真夜中の魔法使い
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目を覚ますと、真っ暗な闇があった。
身体が動かなくて、声が出なくて、何も見えない。
頭では、これは夢だとわかっているのに
起きることも出来ずに
真っ暗な息苦しい世界に浸っていて
どうすることもできない。
誰か助けて。
そう思った瞬間、ふと、左手に温もりを感じた。
そこから一気に意識がそっちに流れて
私は今度こそ、本当に目を開けた。
「起きたんやな」
『あ……っ…?』
「ちょい待ち。飲むもん持って来るから」
ごめん起こした?
今何時?
そう話そうとしたものの
私の声は掠れてうまく話せなかった。
「ほい。ゆっくり飲みぃや」
マグカップに注がれた白湯を口にすると
身体から力が抜けて、ほぅっと呼吸も落ち着く。
『ごめんね、ありがとう』
「ん。喉も大丈夫そうやな」
修二の大きな手が頭に伸びてきて
くしゃっと、頭を撫でられるのが気持ち良い。
口を開けて眠っていたのだろうかと思ったけれど
修二曰く、私はひどく魘されていたらしい。
「怖い夢でも見たん?」
そう聞かれて夢を思い出すも
これと言って明確に何かがあったわけではない。
おばけが出たわけでも
襲われそうになったわけでも、なんでもないのだ。
ただ
真っ暗で、動けなくて、何もできない
そんな夢。
そう修二に話しながら、そうか、と夢をやっと理解した。
『あの夢…私、自分が消えちゃうって夢だったんだ…』
言葉にすると軽く聞こえるな、なんて
呑気に思っていたら
横らからぎゅっと、抱きしめられた。
「なんそれ…むちゃくちゃ怖いやん。
考えたくもないんやけど」
『消えないから大丈夫だよ。
でもだから魘されてたんだろうね』
修二の身体を抱きしめ返しながらそう言うと
彼はなぜかごめんなって、謝ってきた。
『何がごめん?』
「もっと早く気づいて、起こしてやればよかったなって。
そしたら怖い思いさせへんかったのに」
『ううん。…修二が、助けてくれたんだよ。
ありがとう』
修二の手の温もりのおかげで、私は目を覚ました。
修二の体温に安心して、暗いところから戻ってこれたのだ。
『なんかね、魔法みたいだった。
真っ暗なところに
じわって温もりが広がって明るくなったの。
そしたら目も覚めて、修二がいて』
話しながら、ぽろぽろと涙が出てきた。
悲しくないのに、もう怖くはないのに
彼の温もりと、優しい笑顔と、気遣いを感じで
あぁ幸せだなって思ったら涙腺が緩んだ。
遅れてやってきた感情に戸惑っていたら
とんとん、って背中を擦ってくれて
さっきの夢のときのように
今度は背中に温もりが広がっていった。
「俺はどうやら魔法が使えるらしいからな。
どや?効いてきたやろか?」
『ふふっ…効いてきたけど、まだ足りないから
くっついて眠っても良い?』
「ええけど、離れるんはナシやで?」
いつもくっついとるのに
文乃が“暑い〜”って言って離れるんやから」
『離れないもーん。えいっ!』
いつの間にか涙なんて引っ込み
私は布団をかぶって、押し倒すように修二に抱きついた。
修二は笑いながらベッドに倒れて
そのまますっぽりと、私を包んでくれた。
「お休み、文乃」
『うん。お休みなさい』
彼の胸に顔を埋めて
背中には私を守るように腕が回されている。
とくん、とくんと響く鼓動が心地よくて
微睡みながら、大好き、と呟いたのだった。
(おはようさん。ええ夢見られたやろか?)
(おはよう〜。なんかね、暑かった)
(だって、離れるんナシやって言うたのに
離れようとするから)
(するから?)
(ガッシリと抱き締めて動きを封じ込めたで☆)
(また悪夢見そう…)
身体が動かなくて、声が出なくて、何も見えない。
頭では、これは夢だとわかっているのに
起きることも出来ずに
真っ暗な息苦しい世界に浸っていて
どうすることもできない。
誰か助けて。
そう思った瞬間、ふと、左手に温もりを感じた。
そこから一気に意識がそっちに流れて
私は今度こそ、本当に目を開けた。
「起きたんやな」
『あ……っ…?』
「ちょい待ち。飲むもん持って来るから」
ごめん起こした?
今何時?
そう話そうとしたものの
私の声は掠れてうまく話せなかった。
「ほい。ゆっくり飲みぃや」
マグカップに注がれた白湯を口にすると
身体から力が抜けて、ほぅっと呼吸も落ち着く。
『ごめんね、ありがとう』
「ん。喉も大丈夫そうやな」
修二の大きな手が頭に伸びてきて
くしゃっと、頭を撫でられるのが気持ち良い。
口を開けて眠っていたのだろうかと思ったけれど
修二曰く、私はひどく魘されていたらしい。
「怖い夢でも見たん?」
そう聞かれて夢を思い出すも
これと言って明確に何かがあったわけではない。
おばけが出たわけでも
襲われそうになったわけでも、なんでもないのだ。
ただ
真っ暗で、動けなくて、何もできない
そんな夢。
そう修二に話しながら、そうか、と夢をやっと理解した。
『あの夢…私、自分が消えちゃうって夢だったんだ…』
言葉にすると軽く聞こえるな、なんて
呑気に思っていたら
横らからぎゅっと、抱きしめられた。
「なんそれ…むちゃくちゃ怖いやん。
考えたくもないんやけど」
『消えないから大丈夫だよ。
でもだから魘されてたんだろうね』
修二の身体を抱きしめ返しながらそう言うと
彼はなぜかごめんなって、謝ってきた。
『何がごめん?』
「もっと早く気づいて、起こしてやればよかったなって。
そしたら怖い思いさせへんかったのに」
『ううん。…修二が、助けてくれたんだよ。
ありがとう』
修二の手の温もりのおかげで、私は目を覚ました。
修二の体温に安心して、暗いところから戻ってこれたのだ。
『なんかね、魔法みたいだった。
真っ暗なところに
じわって温もりが広がって明るくなったの。
そしたら目も覚めて、修二がいて』
話しながら、ぽろぽろと涙が出てきた。
悲しくないのに、もう怖くはないのに
彼の温もりと、優しい笑顔と、気遣いを感じで
あぁ幸せだなって思ったら涙腺が緩んだ。
遅れてやってきた感情に戸惑っていたら
とんとん、って背中を擦ってくれて
さっきの夢のときのように
今度は背中に温もりが広がっていった。
「俺はどうやら魔法が使えるらしいからな。
どや?効いてきたやろか?」
『ふふっ…効いてきたけど、まだ足りないから
くっついて眠っても良い?』
「ええけど、離れるんはナシやで?」
いつもくっついとるのに
文乃が“暑い〜”って言って離れるんやから」
『離れないもーん。えいっ!』
いつの間にか涙なんて引っ込み
私は布団をかぶって、押し倒すように修二に抱きついた。
修二は笑いながらベッドに倒れて
そのまますっぽりと、私を包んでくれた。
「お休み、文乃」
『うん。お休みなさい』
彼の胸に顔を埋めて
背中には私を守るように腕が回されている。
とくん、とくんと響く鼓動が心地よくて
微睡みながら、大好き、と呟いたのだった。
(おはようさん。ええ夢見られたやろか?)
(おはよう〜。なんかね、暑かった)
(だって、離れるんナシやって言うたのに
離れようとするから)
(するから?)
(ガッシリと抱き締めて動きを封じ込めたで☆)
(また悪夢見そう…)