★君の涙は見たくない
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宿屋で寝ていると、静かにドアが閉まる音がした。
どうやら出て行ったのマイちゃん。
青年なら放っておくんだけどー…
少し悩んだあと、マイちゃんの後を追いかけることにした。
実は俺と同じでどこかの組織と繋がってる、
なーんて、とか考えながら着いて行くと
街外れで彼女は止まった。
隠れて様子を見てみると、徐に鍛練を始めた。
あの動き、今日青年に注意されてたわね。
そうか、なんでもそつなく
こなしているって思ってたけど
こうやって努力をしてたのか。
戦闘にも参加できるようになったとはいえ
まだまだ戦いには不馴れだ。
彼女なりに、色々と考えていたのか。
あまり盗み見るのも悪いか、と思い立ち去ろうとしたその時
かすかに声が聞こえた。
『ふっ………ひっく……』
「……!」
泣いている、と思った瞬間、自然と身体が動いてしまった。
『だれ…』
涙に濡れた瞳と目が合う。
「あ…盗み見るつもりはなかったのよ」
『………』
ごめんね、と立ち去ればよかったのに
何故か立ち去ることができなかった。
傍にいてあげたいって気持ちが強くて
マイちゃんの隣に座る。
いや、なにしてんの俺。
らしくないでしょ。
「……さすがにね、泣いてる女の子見ちゃったら
放っておけなくてね」
『…ひっく…、女の子って、歳じゃないけど…』
「俺様にとっては女の子よ」
『なに…それ…』
マイちゃんは泣きながらもうっすらと笑ってくれた。
それでも泣き顔が弱々しくて、痛々しくて
どうにも出来ない自分がもどかしい。
『……自分でも、なんで泣いてるかわからない』
「…帰りたいってわけじゃなくて?」
『不思議と、そうは思っていなくて…ただ、…不安なの。
これからどうなるのか、どうしたらいいのか…
皆の、迷惑にはなりたくないし
でもいつまでも一緒にはいられないし
そうやって、色んな感情がぐるぐるして…』
そこまで言うと、マイちゃんはまた涙を浮かべていた。
思い返せば、マイちゃんは不安がったり
泣き言を言ったり、ネガティブなことは
全くしなかった。
普通、何も知らない世界にポンっと一人だけ
投げ飛ばされて、平気なわけはない。
ずっとずっと、彼女は我慢してきた。
それがいま、限界がきたのだ。
「マイちゃんは頑張りすぎなのよ。
もうちょい吐き出していいんでない?」
『…だって、いい歳した大人が泣き言なんて言えないよ。
皆、年下なんだもん』
可愛い。そこを気にしていたのね。
「じゃあさ、たまにおっさんの酒に付き合ってよ。
そんでそこで愚痴大会でもしよーや」
『お酒……』
「そそっ。飲まないとやってらんない時だってあるでしょ?
おっさんだって、若人に言いたい放題言われて…
って、お酒は飲めるかしら?」
『うん、お酒は好き』
「じゃあ決まりね」
楽しみにしてるって呟いたマイちゃんが
あまりにも綺麗に、儚げに笑うもんだから
つい手が伸びてしまった。
頭をポンポンっと軽く撫でると
少しだけムスッとして赤くなっている。
『この歳で頭を撫でられるなんて…』
「いいじゃないの。さっきも言ったけど
おっさんにとってマイちゃんは女の子なんだから」
『レイヴンって、私には距離を取ってると思ってたけど
やっと私に慣れてくれたの?』
「え?そんな風に見えたかしら?
マイちゃんが美人さんで
おっさん緊張しちゃってたのかも」
『絶対嘘でしょ』
冗談を言い合うマイちゃんの目には
もう涙は浮かんでいなかった。
彼女の涙は、もう見たくないと思う自分がいる。
距離を取ってる、というのは間違いではない。
距離を取らないと、余計な感情が芽生えそうな気がしていた。
さっき、楽しみにしてるって笑ってくれたとき
本当は抱き締めそうになったのは内緒だ。
ああ、これ以上先に進んではいけないと思いながらも
彼女の笑顔を守りたいと思う矛盾を
どうすることも、できそうにない。
(マイ!昨日の夜どこに行ってたんです?
目が覚めたらいなくて、びっくりしましたよ)
(あぁ、ごめんね。ちょっと眠れなくて外に出てたの)
(夜の散歩は気持ちいいけど、危険だと思うわ)
(でもレイヴンも一緒だったから)
(マイ姐、おっさんと一緒だったのか?)
(うん。たまたまレイヴンも外に出ててね)
(何言ってんのよ、そっちのほうが危険よ!)
(えっ?そう?)
(おっさん!何もしてないでしょうね?
なんかしてたらぶっ飛ばすわよ!)
(青年、少年…おっさん、何もしてないのよ…?)
(まあ、おっさんだから仕方ないじゃないか?)
