きみはクラスメート(中編小説)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あの化学準備室の一件から
どうなることかと身構えていたけど今のところ何もない。
種ヶ島修二は至って普通で、何事もなかったかのように
おはよう、とかお疲れ、とかその程度の会話しかしてこない。
警戒する必要はなかったのか?と思っていた矢先
思わず最悪、と口に出てしまいそうな出来事が起きた。
「ちゃい☆お隣さんやな。よろしく」
席替えで、まさかの隣の席になった。
窓側の一番後ろという
特等席を得た替わりの代償が大きい。
目が悪いから前の席にって言いたいところだけど
私の視力は2.0だ。流石に言えない。
『よ、よろしくね』
「勉強とか教えてな」
『私で良ければ』
教室にいるときは素を出すわけにはいかない。
いつもの明るく、優しく、好い人でいなければ
今まで築いてきた“私“というキャラが崩れてしまう。
必死に仮面を被る私と、それを見て楽しむ種ヶ島修二。
いいように、オモチャにされてる気分。
「あ、アカン。教科書忘れてしもた」
聞こえない。何も聞こえないふり。
「あ~。奏多に貸したままやったわ。どないしよ」
奏多って入江くんのことだろうか。
「困ったな~。
せやけど俺のお隣さんは優しくて気の利く女の子やからなあ」
『…種ヶ島くん、一緒に見る?』
「ええの?おーきに☆」
にっこり微笑んで、種ヶ島修二は机をくっつけてきた。
本当に忘れたのかと言いたくもなるような顔つきだ。
流石に授業中はちょっかい掛けられることもなく
もうすぐ授業が終わる。
ほっと胸を撫で下ろしていたらふいに、肘に何が当たった。
ほのかな温もりから、種ヶ島修二の腕だとわかる。
たまたま当たったのだろうと思い、スッと避けたら
またコツン、と当てられる。
何度かそれを繰り返し、いよいよ限界が来て
静かに睨んでやろうと顔を向けた瞬間
「やーっと、こっち向いてくれたな」
私にしか聞こえないような声で囁く種ヶ島修二の顔は
優しく、甘く、穏やか。
机をつけているせいで、距離は近いし肘は振れているし
声と、視線と、表情と、体温に
私は私が乱されるのを感じた。
飲まれる。
そう思った時、チャイムが鳴り授業が終わりを告げる。
「ホンマ助かったわ。ん?顔赤いで。どないしたん?」
『……なんでもありません』
もう二度と教科書なんて見せてやるものかと
赤くなった頬を押さえて
私はしばらく窓の外を向いたのだった。
どうなることかと身構えていたけど今のところ何もない。
種ヶ島修二は至って普通で、何事もなかったかのように
おはよう、とかお疲れ、とかその程度の会話しかしてこない。
警戒する必要はなかったのか?と思っていた矢先
思わず最悪、と口に出てしまいそうな出来事が起きた。
「ちゃい☆お隣さんやな。よろしく」
席替えで、まさかの隣の席になった。
窓側の一番後ろという
特等席を得た替わりの代償が大きい。
目が悪いから前の席にって言いたいところだけど
私の視力は2.0だ。流石に言えない。
『よ、よろしくね』
「勉強とか教えてな」
『私で良ければ』
教室にいるときは素を出すわけにはいかない。
いつもの明るく、優しく、好い人でいなければ
今まで築いてきた“私“というキャラが崩れてしまう。
必死に仮面を被る私と、それを見て楽しむ種ヶ島修二。
いいように、オモチャにされてる気分。
「あ、アカン。教科書忘れてしもた」
聞こえない。何も聞こえないふり。
「あ~。奏多に貸したままやったわ。どないしよ」
奏多って入江くんのことだろうか。
「困ったな~。
せやけど俺のお隣さんは優しくて気の利く女の子やからなあ」
『…種ヶ島くん、一緒に見る?』
「ええの?おーきに☆」
にっこり微笑んで、種ヶ島修二は机をくっつけてきた。
本当に忘れたのかと言いたくもなるような顔つきだ。
流石に授業中はちょっかい掛けられることもなく
もうすぐ授業が終わる。
ほっと胸を撫で下ろしていたらふいに、肘に何が当たった。
ほのかな温もりから、種ヶ島修二の腕だとわかる。
たまたま当たったのだろうと思い、スッと避けたら
またコツン、と当てられる。
何度かそれを繰り返し、いよいよ限界が来て
静かに睨んでやろうと顔を向けた瞬間
「やーっと、こっち向いてくれたな」
私にしか聞こえないような声で囁く種ヶ島修二の顔は
優しく、甘く、穏やか。
机をつけているせいで、距離は近いし肘は振れているし
声と、視線と、表情と、体温に
私は私が乱されるのを感じた。
飲まれる。
そう思った時、チャイムが鳴り授業が終わりを告げる。
「ホンマ助かったわ。ん?顔赤いで。どないしたん?」
『……なんでもありません』
もう二度と教科書なんて見せてやるものかと
赤くなった頬を押さえて
私はしばらく窓の外を向いたのだった。