寒がりな君へ
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『さ、寒い……』
寒さの堪えるこの季節。
合宿所は山の上だから、一段と冷えるし
外に出れば暖を取ることなんて
カイロくらいしか手段はない。
冬は、大嫌い。
朝起きるのもつらいし
寒がりな私は、某メーカの暖かいシャツを2枚重着し
腹巻きをして、毛糸のパンツを履いて、カイロを貼っても
寒くて堪らないのだ。
練習している皆を眺めつつ
寒さに身を縮めていると
後ろから陽気な声が聞こえてきた。
「由紀ちゃん、肩凝ってまうで~」
冬が全く似合わない、夏男の種ヶ島が
指を指しながら笑っている。
『仕方ないでしょ。寒がりなんだから』
出す声すら震えてしまって、種ヶ島は更に笑う。
キッと睨み付ければごめん、とジェスチャーされ
頭をポンポンと撫でられた。
「ごめんて。オモロイくらい冬はテンション低いから
ついからかいたくなってまうんよなあ」
『…冬は、嫌いよ』
「さよか」
種ヶ島はうーん、と考える素振りを見せたかと思うと
すぐに私を見て微笑んだ。
なんだか、嫌な予感がする。
「ほんなら、俺が暖めたろ☆」
どういう意味?と声に出す前に
むぎゅっと、種ヶ島に抱き締められた。
割りと強めの力で、後頭部と腰に手を回されて
身動きがとれないし
文句を言おうにも、私の顔は
彼の胸に押し付けられていて
モゴモゴとしか話せない。
「これで暖かいやろ?」
むかつくけど、恥ずかしくて体温が上がる。
絶対今私の反応を楽しんで
ニヤニヤしてるんだろうなと思うと
沸々と怒りが芽生えてきて
みぞおちを殴る…ことは一応選手なので考慮して
つねってやった。
「痛っ!」
『ぷはっ!なにするのよ!』
「つねるんはズルない?」
『そうでもしないと離さないでしょ!』
私たちのやり取りを見ていたのか
大曲が怠そうな声で
何やってんだし、と声を掛けてきたので
私は種ヶ島に『バカ!セクハラ!チャラい!』と
悪態をついて去った。
次の日。
なんと外は雪がちらついていて昨日よりも寒そうである。
テンションなんか下がりまくりだし
寒いのが苦手だということを
また種ヶ島にいじられそうだし外に出たくない。
やだな~と思いつつコートを見ていたら
寒そうにしていた私に気がついた齋藤コーチが
ベンチコートを貸してくれた。
そりゃこの寒さの中、ジャージだけでは酷すぎるもの。
「おっ!ええもん着てるやん☆」
出たな、と思い振り向くと
鼻を赤くした種ヶ島が立っていた。
『齋藤コーチが着ていいって』
「ふ~ん。そら残念。
由紀ちゃんに俺のジャージ貸したろて思うてたんやけど」
『いらない。種ヶ島が風邪ひくしこっちのが暖かいし』
「風邪ひくし、で終わってくれてたらええのに…」
ガクン、と大袈裟に項垂れた種ヶ島は
よく見ると寒さで耳まで赤くなっている。
自分でも、どうかしてたんだと思う。
寒さできっと、思考までやられていたのか
つい、種ヶ島の耳に手を伸ばして彼の冷たい耳に触れた。
『そっちだって寒いくせに、何言ってるのよ』
かっこつけちゃって、と言いかけて
種ヶ島がフリーズしていることに気づいた。
そして自分がしていることに驚いて手を振り払う。
「…えらい可愛いことしてくれるやん」
『ばっ!ち、ちがっ!いや、その……』
こんなことしたらこの先一生からかわれ続けそうだから
忘れてほしいと言っても
種ヶ島が頷くはずもなく、嬉しそうというか
穏やかそうというか
なんとも珍しい表情をしていた。
らしくもないことをしたせいで、顔が熱い。
「血色ようなってきたけど、ここは、まだ冷たそうやな」
種ヶ島の腕が伸びて、褐色の指が、私の唇に触れた。
触れた部分からじわりじわりと、温もっていく。
しびれるような、うずくような感覚に戸惑う。
「なあ。もっと手っ取り早く温める方法、知りたない?」
今まで見せたことないような甘い声と
熱っぽい視線に捕まってしまって動けない。
じりっと、縮まる距離。
真っ直ぐな瞳。
うっすら雪が髪について、キラキラ綺麗で
冬も似合うなんてことを頭の隅で考えながら
ああ、この人と一緒なら
この寒さも悪くないかもしれないと、目を瞑った。
(本当にオメェは何やってんだし)
(えらい可愛いことされてもうてな)
(遊んでやるなし)
(遊ぶつもりやったけど、遊ぶだけじゃ勿体無いわあ)
