風紀委員と彼女
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翌日、真田が部活へと行くとすぐに赤也が近寄って来た。
「真田副部長~、白川に何か言ったんスか?」
「な、なぜだ」
赤也に問われて真田は少し動揺した。
思い返せば女子生徒の腕を掴むという行為は
セクハラに近かった。咎められてもおかしくはない。
「なんか、
“あんたの先輩、嫌い。”って一言言われんスけど…」
「そ、そうか…」
思いのほかストレートな言葉。
落ち込んでいる真田に赤也は言葉を続ける。
「あ、そういやなんかうちの女子達から聞いたんスけど
あの髪、染めてないらしいっス」
「染めていない?」
「なんか地毛だって言ってましたよ」
赤也の言葉を聞いてハッとする。
昨日言われた“目先のことしか信じない”とは…
もしかすると自分は
大きな勘違いをしているのではないかと気づく。
真田は幸村に一言声を掛けると
職員室へと走って行った。
「白川!!」
真田は校内を走り回り、やっとのことで
図書館から出てきた彼女を見つけた。
『…またですか?大きな声を出さないでください。
そんなに私が気にくわないですか?』
いい加減嫌気がさしてきたのか
彼女の言葉は強めだった。
「先程、職員室で先生方に話を伺ってきた。
お前の髪は、地毛だと聞いた。
それに、遅刻や早退も理由があると…」
赤也から話を聞いたあと
真田は風紀委員の顧問である教師に
話を聞きに行ったのだった。
自分が注意をした、髪の明るい女子生徒のことを。
個人情報だから、と詳しくは聞けなかったものの
染めてはいないし
何かしらの理由があることもわかったのだ。
『…先生って案外おしゃべりですね。
髪はその通り地毛です。
遅刻や早退は……ちょっと場所変えましょうか』
彼女は空き教室に入っていった。
ふたりで放課後の静けさの中グラウンドを眺める。
『私の家、父子家庭なんです。
母は私が小さい頃に亡くなって、父と妹と暮らしています。
妹は小学生ですが、身体が弱くて休みがちで
早退することも多くて』
「そうか…妹の面倒を見ていたのか」
『そうです。父は仕事があるので。
妹のそばにいてあげられるのは、私しかいないから』
真田は自分がいかに浅はかだったか思い知らされた。
何も、この目の前の少女のことを理解していなかった。
見た目と風評だけで決めつけて
自ら見ようとしていなかったのだ。
彼女は何も悪くない。
寧ろ妹のため家族のために
必死に支えようとしていたのに
何を更正させようとなど言っていたのか。
真田は己が恥ずかしくなった。
「すまない。俺は失礼なことをした。
謝っても、謝りきれない」
思い切り頭を下げる真田を見て
彼女は目を丸くする。
『…頭を上げて下さい。わかってもらえたなら
もういいです。私も地毛だって言えばよかったし
スカートは確かに短いですしね』
「む…」
『…このスカート、母のお下がりなんです。
だからサイズが合っていなくて、短くて。
すみません。新しいのを買いますね』
「いや、いい。
亡き母上のためにも、そのままが良いだろう」
俺が認める。と胸を張る真田を見ていたら
彼女は笑いが堪えられなくなった。
怒鳴って怒ってきたかと思えば
謝るために走り回って自分を探してくれて
思い切り頭を下げる。
こんなにも、潔い素直な人間には初めて出会う。
「な、なぜ笑うのだ」
『いや…最初のインパクトが強かった分
こんなにも素直に謝ったりされるとは思わなくて…
先輩って、面白い人ですね』
微笑む彼女を見て、真田は胸の鼓動が速まるのを感じた。
もっと彼女の笑顔を見たい。
もっと話がしたい。
家族を支える彼女を、自分が支えたい。
「…お、俺に何か出来ることはないか?」
『…そうですね
たまにこうして話を聞いてくれますか?真田先輩』
「もちろんだ」
ふたりの間には、恋でも友情でもない
まだ名前のない感情が芽生え始めた。
(真田副部長!なんで白川と仲良くなってんスか!?)
(む?まぁ色々と話をしてみれば、聡明な女子生徒でな)
(なんじゃ真田、後輩の恋路の邪魔をしとるんか?)
(そ、そんなんじゃないですって!!)
(あ、赤也、お前白川が、す、好きなのか?)
