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『うーん、どれにしよう』
悩みに悩んで買ったのは、ひとつの香水。
とりあえず、万人受けするであろう
シトラス系の爽やかな香りを選んだ。
香水に全く興味のない私にとっては
かなり難しい買い物だったが
これならばきっとお気に召すだろう。
学生にも買える手頃な値段のこのブランドは
ご丁寧にちゃんと専用の紙袋も付いていて
合宿所へ持って帰るのには少し目立つ。
まあ、別に見られても構わないんだけども。
「ちゃーい☆百合ちゃん、お出掛けやったん?」
『うん。ちょっと買い物』
からかってくる奴が来たな、と思っていると
ニコニコと笑っていた種ヶ島がピタッと動きを止めた。
「…手に持ってるんは香水?」
『ん?あぁ、そう』
やっぱりオシャレ男子は目ざとい。
というか、最初から種ヶ島とか
君島くんとかに聞けばよかった。
ふたりなら、もっと良いものを知っていたかもしれない。
「さよか。……それ、誰にあげるん?」
『え?なんでプレゼントってわかったの?』
「男もんやん」
あ、そうか。
ブランドのコンセプト的に男性向けだから
そりゃわかるか。
答えようとして種ヶ島を見ると
今までで見たことないような、鋭い視線に怯む。
え、なんでそんな顔してるの?
ここの香水、評判良くないのかな?
「…店にまで行って、テスター試して、あれこれ悩んだん?」
『そうなの。難しいね香水って。
普段着けないからよくわからなくて』
「ふーん」
テンション低い種ヶ島が珍しくて
彼が何を考えているのかよくわからない。
少し不機嫌にも見えるし、何なんだろう?
と思っていたら
ずいっと私に近づいて距離を縮めてきた。
反射的にのけ反り
後ろの壁に背中を預けるかたちになった。
『え、なに?どうしたの?』
「誰にやるん?」
『えっと、その……』
種ヶ島の圧に負けて言いよどむ。
黙っていたら、私の首筋に顔を近づけて来た。
『ちょっとちょっと!?近いって!っていうか、なに!?』
「こんな安っぽい香りの奴より、俺のほうが絶対ええで」
軽く首筋に口付けられ、そのまま耳元で話される。
『安っぽいかな…?でもまだ中学生になったばかりだし』
「……相手は、よりにもよって中学生なん?
しかも1年て、リョマ吉か金太郎しかおらんやん」
『何言ってるの?私の弟の話だよ?』
「え」
どうやら、私がこの合宿所の誰かに
香水をプレゼントするのだと思っていたらしい。
こんな種ヶ島、レアだなあと思うくらい
盛大にため息をついて、顔を伏せ、しゃがみこんでしまった。
勘違いして、恥ずかしいのかな。
「なんなん俺、余裕ある男種ヶ島修二はどこいったんや…」
『大丈夫?』
「おん……。弟、おませさんやなあ」
『そうなんだよね。色気付いちゃって』
あははと笑うと
種ヶ島はじっと上目遣いで見てくる。
顔がいいから、そういう視線は心臓に悪い。
「他に、そういう相手はおらへんの?」
『香水をあげるような相手ってこと?そんなのいないよ』
残念ながら、いないのだ。
店員さんから「彼氏さんにですか?」と聞かれて
いや、まあ、うーんと答えたものの
全くそういう人はいない。
種ヶ島はしゃがんだまま、片膝を着いて私の片手を取る。
「ほんなら、いつか、俺にプレゼントしてや」
『え……私が?』
「せやで☆」
王子様みたいな体勢でキザなことを言われても
絵になるなあなんて感心する。
にしても、さっきから心臓に悪い。
ドキドキする。
そう口にすれば、ドキドキさせようとしてるからなと
言われた。
『いいけど、でも、香水付けるのもったいないよ』
「もったいないて?」
『私、種ヶ島の香り、好きだもん』
「……心臓に悪いことしてるんは、そっちやで」
種ヶ島はまた大きなため息と
前途多難、と呟いてしゃがみ込む。
あれ、今私恥ずかしいこと言ったかな。
私だってキザっぽい?というか
気持ち悪いこと言ったかも、と
羞恥心でじわじわと、頬が染まるのがわかる。
種ヶ島もよく見れば耳が赤い。
たまたま通りかかった君島くんに
ふたりして何しているんですか?と声を掛けられるまで
私達はそのままだった。
(香水ですか)
(男もんの香水買うて、テスターまで纏って……
そりゃ勘違いもするやろ)
(あなたも、そういう顔をするのですね)
(好きな子ぉ限定やで☆)
(なかなかの強者相手のようですがね。
百合さんは少し恋愛ごとに鈍いですから)
(ぐぅっ…せやねん。……ん?サンサン、もしかして?)
