恋と呼ぶにはまだ遠い
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うまくやってるつもりだったし実際うまくやれてた。
2年生に進学して新しいクラスになって
教師とも、クラスメートとも、先輩後輩とも
うまくやれていた。
クラスメートの話題はリサーチして
誰が何を好きなのか、些細なことを覚えておいて
会話の引き出しを多く持っておく。
でしゃばらず、騒ぎすぎず、なんでもできすぎない。
たまに、ドジや失敗を表に出して
完璧じゃないことをアピールする。
真面目すぎないのも大切。
だから学級委員を任されたときは本当に嫌だったけど
逆にその立場を利用して、真面目過ぎない適度にぬけた
話のわかる学級委員として
気さくないい人として
ポジションを得た。
スクールカーストは怖いのだ。
だからこそ私は、うまくやれていた。
「春日は、自分の気持ちを抑えて
相手ばかりを優先するが、疲れないか?」
『え…?』
日直だった柳くんと黒板の掃除をしていたら
いきなりなんの前触れもなく言われた。
前々から見透かされているような気がしていたから
彼のことは少し苦手だった。
「お前がやっていることは誰でもできることではない。
だから純粋に尊敬している。ただ、窮屈そうに見えてな」
完全に見透かされている。
窮屈。
そう。ずっと窮屈で息苦しかった。
自分を偽っているような
こうあるべきだって思って
それに合わせて自分を偽造しているような
そんな気持ちに陥るときがあった。
『……窮屈でも、自分を抑えても、今さら変えられない。
私は、私のやり方で過ごすだけだよ』
「…ふむ、少し誤解をしていたようだ。
お前は真面目なんだな」
柳が何をいいたいのかよくわからない。
『真面目?どういうこと?』
「申し訳ないが、
はじめはずる賢い奴かと思っていたのだが…。
お前は一人一人にちゃんと合わせて
相手の気持ちを考えて接している。
対等に、誰に対しても」
『そんなに綺麗なことじゃないよ。
怖いだけ。怖いから他人の顔色ばっかり窺って
相手に合わせてるだけよ。
…柳くんに見抜かれて、ドキッとしたけど
ストレートに言われてなんだかすっきりした』
「……」
教室には
テニスボールを打つ音が
心地好く響く。
『部活、行かなくていいの?』
「そろそろ行かなくてはな」
『あとやっとくから行っていいよ』
「助かる」
部活へ向かう彼を思わず呼び止めた。
『私、柳くんの率直にものを
言うところ、好きだよ。
私も柳くんのこと尊敬してる』
「………」
『だから、私も率直に言うね。
私、どうやら柳くんのことが好きみたい』
「……!」
『また明日ね』
自分の気持ち、感情に素直になってみると
新しいものが見えてくる。
苦手だと思っていた気持ちは実は好意だったのだ。
これからは、もう少しだけ自分の気持ちに
正直になってみよう。
窮屈に感じたら、柳くんに話し相手になってもらおう。
恋愛と呼べるにはまだ少し遠いこの気持ちが、
今は心地よく感じた。
(柳、どうしたんだい?)
(なにがだ?)
(なんだかいつもより余裕がなさそうというか…)
(…ちょっと予想していなかったことが起きてな)
(へえ…流石の参謀も恋愛には弱かったかな?)
(精市…なぜそれが…)
2年生に進学して新しいクラスになって
教師とも、クラスメートとも、先輩後輩とも
うまくやれていた。
クラスメートの話題はリサーチして
誰が何を好きなのか、些細なことを覚えておいて
会話の引き出しを多く持っておく。
でしゃばらず、騒ぎすぎず、なんでもできすぎない。
たまに、ドジや失敗を表に出して
完璧じゃないことをアピールする。
真面目すぎないのも大切。
だから学級委員を任されたときは本当に嫌だったけど
逆にその立場を利用して、真面目過ぎない適度にぬけた
話のわかる学級委員として
気さくないい人として
ポジションを得た。
スクールカーストは怖いのだ。
だからこそ私は、うまくやれていた。
「春日は、自分の気持ちを抑えて
相手ばかりを優先するが、疲れないか?」
『え…?』
日直だった柳くんと黒板の掃除をしていたら
いきなりなんの前触れもなく言われた。
前々から見透かされているような気がしていたから
彼のことは少し苦手だった。
「お前がやっていることは誰でもできることではない。
だから純粋に尊敬している。ただ、窮屈そうに見えてな」
完全に見透かされている。
窮屈。
そう。ずっと窮屈で息苦しかった。
自分を偽っているような
こうあるべきだって思って
それに合わせて自分を偽造しているような
そんな気持ちに陥るときがあった。
『……窮屈でも、自分を抑えても、今さら変えられない。
私は、私のやり方で過ごすだけだよ』
「…ふむ、少し誤解をしていたようだ。
お前は真面目なんだな」
柳が何をいいたいのかよくわからない。
『真面目?どういうこと?』
「申し訳ないが、
はじめはずる賢い奴かと思っていたのだが…。
お前は一人一人にちゃんと合わせて
相手の気持ちを考えて接している。
対等に、誰に対しても」
『そんなに綺麗なことじゃないよ。
怖いだけ。怖いから他人の顔色ばっかり窺って
相手に合わせてるだけよ。
…柳くんに見抜かれて、ドキッとしたけど
ストレートに言われてなんだかすっきりした』
「……」
教室には
テニスボールを打つ音が
心地好く響く。
『部活、行かなくていいの?』
「そろそろ行かなくてはな」
『あとやっとくから行っていいよ』
「助かる」
部活へ向かう彼を思わず呼び止めた。
『私、柳くんの率直にものを
言うところ、好きだよ。
私も柳くんのこと尊敬してる』
「………」
『だから、私も率直に言うね。
私、どうやら柳くんのことが好きみたい』
「……!」
『また明日ね』
自分の気持ち、感情に素直になってみると
新しいものが見えてくる。
苦手だと思っていた気持ちは実は好意だったのだ。
これからは、もう少しだけ自分の気持ちに
正直になってみよう。
窮屈に感じたら、柳くんに話し相手になってもらおう。
恋愛と呼べるにはまだ少し遠いこの気持ちが、
今は心地よく感じた。
(柳、どうしたんだい?)
(なにがだ?)
(なんだかいつもより余裕がなさそうというか…)
(…ちょっと予想していなかったことが起きてな)
(へえ…流石の参謀も恋愛には弱かったかな?)
(精市…なぜそれが…)
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