きみはクラスメート(中編小説)
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休み時間は、大抵本を読んでいることが多い。
でも毎回読んでいるわけではなく
クラスメートと話したり
あてもなく校内を歩いたり
はたまた勉強していたり、様々。
それも全て、偏ったイメージがつかないようにするためだ。
イメージとは、恐ろしいもので
誰かが
「Aさんはいつも一人でいる」と言えば
「Aさんは友達がいない」となるし
一度付いたイメージや印象は
払拭するのに時間がかかる。
そうならないために
私は今は、そこまで好きでもない読書をしている。
「お、中園さん何読んでるん?」
出たな、種ヶ島修二。
『ちょっと前に話題になった本なんだけど
種ヶ島くん知ってる?』
どうせ知らないだろう。
マイナーな映画の原作だもの。
映画が好きなら知っているかもしれないけど。
「知ってるで。確か、目の見えへん女の子が
殺人犯と出会って~って話やろ?」
『そ、そう。なんで知ってるの?』
予想外すぎて、思わず言葉がつっかかる。
「俺のダブルスペアがな
めっちゃ本読むんやけど最近それ読んどったんや」
なるほど。そういうことか。
この本を手に取るなんて、そのペアの人とは気が合いそう。
「竜次って言うんやけど、あいつすごいねん。
本をな、同時に2冊読むんやで」
同時に読むって、そんなにすごいことだろうか。
「同時にってな、こう読むんや」
そう言うと種ヶ島修二は
両手にそれぞれ本をもつジェスチャーをした。
は?え?同時にってそういうこと?
そんな人いるわけないでしょ。
『え~!もう、からかってるでしょ。
さすがにそれは無理じゃないかな?頭混乱しちゃう』
「ホンマなんやって!
ほんなら、今度こっそり写真撮って送ったるから
中園さん連絡先教えてくれへん?」
うわ、やられた。
めちゃくちゃスマートに連絡先を聞かれた。
この流れで
いや、それはちょっと…とは言いにくい。
言いにくいとわかって、この男はしかけてきたのだ。
私が
『え、それはすごいね!』と言っても
「見せたるから教えてや」になるし
『そうなんだ』と興味なさそうに言っても
さっきのように疑っても、どう転んでも同じ結果。
ならば
『それは構わないんだけど、実は充電し忘れちゃって…』
これでどうだ。
本当は今日家に忘れたと言いたいところだけど
さっき普通に机の上に出していたので
見られていたらアウトだ。
充電切れってことにすれば諦めざるを得ないはず。
「ほんならこれ使ってや。
次の休み時間までには充電できるやろ」
コトッと置かれたモバイルバッテリー。
ぐぅっ。
まさかのアイテムに、ここは引き下がるしかない。
『わぁ!ありがとう!借りるね!』
「次の休み時間に交換しよな☆」
『うん!』
次の休み時間に、ちゃんと種ヶ島修二はやって来て
交換したくもない連絡先を交換した。
画面に写る“種ヶ島修二“の文字を
私は悔しい思いで見つめたのだった。
でも毎回読んでいるわけではなく
クラスメートと話したり
あてもなく校内を歩いたり
はたまた勉強していたり、様々。
それも全て、偏ったイメージがつかないようにするためだ。
イメージとは、恐ろしいもので
誰かが
「Aさんはいつも一人でいる」と言えば
「Aさんは友達がいない」となるし
一度付いたイメージや印象は
払拭するのに時間がかかる。
そうならないために
私は今は、そこまで好きでもない読書をしている。
「お、中園さん何読んでるん?」
出たな、種ヶ島修二。
『ちょっと前に話題になった本なんだけど
種ヶ島くん知ってる?』
どうせ知らないだろう。
マイナーな映画の原作だもの。
映画が好きなら知っているかもしれないけど。
「知ってるで。確か、目の見えへん女の子が
殺人犯と出会って~って話やろ?」
『そ、そう。なんで知ってるの?』
予想外すぎて、思わず言葉がつっかかる。
「俺のダブルスペアがな
めっちゃ本読むんやけど最近それ読んどったんや」
なるほど。そういうことか。
この本を手に取るなんて、そのペアの人とは気が合いそう。
「竜次って言うんやけど、あいつすごいねん。
本をな、同時に2冊読むんやで」
同時に読むって、そんなにすごいことだろうか。
「同時にってな、こう読むんや」
そう言うと種ヶ島修二は
両手にそれぞれ本をもつジェスチャーをした。
は?え?同時にってそういうこと?
そんな人いるわけないでしょ。
『え~!もう、からかってるでしょ。
さすがにそれは無理じゃないかな?頭混乱しちゃう』
「ホンマなんやって!
ほんなら、今度こっそり写真撮って送ったるから
中園さん連絡先教えてくれへん?」
うわ、やられた。
めちゃくちゃスマートに連絡先を聞かれた。
この流れで
いや、それはちょっと…とは言いにくい。
言いにくいとわかって、この男はしかけてきたのだ。
私が
『え、それはすごいね!』と言っても
「見せたるから教えてや」になるし
『そうなんだ』と興味なさそうに言っても
さっきのように疑っても、どう転んでも同じ結果。
ならば
『それは構わないんだけど、実は充電し忘れちゃって…』
これでどうだ。
本当は今日家に忘れたと言いたいところだけど
さっき普通に机の上に出していたので
見られていたらアウトだ。
充電切れってことにすれば諦めざるを得ないはず。
「ほんならこれ使ってや。
次の休み時間までには充電できるやろ」
コトッと置かれたモバイルバッテリー。
ぐぅっ。
まさかのアイテムに、ここは引き下がるしかない。
『わぁ!ありがとう!借りるね!』
「次の休み時間に交換しよな☆」
『うん!』
次の休み時間に、ちゃんと種ヶ島修二はやって来て
交換したくもない連絡先を交換した。
画面に写る“種ヶ島修二“の文字を
私は悔しい思いで見つめたのだった。