう大丈夫やから」と言われて
結局何を取りに来たのかわからずじまいだった。
忘れて来たことに気がついた。
取りに戻るのが面倒だけど仕方がないと、踵を返す。
校内に戻ると生徒は疎らで閑散としていた。
オレンジに染まる校内は静かだけど
校庭からは運動部の掛け声が聞こえてきて
私だけが、遠くに来てしまったかのような感覚に陥る。
誰もいない教室に入りスマホを取る。
すぐに帰るつもりだったのだけど
なんとなく、自分の席に座って校庭を眺めてみた。
野球部の掛け声、陸上部の笛の音、サッカー部の笑い声。
どうして部活をしている人って
キラキラして見えるんだろう。
帰宅部ってだけで、どうして後ろめたくなるのだろう。
ふぅ、とため息をついて誰からも連絡の無いスマホを見る。
あぁ、なんでこんなにセンチメンタルに
なってしまっているのか。
「なんや夕陽に染まった美人さんがおるやん」
声の主は振り向かずとも、あの男だとすぐにわかる。
『部活じゃないの?』
「忘れ物してん」
そう言うと種ヶ島修二は席へと近づいて来た。
すこし汗が光って見えるのは、
部活中だったからなのか、それとも走って来たのか。
聞かれる前にスマホを忘れたから取りに来たと説明すると
さよか、と言って優しく微笑まれる。
なぜだろう。
この前までこの笑顔に苛立っていたのに
今はほっとしている自分がいる。
「中園さんは部活入らへんかったんやな」
『……いつまで、ここにいるかわからないから』
3年になった今、流石にもう転校することはないと思うけど
この舞子坂で卒業式に参加するとも限らない。
部活に入ったところで、すぐに転校ともなれば
少なからず入部先に迷惑が掛かると思い
私は部活に入らなかったのだ。
「今から部活入るんもありなんとちゃう?
男子テニス部のマネージャーとか☆」
『絶対いや。種ヶ島修二ファンにやられそう』
「え~。部活楽しいで。学生生活楽しまな!
それに高校の友達は一生の友達言うやろ?」
部活の友達はええで、と言われても
一生の友達なんて、私は信じない。
転校を繰り返してきて、友達はたくさんできた。
引っ越す時も寂しいと泣いてくれた子もいた。
だけどそのあと、誰ひとりとして
連絡をしてくれる子はいなかった。
うわべだけの友達ごっこを通して私は
次第にとりあえずうまく立ち回れることができれば
それで良いやと思うようになったのだ。
『だから、別にもういい。
あとはこのまま過ごせれば良いの』
「ほんなら、俺とは一生の付き合いになろや」
種ヶ島修二と一生の友達、と考えて
確かにこの先、一生忘れない奴だろうなとは思う。
『確かに、あんたのことは一生忘れないと思う』
「俺も忘れへんし、忘れさせへんよ」
種ヶ島修二と話をしていたら
センチメンタルな気持ちなんかいつの間にか消えてしまって
本人には言わないけども
ありがとうって、少しだけ思った。
そう言えば、忘れ物をしたと言っていたけど
何を忘れたのだろうかと思い聞いてみるも
「もう大丈夫やから」と言われて
結局何を取りに来たのかわからずじまいだった。