君は安定剤
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「仕方ねぇなぁ。一時間だけだからなぁ!
君島のところにでも行ってやるか!」
アツに頼んで、一時間だけ部屋を空けてもらう。
どうにもこうにも限界で
余裕のある男を演じられそうにない。
早よ来ぉへんかな、とウズウズしている自分が
ここまで乙女チックやったかいな、と我ながら驚く。
『種ヶ島くん、入っても大丈夫?』
ノックと同時に、澄んだ声がした。
待ちに待った、彼女。
「おん、ええよ。入ってきてや」
『お邪魔します……って、え?なにそれ』
「何って、愛しの彼女抱き締める3秒前の体勢やで☆」
ベッドに座って、両腕をガバッと広げて
スタンバっていたら
ちょっと引いたような視線を向けられる。
「冷たい目ぇで見んといてや!
これでも今日頑張ったやろ?
ご褒美くらい、あってもええんとちゃう?」
今日のギリシャ戦、ゼウス様との試合は
閃きテニスでなんとか勝てた。
もう二度とあいつとは戦いたくはない。
そんな頑張った俺を、褒めて欲しいし、かまって欲しい。
藍はしばらく呆れたような視線を向けていたけど
引き下がらへん俺を見て、諦めたように近づいてきた。
正面からぎゅっと、藍が抱き締めてくれる。
『……確かに、今日の試合すごかった。
格好良かったし、あそこであの閃きは流石だった。
種ヶ島くんの精神力じゃなければ、無理だったと思う。
見ていて、とても惹き付けられる試合だったよ。
本当に頑張ったね、お疲れ様』
藍の胸に顔を埋めて、彼女の香りに包まれる。
言うて欲しいと思うてた言葉を、彼女は全部くれた。
偽りのない、素直な言葉と藍の優しい香りで
張り詰めていた糸がゆるっと弛む。
やっと、落ち着ける。
試合で、ゼウスに言われたことを思い出す。
ペットボトルを倒してしまった俺に
藍が慌てて別のドリンクをくれた。
その姿を見て
「良い。彼女は良いな。ワシの傍に欲しいくらいじゃ」
と言った。
「大事な子ぉやから渡されへんわ」と笑いながら答えたけど
内心苛立っとった。
傍に欲しいて。
藍は、俺の彼女や。
俺の苛立ちは誰にもバレてへんかったけど
竜次には
「何イライラしてたんだし」と言われてもうた。
流石は俺の相棒。
『…………試合中、何かあったの?』
「ん…?」
『なんか、いつもと様子違ったから。
怒ってる……というか、焦ってるというか
よくわからないけど…………大丈夫?』
いや、俺めっちゃバレてるやん。
「……藍はホンマにええ彼女やなぁ。
ぜーったい、誰にも渡されへんわ。
何があっても、離れるんは無理やわ」
『え、なにそれ、いきなり重い…』
「ちょお、ここは空気読んでや。
“私も“ってなるとこやーん」
『私もだよー』
「軽ないっ!?」
俺の反応を見て、楽しそうに笑う彼女が愛しい。
疲れた、しんどい、イライラする
そんな負の感情も藍といれば
全てがふっと、なくなって、気持ちが軽くなる。
先程より強く抱き締めて
しばらくの藍の香りと感触、体温を堪能していたら
徐々に彼女の体温が、上がってきている気がした。
「藍、身体熱ない?」
『だって……こんなにずっとくっついてたら
恥ずかしくて……』
「かわえーなぁ。恥ずかしゅうなったん?」
『もういいでしょ、離れても』
藍はプイッと顔を背けるも
本当に離れようとはしない。
少しだけ赤くなった頬と耳を見てにやける。
「ん~?でも抱きついてきたんは藍やん」
『だって……両腕広げてたの、そっちでしょ』
「俺は藍をここに座らせて
後ろからぎゅってしたろって思うてたんやけど…
まさか藍から抱きついてきてくれるなんて
嬉しかったわあ☆」
「えっ!?」
ホンマに足の間に座らせて、後ろから抱きしめて
藍の首筋に顔を寄せて……って算段やったから
藍からきてくれたんは、嬉しい誤算やった。
勘違いしていたという恥ずかしさに耐えられなくなったのか
黙りきってしまった彼女を宥めることも
俺にとっては楽しくて、愛おしい時間や。
(……遠野くん、そろそろ一時間経ちますが)
(ああ?もう少しいさせろよなぁ)
(なぜ部屋に戻らないのです?)
(種ヶ島が藍連れ込んでるんだよ)
(そういうことでしたか…素直に聞くとは、意外ですね)
(あぁ?普通だろ?
あいつも素直に頼んできたんだ断らねぇよ)
(……たまに、あなたがまともに見えて戸惑います)
(俺は交渉とか面倒なことしねえからなぁ!)