(レイヴン、日頃の行いってやつだよ)
(ひどい!みんなしてひどい!)
どうやら出て行ったのマイちゃん。
青年なら放っておくんだけどー…
少し悩んだあと、マイちゃんの後を追いかけることにした。
実は俺と同じでどこかの組織と繋がってる、
なーんて、とか考えながら着いて行くと
街外れで彼女は止まった。
隠れて様子を見てみると、徐に鍛練を始めた。
あの動き、今日青年に注意されてたわね。
そうか、なんでもそつなく
こなしているって思ってたけど
こうやって努力をしてたのか。
戦闘にも参加できるようになったとはいえ
まだまだ戦いには不馴れだ。
彼女なりに、色々と考えていたのか。
あまり盗み見るのも悪いか、と思い立ち去ろうとしたその時
かすかに声が聞こえた。
『ふっ………ひっく……』
「……!」
泣いている、と思った瞬間、自然と身体が動いてしまった。
『だれ…』
涙に濡れた瞳と目が合う。
「あ…盗み見るつもりはなかったのよ」
『………』
ごめんね、と立ち去ればよかったのに
何故か立ち去ることができなかった。
傍にいてあげたいって気持ちが強くて
マイちゃんの隣に座る。
いや、なにしてんの俺。
らしくないでしょ。
「……さすがにね、泣いてる女の子見ちゃったら
放っておけなくてね」
『…ひっく…、女の子って、歳じゃないけど…』
「俺様にとっては女の子よ」
『なに…それ…』
マイちゃんは泣きながらもうっすらと笑ってくれた。
それでも泣き顔が弱々しくて、痛々しくて
どうにも出来ない自分がもどかしい。
『……自分でも、なんで泣いてるかわからない』
「…帰りたいってわけじゃなくて?」
『不思議と、そうは思っていなくて…ただ、…不安なの。
これからどうなるのか、どうしたらいいのか…
皆の、迷惑にはなりたくないし
でもいつまでも一緒にはいられないし
そうやって、色んな感情がぐるぐるして…』
そこまで言うと、マイちゃんはまた涙を浮かべていた。
思い返せば、マイちゃんは不安がったり
泣き言を言ったり、ネガティブなことは
全くしなかった。
普通、何も知らない世界にポンっと一人だけ
投げ飛ばされて、平気なわけはない。
ずっとずっと、彼女は我慢してきた。
それがいま、限界がきたのだ。
「マイちゃんは頑張りすぎなのよ。
もうちょい吐き出していいんでない?」
『…だって、いい歳した大人が泣き言なんて言えないよ。
皆、年下なんだもん』
可愛い。そこを気にしていたのね。
「じゃあさ、たまにおっさんの酒に付き合ってよ。
そんでそこで愚痴大会でもしよーや」
『お酒……』
「そそっ。飲まないとやってらんない時だってあるでしょ?
おっさんだって、若人に言いたい放題言われて…
って、お酒は飲めるかしら?」
『うん、お酒は好き』
「じゃあ決まりね」
楽しみにしてるって呟いたマイちゃんが
あまりにも綺麗に、儚げに笑うもんだから
つい手が伸びてしまった。
頭をポンポンっと軽く撫でると
少しだけムスッとして赤くなっている。
『この歳で頭を撫でられるなんて…』
「いいじゃないの。さっきも言ったけど
おっさんにとってマイちゃんは女の子なんだから」
『レイヴンって、私には距離を取ってると思ってたけど
やっと私に慣れてくれたの?』
「え?そんな風に見えたかしら?
マイちゃんが美人さんで
おっさん緊張しちゃってたのかも」
『絶対嘘でしょ』
冗談を言い合うマイちゃんの目には
もう涙は浮かんでいなかった。
彼女の涙は、もう見たくないと思う自分がいる。
距離を取ってる、というのは間違いではない。
距離を取らないと、余計な感情が芽生えそうな気がしていた。
さっき、楽しみにしてるって笑ってくれたとき
本当は抱き締めそうになったのは内緒だ。
ああ、これ以上先に進んではいけないと思いながらも
彼女の笑顔を守りたいと思う矛盾を
どうすることも、できそうにない。
(マイ!昨日の夜どこに行ってたんです?
目が覚めたらいなくて、びっくりしましたよ)
(あぁ、ごめんね。ちょっと眠れなくて外に出てたの)
(夜の散歩は気持ちいいけど、危険だと思うわ)
(でもレイヴンも一緒だったから)
(マイ姐、おっさんと一緒だったのか?)
(うん。たまたまレイヴンも外に出ててね)
(何言ってんのよ、そっちのほうが危険よ!)
(えっ?そう?)
(おっさん!何もしてないでしょうね?
なんかしてたらぶっ飛ばすわよ!)
(青年、少年…おっさん、何もしてないのよ…?)
(まあ、おっさんだから仕方ないじゃないか?)
(レイヴン、日頃の行いってやつだよ)
(ひどい!みんなしてひどい!)
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