恋愛マスターと呼ばないで
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『この辺だったら駅前のカフェはオススメしないなあ。
料理が出てくるのが早すぎて
ゆっくりおしゃべり出来ないもの。
それより新しく出来たここのほうが初デートには良いと思うよ』
そう告げると
あまり話したことのない隣のクラスの可愛い女の子は
ありがとう!と言って去っていった。
跳ねるような後ろ姿を見て
可愛らしくて微笑ましいと思うと同時に
羨ましいと思ってしまう。
私はいつからこうなってしまったのか。
いつからこういうキャラに
ポジションになってしまったのか。
私、西島桔梗は
自分で言うのもなんだが見た目が派手な顔立ちをしていて
可愛いよりも大人っぽいと言われることが多い。この見た目と雰囲気のせいで人に頼られることも多く
自然と相談事を受ける回数が増え
いつのまにか【恋愛マスター西島】
という異名が付き、勝手に経験豊富だというレッテルを貼られた。
そのせいで自分自身恋愛なんて出来なくなってしまったし
相談事がどんどんとくる。
私のことをよく知る友人は
本当のことを言えと言ってくるけど、今更言えない。
本当は、恋愛経験なし、異性と付き合ったこともない
もちろん、処女である。
だけど求められるし
悩んでいる人は助けてほしくて私のもとへと来ているのだ。
そう考えると無下にはできないくて
経験体験がなくても知識だけでなんとか補えているから
今のこの現状でやり通すしかない。
恋をすることには憧れるけど
面倒だし私には向いていないような気がするから
私はもう高校生活で恋愛することは諦めていたのだった。
そんなある日の放課後
相談に来ていた子から話された内容はけっこうヘビーで
道徳的倫理的にいかがなものかと思えるような内容だった。
話された内容は、束縛の激しい彼氏に嫌気が差して
今距離を置いている。
そんなときに元彼から会いたいと連絡が来たので
一緒にホテルに泊まって元彼と会う。
今の彼氏と別れる最善の策を相談したい。
そんな内容だった。
『え?ちょっと待って。まだ別れてはいないんだよね?』
まずその状態で元彼に会う心境がわからない。
1泊する必要は?
距離を置いている最中で会わなくても良いのでは?
元彼にそんなに会いたいの?
そんなことが頭の中をぐるぐると駆け巡ったけれど
当の本人は涼しい顔をしていて
「別れてないけど」って言ってきた。
私の感覚がおかしいのだろうか。
『・・・別れてないのに
他の異性と一緒に泊まるのはおかしいよ。
最善の策は、ちゃんと気持ちを伝えることなんじゃないの?』
別れたいのであればその理由を伝えるべきだ。
束縛が嫌なら嫌って言ったがいいし
元彼が忘れられないならそれも伝えたらいい。
でも、裏切って傷つけるような行動はどうかと思う。
だけど彼女は笑って
「話すのが面倒だからもっと良い策がないか聞いてんのに。
なんだ。男遊びの話のれる人かと思ったけど
良い子ちゃんみたいなことしか言わないんだね」
そう言って、彼女は教室から出ていった。
いや。わかんない。
彼女が言ってることも行動もわかんない。
私が言ってることは綺麗事なの?
彼女が出ていったドアを、呆然と見つめていたら
ガラッといきなりドアが開いた。
「相談役も大変やなあ」
『種ヶ島くん…』
忘れ物を取りに来たという種ヶ島くんの登場に
なんだか気まずくなる。
恐らく話は少し聞こえていたのかもしれない。
声を掛けたが良いのだろうけど
先程の余韻が残っていて、丁度良い言葉が見つからなかった。
「俺は適切な発言やったと思うで」
『聞いてたんだね』
「盗み聞きするつもりやなかったんやけど
随分おかしな話してるなと思てな。
ぶっとんだ子ぉやったなあ」
色恋沙汰の話が絶えない種ヶ島くんが言うくらいだから
やっぱりよっぽどのことだったのかと少し安堵する。
『あんまりこういうの言わないほうが良いのはわかってるんだけど…
私には、あの子の気持ちがわからなかった。
好きなのに、付き合ってるのに、傷つけることわかってるのに…』
「あーゆー類の子の言うこと
いちいち真に受けてたら自分がきついでえ。
程々にしときや」
『わかってるけど…』
わかってるけど、わからない。
余計に恋愛ってなんかわからなくなってきた。
「なあ、西島さんの恋愛相談って男もOK?」
『え?あ、うん…別に女子だけってわけじゃないから良いけど』
「ほんなら、俺の相談のってくれへん?」
『良いけど…』
種ヶ島くんは、かなりモテる人だ。
今までも種ヶ島くん絡みの相談はけっこうあった
し
私なんかより色んな経験があるはず。
そんな彼みたいな人が、私に相談するなんて
どんな難しい恋愛をしているのだろうか。
「好きな子がおんねん。
その子、優しくて、面倒見良くて、責任感あって
よく人から頼られててな。
いつも人が寄ってくる、そんな子や。
でもなあ、人の恋愛相談とかにものってるみたいなんやけど
一生懸命になりすぎて人のためにばっか
心すり減らしてて心配なんよなあ」
ドクン、と胸が跳ねる。
優しい顔をしてそう話した種ヶ島くんは私を見つめている。
「しかも恋愛マスターとか言われてるらしいんやけど
自分のことには鈍感みたいでな。
どうやって、意識させたらええか悩んでで。
なあ、西島さんやったらどない?
