きみはクラスメート(中編小説)
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人からの頼みをなんでも引き受けるのは
よくないよなと思いつつ
つい引き受けてしまった担任からのお願い。
段ボールを化学準備室に運んで欲しい、という
このお願いは、女子の私にはけっこう重労働だった。
持てないことはないが重量はあるし
持ちにくい段ボールのせいで足元がふらつく。
準備室まで腕の力がもつかな、と思っていた矢先
よろっと、よろめいて誰かにぶつかった。
『わっ、すみませんっ!』
「やっぱり中園さんやったか~」
『た、種ヶ島くん…!』
ガシッと私の身体ごと支えてくれたのだけど
腕が彼のお腹に触れて、筋肉質な身体に思わず驚く。
さすが全国レベルのテニスプレイヤー。
「中園さんに似てるなあ思て
追い掛けて来て正解やったわ」
そう言うと、ひょいっと私の抱えていた段ボールを
軽く持ち上げた。
捲っていた制服の袖から覗く腕が逞しくて
綺麗で、つい見とれてしまう。
『え!いや、悪いよ…!』
「おぉ、これけっこう重いやん。
こないなもん女の子に持たせるなんて
うちの担任も酷なことするなあ」
この前の傘といい
ここでまた借りを作ってしまうなんて、と
頭を抱えたのだけど
ふと、会話に違和感を覚えた。
「ここらへんでええの?」
『あ、うん。ありがとう…』
ものの数分で目的地に着き
机の上にドサッと段ボールを置く。
私一人だったら、もっと時間が掛かっていただろう。
『あの、さ…』
「ん?」
小首を傾げる姿がなんだか可愛く見えて悔しい。
いつもは飄々としてるくせに
たまに仕草が色っぽかったり
可愛かったり
自分の容姿を最大限活かしているって感じで
彼がモテる理由がわかる気がした。
でも今はそんなことはどうでもいい。
私は頭に浮かんだ疑問を口にした。
『私、誰に頼まれたとか
ここに運ぶとか言ってないんだけど…』
そう。私は、誰に頼まれたとも
どこに持っていくとも話してはいない。
段ボールには何も記載はないし
中も見えないから
中身から化学準備室の物だと推測もできない。
向かう方向だって
他にも備品庫のような場所の前を通ったのに
まっすぐ、目的の場所へと種ヶ島修二は向かった。
初めから知っていたかのように。
『……あぁ、職員室で担任との会話を聞いてたってこと』
「ハハッ!やっぱ中園さんは、頭の回転早いわあ」
最初から、私だとわかって彼は追い掛けて来たのだ。
ならどうして最初から普通に声を掛けなかったのだろう。
たまたま担任と私の会話を聞いていて
いざ私が運んでいるのを見たら
重そうにしていたから気になった、その流れであれば
普通に「手伝うよ」と声を掛ければ良いのでは?
《中園さんに似てるなあ思て
追い掛けて来て正解やったわ》
なんて、ひと芝居する必要はない。
「不思議でたまらへんって顔やな」
『純粋にわからない。
なんでわざわざそんなことを?』
「そのほうが意識するやろ?」
ずいっと、大きな身体が近づく。
さてここで、どう接するのが正解だろうか。
照れてみる?
惚けてみる?
それとも怖がる?