(さぁ?どうでしょう。
ただ、ライバルは多いとは思いますよ)
(うかうかしてられへんやん)
悩みに悩んで買ったのは、ひとつの香水。
とりあえず、万人受けするであろう
シトラス系の爽やかな香りを選んだ。
香水に全く興味のない私にとっては
かなり難しい買い物だったが
これならばきっとお気に召すだろう。
学生にも買える手頃な値段のこのブランドは
ご丁寧にちゃんと専用の紙袋も付いていて
合宿所へ持って帰るのには少し目立つ。
まあ、別に見られても構わないんだけども。
「ちゃーい☆百合ちゃん、お出掛けやったん?」
『うん。ちょっと買い物』
からかってくる奴が来たな、と思っていると
ニコニコと笑っていた種ヶ島がピタッと動きを止めた。
「…手に持ってるんは香水?」
『ん?あぁ、そう』
やっぱりオシャレ男子は目ざとい。
というか、最初から種ヶ島とか
君島くんとかに聞けばよかった。
ふたりなら、もっと良いものを知っていたかもしれない。
「さよか。……それ、誰にあげるん?」
『え?なんでプレゼントってわかったの?』
「男もんやん」
あ、そうか。
ブランドのコンセプト的に男性向けだから
そりゃわかるか。
答えようとして種ヶ島を見ると
今までで見たことないような、鋭い視線に怯む。
え、なんでそんな顔してるの?
ここの香水、評判良くないのかな?
「…店にまで行って、テスター試して、あれこれ悩んだん?」
『そうなの。難しいね香水って。
普段着けないからよくわからなくて』
「ふーん」
テンション低い種ヶ島が珍しくて
彼が何を考えているのかよくわからない。
少し不機嫌にも見えるし、何なんだろう?
と思っていたら
ずいっと私に近づいて距離を縮めてきた。
反射的にのけ反り
後ろの壁に背中を預けるかたちになった。
『え、なに?どうしたの?』
「誰にやるん?」
『えっと、その……』
種ヶ島の圧に負けて言いよどむ。
黙っていたら、私の首筋に顔を近づけて来た。
『ちょっとちょっと!?近いって!っていうか、なに!?』
「こんな安っぽい香りの奴より、俺のほうが絶対ええで」
軽く首筋に口付けられ、そのまま耳元で話される。
『安っぽいかな…?でもまだ中学生になったばかりだし』
「……相手は、よりにもよって中学生なん?
しかも1年て、リョマ吉か金太郎しかおらんやん」
『何言ってるの?私の弟の話だよ?』
「え」
どうやら、私がこの合宿所の誰かに
香水をプレゼントするのだと思っていたらしい。
こんな種ヶ島、レアだなあと思うくらい
盛大にため息をついて、顔を伏せ、しゃがみこんでしまった。
勘違いして、恥ずかしいのかな。
「なんなん俺、余裕ある男種ヶ島修二はどこいったんや…」
『大丈夫?』
「おん……。弟、おませさんやなあ」
『そうなんだよね。色気付いちゃって』
あははと笑うと
種ヶ島はじっと上目遣いで見てくる。
顔がいいから、そういう視線は心臓に悪い。
「他に、そういう相手はおらへんの?」
『香水をあげるような相手ってこと?そんなのいないよ』
残念ながら、いないのだ。
店員さんから「彼氏さんにですか?」と聞かれて
いや、まあ、うーんと答えたものの
全くそういう人はいない。
種ヶ島はしゃがんだまま、片膝を着いて私の片手を取る。
「ほんなら、いつか、俺にプレゼントしてや」
『え……私が?』
「せやで☆」
王子様みたいな体勢でキザなことを言われても
絵になるなあなんて感心する。
にしても、さっきから心臓に悪い。
ドキドキする。
そう口にすれば、ドキドキさせようとしてるからなと
言われた。
『いいけど、でも、香水付けるのもったいないよ』
「もったいないて?」
『私、種ヶ島の香り、好きだもん』
「……心臓に悪いことしてるんは、そっちやで」
種ヶ島はまた大きなため息と
前途多難、と呟いてしゃがみ込む。
あれ、今私恥ずかしいこと言ったかな。
私だってキザっぽい?というか
気持ち悪いこと言ったかも、と
羞恥心でじわじわと、頬が染まるのがわかる。
種ヶ島もよく見れば耳が赤い。
たまたま通りかかった君島くんに
ふたりして何しているんですか?と声を掛けられるまで
私達はそのままだった。
(香水ですか)
(男もんの香水買うて、テスターまで纏って……
そりゃ勘違いもするやろ)
(あなたも、そういう顔をするのですね)
(好きな子ぉ限定やで☆)
(なかなかの強者相手のようですがね。
百合さんは少し恋愛ごとに鈍いですから)
(ぐぅっ…せやねん。……ん?サンサン、もしかして?)
(さぁ?どうでしょう。
ただ、ライバルは多いとは思いますよ)
(うかうかしてられへんやん)