どうやったら意識する?」
私の方への近づき、種ヶ島くんの甘い声が響く。
じわっ、と芽生えた感情が胸に広がって
心が飲み込まれてしまう。
種ヶ島くんって、こんなにキラキラしてた?
もとから綺麗な顔立ちをしていたけど直視できないほどだった?
声を聞くだけで、胸が締め付けられるのはどうして?
あぁ、もしかして、これが恋なのかもしれない。
『…私だったら
おしゃべりしたり、一緒にお昼食べたり
学校帰りに一緒に帰ったり
同じ時間を過ごしていけばいくほど
その人のことを知るから、それで好きになるかな…』
「ほな、猛アタック開始やな☆
まずは、今から一緒に帰ろか」
ぎゅっと、握られた手は熱くて
包まれた手は、まるで私の心そのもののように感じた。
種ヶ島くんの温もりを感じながら
彼の視線を感じながら
私は芽生えた感情を大切に育ててみたいと思ったのだった。
(桔梗って恋愛マスター言われてるけどホンマなん?)
(えぇっ!あ、えっと、って、名前……)
(名前呼びアカンかった?)
(い、いや…そんなことないけど、慣れてなくて…)
(…さよか〜。じゃあ手繋いで帰るのも慣れてないん?)
(うわっ!た、種ヶ島くんこんなの人に見られたら誤解されるよ!)
(ハハッ!俺は誤解されてなんぼやで☆)
(こんなの、恋愛したことないってすぐバレそう…)
(もうバレてるて)
料理が出てくるのが早すぎて
ゆっくりおしゃべり出来ないもの。
それより新しく出来たここのほうが初デートには良いと思うよ』
そう告げると
あまり話したことのない隣のクラスの可愛い女の子は
ありがとう!と言って去っていった。
跳ねるような後ろ姿を見て
可愛らしくて微笑ましいと思うと同時に
羨ましいと思ってしまう。
私はいつからこうなってしまったのか。
いつからこういうキャラに
ポジションになってしまったのか。
私、西島桔梗は
自分で言うのもなんだが見た目が派手な顔立ちをしていて
可愛いよりも大人っぽいと言われることが多い。この見た目と雰囲気のせいで人に頼られることも多く
自然と相談事を受ける回数が増え
いつのまにか【恋愛マスター西島】
という異名が付き、勝手に経験豊富だというレッテルを貼られた。
そのせいで自分自身恋愛なんて出来なくなってしまったし
相談事がどんどんとくる。
私のことをよく知る友人は
本当のことを言えと言ってくるけど、今更言えない。
本当は、恋愛経験なし、異性と付き合ったこともない
もちろん、処女である。
だけど求められるし
悩んでいる人は助けてほしくて私のもとへと来ているのだ。
そう考えると無下にはできないくて
経験体験がなくても知識だけでなんとか補えているから
今のこの現状でやり通すしかない。
恋をすることには憧れるけど
面倒だし私には向いていないような気がするから
私はもう高校生活で恋愛することは諦めていたのだった。
そんなある日の放課後
相談に来ていた子から話された内容はけっこうヘビーで
道徳的倫理的にいかがなものかと思えるような内容だった。
話された内容は、束縛の激しい彼氏に嫌気が差して
今距離を置いている。
そんなときに元彼から会いたいと連絡が来たので
一緒にホテルに泊まって元彼と会う。
今の彼氏と別れる最善の策を相談したい。
そんな内容だった。
『え?ちょっと待って。まだ別れてはいないんだよね?』
まずその状態で元彼に会う心境がわからない。
1泊する必要は?
距離を置いている最中で会わなくても良いのでは?
元彼にそんなに会いたいの?
