怖がりさんな君へ
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ここにいることを、今本当に後悔している。
しかも座る位置を絶対に間違えた。
こんな、よりにも寄って
勘の鋭い男、種ヶ島の横なんて最悪だ。
「和花ちゃん、楽しみやなぁ〜」
『そ、そうね』
ニコニコ笑顔の顔がムカつく。
こっちは余裕なんてないのよ。
ホラー映画なんて、苦手でしかないんだから。
こんなことになったのは、遡ること20分前。
高校生組でのミーティングのあと
自室へとそれぞれ戻る途中に
夏らしいことを何かしたい、という話題になった。
海で遊びたい、夏祭りに行きたい
花火をしたいなど割とありきたりな話が上がる中
種ヶ島が肝試しをしたいと言い出した。
私は心霊系が本当に苦手なので
何があっても絶対にそれだけは嫌だった。
流石に肝試しはコーチ達が許可しないだろうから
難しいのでは?と話が逸れ、ホッとしていたら
じゃあホラー映画鑑賞会とかならできますやろか?
と毛利くんが謎のフォローをした。
可愛い後輩のフォローのおかげで種ヶ島は乗り気になって
日取りを決めようなんて言い出したから
なんとか逃げようとしていたら
まさかのタイミングで、知念くん達が休憩室で
ホラー映画鑑賞会を始めようとしていた。
それからは
気の良い中学生達が迎え入れてくれたおかげで
逃れるタイミングなど無く
彼らと一緒に座ってホラー映画を観ることになったのだ。
「和花ちゃんは普段ホラー映画とか観るん?」
『えっ…?あ、いや…映画自体あんまり観ないかな』
「俺も観らんのやけど
知念はホラー映画好きらしくてなぁ。
今日のはあいつのオススメの映画らしいで。
むっちゃ怖そうやな!」
『う、うん』
観る前に、知念くんが軽く
見所を説明してくれているのだけど、もう既に怖い。
雰囲気が出るように照明は暗くされているし
知念くんの話し方も
まるで某怪談家のような口調で怖がらせる気満々だ。
「お、始まるで〜」
不穏な音楽と共に始まった映画は
最悪なことに1番苦手な邦画だ。
洋画だったらまだ“お話”感があるのだけれど
邦画はリアリティがありすぎる。
とにかく、怖いシーンが来たら目を瞑ろう。
それでなんとか時間が過ぎるのを待とう。
とは思ったものの、なにこの映画。
目を瞑ろうにもストーリーと登場人物のキャラが良すぎて
話が気になって見てしまう。
たまに顔を隠しつつチラチラ画面を見ると
映画では、主人公が窓から音がしたから
カーテンを開けようとしているシーン。
絶対私だったら開けない。
なんで開けるのよ、あ、BGMの音量が上がってきた
カーテン開けたらバンっ!てやつだ
そう身構えていたら開けてもそこには何もなくて
安心した主人公が振り向いた瞬間
そこに真っ黒な影の幽霊が……!
『っ………!!』
流石に私と同じように油断していた人も多かったようで
周りからは驚くような声が聞こえた。
おかげで私の驚いた声も
掻き消されたことだろう、と思っていたら
ふと、身体が温かいものに触れているのを感じた。
「あらら、嬉しいハプニングやったのに
もう気づいてしもたか」
顔を上げると種ヶ島の顔。
私は種ヶ島の右腕に抱きつくような形でいたのだ。
ばっ、とすごい勢いで身体を離して
ごめん!と頭を下げる。
『ちょ、ちょっと驚いて…!』
「離れんでもええのに〜。
なんならずっとくっついててええよ?」
『結構です!』
種ヶ島は楽しそうに笑いながら
私の背中をよしよしとひと撫でした。
セクハラって言おうかと思ったけど
抱きついた私のほうがセクハラだったから
とりあえず黙っておくことにした。
それからしばらく映画を見続け
少し落ち着いてきた頃
種ヶ島がそっと私の方へと身を寄せてきた。
「なぁ、和花ちゃん実は怖がりさんやろ?」
『そんなこと、ないけど。
さっきも言ったけど、あんまりこういうの観ないから
慣れてないだけで…』
私も素直に怖いと言えば良いものを
どうしても意地を張ってしまう。
「さよか〜。…こういうのって
怖がれば怖がるほど寄って来んねんて」
『よ、寄って来るって何が……』
「何やと思う?……あ、ほらそこに…」
その瞬間、ぶぉんっという音が耳元でして
私は声にならない声を上げて
種ヶ島に思いきり抱きついた。
「えっ!?なになに!?何事!?誰かなんか言った!?」
「大丈夫やで。
でっかい虫がおっただけやから〜」
「なんだ、虫っスか…びっくりしましたよ〜。
お、海堂なんだよビビってんのか?」
「ビビってねぇ!!」
皆にバレないように種ヶ島がフォローしてくれた。
屋が暗かったので私の声も行動も
誰にもわからないまま
代わりに海堂くんがいじられている。
ちょっと、申し訳ない。
『種ヶ島…虫、だったの…?』
「そやで。何と思ったん?」
『……意地悪』
「怖がりなん認めへんなあ。
まあええわ。抱きつかれるんは嬉しいんやけど
やっぱ色々耐えなアカンから手握ってもええ?」
また抱きついていたことと
種ヶ島の言葉に少しパニックになりながらも
私は素直に手を握られることにした。
しかも座る位置を絶対に間違えた。
こんな、よりにも寄って
勘の鋭い男、種ヶ島の横なんて最悪だ。
「和花ちゃん、楽しみやなぁ〜」
『そ、そうね』
ニコニコ笑顔の顔がムカつく。
こっちは余裕なんてないのよ。
ホラー映画なんて、苦手でしかないんだから。
こんなことになったのは、遡ること20分前。
高校生組でのミーティングのあと
自室へとそれぞれ戻る途中に
夏らしいことを何かしたい、という話題になった。
海で遊びたい、夏祭りに行きたい
花火をしたいなど割とありきたりな話が上がる中
種ヶ島が肝試しをしたいと言い出した。
私は心霊系が本当に苦手なので
何があっても絶対にそれだけは嫌だった。
流石に肝試しはコーチ達が許可しないだろうから
難しいのでは?と話が逸れ、ホッとしていたら
じゃあホラー映画鑑賞会とかならできますやろか?
