声を聞かせて
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風邪を引いてしまって、はや4日。
熱は下がってダルさもきつさもなくなったものの
どうしても喉の調子は悪いままで
まだ声が掠れて出ない。
一応無理をしない程度にならマネージャー業に
復帰して良いとのことだったから
今日から久しぶりの仕事だ。
喉の痛みのせいで
皆と会話できないなあと
しょんぼりしていたらポンッ、と肩を叩かれた。
「ちゃい☆おはようさん。
紗奈ちゃん今日から復活なんやな!」
「なんだあ?体調悪かったのかよ」
「うわ、白々しいわあ。アツも心配してたやん」
「あぁ?」
おはよう、大丈夫だよ、ふたりとも仲良いね
色々話したいことがあるのに
声が出ないから何も話せず
いつまでも黙ったままの私に
ふたりとも不思議な顔をしている。
私は喉を触って、バツ、とジェスチャーした。
「あぁ、声が出んのやな。喉腫れたままなんきついなあ」
私のジェスチャーを見て遠野くんは一瞬首を傾げたのだけど
種ヶ島くんはすかさず反応してくれた。
そうなの、という意を込めてうんうんと頷くと
喉が腫れた時はネギを巻け
はちみつを舐めたら良い
とそれぞれ可愛らしいアドバイスをくれて
私は二人にありがとう、と口パクで伝えたのだった。
それにしても、話せないということはかなり不便だ。
そのままの流れで
二人と一緒に食事をすることになったのだけど
レストランの人混みの中「ちょっと通して」も
食事を取り分けてくれたスタッフの人へのお礼も
言うことができずモヤモヤする。
ついでに、パンを貰ったとき
「あ、バター下さい」って言いたかったのに
気づいてもらえなかったし
今もテーブルの向こうにある塩コショウがほしいけど
「遠野くん取って」と言っても
伝わらなさそうでもう諦めようかと思う。
まあしばらくの我慢だと思っていたら
種ヶ島くんがどうしたのかと声を掛けてきた。
伝わるかな、と不安に思いながらも
“塩コショウを取ってほしい”と
自分の目玉焼きを指差し掛けるジェスチャーをしたら
彼は数ある調味料の中からすんなりと
塩コショウを取ってくれた。
すごいなあと感心していたら今度は
「パンはそのままでええの?バターとかいらん?」
と言ってくれたので私は思い切り頷いた。
「お前、よくわかるよなあ」
「ん?わからへんの?」
「塩コショウじゃなくて、醤油かと思ったぜ」
「パッパッて、掛ける動きしてたやん。
醤油やったらこうやろ」
どうやら、遠野くんと私は意思疎通が
難しいタイプなのかもしれない、と
くすりと笑っていたら
種ヶ島くんからアツより俺とのほうが相性ええなと言われて
見透かされているような気持ちになった。
食事が終わってからも
種ヶ島くんは私の言いたいことを読み取ってくれたり
ジェスチャーしたことを皆に伝えたりしてくれて
今日一日私の通訳のような存在になっていた。
他の皆からも
よく私の言いたいことがわかるなと感心されていたけど
そういえば彼の特技は合コンと
ジェスチャー交流だったことを思い出した。
だからわかるのか、と納得して種ヶ島くんに
スマホをメモ代わりにして
“今日は1日私の通訳になってくれてありがとう。
そういえばジェスチャー交流が特技だった
ね!”と書いて見せてみる。
「ん~。まあそれもあるけど、多分紗奈ちゃんやからやで」
どういう意味だろうかと考えあぐねていたら
きゅっと、手を握られた。
「紗奈ちゃんのこと、いつも見てるからわかるってこと。
この意味わかる?」
もしかして、と胸が速る。
だけど勘違いかもしれないし
自惚れだったら恥ずかし過ぎるから
ブンブンと首を横に振ると
彼は私の手をくっと引いて妖艶に微笑んだ。
「声が出るようになったら話すから
ちゃーんと紗奈ちゃんの声と言葉で返事聞かせてな」
そんな表情で、そんなことを言われたら
嫌でも意識してしまって
声が出るようになるまでの間、ずっと種ヶ島くんから
目がそらせずにいたのだった。
(種ヶ島くんってずるい)
(え〜?どのへんが?)
(策士っていうか、手慣れてるっていうか
手のひらで転がされてる感がする)
(わお、俺ひどい言われようやん)
(意識するよう仕向けたり普通できないよ)
(そこまでするほど、本気ってことやで。
本気で好きになった子にしかせぇへんよ)
(…ほらやっぱりずるい!人たらし!)