君島のところにでも行ってやるか!」
アツに頼んで、一時間だけ部屋を空けてもらう。
どうにもこうにも限界で
余裕のある男を演じられそうにない。
早よ来ぉへんかな、とウズウズしている自分が
ここまで乙女チックやったかいな、と我ながら驚く。
『種ヶ島くん、入っても大丈夫?』
ノックと同時に、澄んだ声がした。
待ちに待った、彼女。
「おん、ええよ。入ってきてや」
『お邪魔します……って、え?なにそれ』
「何って、愛しの彼女抱き締める3秒前の体勢やで☆」
ベッドに座って、両腕をガバッと広げて
スタンバっていたら
ちょっと引いたような視線を向けられる。
「冷たい目ぇで見んといてや!
これでも今日頑張ったやろ?
ご褒美くらい、あってもええんとちゃう?」
今日のギリシャ戦、ゼウス様との試合は
閃きテニスでなんとか勝てた。
もう二度とあいつとは戦いたくはない。
そんな頑張った俺を、褒めて欲しいし、かまって欲しい。
藍はしばらく呆れたような視線を向けていたけど
引き下がらへん俺を見て、諦めたように近づいてきた。
正面からぎゅっと、藍が抱き締めてくれる。
『……確かに、今日の試合すごかった。
格好良かったし、あそこであの閃きは流石だった。
種ヶ島くんの精神力じゃなければ、無理だったと思う。
見ていて、とても惹き付けられる試合だったよ。
本当に頑張ったね、お疲れ様』
藍の胸に顔を埋めて、彼女の香りに包まれる。
言うて欲しいと思うてた言葉を、彼女は全部くれた。
偽りのない、素直な言葉と藍の優しい香りで
張り詰めていた糸がゆるっと弛む。
やっと、落ち着ける。
試合で、ゼウスに言われたことを思い出す。
ペットボトルを倒してしまった俺に
藍が慌てて別のドリンクをくれた。
その姿を見て
「良い。彼女は良いな。ワシの傍に欲しいくらいじゃ」
と言った。
「大事な子ぉやから渡されへんわ」と笑いながら答えたけど
内心苛立っとった。
傍に欲しいて。
藍は、俺の彼女や。
俺の苛立ちは誰にもバレてへんかったけど
竜次には
「何イライラしてたんだし」と言われてもうた。
流石は俺の相棒。
『…………試合中、何かあったの?』
「ん…?」
『なんか、いつもと様子違ったから。
怒ってる……というか、焦ってるというか
よくわからないけど…………大丈夫?』
いや、俺めっちゃバレてるやん。
「……藍はホンマにええ彼女やなぁ。
ぜーったい、誰にも渡されへんわ。
何があっても、離れるんは無理やわ」
『え、なにそれ、いきなり重い…』
「ちょお、ここは空気読んでや。
“私も“ってなるとこやーん」
『私もだよー』
「軽ないっ!?」
俺の反応を見て、楽しそうに笑う彼女が愛しい。
疲れた、しんどい、イライラする
そんな負の感情も藍といれば
全てがふっと、なくなって、気持ちが軽くなる。
先程より強く抱き締めて
しばらくの藍の香りと感触、体温を堪能していたら
徐々に彼女の体温が、上がってきている気がした。
「藍、身体熱ない?」
『だって……こんなにずっとくっついてたら
恥ずかしくて……』
「かわえーなぁ。恥ずかしゅうなったん?」
『もういいでしょ、離れても』
藍はプイッと顔を背けるも
本当に離れようとはしない。
少しだけ赤くなった頬と耳を見てにやける。
「ん~?でも抱きついてきたんは藍やん」
『だって……両腕広げてたの、そっちでしょ』
「俺は藍をここに座らせて
後ろからぎゅってしたろって思うてたんやけど…
まさか藍から抱きついてきてくれるなんて
嬉しかったわあ☆」
「えっ!?」
ホンマに足の間に座らせて、後ろから抱きしめて
藍の首筋に顔を寄せて……って算段やったから
藍からきてくれたんは、嬉しい誤算やった。
勘違いしていたという恥ずかしさに耐えられなくなったのか
黙りきってしまった彼女を宥めることも
俺にとっては楽しくて、愛おしい時間や。
(……遠野くん、そろそろ一時間経ちますが)
(ああ?もう少しいさせろよなぁ)
(なぜ部屋に戻らないのです?)
(種ヶ島が藍連れ込んでるんだよ)
(そういうことでしたか…素直に聞くとは、意外ですね)
(あぁ?普通だろ?
あいつも素直に頼んできたんだ断らねぇよ)
(……たまに、あなたがまともに見えて戸惑います)
(俺は交渉とか面倒なことしねえからなぁ!)