(い、いや、俺は別にそんなんじゃ…)
(ふたりが片思いしている確率、100%)
「真田副部長~、白川に何か言ったんスか?」
「な、なぜだ」
赤也に問われて真田は少し動揺した。
思い返せば女子生徒の腕を掴むという行為は
セクハラに近かった。咎められてもおかしくはない。
「なんか、
“あんたの先輩、嫌い。”って一言言われんスけど…」
「そ、そうか…」
思いのほかストレートな言葉。
落ち込んでいる真田に赤也は言葉を続ける。
「あ、そういやなんかうちの女子達から聞いたんスけど
あの髪、染めてないらしいっス」
「染めていない?」
「なんか地毛だって言ってましたよ」
赤也の言葉を聞いてハッとする。
昨日言われた“目先のことしか信じない”とは…
もしかすると自分は
大きな勘違いをしているのではないかと気づく。
真田は幸村に一言声を掛けると
職員室へと走って行った。
「白川!!」
真田は校内を走り回り、やっとのことで
図書館から出てきた彼女を見つけた。
『…またですか?大きな声を出さないでください。
そんなに私が気にくわないですか?』
いい加減嫌気がさしてきたのか
彼女の言葉は強めだった。
「先程、職員室で先生方に話を伺ってきた。
お前の髪は、地毛だと聞いた。
それに、遅刻や早退も理由があると…」
赤也から話を聞いたあと
真田は風紀委員の顧問である教師に
話を聞きに行ったのだった。
自分が注意をした、髪の明るい女子生徒のことを。
個人情報だから、と詳しくは聞けなかったものの
染めてはいないし
何かしらの理由があることもわかったのだ。
『…先生って案外おしゃべりですね。
髪はその通り地毛です。
遅刻や早退は……ちょっと場所変えましょうか』
彼女は空き教室に入っていった。
ふたりで放課後の静けさの中グラウンドを眺める。
『私の家、父子家庭なんです。
母は私が小さい頃に亡くなって、父と妹と暮らしています。
妹は小学生ですが、身体が弱くて休みがちで
早退することも多くて』
「そうか…妹の面倒を見ていたのか」
『そうです。父は仕事があるので。
妹のそばにいてあげられるのは、私しかいないから』
真田は自分がいかに浅はかだったか思い知らされた。
何も、この目の前の少女のことを理解していなかった。
見た目と風評だけで決めつけて
自ら見ようとしていなかったのだ。
彼女は何も悪くない。
寧ろ妹のため家族のために
必死に支えようとしていたのに
何を更正させようとなど言っていたのか。
真田は己が恥ずかしくなった。
「すまない。俺は失礼なことをした。
謝っても、謝りきれない」
思い切り頭を下げる真田を見て
彼女は目を丸くする。
『…頭を上げて下さい。わかってもらえたなら
もういいです。私も地毛だって言えばよかったし
スカートは確かに短いですしね』
「む…」
『…このスカート、母のお下がりなんです。
だからサイズが合っていなくて、短くて。
すみません。新しいのを買いますね』
「いや、いい。
亡き母上のためにも、そのままが良いだろう」
俺が認める。と胸を張る真田を見ていたら
彼女は笑いが堪えられなくなった。
怒鳴って怒ってきたかと思えば
謝るために走り回って自分を探してくれて
思い切り頭を下げる。
こんなにも、潔い素直な人間には初めて出会う。
「な、なぜ笑うのだ」
『いや…最初のインパクトが強かった分
こんなにも素直に謝ったりされるとは思わなくて…
先輩って、面白い人ですね』
微笑む彼女を見て、真田は胸の鼓動が速まるのを感じた。
もっと彼女の笑顔を見たい。
もっと話がしたい。
家族を支える彼女を、自分が支えたい。
「…お、俺に何か出来ることはないか?」
『…そうですね
たまにこうして話を聞いてくれますか?真田先輩』
「もちろんだ」
ふたりの間には、恋でも友情でもない
まだ名前のない感情が芽生え始めた。
(真田副部長!なんで白川と仲良くなってんスか!?)
(む?まぁ色々と話をしてみれば、聡明な女子生徒でな)
(なんじゃ真田、後輩の恋路の邪魔をしとるんか?)
(そ、そんなんじゃないですって!!)
(あ、赤也、お前白川が、す、好きなのか?)
(い、いや、俺は別にそんなんじゃ…)
(ふたりが片思いしている確率、100%)
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