と毛利くんが謎のフォローをした。
可愛い後輩のフォローのおかげで種ヶ島は乗り気になって
日取りを決めようなんて言い出したから
なんとか逃げようとしていたら
まさかのタイミングで、知念くん達が休憩室で
ホラー映画鑑賞会を始めようとしていた。
それからは
気の良い中学生達が迎え入れてくれたおかげで
逃れるタイミングなど無く
彼らと一緒に座ってホラー映画を観ることになったのだ。
「和花ちゃんは普段ホラー映画とか観るん?」
『えっ…?あ、いや…映画自体あんまり観ないかな』
「俺も観らんのやけど
知念はホラー映画好きらしくてなぁ。
今日のはあいつのオススメの映画らしいで。
むっちゃ怖そうやな!」
『う、うん』
観る前に、知念くんが軽く
見所を説明してくれているのだけど、もう既に怖い。
雰囲気が出るように照明は暗くされているし
知念くんの話し方も
まるで某怪談家のような口調で怖がらせる気満々だ。
「お、始まるで〜」
不穏な音楽と共に始まった映画は
最悪なことに1番苦手な邦画だ。
洋画だったらまだ“お話”感があるのだけれど
邦画はリアリティがありすぎる。
とにかく、怖いシーンが来たら目を瞑ろう。
それでなんとか時間が過ぎるのを待とう。
とは思ったものの、なにこの映画。
目を瞑ろうにもストーリーと登場人物のキャラが良すぎて
話が気になって見てしまう。
たまに顔を隠しつつチラチラ画面を見ると
映画では、主人公が窓から音がしたから
カーテンを開けようとしているシーン。
絶対私だったら開けない。
なんで開けるのよ、あ、BGMの音量が上がってきた
カーテン開けたらバンっ!てやつだ
そう身構えていたら開けてもそこには何もなくて
安心した主人公が振り向いた瞬間
そこに真っ黒な影の幽霊が……!
『っ………!!』
流石に私と同じように油断していた人も多かったようで
周りからは驚くような声が聞こえた。
おかげで私の驚いた声も
掻き消されたことだろう、と思っていたら
ふと、身体が温かいものに触れているのを感じた。
「あらら、嬉しいハプニングやったのに
もう気づいてしもたか」
顔を上げると種ヶ島の顔。
私は種ヶ島の右腕に抱きつくような形でいたのだ。
ばっ、とすごい勢いで身体を離して
ごめん!と頭を下げる。
『ちょ、ちょっと驚いて…!』
「離れんでもええのに〜。
なんならずっとくっついててええよ?」
『結構です!』
種ヶ島は楽しそうに笑いながら
私の背中をよしよしとひと撫でした。
セクハラって言おうかと思ったけど
抱きついた私のほうがセクハラだったから
とりあえず黙っておくことにした。
それからしばらく映画を見続け
少し落ち着いてきた頃
種ヶ島がそっと私の方へと身を寄せてきた。
「なぁ、和花ちゃん実は怖がりさんやろ?」
『そんなこと、ないけど。
さっきも言ったけど、あんまりこういうの観ないから
慣れてないだけで…』
私も素直に怖いと言えば良いものを
どうしても意地を張ってしまう。
「さよか〜。…こういうのって
怖がれば怖がるほど寄って来んねんて」
『よ、寄って来るって何が……』
「何やと思う?……あ、ほらそこに…」
その瞬間、ぶぉんっという音が耳元でして
私は声にならない声を上げて
種ヶ島に思いきり抱きついた。
「えっ!?なになに!?何事!?誰かなんか言った!?」
「大丈夫やで。
でっかい虫がおっただけやから〜」
「なんだ、虫っスか…びっくりしましたよ〜。
お、海堂なんだよビビってんのか?」
「ビビってねぇ!!」
皆にバレないように種ヶ島がフォローしてくれた。
屋が暗かったので私の声も行動も
誰にもわからないまま
代わりに海堂くんがいじられている。
ちょっと、申し訳ない。
『種ヶ島…虫、だったの…?』
「そやで。何と思ったん?」
『……意地悪』
「怖がりなん認めへんなあ。
まあええわ。抱きつかれるんは嬉しいんやけど
やっぱ色々耐えなアカンから手握ってもええ?」
また抱きついていたことと
種ヶ島の言葉に少しパニックになりながらも
私は素直に手を握られることにした。