何パターンか考えてみて
この男にはもう何も通用しないなと諦めた。
『確かに嫌でも意識した。で、何?何がしたいの?』
「一気に雰囲気変わったなあ。
でもそっちのがええで☆」
噛み合わない会話に苛立つも
ここで怒れば相手の思う壷かと思いなんとか苛立ちを隠す。
『……意識させて、どうしたいの?』
「前々からオモロイ子やな思うてて。
よう全体見てて、うまく立ち回って
皆から好かれてるのに、全く本心見せへん」
ドキッとした。
見透かしているような視線は気のせいではなかったのだ。
最初から全部バレていた。
無表情で見つめる私と
にこにこと、胡散臭い笑顔の種ヶ島修二。
これからのこの男のと距離感を考えていたら
意識させるの大成功やな、と言って立ち去って行った。
教室に戻る途中、担任から呼び止められた。
種ヶ島修二から
女の子に重いもん持たせるなと怒られたと言う。
あの男だって、本心が全く見えないじゃないかと
心の中で悪態をついた。
よくないよなと思いつつ
つい引き受けてしまった担任からのお願い。
段ボールを化学準備室に運んで欲しい、という
このお願いは、女子の私にはけっこう重労働だった。
持てないことはないが重量はあるし
持ちにくい段ボールのせいで足元がふらつく。
準備室まで腕の力がもつかな、と思っていた矢先
よろっと、よろめいて誰かにぶつかった。
『わっ、すみませんっ!』
「やっぱり中園さんやったか~」
『た、種ヶ島くん…!』
ガシッと私の身体ごと支えてくれたのだけど
腕が彼のお腹に触れて、筋肉質な身体に思わず驚く。
さすが全国レベルのテニスプレイヤー。
「中園さんに似てるなあ思て
追い掛けて来て正解やったわ」
そう言うと、ひょいっと私の抱えていた段ボールを
軽く持ち上げた。
捲っていた制服の袖から覗く腕が逞しくて
綺麗で、つい見とれてしまう。
『え!いや、悪いよ…!』
「おぉ、これけっこう重いやん。
こないなもん女の子に持たせるなんて
うちの担任も酷なことするなあ」
この前の傘といい
ここでまた借りを作ってしまうなんて、と
頭を抱えたのだけど
ふと、会話に違和感を覚えた。
「ここらへんでええの?」
『あ、うん。ありがとう…』
ものの数分で目的地に着き
机の上にドサッと段ボールを置く。
私一人だったら、もっと時間が掛かっていただろう。
『あの、さ…』
「ん?」
小首を傾げる姿がなんだか可愛く見えて悔しい。
いつもは飄々としてるくせに
たまに仕草が色っぽかったり
可愛かったり
自分の容姿を最大限活かしているって感じで
彼がモテる理由がわかる気がした。
でも今はそんなことはどうでもいい。
私は頭に浮かんだ疑問を口にした。
『私、誰に頼まれたとか
ここに運ぶとか言ってないんだけど…』
そう。私は、誰に頼まれたとも
どこに持っていくとも話してはいない。
段ボールには何も記載はないし
中も見えないから
中身から化学準備室の物だと推測もできない。
向かう方向だって
他にも備品庫のような場所の前を通ったのに
まっすぐ、目的の場所へと種ヶ島修二は向かった。
初めから知っていたかのように。
『……あぁ、職員室で担任との会話を聞いてたってこと』
「ハハッ!やっぱ中園さんは、頭の回転早いわあ」
最初から、私だとわかって彼は追い掛けて来たのだ。
ならどうして最初から普通に声を掛けなかったのだろう。
たまたま担任と私の会話を聞いていて
いざ私が運んでいるのを見たら
重そうにしていたから気になった、その流れであれば
普通に「手伝うよ」と声を掛ければ良いのでは?
《中園さんに似てるなあ思て
追い掛けて来て正解やったわ》
なんて、ひと芝居する必要はない。
「不思議でたまらへんって顔やな」
『純粋にわからない。
なんでわざわざそんなことを?』
「そのほうが意識するやろ?」
ずいっと、大きな身体が近づく。
さてここで、どう接するのが正解だろうか。
照れてみる?
惚けてみる?
それとも怖がる?
何パターンか考えてみて
この男にはもう何も通用しないなと諦めた。
『確かに嫌でも意識した。で、何?何がしたいの?』
「一気に雰囲気変わったなあ。
でもそっちのがええで☆」
噛み合わない会話に苛立つも
ここで怒れば相手の思う壷かと思いなんとか苛立ちを隠す。
『……意識させて、どうしたいの?』
「前々からオモロイ子やな思うてて。
よう全体見てて、うまく立ち回って
皆から好かれてるのに、全く本心見せへん」
ドキッとした。
見透かしているような視線は気のせいではなかったのだ。
最初から全部バレていた。
無表情で見つめる私と
にこにこと、胡散臭い笑顔の種ヶ島修二。
これからのこの男のと距離感を考えていたら
意識させるの大成功やな、と言って立ち去って行った。
教室に戻る途中、担任から呼び止められた。
種ヶ島修二から
女の子に重いもん持たせるなと怒られたと言う。
あの男だって、本心が全く見えないじゃないかと
心の中で悪態をついた。