新入社員は強者男子
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私は良く言えば平和主義者、悪く言えば八方美人だ。
数字を扱う部署だから
厳しくしなければいけないけど
私は殊更語彙を強めた物言いはしない。
好戦的、高圧的な態度を取っても
仕事はうまくいかないと思っているし
円滑に事を進めるためには
"会話"することが大切だと思ってる。
仕事は一人ではできないのだ。
私のこの持論は、今まで働いてきた中で見出だしたもので
日吉くんには、私の持論は理解できないだろうなと思う。
気の弱い、たいしたことない先輩だと思われていそう。
ちなみに日吉くんの作った集計は完璧だった。
私の仕事へのスタンスだけでなく
業務の処理能力でさえ
たいしたことないとみ限られそうで切ない。
「月岡ちゃん、何ボーッとしてるの?」
『ああ、山口さん。お疲れ様です』
給湯室でコーヒーを飲んでいると
先程の山口さんに声を掛けられた。
「疲れてるみたいだね~。あの後輩くん
クセあるから大変でしょ?」
『いえ、そんなことないですよ』
「でもさっきみたいにフォローしてあげること
多いんじゃない?」
相談に乗ってあげるよって雰囲気だけど
顔はニヤニヤと笑っている。
あぁ、私から日吉くんの悪口や愚痴を
聞きたいのだろうなあ。
誰が可愛い後輩のことを悪く言ってやるものか。
『フォローするのは先輩として当たり前ですよ。
それに日吉くんって仕事に対してストイックなので
当たりがきついかもしれませんが
真面目で努力家で、適格に仕事をこなしてくれる
頼りになる後輩です』
山口さんは面白くなさそうな顔をして去って行った。
暇な人だな、と心で悪態をつきながら
自分のデスクへと戻る。
『日吉くん、ここ、数字違うよ』
「あ…、すみません」
『ごめん、ここ、もっかい見直してみて』
「すみません。すぐ見直します」
午後から日吉くんは調子が悪く
今までしなかったミスを連発していた。
心なしか、表情も暗い気がする。
『あ、そうだ。日吉くん、これあげる』
「え、これ…」
私が引き出しから取り出したのは、ぬれせんべい。
確か日吉くんの好物だったはず。
今朝隣の部署に行った時にたまたま貰ったのだった。
『日吉くん、ぬれせんべい好きだったよね?』
「………やっぱり、月岡さんってすごいですね」
『ん?なにが?』
「こうやって俺の好物覚えてたり
さりげなくフォローしたり…」
コミュニケーション能力高いですよね、と呟く
珍しく弱気な態度の日吉くん。
おそらく先程の会話を聞いていたのだろう。
『日吉くんだって、さりげなくフォローしてくれてるじゃん。
それに私は日吉くんがすごいって思ってるよ』
「俺が?ハッ、どこがすごいんですか」
『堂々としてる!覚えがはやい!仕事が適格!
ズバッと発言できる!他人に流されない!』
「はぁ」
私は入社したての頃、ビクビクしてて
トイレに行くのでさえ緊張してた。
聞いてばかりで、でも聞きたいこともよくまとまってなくて
先輩にすっごい迷惑かけてた。
自分がする仕事だけを考えてて
その先のことなんて見えていなかったし
私の作った資料が、どう次の仕事に繋がってるか
考えが及ばなかったのだ。
私の新人時代の話は
日吉くんにとっては新鮮だったみたいで
ずっと黙って聞いている。
『日吉くんなら大丈夫。
それに、私に足りない発言力と
日吉くんに足りないコミュ力、合わさったら最強じゃない?』
「…コミュ力高いって、自分で言うんですね」
『え!いや、そういう意味じゃないっていうか…
言葉のあやってやつでね…!』
「まあどうせ、俺にはコミュ力有りませんけどね」
『ちょっと、調子戻ってきたね…』
いつの間にか日吉くんペースだ。
「まあでも月岡さんのおかげで
仕事は覚えやすいですし、滞りなく取り組めていますので
月岡さんには感謝はしていますよ」
からかわれていると思ったら
真っ直ぐに見つめられて
ストレートな言葉に私は不意打ちをくらう。
『あ、ありがとう』
「あれ?照れてるんですか?可愛いとこあるじゃないですか」
『て、照れてない…!ほら、そろそろ仕事に戻るよ!』
小さく笑う声がして
チラッと日吉くんを盗み見れば
なんとも楽しそうな顔をして笑っていた。
そんな顔するなんて、ずるい。
それから日吉くんの復活は早く
先程のミスが嘘のように、完璧な書類を渡されたのだった。
(…そういえば、あの人と飲みに行くんですか?)
(え?あぁ、山口さん?)
(誘われてたましたよね)
(社交辞令じゃない?)
(…なら、いいですけど)
(それに本当に誘われても行かないよ)
(…彼氏、とか…好きな人とか、いるんですか?)
(うわ、嫌味か!彼氏いないし!)
(ふーん…じゃあなんで行かないんですか?
あの人、顔だけはマシなほうだと思いますけど)
(辛辣…!時間の無駄かなーって。
山口さん、苦手だし私にはなんの得もないし)
(あんたこそ辛辣だろ…わりと腹黒い…)
(それに、顔なら日吉くんのほうが格好良いよ)
(………実はそれ全部計算ですか?)
