きみはクラスメート(中編小説)
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「え?修さんがどんな人かって?」
生徒会の集まりがあったので、会議が終わったあと
私は生徒会副会長である入江くんに疑問をぶつけてみた。
同じテニス部だし
教科書の貸し借りをするくらいだから仲は良いのだろう。
『うん。最近隣の席になって話すようになったんだけど
掴めないというか、不思議な人だなって』
「うーん。
そうだね…見た目と中身のギャップがあるかと思えば
そうでもなかったり、気分屋だったり。
中園さんの言う通り掴めない人だよ」
答えになっているようでなっていない返事に
釈然としなかったけど
入江くんも、もしかしたら種ヶ島修二に
振り回されている一人なのかもしれないと思った。
『気分屋…たまにそれが計算してるように見えるんだよね』
「へぇ…。僕に修さんのこと聞いてくる子は多いけど
中園さんみたいに本質を聞いてきた子は初めてだよ」
ここまで聞いてヤバい、と思った。
この入江奏多も、勘の鋭い男であることを忘れていた。
「修さんが言っていた“オモロイ子“っていうのは
君のことだったのかな?」
『え?い、いや、私じゃないと思うよ?
私なんて相手にしてもつまらないと思うし』
“オモロイ子“って、確かあの時も言っていた気がする。
いつから、そう思われていたのだろうか。
直接的関わりは今までなかったのに。
「修さんはあんな感じだけど、いい人だよ」
そう言われて、悪い人だとは思ってはいないけど
素直に頷けずにいたら
ガラッと、生徒会室のドアが開いた。
「おーい、奏多。ちょっとええか?」
「良くないよ。部外者は入ってきちゃダメだって」
渦中の人物の登場に肩が跳ねる。
「あれ?中園さんやん!何しとるん?」
『何って、私も生徒会だから…』
「中園さんは生徒会の会計だよ。それで、僕に何か用事?」
種ヶ島修二は手に持っていたプリントを渡して
簡単に説明している。
どうやらテニスの合宿の話らしい。
入江くんもテニスがすごく強いらしいけど
私はこの二人がテニスをしている姿を見たことがないので
全国レベルと言われてもいまいちピンと来ていない。
…いつか試合とか、見てみたいかもしれない。
「わかった。ありがとう修さん。
あ、そういえばちょうどよかったよ。教科書返すね」
ごめん、と言って入江くんが教科書を差し出す。
ああ、昨日の教科書はやっぱり貸していたのか
そう思ったのだけど
入江くんが差し出したのは別の教科書だった。
『入江くんって、案外忘れっぽいんだね。
いつも種ヶ島くんに借りてるの?』
「え?心外だなあ。
修さんに借りるなんてこと、これが初めてだよ」
『え?だって昨日…』
種ヶ島修二を見ると
シーっと口元に人差し指を当てて、ウィンクしている。
やっぱり、貸しているのは嘘だったのかと
冷ややかな視線を送れば
ほな俺戻るわ~!と片手で手を振って出て行った。
残された入江くんに全部バラしてやろうかと思ったけど
「修さんの相手、よろしくね」と全てお見通しのようで
労うような笑顔を向けられたのだった。