(……タチ悪いし)
(俺を本気にさせた由紀ちゃんの方がタチ悪いで☆)
寒さの堪えるこの季節。
合宿所は山の上だから、一段と冷えるし
外に出れば暖を取ることなんて
カイロくらいしか手段はない。
冬は、大嫌い。
朝起きるのもつらいし
寒がりな私は、某メーカの暖かいシャツを2枚重着し
腹巻きをして、毛糸のパンツを履いて、カイロを貼っても
寒くて堪らないのだ。
練習している皆を眺めつつ
寒さに身を縮めていると
後ろから陽気な声が聞こえてきた。
「由紀ちゃん、肩凝ってまうで~」
冬が全く似合わない、夏男の種ヶ島が
指を指しながら笑っている。
『仕方ないでしょ。寒がりなんだから』
出す声すら震えてしまって、種ヶ島は更に笑う。
キッと睨み付ければごめん、とジェスチャーされ
頭をポンポンと撫でられた。
「ごめんて。オモロイくらい冬はテンション低いから
ついからかいたくなってまうんよなあ」
『…冬は、嫌いよ』
「さよか」
種ヶ島はうーん、と考える素振りを見せたかと思うと
すぐに私を見て微笑んだ。
なんだか、嫌な予感がする。
「ほんなら、俺が暖めたろ☆」
どういう意味?と声に出す前に
むぎゅっと、種ヶ島に抱き締められた。
割りと強めの力で、後頭部と腰に手を回されて
身動きがとれないし
文句を言おうにも、私の顔は
彼の胸に押し付けられていて
モゴモゴとしか話せない。
「これで暖かいやろ?」
むかつくけど、恥ずかしくて体温が上がる。
絶対今私の反応を楽しんで
ニヤニヤしてるんだろうなと思うと
沸々と怒りが芽生えてきて
みぞおちを殴る…ことは一応選手なので考慮して
つねってやった。
「痛っ!」
『ぷはっ!なにするのよ!』
「つねるんはズルない?」
『そうでもしないと離さないでしょ!』
私たちのやり取りを見ていたのか
大曲が怠そうな声で
何やってんだし、と声を掛けてきたので
私は種ヶ島に『バカ!セクハラ!チャラい!』と
悪態をついて去った。
次の日。
なんと外は雪がちらついていて昨日よりも寒そうである。
テンションなんか下がりまくりだし
寒いのが苦手だということを
また種ヶ島にいじられそうだし外に出たくない。
やだな~と思いつつコートを見ていたら
寒そうにしていた私に気がついた齋藤コーチが
ベンチコートを貸してくれた。
そりゃこの寒さの中、ジャージだけでは酷すぎるもの。
「おっ!ええもん着てるやん☆」
出たな、と思い振り向くと
鼻を赤くした種ヶ島が立っていた。
『齋藤コーチが着ていいって』
「ふ~ん。そら残念。
由紀ちゃんに俺のジャージ貸したろて思うてたんやけど」
『いらない。種ヶ島が風邪ひくしこっちのが暖かいし』
「風邪ひくし、で終わってくれてたらええのに…」
ガクン、と大袈裟に項垂れた種ヶ島は
よく見ると寒さで耳まで赤くなっている。
自分でも、どうかしてたんだと思う。
寒さできっと、思考までやられていたのか
つい、種ヶ島の耳に手を伸ばして彼の冷たい耳に触れた。
『そっちだって寒いくせに、何言ってるのよ』
かっこつけちゃって、と言いかけて
種ヶ島がフリーズしていることに気づいた。
そして自分がしていることに驚いて手を振り払う。
「…えらい可愛いことしてくれるやん」
『ばっ!ち、ちがっ!いや、その……』
こんなことしたらこの先一生からかわれ続けそうだから
忘れてほしいと言っても
種ヶ島が頷くはずもなく、嬉しそうというか
穏やかそうというか
なんとも珍しい表情をしていた。
らしくもないことをしたせいで、顔が熱い。
「血色ようなってきたけど、ここは、まだ冷たそうやな」
種ヶ島の腕が伸びて、褐色の指が、私の唇に触れた。
触れた部分からじわりじわりと、温もっていく。
しびれるような、うずくような感覚に戸惑う。
「なあ。もっと手っ取り早く温める方法、知りたない?」
今まで見せたことないような甘い声と
熱っぽい視線に捕まってしまって動けない。
じりっと、縮まる距離。
真っ直ぐな瞳。
うっすら雪が髪について、キラキラ綺麗で
冬も似合うなんてことを頭の隅で考えながら
ああ、この人と一緒なら
この寒さも悪くないかもしれないと、目を瞑った。
(本当にオメェは何やってんだし)
(えらい可愛いことされてもうてな)
(遊んでやるなし)
(遊ぶつもりやったけど、遊ぶだけじゃ勿体無いわあ)
(……タチ悪いし)
(俺を本気にさせた由紀ちゃんの方がタチ悪いで☆)