(なにが??)
数字を扱う部署だから
厳しくしなければいけないけど
私は殊更語彙を強めた物言いはしない。
好戦的、高圧的な態度を取っても
仕事はうまくいかないと思っているし
円滑に事を進めるためには
"会話"することが大切だと思ってる。
仕事は一人ではできないのだ。
私のこの持論は、今まで働いてきた中で見出だしたもので
日吉くんには、私の持論は理解できないだろうなと思う。
気の弱い、たいしたことない先輩だと思われていそう。
ちなみに日吉くんの作った集計は完璧だった。
私の仕事へのスタンスだけでなく
業務の処理能力でさえ
たいしたことないとみ限られそうで切ない。
「月岡ちゃん、何ボーッとしてるの?」
『ああ、山口さん。お疲れ様です』
給湯室でコーヒーを飲んでいると
先程の山口さんに声を掛けられた。
「疲れてるみたいだね~。あの後輩くん
クセあるから大変でしょ?」
『いえ、そんなことないですよ』
「でもさっきみたいにフォローしてあげること
多いんじゃない?」
相談に乗ってあげるよって雰囲気だけど
顔はニヤニヤと笑っている。
あぁ、私から日吉くんの悪口や愚痴を
聞きたいのだろうなあ。
誰が可愛い後輩のことを悪く言ってやるものか。
『フォローするのは先輩として当たり前ですよ。
それに日吉くんって仕事に対してストイックなので
当たりがきついかもしれませんが
真面目で努力家で、適格に仕事をこなしてくれる
頼りになる後輩です』
山口さんは面白くなさそうな顔をして去って行った。
暇な人だな、と心で悪態をつきながら
自分のデスクへと戻る。
『日吉くん、ここ、数字違うよ』
「あ…、すみません」
『ごめん、ここ、もっかい見直してみて』
「すみません。すぐ見直します」
午後から日吉くんは調子が悪く
今までしなかったミスを連発していた。
心なしか、表情も暗い気がする。
『あ、そうだ。日吉くん、これあげる』
「え、これ…」
私が引き出しから取り出したのは、ぬれせんべい。
確か日吉くんの好物だったはず。
今朝隣の部署に行った時にたまたま貰ったのだった。
『日吉くん、ぬれせんべい好きだったよね?』
「………やっぱり、月岡さんってすごいですね」
『ん?なにが?』
「こうやって俺の好物覚えてたり
さりげなくフォローしたり…」
コミュニケーション能力高いですよね、と呟く
珍しく弱気な態度の日吉くん。
おそらく先程の会話を聞いていたのだろう。
『日吉くんだって、さりげなくフォローしてくれてるじゃん。
それに私は日吉くんがすごいって思ってるよ』
「俺が?ハッ、どこがすごいんですか」
『堂々としてる!覚えがはやい!仕事が適格!
ズバッと発言できる!他人に流されない!』
「はぁ」
私は入社したての頃、ビクビクしてて
トイレに行くのでさえ緊張してた。
聞いてばかりで、でも聞きたいこともよくまとまってなくて
先輩にすっごい迷惑かけてた。
自分がする仕事だけを考えてて
その先のことなんて見えていなかったし
私の作った資料が、どう次の仕事に繋がってるか
考えが及ばなかったのだ。
私の新人時代の話は
日吉くんにとっては新鮮だったみたいで
ずっと黙って聞いている。
『日吉くんなら大丈夫。
それに、私に足りない発言力と
日吉くんに足りないコミュ力、合わさったら最強じゃない?』
「…コミュ力高いって、自分で言うんですね」
『え!いや、そういう意味じゃないっていうか…
言葉のあやってやつでね…!』
「まあどうせ、俺にはコミュ力有りませんけどね」
『ちょっと、調子戻ってきたね…』
いつの間にか日吉くんペースだ。
「まあでも月岡さんのおかげで
仕事は覚えやすいですし、滞りなく取り組めていますので
月岡さんには感謝はしていますよ」
からかわれていると思ったら
真っ直ぐに見つめられて
ストレートな言葉に私は不意打ちをくらう。
『あ、ありがとう』
「あれ?照れてるんですか?可愛いとこあるじゃないですか」
『て、照れてない…!ほら、そろそろ仕事に戻るよ!』
小さく笑う声がして
チラッと日吉くんを盗み見れば
なんとも楽しそうな顔をして笑っていた。
そんな顔するなんて、ずるい。
それから日吉くんの復活は早く
先程のミスが嘘のように、完璧な書類を渡されたのだった。
(…そういえば、あの人と飲みに行くんですか?)
(え?あぁ、山口さん?)
(誘われてたましたよね)
(社交辞令じゃない?)
(…なら、いいですけど)
(それに本当に誘われても行かないよ)
(…彼氏、とか…好きな人とか、いるんですか?)
(うわ、嫌味か!彼氏いないし!)
(ふーん…じゃあなんで行かないんですか?
あの人、顔だけはマシなほうだと思いますけど)
(辛辣…!時間の無駄かなーって。
山口さん、苦手だし私にはなんの得もないし)
(あんたこそ辛辣だろ…わりと腹黒い…)
(それに、顔なら日吉くんのほうが格好良いよ)
(………実はそれ全部計算ですか?)
(なにが??)