そんなことが頭の中をぐるぐると駆け巡ったけれど
当の本人は涼しい顔をしていて
「別れてないけど」って言ってきた。
私の感覚がおかしいのだろうか。
『・・・別れてないのに
他の異性と一緒に泊まるのはおかしいよ。
最善の策は、ちゃんと気持ちを伝えることなんじゃないの?』
別れたいのであればその理由を伝えるべきだ。
束縛が嫌なら嫌って言ったがいいし
元彼が忘れられないならそれも伝えたらいい。
でも、裏切って傷つけるような行動はどうかと思う。
だけど彼女は笑って
「話すのが面倒だからもっと良い策がないか聞いてんのに。
なんだ。男遊びの話のれる人かと思ったけど
良い子ちゃんみたいなことしか言わないんだね」
そう言って、彼女は教室から出ていった。
いや。わかんない。
彼女が言ってることも行動もわかんない。
私が言ってることは綺麗事なの?
彼女が出ていったドアを、呆然と見つめていたら
ガラッといきなりドアが開いた。
「相談役も大変やなあ」
『種ヶ島くん…』
忘れ物を取りに来たという種ヶ島くんの登場に
なんだか気まずくなる。
恐らく話は少し聞こえていたのかもしれない。
声を掛けたが良いのだろうけど
先程の余韻が残っていて、丁度良い言葉が見つからなかった。
「俺は適切な発言やったと思うで」
『聞いてたんだね』
「盗み聞きするつもりやなかったんやけど
随分おかしな話してるなと思てな。
ぶっとんだ子ぉやったなあ」
色恋沙汰の話が絶えない種ヶ島くんが言うくらいだから
やっぱりよっぽどのことだったのかと少し安堵する。
『あんまりこういうの言わないほうが良いのはわかってるんだけど…
私には、あの子の気持ちがわからなかった。
好きなのに、付き合ってるのに、傷つけることわかってるのに…』
「あーゆー類の子の言うこと
いちいち真に受けてたら自分がきついでえ。
程々にしときや」
『わかってるけど…』
わかってるけど、わからない。
余計に恋愛ってなんかわからなくなってきた。
「なあ、西島さんの恋愛相談って男もOK?」
『え?あ、うん…別に女子だけってわけじゃないから良いけど』
「ほんなら、俺の相談のってくれへん?」
『良いけど…』
種ヶ島くんは、かなりモテる人だ。
今までも種ヶ島くん絡みの相談はけっこうあった
し
私なんかより色んな経験があるはず。
そんな彼みたいな人が、私に相談するなんて
どんな難しい恋愛をしているのだろうか。
「好きな子がおんねん。
その子、優しくて、面倒見良くて、責任感あって
よく人から頼られててな。
いつも人が寄ってくる、そんな子や。
でもなあ、人の恋愛相談とかにものってるみたいなんやけど
一生懸命になりすぎて人のためにばっか
心すり減らしてて心配なんよなあ」
ドクン、と胸が跳ねる。
優しい顔をしてそう話した種ヶ島くんは私を見つめている。
「しかも恋愛マスターとか言われてるらしいんやけど
自分のことには鈍感みたいでな。
どうやって、意識させたらええか悩んでで。
なあ、西島さんやったらどない?
どうやったら意識する?」
私の方への近づき、種ヶ島くんの甘い声が響く。
じわっ、と芽生えた感情が胸に広がって
心が飲み込まれてしまう。
種ヶ島くんって、こんなにキラキラしてた?
もとから綺麗な顔立ちをしていたけど直視できないほどだった?
声を聞くだけで、胸が締め付けられるのはどうして?
あぁ、もしかして、これが恋なのかもしれない。
『…私だったら
おしゃべりしたり、一緒にお昼食べたり
学校帰りに一緒に帰ったり
同じ時間を過ごしていけばいくほど
その人のことを知るから、それで好きになるかな…』
「ほな、猛アタック開始やな☆
まずは、今から一緒に帰ろか」
ぎゅっと、握られた手は熱くて
包まれた手は、まるで私の心そのもののように感じた。
種ヶ島くんの温もりを感じながら
彼の視線を感じながら
私は芽生えた感情を大切に育ててみたいと思ったのだった。
(桔梗って恋愛マスター言われてるけどホンマなん?)
(えぇっ!あ、えっと、って、名前……)
(名前呼びアカンかった?)
(い、いや…そんなことないけど、慣れてなくて…)
(…さよか〜。じゃあ手繋いで帰るのも慣れてないん?)
(うわっ!た、種ヶ島くんこんなの人に見られたら誤解されるよ!)
(ハハッ!俺は誤解されてなんぼやで☆)
(こんなの、恋愛したことないってすぐバレそう…)
(もうバレてるて)