●真面目なあの子は
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『リズルート・ヴォルティス。
好きなように呼んでください』
凛とした、青い目をした彼女は
レイヴンにとって何処かで見覚えのある顔だった。
ダングレストで、ギルドに入らず
ギルドの手伝いをしていきたいと言う彼女は
ドンの気迫に臆することなく淡々と話す。
「おめぇさん、ここでギルドに入らず
やっていけると思ってんのか」
ドスの効いた声にも眉ひとつ動かさず
真っ直ぐとした瞳で静かに見返す。
『わかりません。でも今は一人でやってみたいんです』
「ダングレストは荒くれもんばかりだ。
女一人でやっていくのは骨がおれるぞ」
『ご忠告、ありがとうございます。
ですが、荒くれものくらい、黙らせる強さはあるつもりです』
「ギルドに入らねぇのに、何故ここに来た」
『挨拶です』
ドンの笑い声が高らかに響き渡る。
リズルートは何故笑われたのかよくわかっていなかった。
「おもしれぇ奴が来たじゃねぇか」
ユニオンから出ていくリズルートの姿を見ながら
ドンがニヤリ、と笑う。
「確かに美人さんだったわ」
「このバカが、そうじゃねえ。
…おいレイヴン。おめぇあの嬢ちゃん見張ってろ」
「え?なんで見張りなんか」
「いいから見とけ。わかったな」
レイヴンはとりあえずリズルートの後を追いかけた。
見張り、とは言われたものの
ドンが彼女を怪しんでいるようには思えないし
何よりあのドンのことだ
怪しいと思っていても野放しにするだろう。
宿屋の近くに来たところでレイヴンはリズルートを見つけたが
彼女はすぐに建物の中へと姿を消した。
(あそこが部屋かしら)
レイヴンは彼女がこれから暮らすであろう
部屋を見つめながら
なんとなく、これから長い付き合いに
なるような気がしていた。
翌日からレイヴンはリズルートの行動を見張ることにした。
とはいえ、この街にいれば自然と情報は耳に入るし
彼女の動きに怪しいところも、おかしなところもない。
強いて言うなれば、規則正しく真面目である、というところ。
朝5時には起床し、一旦街を出で近くの森で鍛錬。
7時、12時、18時には食事をとり
それ以外の時間は様々なギルドに顔を出しているようだった。
彼女の動きを観察するようになって1週間が経過した頃には
驚くことに、本当にギルドに所属することなく
仕事をもらえているようだった。
「ちょっとちょっと、あの美人さん何者よぉ。
おたくらのギルドにあんな子いたかしら?」
レイヴンは先程までリズルートと話していた
男たちに声を掛けてみた。
「レイヴンか。なんだ知らねえのか?
最近この街に住みはじめた姉ちゃんだよ」
「へぇ、そうなのね」
「仕事を手伝いたいって言われてな。
ちょうど人手が足りてなかったから頼んでみたんだよ」
「おたくらもよく頼んだわね。素性もわかんないのに」
「金はいらねえって言うしよ。
それに毎日声掛けて来てたしな。
あの姉ちゃん、色んなことしてみてえからって
ここらへんのギルドに片っ端から声かけてら」
男たちによると、
魔物の討伐依頼を手伝ってもらったそうだが
ずば抜けて戦闘能力が高く、
ギルドに勧誘したほどだったという。
それから他にも数人に話を聞いてみたが
皆言うことはほとんど同じだった。
”うちのギルドに入ってほしい”と。
好きなように呼んでください』
凛とした、青い目をした彼女は
レイヴンにとって何処かで見覚えのある顔だった。
ダングレストで、ギルドに入らず
ギルドの手伝いをしていきたいと言う彼女は
ドンの気迫に臆することなく淡々と話す。
「おめぇさん、ここでギルドに入らず
やっていけると思ってんのか」
ドスの効いた声にも眉ひとつ動かさず
真っ直ぐとした瞳で静かに見返す。
『わかりません。でも今は一人でやってみたいんです』
「ダングレストは荒くれもんばかりだ。
女一人でやっていくのは骨がおれるぞ」
『ご忠告、ありがとうございます。
ですが、荒くれものくらい、黙らせる強さはあるつもりです』
「ギルドに入らねぇのに、何故ここに来た」
『挨拶です』
ドンの笑い声が高らかに響き渡る。
リズルートは何故笑われたのかよくわかっていなかった。
「おもしれぇ奴が来たじゃねぇか」
ユニオンから出ていくリズルートの姿を見ながら
ドンがニヤリ、と笑う。
「確かに美人さんだったわ」
「このバカが、そうじゃねえ。
…おいレイヴン。おめぇあの嬢ちゃん見張ってろ」
「え?なんで見張りなんか」
「いいから見とけ。わかったな」
レイヴンはとりあえずリズルートの後を追いかけた。
見張り、とは言われたものの
ドンが彼女を怪しんでいるようには思えないし
何よりあのドンのことだ
怪しいと思っていても野放しにするだろう。
宿屋の近くに来たところでレイヴンはリズルートを見つけたが
彼女はすぐに建物の中へと姿を消した。
(あそこが部屋かしら)
レイヴンは彼女がこれから暮らすであろう
部屋を見つめながら
なんとなく、これから長い付き合いに
なるような気がしていた。
翌日からレイヴンはリズルートの行動を見張ることにした。
とはいえ、この街にいれば自然と情報は耳に入るし
彼女の動きに怪しいところも、おかしなところもない。
強いて言うなれば、規則正しく真面目である、というところ。
朝5時には起床し、一旦街を出で近くの森で鍛錬。
7時、12時、18時には食事をとり
それ以外の時間は様々なギルドに顔を出しているようだった。
彼女の動きを観察するようになって1週間が経過した頃には
驚くことに、本当にギルドに所属することなく
仕事をもらえているようだった。
「ちょっとちょっと、あの美人さん何者よぉ。
おたくらのギルドにあんな子いたかしら?」
レイヴンは先程までリズルートと話していた
男たちに声を掛けてみた。
「レイヴンか。なんだ知らねえのか?
最近この街に住みはじめた姉ちゃんだよ」
「へぇ、そうなのね」
「仕事を手伝いたいって言われてな。
ちょうど人手が足りてなかったから頼んでみたんだよ」
「おたくらもよく頼んだわね。素性もわかんないのに」
「金はいらねえって言うしよ。
それに毎日声掛けて来てたしな。
あの姉ちゃん、色んなことしてみてえからって
ここらへんのギルドに片っ端から声かけてら」
男たちによると、
魔物の討伐依頼を手伝ってもらったそうだが
ずば抜けて戦闘能力が高く、
ギルドに勧誘したほどだったという。
それから他にも数人に話を聞いてみたが
皆言うことはほとんど同じだった。
”うちのギルドに入ってほしい”と。
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