プロローグ
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紅い砂浜に、紅い海。そこには、到底人間が生きることなど叶わないであろう光景が広がっていた。
実際、そこは人間のいる世界ではなかった。砂浜には一人の少女ーーと人間ならば区別されるであろうーーが、打ち上げられていた。その人物の肌は無機質で、どの人種とも違う色をしていた。更に特異なのはその顔であり、殆ど人間と同じような作りをしていながら、鼻と口がある筈の場所には何もない。少女はピクリとも動かず、生きているのか死んでいるのかさえも分からない状態だった。
そこに、一人の男が通りかかった。彼の肌は紫色をしており、鼻と口のない人型をしている。少女と同じ種族であることが見て取れた。ただ、彼は紅いマントを羽織っており、額にある黄金のパーツと合わせて、この種族の中でも身分の高い者であろう、と予測される。男はしゃがみこみ、少女に声をかけた。
「……おい、大丈夫か?」
「…ぅ、ん……」
微かに漏れる呻き声。指先が少しだけ動いた。だが、相当体力を失っているのか、うつ伏せのまま起き上がろうとしない。
「………ここ…どこ…?」
暫くして、少女は声をかけた主を視界に入れるべく、僅かな体力を振り絞って顔を上げる。視線が地面や空中を泳ぎ、最初に出た言葉はそれだった。
「…ここはバリアン世界。悪意の海だ。」
「ばりあん……せかい……」
少女は聞き慣れない、といった様子で、言われた言葉を復唱する。言語は解しているようだが、どうやらこの世界に関する知識は無いらしい。
「俺はナッシュ。バリアン七皇の一人だ」
「ナッシュ…バリアン七皇…」
「お前は?…お前の名前、覚えてるか?」
「わたし、私は……」
少女は記憶を辿るように、しばし虚空を見つめる。
「……アルマ。私はアルマ。」
「そうか…アルマ、俺逹のところへ来ないか?」
「えっ……」
「どうやらお前は殆どの記憶を失っているようだ。それにその体じゃ、どこへも行けないだろ。」
「うん……」
「その体を癒す間だけでも良い。俺逹のところに来い。決して、悪いようにはしないさ」
「分かった…」
アルマはこくりと頷く。そして、ナッシュに抱きかかえられ、初めてのワープを経験した。
実際、そこは人間のいる世界ではなかった。砂浜には一人の少女ーーと人間ならば区別されるであろうーーが、打ち上げられていた。その人物の肌は無機質で、どの人種とも違う色をしていた。更に特異なのはその顔であり、殆ど人間と同じような作りをしていながら、鼻と口がある筈の場所には何もない。少女はピクリとも動かず、生きているのか死んでいるのかさえも分からない状態だった。
そこに、一人の男が通りかかった。彼の肌は紫色をしており、鼻と口のない人型をしている。少女と同じ種族であることが見て取れた。ただ、彼は紅いマントを羽織っており、額にある黄金のパーツと合わせて、この種族の中でも身分の高い者であろう、と予測される。男はしゃがみこみ、少女に声をかけた。
「……おい、大丈夫か?」
「…ぅ、ん……」
微かに漏れる呻き声。指先が少しだけ動いた。だが、相当体力を失っているのか、うつ伏せのまま起き上がろうとしない。
「………ここ…どこ…?」
暫くして、少女は声をかけた主を視界に入れるべく、僅かな体力を振り絞って顔を上げる。視線が地面や空中を泳ぎ、最初に出た言葉はそれだった。
「…ここはバリアン世界。悪意の海だ。」
「ばりあん……せかい……」
少女は聞き慣れない、といった様子で、言われた言葉を復唱する。言語は解しているようだが、どうやらこの世界に関する知識は無いらしい。
「俺はナッシュ。バリアン七皇の一人だ」
「ナッシュ…バリアン七皇…」
「お前は?…お前の名前、覚えてるか?」
「わたし、私は……」
少女は記憶を辿るように、しばし虚空を見つめる。
「……アルマ。私はアルマ。」
「そうか…アルマ、俺逹のところへ来ないか?」
「えっ……」
「どうやらお前は殆どの記憶を失っているようだ。それにその体じゃ、どこへも行けないだろ。」
「うん……」
「その体を癒す間だけでも良い。俺逹のところに来い。決して、悪いようにはしないさ」
「分かった…」
アルマはこくりと頷く。そして、ナッシュに抱きかかえられ、初めてのワープを経験した。