地味な私と眩しい同期





眩しい。
それが彼に抱いた第一印象。
彼、白石蔵ノ介くんは私の同期。
キラキラと輝いていて眩しいくらいのイケメン。
見た目だけでなく、気さくで話しやすくて面白い。
・・・面白さの基準は少しズレている気もするけど
そこがまた親しみやすさを出している。
営業の仕事だって
持ち前のキャラでそつなくこなしているし
私なんかと大違い。
彼と同期ってだけで、勝手に卑屈になってしまう。
だって私はこんなにも地味で
目立たなくて、普通なのだから。






「[#dc=1#]さんって白石くんの同期なんだよね?」

『え、あ、はい・・・・そうです』

「同期会とかするの~?」

『今度しようって話はあるんですが・・・』

「羨ましい~。[#dn=1#]さんの代って
千歳くんとかもいるしキャラ立ってるよね」

『あはは…そう、ですね』





他の同期もそう。
千歳くんは白石くんの同級生らしいけど
スラッとした高身長の少しほんわかしたイケメンで
もう一人の同期はキリッとした強気な美人。
白石くんだけならまだしも
他の皆も目立つから余計に肩身が狭くなる。
先輩たちからの言葉に悪意はないのに
勝手に"同期の中であなただけが地味ね"と
言われているような気になる。
こんなネガティブな自分も情けない…。










「[#dc=1#]さん、お疲れ」

『あ、お、お疲れ様。白石くん』

「隣、座ってもええ?」

『え?あ、どうぞ…』




うちの会社には社員食堂があって
主に皆はそこで食べている。
私はいつもお弁当を作ってきているから
食堂の横にあるフリースペースでひとりで
食べることが多いのだけど
今日はまさかの白石くんの登場。




「[#dc=1#]さん、いつもここで食べてるん?」

『お弁当、だから』

「独り暮らしやったよな?すごいわぁ…
ちょっと見せてもろてもええ?」

『え!いや、そんな
たいしたもの入ってないよ!地味、だし…』




人様に見せるにはみすぼらしい、というか
なんの変哲もないこのお弁当。
もう少し華やかなものでも入れればよかった。
弁当すら地味だ。




「弁当に地味もなんもあらへんよ。
ちゃんと考えて作ってるんがすごいと思うし
ほんま[#dc=1#]さんてしっかりしてるわ」



あの白石くんに褒められて顔が熱くなる。
他愛もない会話をしていただけだったけど
私と一緒にいるところを見られたら
白石くんに迷惑が掛からないかが
気が気じゃなくて
私は早々とお昼を食べ終えてしまった。



『あ、あの、それじゃ、お疲れ様』

「あ、ちょぉ待って」



とにかく一刻も早く立ち去ろうと思っていたら
白石くんに呼び止められた。



「今度、若手メンバーで飲み会しよかって
話が出てるんやけど
[#dc=1#]さんも来てくれへん?」

『の、飲み会…』

「無理にとは言わへんよ。
せっかくやから、皆で親睦深められたらなあ思て」

『考えておくね…』

「おん!」




爽やかな笑顔に一瞬流されそうになったけど
飲み会だなんて、私には無理。
学生の時から飲み会が苦手だった。
騒がしいのはまだ離れていれば良いのだけど
取り分けたり、お酒をついだり、注文したり…
誰がどのタイミングでしたら良いのかが
わからなくて戸惑う。
でもあの人食べてないな、飲んでないな
おしぼり新しいの貰ったが良いかなとかは気になって
でも声をあげる勇気はないから、勝手に疲れてしまって…。
だから断ろう。
ノリも良くない私が行っても
「え、お前来たの?」みたいな顔されるだろし。
絶対断ろう。
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