(ハハッ!照れ隠しもかわええなあ)
熱は下がってダルさもきつさもなくなったものの
どうしても喉の調子は悪いままで
まだ声が掠れて出ない。
一応無理をしない程度にならマネージャー業に
復帰して良いとのことだったから
今日から久しぶりの仕事だ。
喉の痛みのせいで
皆と会話できないなあと
しょんぼりしていたらポンッ、と肩を叩かれた。
「ちゃい☆おはようさん。
紗奈ちゃん今日から復活なんやな!」
「なんだあ?体調悪かったのかよ」
「うわ、白々しいわあ。アツも心配してたやん」
「あぁ?」
おはよう、大丈夫だよ、ふたりとも仲良いね
色々話したいことがあるのに
声が出ないから何も話せず
いつまでも黙ったままの私に
ふたりとも不思議な顔をしている。
私は喉を触って、バツ、とジェスチャーした。
「あぁ、声が出んのやな。喉腫れたままなんきついなあ」
私のジェスチャーを見て遠野くんは一瞬首を傾げたのだけど
種ヶ島くんはすかさず反応してくれた。
そうなの、という意を込めてうんうんと頷くと
喉が腫れた時はネギを巻け
はちみつを舐めたら良い
とそれぞれ可愛らしいアドバイスをくれて
私は二人にありがとう、と口パクで伝えたのだった。
それにしても、話せないということはかなり不便だ。
そのままの流れで
二人と一緒に食事をすることになったのだけど
レストランの人混みの中「ちょっと通して」も
食事を取り分けてくれたスタッフの人へのお礼も
言うことができずモヤモヤする。
ついでに、パンを貰ったとき
「あ、バター下さい」って言いたかったのに
気づいてもらえなかったし
今もテーブルの向こうにある塩コショウがほしいけど
「遠野くん取って」と言っても
伝わらなさそうでもう諦めようかと思う。
まあしばらくの我慢だと思っていたら
種ヶ島くんがどうしたのかと声を掛けてきた。
伝わるかな、と不安に思いながらも
“塩コショウを取ってほしい”と
自分の目玉焼きを指差し掛けるジェスチャーをしたら
彼は数ある調味料の中からすんなりと
塩コショウを取ってくれた。
すごいなあと感心していたら今度は
「パンはそのままでええの?バターとかいらん?」
と言ってくれたので私は思い切り頷いた。
「お前、よくわかるよなあ」
「ん?わからへんの?」
「塩コショウじゃなくて、醤油かと思ったぜ」
「パッパッて、掛ける動きしてたやん。
醤油やったらこうやろ」
どうやら、遠野くんと私は意思疎通が
難しいタイプなのかもしれない、と
くすりと笑っていたら
種ヶ島くんからアツより俺とのほうが相性ええなと言われて
見透かされているような気持ちになった。
食事が終わってからも
種ヶ島くんは私の言いたいことを読み取ってくれたり
ジェスチャーしたことを皆に伝えたりしてくれて
今日一日私の通訳のような存在になっていた。
他の皆からも
よく私の言いたいことがわかるなと感心されていたけど
そういえば彼の特技は合コンと
ジェスチャー交流だったことを思い出した。
だからわかるのか、と納得して種ヶ島くんに
スマホをメモ代わりにして
“今日は1日私の通訳になってくれてありがとう。
そういえばジェスチャー交流が特技だった
ね!”と書いて見せてみる。
「ん~。まあそれもあるけど、多分紗奈ちゃんやからやで」
どういう意味だろうかと考えあぐねていたら
きゅっと、手を握られた。
「紗奈ちゃんのこと、いつも見てるからわかるってこと。
この意味わかる?」
もしかして、と胸が速る。
だけど勘違いかもしれないし
自惚れだったら恥ずかし過ぎるから
ブンブンと首を横に振ると
彼は私の手をくっと引いて妖艶に微笑んだ。
「声が出るようになったら話すから
ちゃーんと紗奈ちゃんの声と言葉で返事聞かせてな」
そんな表情で、そんなことを言われたら
嫌でも意識してしまって
声が出るようになるまでの間、ずっと種ヶ島くんから
目がそらせずにいたのだった。
(種ヶ島くんってずるい)
(え〜?どのへんが?)
(策士っていうか、手慣れてるっていうか
手のひらで転がされてる感がする)
(わお、俺ひどい言われようやん)
(意識するよう仕向けたり普通できないよ)
(そこまでするほど、本気ってことやで。
本気で好きになった子にしかせぇへんよ)
(…ほらやっぱりずるい!人たらし!)
(ハハッ!照れ隠しもかわええなあ)